著者
岡崎 敦
出版者
九州大学附属図書館
雑誌
九州大学附属図書館研究開発室年報 (ISSN:18813542)
巻号頁・発行日
no.2018, pp.1-7, 2019-07

地方自治体における公文書管理をテーマに,産官学連携のもと開催したイベントについて,企画の経緯と趣旨,基調講演の要旨,ワークショップの紹介,最後に,参加者のアンケートの分析結果をまとめたもの.公文書管理について,現場の職員,文書管理専門機関の双方において,あらたな発想による積極的な対応が求められている.一方では,組織のミッションの再検討と連動した職務や組織の見直しをはじめとする適性で合理的な組織運営の確保,他方では,情報公開にもとづく住民参加の行政や,ローカルな資料,情報資源のグローバルな価値付けや利活用などの課題がつきつけられている.民主主義社会の基礎細胞の一つを構成する地方自治体という場においても,公文書管理は,多様なアクターの参加を得ながら,適正かつ現実的な実践を展開することが求められているが、そこでは,「総合職的な」情報管理専門職,専門機関が重要な役割を果たすべきであり,組織と市民社会の信頼を勝ち取る必要がある.
著者
田中 恵一
出版者
広島大学文書館
雑誌
広島大学文書館紀要 (ISSN:1880263X)
巻号頁・発行日
no.19, pp.32-52, 2017-02

本稿は、 平成二八年度広島大学公文書管理研修 (基礎編) における講義の記録です。本研修は、 公文書等の管理に関する法律第三二条及び広島大学法人文書管理規則第二六条の規程に基づき、適切な法人文書の管理体制の強化を図るために開催するもので、平成二八年七月二六日に広島大学中央図書館ライブラリーホールを会場に四六名の職員の方に受講いただきました。
著者
日和 悟 廣安 知之
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

Well-beingを促進するためには、自身のwell-beingの状態を認識することが重要である。 そのためには、well-beingを定量化し、視覚化する必要がある。本研究では、心理的well-beingの定量化に焦点を当て、fMRIやfNIRSなどの脳機能イメージング技術に基づいてこれを実現することを検討する。本稿では、特定の認知状態にある際の脳活動パターン(メタ状態)を抽出する方法を提案する。メタ状態は脳機能ネットワークとしてモデル化され、進化的計算によりその特徴的な構造が決定される。 提案手法の有効性を確認するため、心理的well-beingを改善するとされる瞑想を行っている際のfMRIデータに本手法を適用した。 実験結果から、提案方法により決定された瞑想のメタ状態に対して、被験者の実際の脳活動状態との類似度を計算することで、被験者がどの程度瞑想できているかを定量化できる可能性が明らかになった。この結果は、提案手法がwell-beingの定量化に貢献できることを示唆した。
著者
松原 朝子 松元 文子 桜井 芳人
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.368-375, 1972

1. 小麦粉をデンプン部, グルテン部および水溶性部に3区分し, 各区分の単一あるいは混合物を, オリーブ油を揚げ油として, てんぷらの衣を調製し, その香気を官能検査によって比較した。その結果 (デンプン+グルテン+水溶性) 部を衣とした場合, 最もてんぷら様の好ましい香気が形成された。<BR>2. てんぷら様香気形成には (グルテン+水溶性) 部が重要な要因となっている。<BR>3. 水溶性部として, アミノ酸を検討した結果, レアスパラギン酸およびレグルタミン酸など, 酸性アミノ酸がてんぷら様香気形成に重要である。<BR>4. 水溶性部として, (酸性アミノ酸+リジン) を添加して調製した衣が, 現段階までのところでは, 最もてんぷら様の好ましい香気を生じた。<BR>5. 揚げ油として, トリオレインを用いた場合の衣の香気は, てんぷら様香気とは著しく異なっていた。<BR>6. トリオレインにメチルリルイトを添加して揚げ油とした場合には, オリーブ油を用いた場合と嗜好的有意差のない好ましい香気のてんぷらの衣が形成された。<BR>7. トリオレインに冷ケン化物あるいはフィトステリンを添加した場合には, 6.に述べたような好ましい香気は形成されなかった。
著者
畦 浩二 前川 太佑
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 総合教育科学 = Memoirs of Osaka Kyoiku University (ISSN:24329630)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.75-85, 2020-02

本研究は,日本中に広く分布し苔類の代表例として教科書によく取り上げられるゼニゴケの繁殖季節を明らかにすると同時に,中学校理科で活用できる発展的学習教材を開発することを目的とした。大阪府八尾市内の農業用水路で13ヵ月間定期採集を行い,配偶子のうの成長から胞子散布に至るまでの過程および胞子と無性芽から若い葉状体に成長するまでの過程を調査した。その成果は,以下のようにまとめられる。1)受精は3月と9月頃に開始される可能性が高い。2)胞子は年2回,4~5月頃と10~11月頃に散布されるが,同じ葉状体が2回連続して胞子体を形成しない。3)胞子と無性芽の発芽率はともに高いが,葉状体までの成長に要する期間は無性芽の方が比較的短い。4)ゼニゴケの一生を理解するための発展的学習教材として,図版「ゼニゴケの生活環」を開発した。
著者
三浦 加代子 坂本 薫 中谷 梢 作田 はるみ 橘 ゆかり 岩城 啓子 升井 洋至 森井 沙衣子 川西 正子 堀内 美和 片平 理子 白杉(片岡) 直子 井奥 加奈 横溝 佐衣子 岸田 恵津
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.44-52, 2020-02-05 (Released:2020-02-14)
参考文献数
21
被引用文献数
1

小学校家庭科での炊飯学習のあり方を検討することを目的に,近畿および関東の公立小学校の家庭科担当教員を対象に,教育現場での炊飯実習の実態を調査した。平成25年に近畿630校,平成26年に関東700校を無作為に抽出し,炊飯実習に関する調査票を郵送した。近畿306校,関東234校より回答が得られた。炊飯実習は約97%が5年生を対象に実施されていた。90%以上が鍋を用い,材質はガラスが85%を占めていた。炊飯実習の米の量,洗米,水加減,浸水時間,加熱の仕方などの指導は教科書の方法に従って行われていた。教員が実習で困っていることは,「火加減の調節の指導」,「焦げること」が多くあげられた。教員は,児童が自分でご飯が炊けた達成感を感じ,ご飯が炊けるまでの変化に興味をもっていたととらえていた。教員は炊飯実習を有意義な実習であると考えていた。「火加減の調節の指導」や「加熱時間の調整の指導」,「焦げることへの対応」は今後の検討課題である。