著者
Masashi SUGIYAMA
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE Transactions on Information and Systems (ISSN:09168532)
巻号頁・発行日
vol.E93.D, no.10, pp.2690-2701, 2010-10-01 (Released:2010-10-01)
参考文献数
36
被引用文献数
20 36

Kernel logistic regression (KLR) is a powerful and flexible classification algorithm, which possesses an ability to provide the confidence of class prediction. However, its training—typically carried out by (quasi-)Newton methods—is rather time-consuming. In this paper, we propose an alternative probabilistic classification algorithm called Least-Squares Probabilistic Classifier (LSPC). KLR models the class-posterior probability by the log-linear combination of kernel functions and its parameters are learned by (regularized) maximum likelihood. In contrast, LSPC employs the linear combination of kernel functions and its parameters are learned by regularized least-squares fitting of the true class-posterior probability. Thanks to this linear regularized least-squares formulation, the solution of LSPC can be computed analytically just by solving a regularized system of linear equations in a class-wise manner. Thus LSPC is computationally very efficient and numerically stable. Through experiments, we show that the computation time of LSPC is faster than that of KLR by two orders of magnitude, with comparable classification accuracy.
著者
岩田 一政
出版者
総務省情報通信政策研究所
雑誌
情報通信政策研究 (ISSN:24336254)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.1-18, 2020

<p>現代は「データ駆動型経済」の時代である。本論は、データのもつ特性を踏まえ、日本経済が直面する政策上の課題とその解決策を探ろうとするものである。データは通常の財と異なり、「消費の非競合性」や「外部性」といった特性がある。また、個人データの提供とプラットフォーム企業によるデジタル・サービス提供との交換は、ゼロ価格で行われることが多く、両者の間に情報の非対称性が存在していることもあって、個人データの価値の測定を困難にしている。またデータは、社会財、共有財、公共財としての性格を備えており、社会的課題の解決には、データを共有財、公共財として扱い、活用することが求められる。</p><p>データは、企業による最適技術の選択に対して有用な情報を提供するばかりでなく、生産性向上に寄与するアイデアや知識の投入物として用いられている。データを可能な限り広く流通させることは、経済の効率性を改善させるが、その一方で、個人データに関するプライバシー保護や企業の営業秘密を保護することが求められている。</p><p>日本の政策上の課題の第一は、データの自由な流通とプライバシー保護を両立させることである。民主主義社会において個人データの所有権は個人にあることを前提に、プライバシー保護とデジタル・サービス享受に関する選択をプラットフォーム企業ではなく、個人に委ねることが望ましい。個人が自らのデータをコントロールする権利があることを明確にした上で、データの「ポータビリティ」や「インターオペラビリティ」に関するルール作りが求められている。このルール形成によって、情報仲介機関として情報銀行が有効に機能することになろう。また、巨大テック企業によるデータ共有についても政府によるガイダンス作りが求められる。</p><p>第二の課題は、国境を越えた個人データの自由な移動を可能にすることである。欧米間での個人データの自由な流通を可能にする「プライバシー・シールド原則」は、欧州司法裁判所により欧州連合(EU)の「データ保護一般規則(GDPR)」に違反するとの判断がなされた。この問題解決の鍵は、どのようにしてプライバシー保護と国家安全保障維持との両立を図るかにある。欧米間でこの論点に関する合意形成がなされない場合には、世界は、中国(国家中央集権システム)、アメリカ(「告知―合意(選択)」システム)、EU(プライバシー重視システム)の3つの「デジタル経済圏」に分裂するリスクがある。</p>
著者
関川 靖
出版者
学校法人滝川学園 名古屋文理大学
雑誌
名古屋文理大学紀要 (ISSN:13461982)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.51-61, 2006

消費者は,基本的には標準的な経済理論の前提条件である所得制約・時間制約に従った合理的な行動をとるが,日々の生活における経済行動を考えると必ずしも合理的な行動をとっていないケースもある.このような消費者の非合理的な行動を,標準的な経済学によって分析することは困難であった.この非合理的な行動の分析は,経済学に心理学を導入した研究によって行われるようになった.そして,この研究は1980年代に活発化し,理論の精緻化が進み「行動の経済学」と呼ばれるようになった.本論文では,この行動の経済学が消費者の現実の経済行動を説明できるかどうかを検証するとともに,マクロ統計上に非合理的な行動が現れにくい要因も考察する.
著者
末廣 徹 武田 浩一 神津 多可思 竹村 敏彦
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学
巻号頁・発行日
vol.13, pp.S5-S7, 2020

<p>本論文では,心理学的概念である個人のグリット(やり抜く力)をWebアンケート調査によって調査し,個人のグリットの高さと金融行動の関係を分析した.その結果,グリットが高い(やり抜く力が強くて忍耐力がある)ほど,(1)収入が多く,(2)金融資産の保有額も多いことが分かった.また,(3)目的を持って貯蓄をしている(セルフコミットメントを行っている)個人にとってグリットは一段と効果を発揮する(金融資産の蓄積を促す)ことを示した.グリットは後天的に誰もが獲得可能な「やり抜く力」とされ,ビジネスやスポーツにおける個人のパフォーマンスの高さと関係があることから注目されている.日本では老後の金融資産が不足している個人が多数存在することが社会問題となっており,後天的に獲得可能なグリットが金融資産の蓄積を促すという本稿の結論は金融教育や政策運営に資するものである.</p>
著者
舟川 哲
出版者
日本古生物学会
雑誌
化石 (ISSN:00229202)
巻号頁・発行日
vol.73, pp.20-37, 2003-03-20 (Released:2017-10-03)
参考文献数
83

本論では, 南大洋における後期始新世から漸新世にかけてのテクトニクスイベントおよび堆積物から読みとれる気候イベントを総括し, 海洋の微化石群集の変化が, これらとどのように結びついているかを論じた(図14).(1)後期始新世では, 南タスマン海膨が沈降を開始し, インド洋-太平洋間に海路が徐々に形成され始めた.すでにこの時期に海水温の低下がみられるが, その原因はよくわからない.酸素同位体比および南極大陸縁辺の堆積物からみると, このとき南極大陸には短期間ではあるが, 小規模な氷床が形成されていた.この寒冷化によって, 海洋の石灰質微化石(浮遊性有孔虫, 石灰質ナノ化石)は, 温暖種が段階的に絶滅した.珪質微化石は, 温暖種が徐々に絶滅する一方で, 新たに出現する種がみられるようになり, 群集全体の種数も増加した.(2)E/O境界付近では, インド洋-太平洋間に表層水が通過できるような海路(タスマニア海路)が形成され, 周南極海流の原型が出現した.このため南極大陸ではさらに寒冷化が進み, 東南極大陸を中心として大規模な氷床が拡大した(Oi1イベント).この時期は, 北大西洋における深層水(NCW)の出現時期とも重なる.氷床の拡大と同時に, 現在の南極発散線に相当する湧昇域が出現し, 海洋表層の生産性が増大した.これに伴って, 珪藻の出現イベント, 放散虫群集の構成種の入れ替わり, 石灰質ナノ化石群集における寒冷種の増加などが起きた.(3)前期漸新世の前半(33.7〜30Ma)では, 海洋微化石群集はそのほとんどが寒冷種群から構成されており, 構成種の入れ替わりや新たな種の出現はほとんど認められない.その後, 前期漸新世の後期では, 南極半島の縁辺にあるパウエル海盆が開き, 太平洋と大西洋の間に表層〜中層水が通過できる海路が形成され, 現在の形に近い周南極海流が完成した.これに伴い, 南極大陸では, 前期/後期漸新世境界の付近でふたたび大規模な氷床の拡大がおこった(Oi2aイベント).
著者
福岡 喜弘
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.1967, no.19, pp.27-42, 1967-03-25 (Released:2011-08-11)
参考文献数
61

1) This study was carried out in order to examine the characteristics of forms and limitation of reclamation of a citrus orchard on slope land.2) Three forms of reclamation of orchards investigated were as follows: I. horizontal terraced field. II. sloped terraced field with a wide oblique section. III. sloped field.Items of the reclamation for these forms were an original sloping angle of 8°-30°, sloping face of a terraced field of 45°-80°and sloping face of a sloped field of 45°-55°. From these conditions, the author extracted the generalization of the data.3) To clarify the characteristics of the forms of reclamation, the author investigated the following factors: precentage of reclamation of fields, the function of field surfaces and limiting factors of excution, excution by a bulldozer, quantity of soil originated in excution, and ecology and methods of management of a citrus orchard. The author examined the suitability for citrus management on each item.4) From the view-point of characteristics of the forms of reclamation on slope land, the sloped field ranked as the best, which was followed by the sloped terraced field with a wide oblique section, and the horizontal terraced field showed many problems.5) The limiting angle of reclamation of orchards on slope land was 20° at the horizontal terraced field and the sloped terraced field with a wide oblique section, and the sloped field showed from 20° to 25° in the original slope.6) From the characteristics of forms of reclamation, the above mentioned items are the limit of reclamation. But hereinafter, for the modernized citrus orchard, rational land utilization, reasonable planning of arrangement of equipment, planning of settlements of accounts, etc, must be discussed and brought into practice.
著者
小平 英志
出版者
日本福祉大学福祉社会開発研究所
雑誌
現代と文化 : 日本福祉大学研究紀要 (ISSN:13451758)
巻号頁・発行日
no.136, pp.1-14, 2017-09

Correlations and causal relationships among undervaluing others, self-formation, and self-change in Japanese university students were investigated. In Study 1, university students( n=163) completed scales that assessed undervaluing others, self-esteem, sense of self-formation, and intention for self-change. Results indicated a significant negative correlation between undervaluing others and imitation-oriented self-change defined as the will to change and agree with close others. This result was replicated in Study 2 with a different sample of undergraduates (n=298). Moreover, in study 3, structural equation approach with cross-lagged models and synchronous effects models were conducted on oneyear longitudinal data (n=161). Results suggested a significant covariance between undervaluing others and imitation-oriented self-change at Time 1. However, there were no significant causal effects among these variables. The meaning of undervaluing others in the development of young adults was discussed.
著者
木戸 崇之
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.181-184, 2020

<p>2020年1月、朝日放送グループは阪神淡路大震災の取材映像、約38時間分1970クリップを公開した。1995年の発生から四半世紀が経過し、中心被災地の神戸市ですら、震災を経験していない住民が半数近くにのぼっており、被災経験や教訓の伝承が課題となっている。公開映像には被災者の顔が映り込んだものやインタビューも多数盛り込んだが、被取材者本人や近親者からの公開取りやめの要望は寄せられていない。アーカイブ公開においてしばしば課題となる肖像権の問題をどのように検討したか、公開に向け掲げたポリシーと具体的な作業内容を報告する。</p>
著者
中島 基樹 小倉 昭弘 関口 宗男 和田 浩明
出版者
国士舘大学理工学部
雑誌
国士舘大学理工学部紀要 = TRANSACTIONS OF THE KOKUSHIKAN UNIVERSITY SCHOOL OF SCIENCE AND ENGINEERING (ISSN:18824013)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.77-80, 2017-11-30

This article reports an attempt of a new experimental program of the quantum physics for a basic course in university. Our program does not require advanced knowledges and experimental skills for the students. We investigate a simple way for measurements of correct value of Plank's constant. We also hope our experimental program will be used in the advanced physics course in high school.
著者
松原 仁
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.253, 2021-04-15

人工知能の研究者として,情報の基礎としてすべての人に知っておいてほしいこととして計算量の爆発の怖さを取り上げた.
著者
賈 縉
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会研究発表大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.23-28, 2002

本論文は, Offshoreリソースを利用するプロジェクトのチームビルディング方法を提案した。Offshoreリソースを活用したプロジェクトはコストメリットを享受できる反面, 非言語依存性要素を含むコミュニケーションにおいて非常に高いリスクが発生する。Offshoreエンジニアはお客様と接触する機会が少なく, お客様のニーズに対しての理解不足を生じやすいばかりでなく, プロジェクトチームのワーキングスタイル, 作業内容に対しての理解, 言語などの原因により, 従来のプロジェクトと比べると, 特有の問題を多く抱えている。プロジェクトチームとOffshoreチームのコミュニケーションを図るために, 双方のギャップをハンドリングできる"Liaison(連絡係)"の存在が不可欠である。Liaisonの役割はプロジェクトチームとOffshoreチームの間の情報伝達である。情報はプロジェクトチームがLiaisonに伝える情報とOffshoreチームがLiaisonから貰う情報という二つの部分に分けることができる。両者の差は情報の損失になる。情報損失の量が少なければ少ないほど, Offshoreチームのパフォーマンスは高くなる。分析とモデルプロジェクトの結果, Liaisonは情報伝達だけではなく, オンサイトとOffshoreの開発チームに参加し, できるだけ多くの範囲を担当すべきという結論が得られた。この結論に従って, Liaisonを中心とするLC (Liaison Centered)チーム・ビルディング方法を提案する。