著者
河村 美穂 小清水 貴子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.49, 2005

研究目的 数多くの実践がある調理実習に関しては、児童生徒の実習中の行動分析やグループにおける学びの様態について様々な知見が示されている。近年では、家庭科の学習を振り返る感想文分析から役立ち感と学習意欲の関連も明らかにされており、さらに生徒の側から学びの実態を明らかにすることが求められている。 そこで、本研究では生徒が調理実習の直後に何を学んだと感じているのかを生徒自身の記録から読み取り、さらに実施後約1ヵ月後の振り返りをあわせて検討することにより、生徒が調理実習で学んだことを明らかにすることを目的とする。研究方法表に示す調理実習3回を高校家庭科「家庭基礎」において実施し、実習直後に記述した実習記録をデータとして、生徒が学んだと考えることについて検討を加えた。○調査対象:国立大附属高校1年生(40名)。○調査時期:2005年1月_から_2月。○データの収集:毎回の授業後に生徒40名が記述した実習記録、 および、実習後約1ヶ月に記述した振り返りシートをデータとし て用いた。この他、生徒の実態を把握するために事前アンケート 調査を実施した。また、10班のうち2班を抽出し、実習中の様子 を観察、ビデオ録画、録音により記録し補足データとして用いた。全体的な目標<br>●1日に食べる食品の量と質を体験し、朝・昼・夕食に食べるものを理解する●包丁で切る技術を学ぶ。●料理にあう皿を選んで盛り付ける。●班で協力して作業を行い、時間内に手早く調理・試食・片づけをする。●食材を大切に扱い、できるだけ生ごみを出さないように工夫をする。<br>題材<br>オムレツ・ミネストローネ・ヨーク゛ルト・ロールハ゜ン・ハ゛ナナ<br>本時の目標●卵の調理性(熱凝固性)を理解する。(オムレツ)●食材の形をそろえて切ることを理解する。(ミネストローネ)●調理実習室に慣れる。<br>題材 スハ゜ケ゛ティミートソース・ク゛リーンサラタ゛・ハ゜ンナコッタ(いちご添え)<br>本時の目標●ミートソースを手作りする方法を知り、味わう。(スハ゜ケ゛ティ)●ハ゜スタのゆで方を知る。(スハ゜ケ゛ティ)●ゼラチンの調理性と取り扱い方を知る。(ハ゜ンナコッタ)●ドレッシングを手づくりできることを知る。(サラタ゛)<br>題材 肉じゃが・ほうれん草の胡麻和え・米飯・味噌汁(豆腐とワカメ)・うさぎりんごと木の葉りんご<br>本時の目標●混合だしの取り方を理解する。(肉じゃが・味噌汁)●調味料の浸透性を理解し、手順よく調味料を扱うことができる。(肉じゃが)●無洗米の扱い方を知る。(米飯)●青菜のゆで方を理解する。(ほうれん草の胡麻和え)●肉じゃがが簡単にできることを知る。(肉じゃが)●りんごの飾り切りができる。(りんご)<br>結果と考察<br> 生徒が調理実習で身についたと考えていることは、「実習した料理そのものの作り方」「その後に応用可能な知識・技能」「グループ学習としての学び」の3つに大別できる。「その後に応用可能な知識・技能」のうち多くを占めるのは「材料を切る」など包丁を使う技能であった。包丁を使う技能は、調理実習で多く使用されるだけでなく、生徒にとっては技能の習得を実感しやすいと考えられる。また、振り返りにおいて調理に対する自信を持つようになった生徒は、直後の記録においては「その後に応用可能な知識・技能」を多く記述していた。これは、調理を一つ一つの料理を作る方法としてではなく、複数の調理方法や知識・技能が複合して成立するものとして捉えていることを示していると考えられる。
著者
足立暁生著
出版者
森北出版
巻号頁・発行日
1990
著者
松尾 光弘 坂本 美代 高砂 志織 本間 秀一朗 寺尾 寛行 小川 紹文
出版者
日本雑草学会
雑誌
雑草研究 (ISSN:0372798X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.77-85, 2009 (Released:2009-07-08)
参考文献数
19
被引用文献数
2 1

ツユクサ科の一年生雑草であるマルバツユクサは,地上部および地下部にそれぞれ大きさの異なる大小2種類の種子を形成する。本研究では,南九州に発生した個体におけるそれら4種類の種子の発芽,出芽,生育およびそれらの種子から発生した個体の種子生産を比較した。  地上部あるいは地下部に形成された大型種子の発芽率は25°C∼40°Cで85%以上であり,発芽に要する平均日数は30°C∼40°Cで3日∼4日以内であった。また,斉一発芽係数は30°C∼35°Cで0.7∼1.1と最も大きな値を示した。小型種子の場合,地上部および地下部ともに発芽率は30°C∼35°Cで90%以上となり,発芽に要する平均日数は30°Cで約8日,35°C∼40°Cで約5日となって,大型種子よりも長くなる傾向にあった。また,小型種子の斉一発芽係数は35°Cで0.2∼0.5と最も大きな値となったが,数値は大型種子の半分以下であった。4種類の種子を自然条件下に播種した場合,地上部あるいは地下部に形成された大型種子から発生した個体の多くが3月∼5月に出芽したのに対して,小型種子の多くは4月∼9月に断続的に出芽した。また,それらの出芽深度は大型種子で0mm∼50mm,小型種子で0mm∼10mmであり,小型種子よりも大型種子由来の個体が土壌の深い場所から出芽した。完全展開した第1葉の葉長葉幅比は,いずれの種子から発生した個体においても約1.45であったが,葉幅は地下部大型種子>地上部大型種子>地下部小型種子>地上部小型種子由来の個体の順に有意に異なっていた。それぞれの種子から発生した個体の地上部における草丈,一次分枝数,葉数および生体重は同様の傾向に推移し,また地上部および地下部に形成された花序数あるいは大小の種子数についても,種子の形成位置と大きさによる有意差は認められなかった。以上の結果から,マルバツユクサに形成される4種類の種子,すなわち地上部あるいは地下部に形成された大型あるいは小型種子について,最適発芽温度,平均発芽日数,斉一発芽係数,出芽深度および出芽パターンは種子の大きさによって,また完全展開した第1葉の形態は種子の形成位置と大きさによって異なることが分かった。しかし,それら種子から発生した個体の生育,後の花芽形成あるいは種子生産については種子間に差異が認められなかった。
著者
園田 純子 江藤 優穂 定岡 愛子 武鑓 美和 西村 弥恵
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2013

【目的】日本の食文化として受け継がれてきた食品の保存法である「乾物」に関し、若い世代の利用実態を把握するとともに、日常の食事に取り入れられるよう家庭料理への普及啓発の方法を検討した。<br>【方法】本学1~4年の学生734名を対象として、平成24年6~7月に乾物に関する意識や利用状況の調査を行った (回収率78.9%)。次にこの乾物利用の調査をふまえ、食品乾燥機(木原製作所SM4S-EH型・SP-1型)を用いて身近な農産物の乾物を作成し、家庭で簡単に作れるレシピを考案した。さらに、考案した干し野菜レシピを活用できるよう、乾物の普及啓発活動の取り組みを行った。<br>【結果及び考察】本学の学生で乾物を料理に利用している者は全体の45%で、乾物利用者のうち乾物を作成したことのある者は8%にすぎなかった。食べきれない生鮮食品の活用法としては冷凍保存が54%と最も多く、乾燥させるとの回答はわずか1%であった。家庭で残りがちな生鮮食品はキャベツが最も多く、人参、じゃがいも、玉ねぎと続いた。これら家庭で残りがちな野菜を用いた干し野菜の作成を試み、作成した干し野菜9種類を用いて「ミネストローネ」や「キャベツハンバーグ」など乾物独自の凝縮した味や食感といった干し野菜の特徴を活かせる料理を計18品考案した。作成したレシピは本学学生を対象とした料理教室で活用し、参加者の乾物に関する知識を深め、今後の乾物利用促進を図った。今回、従来乾物としての使用は少ないものの、日常的によく購入される生鮮食品を用いて干し野菜を作成したことで、若い世代にも乾物を身近に感じてもらえたと推察される。
著者
庵 功雄 イ ヨンスク 松下 達彦 豊田 哲也 宮部 真由美 早川 杏子 田中 牧郎 ビアルケ 千咲 志賀 玲子 志村 ゆかり
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

令和元年度は、日本の公立中学校でのフィールドワークを通した教材開発の成果として、外国につながる生徒のための日本語総合教科書(初級版、初中級版)を刊行し、その概要と具体的なアプローチについて、口頭発表を行った。JSL児童生徒のための漢字シラバス開発に資するべく、中学校教科書コーパスから漢字の音訓使用率を算出し、文理教科書における漢字情報の使用傾向の対照分析を行い、論文による成果報告を行った。また、非漢字圏のJSL児童生徒あるいは成人日本語学習者の効果的な漢字字形学習方法を探るために、彼/彼女らの漢字字形認知の様相を明らかにする目的で、漢字の構造と構成要素を軸に初見漢字の再認実験と漢字要素分解調査を行い、口頭発表によって報告を行った。ろう児に対する日本語教育の実践を続ける一方、日本語と日本手話の対照研究を続け、口頭発表で報告した。日本語学習教材の自動生成方法について検討し、言語処理分野の機械学習モデル「Word2Vec」を用いた類義語を用いて、日本語能力テストの多肢選択問題を構築する手法を検討する一方、学術共通語彙知識の発達やその読解力との関係についての横断的調査を行った。さらに、学習者の語彙力測定のためにWebブラウザから語彙情報を収集するフレームワークを提案し、学習者が登録した語彙から関連語彙を「Word2Vec」を用いて推定し、日本語学習教材の自動構築に役立てる仕組みを検討した。「やさしい日本語」の理念の拡張について考究するとともに、講演、新聞や雑誌への寄稿などを通して、「やさしい日本語」の理念の地域社会への普及に努めた。
著者
小山 桂史 加藤 知生 山内 潤一郎
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
シンポジウム: スポーツ・アンド・ヒューマン・ダイナミクス講演論文集 2013 (ISSN:24329509)
巻号頁・発行日
pp._213-1_-_213-4_, 2013-11-01 (Released:2017-06-19)

The purpose of this study was to investigate the effects of closed basket weave ankle taping on the vertical ground reaction force and ankle movement during the contact phase before the take-off in vertical jump performance. Twelve healthy young men performed a vertical jump performance on a force plate without (CON) or with ankle taping (closed basket weave technique: CBW) of the right ankle joint. Vertical jump ability was assessed using two styles of vertical jump with no arm swing: a countermovement jump (CMJ) and squat jump (SJ). From the vertical ground reaction force (GRF), maximum jump height (Ht), vertical impulse (VI), rate of force development (RFD), maximum GRF (GRFmax) during the contact phase before the take-off in jump performance were determined. Also, movement analysis, range of motion (Δ ank) and angular velocity (Vank) of ankle joint were caliculated . Ht and RFD, Δ ank, Vank were significantly lower for CBW than CON in CMJ, but not in SJ. Conversely, VI and GRFmax were not significantly different between the groups in either jump condition. These results suggest that ankle taping impairs countermovement jump performance, due to a decreased ability to rapidly develop large force and plantar-flexion motion on the ground before the take-off.
著者
岡崎 邦夫 中山 行穂 川井 信子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.29, no.9, pp.547-552, 1982-09-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
3

市販の果実飲料(86試料)および炭酸飲料(21試料)の糖組成をHPLC法を用いて測定し,以下の結果を得た。(1) Nucleosil 5NH2カラムは5種類の糖(果糖,ブドウ糖,ショ糖,麦芽糖,乳糖)の分離が良好であった。(2) 天然果汁においてミカン果汁の糖組成はショ糖が主成分であり,リンゴ果汁は果糖が多く,ブドウ果汁はショ糖がほとんど認められなかった。(3) 果肉飲料の合計糖量は最も多く,他の飲料に比べ甘口であった。(4) 果粒入り果実飲料および果汁入り清涼飲料の果汁含有率の低い飲料では,添加された糖の影響で,原材料の天然果汁の糖組成の特徴がなく,糖組成およびその比率は果汁の種類に関係なくほぼ一致していた。(5) 炭酸飲料の無果汁は,添加糖類として砂糖単独の使用頻度が多く,果汁入りよりも2倍のショ糖含量であった。
著者
山崎 利夫
出版者
九州地区国立大学間の連携に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
研究論文集-教育系・文系の九州地区国立大学間連携論文集-
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, 2009-10-01

"この論文は「鹿屋体育大学学術研究紀要」(38号,2009年3月,p1-13)に掲載された論文を査読し、『研究論文集-教育系・文系の九州地区国立大学間連携論文集-』Vol.3 No.1(2009.10)に採択されたものである。"