著者
清水 誠
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

TGR5は胆汁酸をリガンドとするGタンパク質共役受容体であり、その活性化は抗肥満・抗糖尿病効果を示すことが知られている。本研究では、TGR5を活性化する食品成分のスクリーニングを行い、ノミリンを含む複数の食品成分を同定した。動物実験の結果から、ノミリンは肥満や耐糖能異常を改善する事を明らかにした。また、TGR5を活性化する他の成分(成分A)に関しても、高脂肪食による体重増加を抑制する効果がある事を明らかにした。
著者
岡田 正彦 松戸 隆之 三井田 孝 大林 光念 稲野 浩一
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

動脈硬化症の初期変化をもたらす一つのきっかけは、低比重リポ蛋白(LDL)がラジカル種の攻撃で酸化変性を受け、生理的な代謝が行われなくなることにあると考えられている。しかし、具体的にLDLのどのような構造変化が血管内皮に対して異常信号として作用するのかについては、不明のままとなっている。本研究では、以下の成果をあげることができた。1.アポBの糖鎖構造と易酸化性との関係について調べた.その結果native LDLと酸化LDLで糖鎖構造に違いは認められなかったが、ある切断酵素を作用させたときにだけ、易酸化性が有意に上昇するという現象を認めた。この結果から、アポB上のある種の糖鎖が酸化防御に関わっていることが推測された。2.LDLの酸化によって生じるアポBのフラグメント解析を試みた。ところが種々のフラグメントのアミノ酸配列をホモロジー検索したところ、アポB以外のさまざまなたんぱく質が非特異的に結合していることが分かった。3.酸化LDLを血管内皮細胞に作用させ、VCAM-1のmRNAの変化を調べるという実験系の検討に入った。まず内皮細胞にIL-1を、濃度と時間を変えながら作用させ、VCAM-1のmRNAが発現する最適条件を検討した。さらにVCAM-1アンチセンスを用いたハイブリダイゼーションで、当該バンドが安定して確認できる条件を探った。その結果、IL-1および精製した酸化LDLを内皮細胞に作用させると、VCAM-1のmRNAが明らかに増加する事実を確認することができた。4.酸化によってLDLにどのような構造変化が起きるのかを確かめるべく、アポBの立体構造を解析する研究にも着手することができた。その結果、アポBの膜内でαヘリックスの束を作っている領域が5つあることを確認できた。これは、従来の生化学的な分析結果ともよく一致しており、方法の正しさが証明できたものと考えている。
著者
大塚 紳一郎 原 寛徳 小沢 慎治
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.124, no.4, pp.388-395, 2004 (Released:2004-07-01)
参考文献数
9
被引用文献数
2 4

Problem may arise when the drivers are unable to notice or late in noticing emergency vehicles due to the sealing nature of the vehicles, masking by the car audio system or car navigation operation, which poses a threat for common vehicles and emergency vehicles to collide at many crossing. Every minute, problem may arise at every crossing and it is dangerous to wait for the completion of the information infrastructure system, which requires suitable cost and time. Therefore, we propose a system for common vehicles, which detects emergency vehicles using microphone on-vehicle and produce warning information to the driver. In this research, our focus is for “Ambulance", “Fire Truck" and “Police Car". The siren for these vehicles is detected by means of a microphone on-vehicle. This project utilizes two microphones to in order to detect the direction in which incoming emergency vehicles are present. The system, which we propose, must be helpful to response quickly to emergency and rescue activities.
著者
竹内 亮介
出版者
日本消費者行動研究学会
雑誌
消費者行動研究 (ISSN:13469851)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.2_99-2_122, 2017 (Released:2021-05-01)
参考文献数
44

消費者の記憶を説明するための最も主要な理論の1つとして知られているのが、ネットワーク理論である。この理論に依拠した多数の先行研究は、焦点広告に関する消費者の記憶に対して競合広告は負の効果を有するということを見いだしてきたのに対して、近年に発表された先行研究は、焦点広告に関する消費者の記憶に対して競合広告は正の効果を有するということを見いだした。そこで本研究は、ネットワーク理論によって負の効果のみならず正の効果をも説明できるように、理論の拡張を試みる。より具体的にいえば、まず、記憶課題の容易性に着目することによって、ネットワーク理論に改良を施す。そのうえで、負の効果あるいは正の効果が発生する条件をそれぞれ識別した仮説を導出し、その仮説を経験的にテストする。
著者
徳山 尚吾 高橋 正克
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.117, no.3, pp.195-201, 2001 (Released:2002-09-27)
参考文献数
42
被引用文献数
4 5

モルヒネをはじめとするオピオイドおよびメタンフェタミンなどの精神賦活薬によって誘発される種々の効果に対する薬用人参の薬理学的·生理学的作用について概説する.薬用人参は, モルヒネ, μオピオイド受容体アゴニストやU-50, 488H, κオピオイド受容体アゴニストの鎮痛効果に対して, オピオイド系を介さない様式で拮抗作用を示す.さらに, モルヒネの鎮痛効果に対する耐性形成および身体的·精神的依存に対しても, 薬用人参は抑制作用を有するとの知見が多いが, その種類, 用量, 投与スケジュール等の違いによって成績が異なる報告もなされている.また, 薬用人参は, メタンフェタミンやコカインなどの反復投与による運動量の経時的な増強作用, すなわち行動感作(逆耐性現象)の形成も阻止する.興味深いことに, メタンフェタミンおよびコカインの反復投与終了後30日間休薬してから, 再びこれらの薬物を投与することによって誘発される再燃現象(フラッシュバック)に対しても, 薬用人参による抑制作用が見出されている.さらに, メタンフェタミンおよびコカインは精神的依存能の評価法の一つとされる条件付け位置嗜好性を示すが, その効果も薬用人参は消失させる.これらの知見は, オピオイドや精神賦活薬による乱用および依存に対して, 薬用人参が有効な治療薬に成りうる可能性を示唆するものである.
著者
小川 勇樹 戸田 敏行
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.24, no.56, pp.345-350, 2018 (Released:2018-02-20)
参考文献数
13

This study investigates the implementation of cross-border cooperation projects in regional cooperation projects that were adopted under the national government’s grant. In addition, we interviewed individuals from the relevant municipalities to clarify the nature of their cooperation in the project. Our research determined 118 cross-border cooperation projects among 592 regional cooperation projects that were initiated under the grant. These projects can be categorized into two types. The first involves cooperation between neighboring municipalities, and the second involves cooperation between remote municipalities.
著者
佐野 由佳
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.827, pp.84-90, 2006-07-24

夕暮れが近づくと、東京・銀座の街は昼とは違った活気を帯びる。夜の華やかな宴席に備えて、それぞれの店が準備にとりかかる。街全体が舞台の本番を前にした楽屋のような、あわただしさと緊張感に包まれるのだ。 高級寿司店の代名詞ともいえる「銀座 久兵衛」が、金春通りの本店の斜め向かいに「別館」をオープンしたのは、この4月のことだ。
著者
内藤 理 佐藤 啓宏 工藤 俊亮 池内 克史
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.629-638, 2012 (Released:2012-08-15)
参考文献数
19
被引用文献数
1

In recent years, the social network has attracted attention as the system which causes the innovation, and various studies for researchers' networks have been carried out. This paper conducts social network analysis for a researchers' social network based on co-authorship in papers in the journal of RSJ. We investigate the 1,912 papers published from 1983 to 2010, which include 2,736 authors (nodes of the network) and 6,531 co-authorship (edges of the network). The network turns out to have general features as a complex network, such as scale-free structure, small-world structure, and cluster structure. We extract 710 core members from the network and analyze various centrality among them to show that some researchers demonstrate more importance in the network than their degrees. We also apply cluster analysis to the network to find 27 clusters in which researchers have close relationship, and give a coarse-grained representation of the clusters to clarify the adjacency among them.
著者
黒崎 征佑
出版者
帝京平成大学
雑誌
帝京平成大学紀要 (ISSN:13415182)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.35-49, 1998-12

New face and executive educations are carried out as a plan of TWI in recent years. These are almost done for a week or a few months. Some industries have a plan to do it in religious places, for example, the temple of the Zen. Why do Japanese, not American and English, companies make such a choice? But it gradually decreases of late. Why so?
著者
高橋 典史 Takahashi Norihito タカハシ ノリヒト
出版者
「宗教と社会貢献」研究会
雑誌
宗教と社会貢献 (ISSN:21856869)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.1-25, 2014-04

ベトナム戦争の終結後、ボート・ピープルなどの多くの難民がインドシナ半島から流出した。西側諸国の一員として難民受け入れを進めた日本において、民間組織のなかで主としてそれに協力したのが宗教系組織であった。本稿では、立正佼成会という新宗教教団による活動の実態を明らかにしただけでなく、教団が当該の事業に着手し、20 年近く活動を持続しえた要因として、その開始時期が教団の積極的な社会参加の展開期と重なっており、さらには事業のキーパーソンが継続的に活動に関与していたといった点を指摘した。こうした難民支援事業は、現代日本の移民(ニューカマー)と宗教との関わりについての研究において それほど注目されてこなかった対象であるため、本稿は研究の間隙を埋める意義も有している。

1 0 0 0 OA 訂正康煕字典

著者
渡部温 編
出版者
渡辺温
巻号頁・発行日
vol.14, 1887
著者
山下 智也 平田 健一
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.1073-1076, 2017 (Released:2017-11-01)
参考文献数
20

近年、疾患発症と腸内細菌叢との関連が調査され、代謝疾患・免疫疾患・悪性腫瘍などの分野の報告が相次いでいる。心血管病の分野では、腸内細菌由来代謝物のトリメチルアミンNオキシド(TMAO)が動脈硬化を悪化させ、心血管イベントの増加に関連すると報告され、循環器疾患の治療標的として注目されている。本稿では、動脈硬化をはじめ高血圧や心不全といった心血管病の病態と腸内細菌との関連について、世界的な研究の動向と我々のグループからの報告を紹介して、今後の展望を述べたい。