著者
小林 泰輔
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.121, no.6, pp.771-776, 2018-06-20 (Released:2018-07-05)
参考文献数
18

唾液腺には腫瘍性疾患以外にも, 炎症性疾患や嚢胞性疾患が発症する. その代表例が唾石症とガマ腫である. これらは古典的疾患であるが, 近年, その治療法は医療機器や薬剤の進歩により変化してきた. 唾液腺管内視鏡は1990年代にヨーロッパを中心に開発され, 2009年にはじめて日本でも導入された. 唾液腺管内視鏡による唾石摘出術は低侵襲で唾液腺の機能温存を可能にする. 手術適応は, 主に術前の computed tomography(CT) で唾石の位置, 大きさと形状を評価して決める. 顎下腺唾石症では直径5mm以下のものは内視鏡により摘出できる可能性が高いが, 部位や形状により口内法を併用して摘出する必要がある. 腺内結石は唾液腺摘出術の適応である. 唾液腺管内視鏡の操作には learning curve が大きいため, 容易な症例から手術に取り組み徐々にステップアップしていくのが良い. ガマ腫, 中でも顎下型ガマ腫は治療開始前にリンパ管腫や類皮嚢胞との鑑別を確実に行い, 治療方針を決定することが重要である. 近年行われるようになった, OK-432 によるガマ腫の硬化治療は治療の第1選択である. 再発を繰り返す症例に対しては根治的治療である舌下腺摘出術を行う.
著者
倉田 繁雄
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.188-191, 2005-06-20 (Released:2018-08-25)
被引用文献数
1

「滑らかな運動や安定した姿勢を再獲得する。」このことは理学療法を実施する重要な目的の一つである。関節可動域制限(以下ROM制限)は, この目的を達成する過程において強力な阻害因子となっている。本稿では整形外科領域での理学療法経験から得たROM制限治療に対する私見を述べる。ROM制限の諸因子 ROM制限因子を「固さ」と「痛み」に大別する。前者を「ROM制限の直接的因子」(以下直接的因子), 後者を「ROM制限の間接的因子」(以下間接的因子)と呼ぶ(図1)。1. 直接的因子(固さ) 直接的因子をさらに「骨性因子」「関節構成体性因子」「筋性因子」「関節周囲軟部組織性因子」に分ける。1)骨性因子 (1)骨の変形 骨同士のぶつかりによるROM制限を指す。(2)副運動の消失 正常関節運動には必ず副運動(accessory movement)を伴う。例えば, 足関節背屈運動ではその最終域で「腓骨〜脛骨間が広がる」という副運動を伴う。この副運動が内固定により消失した場合, この固定が解除されない限り正常な背屈運動は出現しない。(3)異所性仮骨 例えば, 筋性仮骨が出現するとその筋の伸展性が極端に制限される。そのため当該筋が伸長される関節運動は制限を受ける。
著者
須藤 明治 山田 健二 山村 俊樹 鴫原 孝亮 羽毛田 高聖
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.241_2, 2019

<p> 一般的に、握力の評価は、静的最大筋力であり、筋肉の力をみる代表値として用いられている。そして、近年、握力が強い人は、積極的に身体を動かす習慣を持っていることが予想され、より多く筋力を使い、脳への刺激も活発であり、それが心肺機能や循環器機能を高め、認知症や梗塞などの発症リスクを低くしているのだと言われている。また、手の運動が脳の活性化や健康に役立つことも知られている。そこで、本研究では、直径40mmの筒状の棒長さ35cm(A-bou) とし、ほぼmaxで握りしめてから、ひねる動作を繰り返した時の筋活動を測定した。その結果、握力52.1kgの時を100%MVCとして、A-bouを握ったときの筋活動は、腕橈骨筋104.7、尺側手根屈筋110.0、上腕二頭筋15.6、上腕三頭筋2.0、三角筋5.6、僧帽筋1.8、大胸筋19.4、脊柱起立筋33.9であった。そして、ひねり動作時は、腕橈骨筋71.1、尺側手根屈筋19.8、上腕二頭筋3.4、上腕三頭筋1.3、三角筋7.9、僧帽筋4.6、大胸筋20.9、脊柱起立筋32.1であった。また、血流値は2.4倍となった。このように、筋出力を調整することにより、血管への刺激が連続的に行われ、血管自体の柔軟性が高まるのではないかと推察された。</p>
著者
北川原 香 横林 敏夫 清水 武 五島 秀樹
出版者
特定非営利活動法人 日本口腔科学会
雑誌
日本口腔科学会雑誌 (ISSN:00290297)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.44-50, 2003-03-10 (Released:2011-01-31)
参考文献数
32
被引用文献数
10

Fourteen patients with subcutaneous emphysema treated in our department during 17 years were clinically studied. All but one were referred to us by other dentists because of complications. They con sistedof five male and nine female patients. Their ages ranged from 16 to 67 years and 62% of them were in their thirties. The emphysema resulted during sectioning of the mandibular third molar by using an air-turbine handpiece in four patients and from extraction of other teeth in four patients. The use of compressed air during dental procedures was the cause in four patients and the complication was associated with endodontic treatment and implanta tionof a dental implant in the other two patients. A diffuse swelling involving the eyelid, cheek, mandibu larregion and neck accompanied by crepitation on palpation of the swollen area was noted in all patients.Difficulty in opening the eyelid, headache, nausea and mediastinal emphysema were found in four, one, one and one patients, respectively. Antibiotics were given to all patients to prevent infection. Except four one patient with prolonged swelling due to pericoronitis and another patient without adequate information, the swelling with subcutaneous crepitus tended to subside within a week and secondary complications were encountered in no patients.
著者
松本 宏司
出版者
成城大学
雑誌
成城国文学 (ISSN:09110941)
巻号頁・発行日
no.10, pp.18-27, 1994-03
著者
竹井 友理 山本 瀬奈 師岡 友紀 南口 陽子 畠山 明子 辰巳 有紀子 荒尾 晴惠
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.35-43, 2021 (Released:2021-02-09)
参考文献数
23

【目的】本研究の目的は,がん患者の緩和ケア開始時期の認識と関連要因を明らかにすることである.【方法】がん診療連携拠点病院に入院・通院中のがん患者を対象に無記名自記式質問紙調査を行った.個人属性,がん・治療状況,緩和ケア開始時期の認識,緩和ケアの認知や提供状況を調査し,ロジスティック回帰分析を行った.【結果】3,622名のうち1,981名(54.7%)の回答を得た.1,187名(59.9%)が早期から,414名(20.9%)が終末期からの緩和ケアの認識であった.症状への対応あり(vs.該当なし,OR=0.56),再発・転移あり(vs.なし,OR=1.44),40代以下(vs.70代以上,OR=1.67)は終末期からの緩和ケアの認識と有意に関係した.【考察】症状への対応が必要となる前から緩和ケアの普及啓発を行うことが早期からの緩和ケアの認識を促進する可能性がある.
著者
的場 康徳 村田 久行 森田 達也 宮下 光令
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.45-54, 2021 (Released:2021-02-16)
参考文献数
27

【目的】スピリチュアルケア(SPC)の実践力の習得を目的とした研修の医師での効果を測る.【方法】自記式質問法により,教育介入前,直後,3カ月後,6カ月後に測定.【結果】医師30名が研修を修了.すべての主要評価項目が有意に改善し,その効果は介入6カ月間持続(すべてP=0.0001).スピリチュアルペイン(SPP)を訴える患者とのコミュニケーションの自信が高まり(6カ月後の効果量(Effect Size=1.3),SPCの実践の自己評価が高まり(ES=1.2),SPPを訴えられたときの無力感が軽減し(ES=0.8),SPCの経験を肯定的に捉えるようになり(ES=0.8),SPPを訴える患者にすすんで関わりたいと思うようになった(ES=0.4).96〜100%の医師が,SPCの概念理解と実際にSPCの方法を知ることについて本研修が「とても役に立った」または「役に立った」と評価した.
著者
山田 太造 井上 聡
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:21888957)
巻号頁・発行日
vol.2016-CH-109, no.2, pp.1-4, 2016-01-23

東京大学史料編纂所では前近代日本史・史料学研究に関わる 30 もの DB を公開している.これらの DB の多くは人物に関わるデータを含んでおり,史料テキスト内に出現した人名・その人物の別称・官位,肖像・写真,花押,さらに人名辞典などがあり,多様である.本研究では,人物に関わる多様なデータを収集・蓄積するために構築している 「人名リポジトリ」 について紹介する.
著者
高見 奈津子 前平 奈加 石井 照子 宗形 成子 二瓶 忠臣 小室 英生 奥山 高司 関和 良太 江口 紘也 推名 翔太 大森 圭貢
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】介護予防通所リハビリテーション(以下通所リハ)は介護予防,特に三次予防の役割を有する。高齢化が進み2010年,N市の高齢化率は23%となる中,当通所リハもこの役割を担ってきた。当通所リハでは①心身機能と生活状況聴取,②身体機能練習として四肢体幹筋力練習,バランス練習,起居移動動作練習を行っている。本研究の目的は,1.利用者の身体機能検査平均値と健常高齢者平均値との比較,2.転倒カットオフ値との比較,3.初回最終検査値の変化,これらより通所リハの効果を明らかにする事である。</p><p></p><p></p><p></p><p></p><p>【方法】対象は,当通所リハ開始1か月以内に初回検査,その後平成26年4月から平成28年4月の間に最終検査を実施した75歳以上の要支援認定者(以下要支援者)17名(男性4名,女性13名)。年齢は初回最終検査の順に81.5±5.1歳と84.8±4.1歳。初回最終検査までの期間は平均37カ月±25カ月で最短7カ月,最長82カ月。通所頻度は週1から2回。検査項目は握力,5m最大歩行速度(以下歩行速度),ファンクショナルリーチテスト(以下FRT),timed up and goテスト(以下TUG)の結果を後方視した。先行研究に75歳以上要支援者の身体機能報告は少なかったため平均値を健常高齢者平均値と比較し,平均値を超えた割合を算出した。また対応のあるt検定を用い初回最終検査で各項目の違いを分析した。FRTとTUGは先行研究から転倒リスクのカットオフ値15.3cm以下と13.5秒以上に相当しない割合を算出した。次に検査項目毎に初回最終で維持向上した割合を算出した。更に各項目の初回最終の変化率を算出し介入期間との相関より関与期間の影響をみた。</p><p></p><p></p><p></p><p></p><p>【結果】初回最終検査の平均値は,握力は20.0±7.2kg,19.5±6.9kg,歩行速度は0.73m/秒,0.86m/秒,FRTは18.6±7.2cm,20.2±6.9cm,TUGは17.9±10.8秒,18.0±9.0秒であった。t検定ではいずれの項目も有意差はなかった。健常者の平均値を超えた割合は,初回最終検査の順に握力は59%と71%,歩行速度は29%と18%,FRTは12%と24%,TUGは0%と0%であった。転倒リスクとの比較では初回最終検査の順にFRTが64.7%と71%,TUGが41.2%と34.4%であった。初回最終検査の間で維持向上した割合は握力52.9%,歩行速度58.8%,FRT64.7%,TUGは58.8%であった。また関与期間と初回最終変化率は5m最大歩行速度以外では相関がなかった。</p><p></p><p></p><p></p><p></p><p>【結論】身体機能は加齢に伴う有意な低下がなく,半数以上の身体機能が維持向上できていると考えられた。また健常高齢者との比較でもTUGを除くいずれの項目も平均値を超えた割合は増加しており通所リハによる効果があったと考えられた。関与期間にはややばらつきがみられたが歩行速度以外は相関がなく影響は少なかった。しかしバランス機能が健常高齢者の平均値より低い傾向にある事,初回最終で維持改善しない者が存在する事より今後はその者に対する関わり方を検討することで更なる効果が期待できると考えられた。</p>