著者
鮎川 潤
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.20-32, 2005

2000年,国会で議員立法によって改正少年法が成立した.本稿はこの少年法改正について,いかなる根拠に基づいてどのような成果が唱えられて改正にいたったのか,エビデンス・ベイスト・ポリシー(エビデンス・ベイスト・プラクティス)との関連から考察する.次に,改正後の変化に関し,「移送」を取り上げ,エビデンス・ベイスト・ポリシーを生かしうる調査の提言を行う.最後に,2005年に国会へ提出された少年法改正案について,どのようなエビデンスに支えられているのかについて焦点を絞った検討を加えるものである.
著者
形浦 昭克
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.2564-2566, 1989-12-10

癌性疼痛緩和に対する薬物療法としてのブロンプトンカクテル(Brompton Coctail,BC)は,イギリスにおける胸部疾患病院で開胸手術後の鎮痛剤として使用されたのに始まる.その代表的処方例は,塩酸モルヒネ10mg,塩酸コカイン5mg,ワイン1mlおよび単シロップ2mlと,全量10mlである里このブロンプトンカクテルの療法から精神興奮状態が出現することから,塩酸コカインを除き,筆者らの施設においても塩酸モルヒネカクテルとして,1983年以来,使用してきた.
著者
石本 光則
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.226-235, 2016-12-31 (Released:2017-02-10)
参考文献数
42

炎症の障害性刺激因子は物理的作用,科学的作用,病原微生物の作用に大別される. 一般的にインプラント周囲炎とは病原微生物の作用による炎症であり,対処法として汚染されたインプラント表面の除染にフォーカスが当てられているのが現状であろう.しかし,感染したからその部位のインプラント表面をレーザー照射,β-TCPの粉末の噴射,各種回転切削器具による機械的清掃等で除染するという短絡的な考えではインプラント周囲炎の問題は解決されないであろう. 筆者は何故その部位がインプラント周囲炎に罹患したのかが非常に大切であると考えている.そしてインプラント周囲炎は病原微生物の作用に物理的作用が深く関わっていることに気付いてくる.顎口腔系の力の歪が集中している部位が結果的に感染性のインプラント周囲炎になることが多い.天然歯で認められる感染から力の作用をともない発症する歯周炎とは逆で,力(物理的作用)が主導で後に感染するパターンがインプラント周囲炎には多く存在すると考えている.力の作用による炎症が起こす組織破壊が感染を誘発する可能性がある. 無論,病原微生物の作用に対しての対処は必須であり,局所的な部位のみの対処ではなく,宿主へのアプローチが重要になってくる.口腔内の歯周病菌のコントロールは必須であり,その対処とそして抗菌療法を詳しく解説したい.
著者
松井 徳光
出版者
日本きのこ学会
雑誌
日本きのこ学会誌 (ISSN:13487388)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.169-175, 2016

血栓症やガンなどの疾病は完治させることが難しく,医食同源・予防医学の観点に立ち,毎日の食生活からの発症を防ぐことが望ましいと考えられる.古来から現在に至るまで,清酒,ビール,ワインなどのアルコール飲料は,酵母のアルコール発酵によってつくられている.しかしながら,きのこにアルコール脱水素酵素や乳酸脱水素酵素が存在していることを発見し,アミラーゼ,プロテアーゼ,凝乳酵素の存在も確認した.多くのきのこに線溶活性および抗トロンビン活性が認められ,心筋梗塞や脳血栓などの血栓症予防に効果を示す機能性食品の開発を目指す研究を行った.酵母の代わりにアルコール脱水素酵素を有するきのこを用いてアルコール発酵を行い,機能性を有するワイン,ビール,清酒の生産を試みた.さらに,乳酸脱水素酵素,凝乳酵素,アミラーゼ,プロテアーゼなどが存在するきのこを用いて発酵を行い,新たな機能性を有するチーズ,味噌,発酵大豆,発酵梅,発酵豆乳,発酵肉などを調製した.その結果,これらの発酵食品中には,線溶活性,抗トロンビン活性,抗酸化活性が認められた.
著者
Paul D. Buell
出版者
Scarecrow Press
巻号頁・発行日
2010
著者
石原 成幸 河村 明 高崎 忠勝 天口 英雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.I_291-I_301, 2017 (Released:2018-01-15)
参考文献数
35

渋谷川は東京都管理の二級河川であり,渋谷駅上流部が暗渠化されたことで夙に知られている.渋谷駅周辺では現在,複数の再開発事業が相互かつ緊密に連携しながら進行中であり,これら再開発の一環として渋谷川でも河川敷地占用許可準則の特例占用を活用した親水施設整備など,河川と街づくりが一体となった沿川環境整備が進められている.本論では同駅周辺の再開発を契機として,豊かな環境空間が甦るに至った渋谷川における河川改修と下水道整備計画の変遷のとりまとめを通じ,これまで余り知られていなかった事実関係,また従来注目されてきた河川の下水道幹線化計画とは別次元で河川の覆蓋化計画が検討されたが,開渠のまま残された背景などを新たに明らかにした.さらに今後の都市河川における河川環境の再生方策等についても言及を試みたものである.
著者
磯崎 行雄
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.117, no.1, pp.268-269, 2008-02-25 (Released:2010-02-10)
参考文献数
3
被引用文献数
1 1

Andrija Mohorovičić (1857-1936) is a world-famous Croatian geophysicist and the discoverer of the Earth's crust/mantle boundary known as the Moho-discontinuity. The historical seismometer used by A. Mohorovičić to detect the Moho in 1909 is still maintained in working conditions, and is displayed in the Department of Geophysics of the University of Zagreb, Croatia, together with memorabilia from his office.
著者
西野 知良 本間 浩夫
出版者
The Iron and Steel Institute of Japan
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.859-868, 1970-06-01 (Released:2010-10-12)
参考文献数
66
被引用文献数
2 1

The dependence of the yield stress of mild steel at low temperatures on grain size, strain rate and temperature was studied mainly by compressive deformation test.(1) The following equation relating strain rate (ε), temprature (T) and frictional stress (σt) of Petch equation was obtained;This is applicable when at is in the range of 8.7 to 28.2 kg/mm2. Strain rate exponent n and activation energy E are constant, both being independent on temperature, strain rate or stress. Above this stress level, n becomes larger but E is substantially invariable.(2) According to the study on BCC metals, it can be said that they behave in a similar manner to mild steel. That is, is is in the range of 7 to 9, being constant and specific to BCC metals, and in addition, E is approximately proportional to an energy of μb3, where μ is the shear modulus and b the Burgers vector.(3) The relations between strain rate, grain size and ductile-brittle transition temperature were studied by using the above equation, and the calculated temperatures are generally in accordance with the measured values.
著者
小林 春夫 堀江 聡 高橋 英海 仁子 寿晴
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

イスラームを代表する哲学者イブン・スィーナー(Ibn Sina=Avicenna,1037年没)の思想の全体的解明に向けて、第一に、彼の主著である『治癒の書』(al-Shifa')形而上学部分を様々な刊本・写本に基づいて精読し、邦訳と注釈を作成した。第2に、ギリシア哲学、シリア語圏の思想、中国思想の専門家とともに同書の成立過程を明らかにするとともに、その思想の後世への影響について多面的に解明した。