著者
五十畑 弘 鈴木 淳司 上野 淳人 尾栢 茂
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D2(土木史) (ISSN:21856532)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.96-106, 2012 (Released:2012-09-20)
参考文献数
18

旧江ヶ崎跨線橋200ftトラス(常磐線隅田川橋梁)は,錬鉄から鋼に切り替わった比較的初期の鋼橋である.鉄道橋から道路橋に転用され,もう一度道路橋に再生される過程で,鋼材性能等の調査がされた.イングランドのハンディサイドで製作され輸入されたことは,すでに知られていたが,再生加工中に,部材表面の陽刻から,鋼材はスコットランドの製鉄会社からのものであることが確認された. 本論文では,部材再利用を通じて得られた知見や,新たに入手した19世紀後半における錬鉄,鋼材,製作工場等に関する文献によって,錬鉄から鋼へ切り替えが進められた時期における初期の鋼橋技術について考察を行った.この結果,錬鉄から鋼へ切り替わる時期における構造材としての鋼に対する当時の認識や,切り替えにおける技術的判断の過程が明らかとなった.
著者
沢木 佳弘 成瀬 文和 上田 実 藤内 祝 水谷 英樹 金田 敏郎
出版者
特定非営利活動法人 日本口腔科学会
雑誌
日本口腔科学会雑誌 (ISSN:00290297)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.557-566, 1990-07-10 (Released:2011-09-07)
参考文献数
26
被引用文献数
3

The purpose of this study is to investigate the features of maxillofacial bone fractures due to sports accidents, because few detailed cases in the literature could be found.Sixty patients hospitalized for treatment in the department of oral surgery, Nagoya University Hospital in the period 1967-1988, were analysed.The incidence of this group among all facial bone fractures was 14.7 %, and sex ratio ofonset was 14: 1 with male predominance. By age distribution, the highest occurence was in the 20-29 age group. The incidences of soft tissue traumas complicated with fractures and multiple fractures by sports accidents were less than by other causes.In conclusion it appears that sports-related maxillofacial fractures are less serious than the injuries due to other causes.For prevention of sports injuries it is necessary to investigate the individual factors of every fractures and the concept of “Sports Dentistry” must be established.
著者
小野 展克 オノ ノブカツ Nobukatsu Ono
雑誌
嘉悦大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.1-13, 2013-03-20

" 日本航空(JAL)は2010年1月に会社更生法を申請、経営破綻した。しかし、政府系の企業再生支援機構が3500億円を出資、政府系の金融機関である日本政策投資銀行などが6,000億円の融資を実行する体制を整えることで、収益力が急回復、破綻から2年8か月後の2012年9月には再上場を果たした。破綻からの復活劇の背景には、会社更生法の活用で、債務の大幅なカットや人員整理などを実現したことがある。会社更生法という武器がなければ一気に大型機材を償却することは難しかったし、地元自治体などとのしがらみの多い不採算路線の整理、これまで労使交渉の難題だったパイロットの給与カットにも乗り出せなかったであろう。一方で、政府系の企業再生支援機構からの手厚い資本支援で、新型の機材の購入なども可能になった。政府支援が鮮明だったこともあり、大きな顧客離れも起きず、業績は順調に回復した。 筆者は今回のJALの再生は二つの課題を残したことを指摘したい。 一つ目は、健全な競争環境を歪めた点である。日本国内の競争はJALと全日本空輸(ANA)という大手2社を中心に繰り広げられている。一方のJALだけが、会社更生法で債務をカット、政府による公的資金が注入され業績が急回復したのでは、公正な競争環境が維持されているとは言い難い。二つ目は、国際競争力の問題である。羽田空港や成田空港の発着枠の拡大で、日本発着の国際線の競争環境は激変している。絞り込んだサービスで格安運賃を提供するLCCの市場への参入が本格化する上、欧米、アジアの大手航空会社の参入も拡大する。政府支援によって敗者を復活させ、これまでの国内業界秩序を維持したことが、国際競争力の劣化を招く可能性が高い点も問題だと考える。"
著者
Hongda Guo Qing Liu Jianyu Xu Guoxing Sun
出版者
Japan Concrete Institute
雑誌
Journal of Advanced Concrete Technology (ISSN:13473913)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.240-247, 2021-03-20 (Released:2021-03-20)
参考文献数
35
被引用文献数
4

High-strength and lightweight are two of the most important parameters for composites in the construction field. Here, we developed a novel foam concrete structure with sandwich porous structure by using in-situ polymerized polyacrylamide and ultra-stable foam, which can obtain higher mechanical strength in comparison to the normal porous concrete with the same density. The ratio of stiffness to weight was maximized to achieve the optimal sandwich porous structure size. The SEM images showed that the interface bond between the foam concrete and the polymer modified cement paste was tight and robust. The flexural strength of the novel structure was 65.6% higher than that of the foamed concrete at the same density. The series model was established to calculate the composite thermal conductivity of the novel foam concrete structure, indicating that the heat insulation was slightly improved compared with the normal foam concrete. Moreover, water resistance displayed a slight increase by constructing this sandwich porous structure. Hopefully, the novel composite with sandwich porous structure can put a new way for designing the lightweight and high strength insulation thermal structure.
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.753, pp.64-69, 2003-09-15

中小の設計事務所では、大手よりも比較的容易に組織形態や給与条件を変更できる。しかし、経営が苦しいからといって安易に人員削減や給与カットを進めれば、事務所の活力はすぐに失われる。人材不足や若手の教育は切実な問題となりつつあり、組織の将来を見据えた対策が求められている。 「設計業務には肉体労働の側面もある。

1 0 0 0 OA 広報うらやす

著者
市長公室広聴広報課
出版者
浦安市
巻号頁・発行日
no.(841), 2007-08-01
著者
庄野 千鶴 川口 雅正 鈴木 宣弘
出版者
九州大学大学院農学研究院
雑誌
九州大学大学院農学研究院学芸雑誌 (ISSN:13470159)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.259-296, 2001-02

以上のように品目ごとに述べた輸出補助金の影響を要約すると以下のとおりである. 1)輸出補助金の増額は, 当該国(輸出補助金を導入した国)において生産量増加, 輸出量増加, 国内価格の上昇をもたらす. 一方, 大半の非当該国においては, 国内価格の低下を招き, 特に非当該国が輸出国の場合はその輸出が抑制され, 当該国近隣の市場へは参入しづらくなる. また当該国近隣の輸入国においては輸入が促進され, これまでの輸入先が当該国へとってかわる可能性がある. 当然のことながら, 輸出補助金政策は, 当該国の輸出を促進させるためのものであるが, 他の輸出国や輸入国に大きな影響を与えることは言うまでもない. なお, 輸出補助金減額の場合は, 上述の傾向と逆の傾向が示される. 2)輸出補助金の増額によって, 当該国では正味の輸出量の増加を招くと同時に, 国内価格の上昇のため輸入量も増加する. したがって, 当該国では生産量は増加するものの, その内訳は輸出向け生産が拡大し, 国内向けの生産が減少する傾向を示す. 3) しかしながら, 現実にはEUの場合, 生乳クォータ制度が併用されており, 無限に輸出を増やすことは不可能である. 輸出補助金を増加する場合, 生乳クォータ制度が併用されていなければ, EUほ再び財政逼迫に直面する. 4)逆に輸出補助金撤廃の方向へ進めば, 生乳クォータ制度も同時に廃止しなければ, 生産者は, 激化する国際競争に太刀打ちできないというジレンマに直面する. 5)本稿では1国のみが輸出補助金を導入する場合を想定し, シミュレーション分析を行った. そのことによって, 上述のとおり輸出補助金の影響を明確に抽出することができた. 現実には輸出補助金制度はオーストラリアや米国も導入しているが, 輸出補助金の影響はどの国においても本シミュレーションの場合と同様であると考えられる. EUやカナダに対する輸出補助金批判が続いているが, オーストラリアや米国も含めて輸出補助金の削減はすべての国が一斉にしなければ意味がない. そうでなければ, 輸出補助金制度を温 存している国だけが有利となり, 到底公正な国際競争は成立し難い.
著者
清尾 康志
出版者
東京工業大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2017-04-01

生体分子の多くはリンを含み、何故リンが生命の必須元素になったのかを理解することは生命起源を知る上で重要である。冥王代の地球ではリンはシュライバーサイト[Fe3P]として存在していた。Fe3Pは水と反応し様々な還元的リン化学種を生成する。また、リボヌクレオチドと反応し、2', 3'-AMPも生成する。本研究では、冥王代のFe3Pの役割をさらに解明するためにFe3PやFe3P由来リン化学種と様々な生体分子との反応を調べた。特に、アミノ酸、糖、グリセルアルデヒド等との反応生成物を解析し、これら生成物から複雑な生命分子や代謝反応が誕生した可能性を明らかにするための実験を行った。その結果、シュライバーサイトから生成するピロ亜リン酸(H4PO5)はpH9程度の弱アルカリ性の条件下、セリン、チロシン、トレオニンなどのアミノ酸の側鎖に存在する水酸基、リボース、グリセルアルデヒドなどの炭水化物の水酸基と反応し、対応する亜リン酸モノエステルを与えることを31P-NMRにより明らかにした。また、生成した亜リン酸エステルが酸化されてリン酸エステルに変換される可能性を検証するために、種々の酸化反応を検討したところ、ペルオキソ二硫酸カリウムなどの酸化剤やパラジウムなどの金属触媒の存在下、亜リン酸モノエステルからリン酸エステルが生成することを明らかにした。以上の結果より、冥王代において比較的穏和な条件下、シュライバーサイト由来リン化学により、様々な生体分子の亜リン酸モノエステルやリン酸エステルが生成する可能性が示された。