著者
毎日がSonntag
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
巻号頁・発行日
pp.423, 2021-04-01

「知的」アプローチを「血的」かつ「痴的」観点から紹介する屠蘇をコンビニの安酒で済ませたせいか,あるいは「密」を避けるため初詣に行かなかった罰が当たったのかわからないが,新年早々に難題を抱えることとなった。何を血迷ったか,さほど親しくもないLiSA編集長に時候の挨拶メールを送ったのがそもそもの間違いである。昨年末に出版されたばかりの本の批評文を書かされることになった。 麻酔科医なら知らぬ者の無い(もしあなたがその名を知らないとしたら,それはそれでおめでたいことである)稲田英一先生の『麻酔への知的アプローチ』である。初版から30年,第11版を数えるベストセラー,麻酔科医のマストアイテムといえる書物に,今更批評などがいるのだろうか? 著者の薫陶を受けた教授が全国に星の数ほどいるだろうに,場末の一麻酔科医に過ぎない評者に依頼するとは,編集部の思惑が窺われる。それでなくともコロナ感染爆発で気の休まらない時に,北陸の家々に降り積もる雪のような重荷を背負ったわけである。長時間作用型筋弛緩薬を投与して,Macintosh型喉頭鏡を口の中に突っ込んだら Cormack 分類 grade 4 だった時に匹敵する後悔であるが,スガマデクスがあるのが当たり前の環境で育った過保護な麻酔科医には想像もつかないだろう。
著者
津曲 達也 中里 陽子
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学総合教育機構紀要
巻号頁・発行日
no.4, pp.64-75, 2021-03

大学同窓会とは、大学関係者が大学や他関係者との関係を形成し、維持する場である。特に大学の卒業生は、大学同窓会への参加を通して、大学や大学時代の友人との関係を維持し、個人のプライベートを充実させるための情報交換を行っている。こうした場は、時に大学卒業生のビジネスチャンスを生み出すことさえある。こうした背景から、大学同窓会は今や社会的に重要な存在であると認識されている。その一方で、従来の研究では、社会的価値を持つ大学同窓会の特徴を定量的に検討したものはほとんど見当たらない。大学同窓会における参加者間の関係構造や相互作用そのものを定量的に検討することが外部の研究者にとって困難だったからである。本研究は、大学同窓会における参加者間の関係構造(ネットワーク)に着目し、大学同窓会の特徴を定量的に解明することを目的とした。具体的には、大学同窓会誌を活用して、大学同窓会会合における話題提供者を特定し、話題提供者を中心とした参加者間の紐帯の強さを明らかにすることを目的とした。調査対象は、早稲田大学のある特定の学年の同窓会として開催された1957年12月~1967年8月の約10年間の会合(96回)とした。早稲田大学の同窓会は、一般でも入手可能な同窓会誌を発行している。そして本研究で調査対象とした学年の同窓会は、ネットワーク分析を可能とする長期にわたる欠損のほぼないデータを収集することができたものである。分析は、次の手順で行った。まず、同窓会誌に掲載された会合記録の開催日時と参加者情報をもとに、各会合において、全ての参加者間の紐帯の強さを定量的に算出し、紐帯の強さの分布を観察した。次に、会合記録に記載された情報をもとに各会合の話題提供者を特定し、各提供者と他の参加者との紐帯の強さを定量的に算出し、その会合の参加者間の平均的な紐帯の強さと比較した。これらの分析の結果、次の2点が明らかになった。第1に、各会合において、ほとんどの参加者間の紐帯の強さは、弱いものであった。第2に、各会合の話題提供者と他の参加者との紐帯の強さは、各会合における参加者間の平均的な紐帯の強さよりも弱いことが示された。これらの結果は、大学同窓会の会合が全体として弱い紐帯の参加者らで構成されており、特に会合における話題提供者は参加者間の中でも極めて弱い紐帯をもつことを示すものであった。The university alumni association is the venue for people with ties to the university to form and maintain collegiate relationships and address other persons' concerns. In particular, graduates maintain their relationships with the university and friends made there and exchange information to enhance their personal lives by participating in the university alumni association. The association even produces business opportunities for university graduates.Against this background, the university alumni association is now acknowledged as an important societal organization. However, previous academic studies have rarely examined the characteristics of university alumni associations that have social value quantitatively, perhaps because it was difficult for external researchers to examine relationships and interactions between university alumni participants quantitatively.This study was focused on the relationships (network) between university alumni association participants; the aim was to examine the characteristics of university alumni associations quantitatively. Specifically, university alumni association yearbooks were used in this study, and the topic providers for the alumni associations were identified. The aim was to examine the strength of social bonds among participants and topic providers quantitatively.The survey covered 96 alumni association meetings held over a period of about 10 years (December 1957–August 1967) for a particular grade at Waseda University. The Waseda University Alumni Association publishes a publicly available alumni yearbook. The alumni associations for the grade surveyed in this study were the ones for which we were able to collect long-term, non-deficient data that allowed us to conduct a network analysis.The analysis was carried out according to the following procedure. First, the strength of the quantitative ties between participants at each meeting was calculated based on the date and time of the meeting and participant information in the meeting records published in the alumni magazine. Next, the topic providers for each meeting were identified based on the information provided in the meeting records, and the strength of the ties between each provider and the other participants was calculated quantitatively.The results of these analyses revealed the following. First, the strength of the ties between participants at each meeting of the Waseda University Alumni Association was mostly weak. Second, the strength of the ties between the topic provider and other participants at each meeting was weaker than the ties between the other participants.These results indicate that the university alumni association meetings as a whole were attended by participants with weak ties, and the topic presenters at the meetings had very weak ties with the participants.
著者
福田 由美子 Yumiko Fukuda
雑誌
人文論究 (ISSN:02866773)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.215-227, 2011-05-20
著者
加藤 久子
出版者
関東学院大学経済学部・経営学部教養学会
雑誌
自然・人間・社会 (ISSN:0918807X)
巻号頁・発行日
no.69, pp.67-106,

本稿では上に挙げたキーワードのうち、下記の3点について関東学院大学「【経済・経営学部】秋学期オンライン授業の実施方法について(8月31日送付)」に基づき、以下のように定義する。LMS(学習管理システム)manaba:授業資料、授業資料の補足説明、学習方法についての説明、小テスト(またはリアクションペーパー)を掲示し、小テスト(またはリアクションペーパー)を提出させる。オンデマンド型:音声付動画(PPT+音声、授業録画等)をstream、YouTube、Teams等を利用して配信する。双方向型(リアルタイム):Zoom等を利用してライブ配信し、ライブ授業は録画。通信環境の問題でリアルタイムでの受講が難しかった学生用にオンデマンドの配信も授業実施日内に行う。
著者
三浦 真 疋田 輝雄
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.44, pp.83-84, 1992-02-24

並行プログラムにおいては,複数のプロセス(タスク)が,共有変数を通して,あるいはメッセージの交換によって,互いの間の通信と同期を行なう.さらに,各プロセスには優先度(prior-ity)が付与されているとする.(プロセスの優先度は現実的なシステムにおいて重要で,実時間処理の周期的なプログラムにおいては,短い周期のプロセスに高い優先度を与えるという方式を用いることが多い.)この状況のもとで,優先度の高いプロセスが低いプロセスに待たされるという優先度逆転(priority inversion)の現象が起ることが知られている.一例は,優先度の高いプロセスAが,低いプロセスCからのメッセージを待って停止(suspend)し,Cの優先度が低いため,Aが中間の優先度のプロセスBに追い越されてしまう状況である.これに対処するための方策がいくつか提案されている.ここでは,優先度逆転がどのような状況において起こるかを解析する.さらに,新しい対策法を提案する.(なお,優先度を整数で表わすものとし,値の大きいほど優先度が高いとする.)一般に,メッセージ交換方式のうちでも,いくつか種類がある.第一に,同期(synchronous)と非同期(asynchronous)の区別があり,受付けプロセスのキューには,同期方式の場合は呼出しプロセスが,非同期方式の場合はメッセージがはいる.さらに細かい区別として,キューが,あるかないか,その長さが1か限定長か不定長かがある.現在のAda(1983年規格)は同期方式で,キューは不定長である.優先度逆転の起る状況はこれらの通信・同期の方式によって異なる.ここでは単一プロセッサ・システムの下で考える.なお,プロセスの優先度と,プロセスのスケジューリングという二つの概念は,互いに独立したものである.ここではスケジューリングはもっとも単純なもので,その時点で実行可能な,待ち状熊(blocked)のプロセスの中の,最も優先度の高いものから一つ選んで実行するというものとする.プロセスの優先度に関する議論は並行処理一般に関わり,言語からは独立である.しかしこの話はこれまで主として,現在進行中のAdaの言語改定にからんで議論されている.我々は種々のインプリメントや実験をCおよびAdaの上で行なっている.現在のAdaでは,プロセスの優先度は,静的にプラグマによって与える.Ada 9xでは,スケジューリングの方針をユーザが選択できるエうにすること,優先度を実行時に変えられるようにすることなどが検討されている.
著者
井田 志乃 山中 敏正
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.60, 2013

本研究では、製品開発のデザインプロセスにおけるデザイナーの役割や必要とされる能力を探るために、実際のデザインプロセスからデザインプロセスタスクを抽出しその特徴を分析した。これまでの研究では、製品ごとにデザインプロセスを分断してデザインプロセスタスクを抽出し特徴を導出していたが、今回はタスク特徴をより明確に比較するために3種類の製品のデザインプロセスタスクを一括して分析した。デザインプロセスを分断して分析した場合と同様に2分法及び数量化理論3類・クラスター分析を用いて分析した結果、プロダクトデザインとGUI系デザインのデザインタスクでは情報収集・分析カテゴリのタスクにおいて特徴的な違いが導出された。
著者
川端 邦明 石山 博紀 白崎 令人 大野 貴裕 羽成 敏秀 谷藤 祐太
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.1P2-L01, 2018

<p>This paper describes the development of a prototype of a test field for accessing the primary containment vessel (PCV) in the reactor building of Fukushima Daiichi Nuclear Power Stations (FDNPS). A possible access route to the inside of PCV includes CRD (Control Rod Drive) rail part for maintenance and exchange of CRD. In the practical tasks at reactor building Unit 2, remotely operated robots passed thorough there for the tasks. We designed test field that is a simplified CRD rail part with insertion section for the robot and constructed a prototype. In this paper, we described the design and the characteristics of developed prototype in detail.</p>
著者
杉井 俊也 後藤 厚宏
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.491-492, 2018-03-13

マルウェアの感染は継続的な脅威である今、企業に侵入したマルウェアを早期に検出することは重要である。本研究では、システム管理の観点から、エンドポイントコンピュータを管理することで複数の管理対象エンドポイントコンピュータの変更履歴から異常値を検出するベースライン検知法によるマルウェア検知を検討する。ソフトウェア、レジストリ、プロセス、タスク、ディレクトリなどの情報から正常を定義して異常を検知する。また、低コストで実装が容易な操作を目指す。
著者
太田 勝巳 森下 進也 須田 浩平 小林 伸雄 細木 高志
出版者
園藝學會
雑誌
園藝學會雜誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.66-68, 2004-01-15
参考文献数
10
被引用文献数
1 34

8種の花卉(トレニア,エキザカム,ベゴニア,グロキシニア,ロベリア,ミムラス,カルセオラリアおよびカンパニュラ)において1.0%キトサンの土壌混和処理および水溶性無機肥料(1.0%キトサンと同量の窒素量となるよう施用)の施与を行い,栽培試験により成長量と開花について調査した.その結果,定植時(種により播種6週間後から13週間後)において,いずれの花卉においても1.0%キトサン土壌混和処理は対照区(肥料,キトサンとも無施与)および無機肥料区に比べて有意に高い成長量を示した.また,1番花開花日については,トレニア,エキザカム,ベゴニア,グロキシニア,ロベリアおよびミムラスにおいて,1.0%キトサン土壌混和処理は他の処理区に比べ,1番花の開花が有意に促進されたことが認められたが,カルセオラリアおよびカンパニュラにおいては促進効果はみられなかった.これはキトサンによるエリシター効果,土壌中微生物相の変化あるいは有機物として直接植物に吸収利用されることによると推察される.
著者
岡崎 康浩
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.1133-1138, 2006

本論は, アヴィータ論のシャスティタントラからウッドヨータカラにいたる展開を因の三相の観点から論じ, ウッドヨータカラのこの論に対する貢献を明らかにしようとしたものである. シャスティタントラのアヴィータ論は, 夙にフラウワルナーによって再構成されたが, 彼の再構成は, その論証式, 論証形式という点でいくつか不足している点がある. その不足部分を補って再考した場合, アヴィータの論証は五肢作法の理由・例示・適用・結論に残余法を加えたような論証形態になっており, これを後の三相説から見ると残余法の部分が余計であるように思われる. ディグナーガは残余法を除き三肢作法の理由が帰謬形式になっているものをアヴィータとして提示したが, 因の第1相と抵触するとした. これに対し, ウッドヨータカラは否定的属性も主題の属性になりうることを主張し帰謬的性格を保持したまま因の三相説の枠組みに組み入れたのである.
著者
藤生 和也
出版者
公益社団法人 日本下水道協会
雑誌
下水道協会誌 (ISSN:00214639)
巻号頁・発行日
vol.54, no.658, pp.126-133, 2017

<p>日本の下水道整備は漸く高普及段階に到達し,劣化データも蓄積されつつある.本研究はテレビカメラ調査結果の大規模データベースを統計解析し,コンクリート下水管について布設工事直後の劣化保有率を統計的かつ定量的に推定する.解析の結果,劣化保有率及び95%信頼区間は,6種劣化 (破損,クラック,腐食,たわみ,継手ズレ及び浸入水) について約66%±12%,破損について約18%±10%,クラックについて約34%±11%と推定される.</p>