著者
人見,泰正
出版者
日本アフェレシス学会
雑誌
日本アフェレシス学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, 2009-10-31

膜型血漿分離器「エバキュアー」(Evacure;EC)を用いた単純血漿交換(Plasma filtration;PF)を持続的に施行して,ECの溶質透過性能の安定性等について検討した.症例は,劇症肝炎,術後肝不全,筋腎代謝症候群の各1例である.ECはEC-2A10(膜面積1.0m^2)を使用した.間歇的なPFにおけるミオグロビン,アルブミン(Alb)の篩係数(S.C.)を測定したところ,いずれの溶質についても経時的に安定した値が得られた.またAlb,ビリルビン(Bil),フィブリノゲンについて長時間のPFにおける経時変化を観察したところ,いずれの溶質についてもS.C.は血漿処理量14.4L時まで安定していた.AlbとBilはほぼ同じS.C.を示した.ECは物質除去性能が安定しており,持続的に用いても有用物質の保持と不要物質の除去のバランスがとれた膜であることが示唆された.今後,肝不全等にも有用な選択肢であると考えた.
著者
星田 昌紀
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2015年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.359-362, 2015 (Released:2016-01-29)

経営および起業を学習する方法として、ビジネス読書会が存在する。ビジネス読書会には幾つかの方法があるが、1冊の課題本を複数人で読むことにより、参加者の学習効果や満足度を向上させることが可能である。しかし一方で、社会心理学の傍観者効果についての研究によれば、ある事象への参加者が増加するほど、人は傍観的になるという知見が知られている。これは社会的手抜きと呼ばれる現象にも近い。よって、ビジネス読書会のような集団で行う活動においては、傍観者効果を防止する工夫が重要である。本研究ではビジネス読書会を実験的に開催し、ある条件下において傍観者効果が現れないことを確認した。この現象を本研究では考察する。
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.652, 2016-11-28

東亜建設工業の地盤改良工事を巡る偽装問題で、国土交通省は10月28日、同社の港湾工事2件で新たに施工不良が発覚したことを明らかにした。これまでの不正工事と違い、虚偽報告は確認されていない。国交省は施工不良に気付けなかったことを重く見て、施工管理…
著者
朱 東平
出版者
大阪市立大学
雑誌
経済学雑誌 (ISSN:04516281)
巻号頁・発行日
vol.100, no.3, pp.287-304, 1999-12

本稿は, インセンティブ・スキームの問題を考慮せずに, 経営努力とモニタリングの関係および市場競争と企業の清算圧力の効果について分析を行う。その結果, 次の結論が得られる。インセンティブ・スキームが存在しない場合, 経営努力のインセンティブは, 清算圧力と虚偽報告によるprivate benefitの存在に起因する。経営者の虚偽報告による期待収益がマイナスのときには, 所有者のモニタリングは不必要である。そのとき, もし虚偽報告による経営者のprivate benefitが失業コストより大きければ, 経営努力は市場競争の激しさと清算圧力の増加関数である。しかし, もし虚偽報告によるprivate benefitが失業コストよりも小さければ, 経営努力は市場競争の激しさの減少関数になる場合もある。一方, 虚偽報告による経営者の期待収益がプラスのときには, 経営努力は所有者のモニタリング努力と清算圧力の減少関数になる。そのとき, 市場競争の総合効果は不明であるが, 競争の激化は清算確率を高めることを通じて経営努力を低下させる効果を持つと同時に, コストの削減による所有者の収益が市場競争の激しさの増加関数である場合には, 所有者の収益を高めることを通じて経営努力を低下させる効果を持つ。
著者
斎藤 俊郎 堀口 新吾 齋藤 寛 舞田 正志
出版者
東海大学海洋学部
雑誌
東海大学紀要 海洋学部 (ISSN:03753271)
巻号頁・発行日
no.55, pp.79-87, 2003-03
被引用文献数
1

現行のトラフグ養殖を見てみると、餌料にはフグ毒が含まれない無毒のものが使用されている。上記観点からすれば、トラフグの養殖は"必要物質"としてのフグ毒がない状態で行われていることになる。トラフグ養殖における重要な飼育上の問題にトラフグ同士の噛み合いがある。従来、毒であるフグ毒を養殖トラフグに投与するという発想は無く、むしろ、養殖トラフグは無毒故に付加価値が高いとの考えもある。よって、フグ毒投与が養殖トラフグの噛み合いに及ぼす影響については全く検討されて来なかった。以上の状況を踏まえ、本研究ではトラフグにおけるフグ毒の機能解明の一環として、フグ毒投与が養殖トラフグの噛み合いに与える影響を検討した。その結果、フグ毒投与が養殖トラフグの噛み合いを著しく減少させることが明らかになったので報告する。
著者
蔭木 達也
出版者
日本村落研究学会
雑誌
村落社会研究ジャーナル (ISSN:18824560)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.13-25, 2020-04-25 (Released:2021-04-09)
参考文献数
85

In 1925, Japan implemented universal manhood suffrage, which motivated the creation of "Farmer’s Self-government" (Nōmin-Jichi) concept for anti-parliamentary democracy movement. This thesis reveals essential part of the concept, by analyzing the usage and the difference of definition between each advocate. First, Yasaburō Shimonaka proposed the words "Farmer’s Self-government" with reference to Non-Partisan League (NPL) in United States. His purpose was criticizing intellectualistic and capitalistic parliamentary democracy, and to find alternative way of the democracy. The members of Nōmin-Jichi, such as Shimonaka, Tēsuke Shibuya, Inosuke Nakanishi and Aikoku Takeuchi emphasized that the constitution of "Farmer’s Self-government" was brought from double antagonism. One is between the city and the village, the other is between the government and self-government. They aimed the self-government for/by the farmers in the village, instead of universal suffrage. Second, in Nōmin, Ken'ichi Yarita inherited the concept from Nōmin-Jichi. His anarcho-communism argumentation, referring Leo Tolstoy, idealized the new society which everyone has land ownership and becomes farmer. For Yarita, "Farmer’s Self-Government" became the key concept of leading whole proletariat, not only farmers, forward his ideology. Finally, Shigeru Inuta, a member of Nōmin, made the concept the new socialism theory for revolution. He designed the "World Union" of "Autonomous Rural Communities" as the ideal society, which was suitable for Japanese rural area. He also showed how to start the revolution toward "Farmer’s Self-government". However, Inuta's idea was suppressed in 1933, thus the development of the thought of "Farmer’s Self-government" had ended up without any demonstration. In conclusion, this research proves that "Farmer’s Self-government", from antiparliamentary democracy to "Autonomous Rural Community", was an equivalent substantial thought to anarchism or agriculturalism in the same era; against previous research analyses which show "Farmer’s Self-government" is the ambiguous concept. Moreover, changing the thought of "Farmer’s Self-government" had been led by a lot of advocates. That shows the self-governmental way of making a thought without authoritarian theory.
著者
石場 義久
出版者
特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
雑誌
日本レーザー医学会誌 (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.132-139, 2019-07-15 (Released:2019-07-18)
参考文献数
2

レーザー作業者の安全対策のひとつとして重要な「保護めがね類の着用」では,選定作業に保安上の間違いがあってはならない.保護めがねに求められる必要事項は厚生労働省の通達には詳細な記載がなく,JISC6802「レーザ製品の安全基準」に記述はあるが,保護具の選定プロセスまでは記載がないので,これらの規格内容を参考に,安全保護対策としての保護めがねの使用時における留意点を本文にまとめて述べる.
著者
矢島 猶雅 有村 俊秀
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.121-130, 2017

<p>近年,自治体レベルの温室効果ガスの排出量削減政策が普及している。中でも,「地球温暖化対策などに係る計画書制度」(以下,計画書制度)が多くの都道府県で共通して導入されている。当該制度は,一定規模以上の事業所に対し温室効果ガス排出量削減のための具体的な計画と,その結果報告を定期的に義務づける。更に,計画もしくは報告の内容に対し,自治体が助言などを行う規定も付加されている場合が多い。このように,計画書制度は自治体レベルで事業所に排出量削減についてモニタリングと補助を行う枠組みである。しかし,制度の効果には疑問の声もある。各事業所の排出量削減の水準について罰則が存在していないのである。計画書制度において罰則と呼べるものは計画/報告の未提出や虚偽報告に対するものに限られる。すなわち,実際に排出量削減が実現するかは定かではない。そこで,本研究では計画書制度が削減効果を有するか否かについて検証を行う。具体的には,1990年度から2013年度の製造業部門の都道府県レベル集計データを用い,制度の有無による排出量の変化を計量分析した。その結果,計画書制度を導入した都道府県では,平均的に約8%から約10%製造業部門の従業者一人当たり排出量が削減されていることが示唆された。計画と報告,及び省エネ指導という枠組みが有効な可能性を示唆する結果である。</p>
著者
仏書刊行会 編
出版者
仏書刊行会
巻号頁・発行日
vol.142, 1922
著者
工藤 暢宏 新美 芳二
出版者
園藝學會
雑誌
園藝學會雜誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.428-439, 1999-03-15
参考文献数
16
被引用文献数
6 13

アメリカノリノキ(Hydrangea arborescens)の有する不良環境適応性を'セイヨウアジサイ'(H. macrophylla)に導入することを目的として, 両種間で正逆交雑を行った.1. H. macrophyllaとH. arborescensの花粉を塩化カルシウムとともに管ビンに入れ, -20, 5および20℃の温度条件で貯蔵し, その後の花粉発芽能力を経時的に調査した.-20℃で貯蔵した花粉の発芽能力は長期間(10&acd;12か月間)維持されたが, 5℃で貯蔵した花粉は, 5ヶ月で, 20℃で貯蔵した花粉は5日でそれぞれ発芽能力を失った.2. 自家, 種内および種間交配ではどの組合せでも両種の花粉は柱頭上で良く発芽し, 花粉管は花柱内を伸長して子房内の胚珠に達した.3. 自家および種内交配では, 両種とも完熟種子が得られた.しかし, 得られた完熟種子数は品種や組み合わせで異なり, さく果当たり種子数は, H. macrophyllaでは10&acd;54粒, H. arborescensでは19&acd;38粒であった.4. 得られた種子をポットと無菌培地に播くと, いずれの場合でも, H. macrophyllaでは58&acd;85%の発芽率であり, H. arborescensの発芽率は, 14&acd;52%の範囲であった.H. arborescensの実生の第一本葉には毛茸の発生があり, これが両種の実生を区別する形態的特徴であった.5. 種間交配では, 種子親にH. macrophyllaを用いた場合, わずかに種子が得られ, H. arborescensの場合, 種子が得られなかった.得られた種子を人工培地に無菌播種した結果, 実生が得られた.しかし, これらは幼植物期にすべて枯死した.6. H. macrophyllaを種子親にした種間交配では交配60&acd;150日後の胚珠を培養して実生が得られたが, 子葉展開後生育を停止しすべて幼植物期に枯死した.一方, H. arborescensを種子親とした種間交配では交配60日後の胚珠を培養して1個体の実生を得たが, 子葉展開直後に枯死した.7. H. macrophylla×H. arborescensで胚珠培養により得た実生の子葉に形成された不定芽を切り取り, BA添加培地で継代した結果, 根系をもつ植物体が得られた.その茎頂部に花粉親のH. arborescensに特有の毛茸が発生したため, 雑種植物であると判断した.再分化植物は生育が緩慢で試験管外では生育しなかった.

1 0 0 0 OA 文明源流叢書

著者
国書刊行会 編
出版者
国書刊行会
巻号頁・発行日
vol.第1, 1914