著者
有薗 正一郎
出版者
The Human Geographical Society of Japan
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.332-353, 1985-08-28 (Released:2009-04-28)
参考文献数
65
被引用文献数
2
著者
田端 雅進 井城 泰一 田村 美帆 渡辺 敦史
出版者
一般社団法人 日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.105, no.3, pp.87-95, 2023-03-01 (Released:2023-03-29)
参考文献数
32

国宝・重要文化財の保存・修復のために日本産漆の増産や安定供給が不可欠である。しかしながら,漆滲出量の多いクローンはほとんど明らかになっていない。本研究ではDNA分析によって茨城県7カ所の分根由来のウルシ林におけるクローン構造を解明し,複数のウルシクローンの漆滲出量を測定した。さらに漆滲出長,成長特性および葉特性と漆滲出量との関連性を調べ,漆滲出量の間接的な評価が可能な指標を探索した。その結果,調査したサイト1~7においてクローンA~Jの10クローンが検出され,検出されたクローンEが全体の約50%を占め,植栽個体に特定クローンの偏りが生じていた。漆滲出量はクローン間で有意な違いがあり,また胸高直径においてもクローン間差が認められ,胸高直径が大きいクローンで漆滲出量が多かった。また,成長・葉特性についてはサイトが異なってもクローンの順位がほとんど変わらず,10年生前後から20年生の個体を対象に漆滲出量の多いクローンを漆滲出長に加えて胸高直径や葉特性から簡易に判別できると考えられた。
著者
澤木 佑介 佐藤 友彦 藤崎 渉 上田 修裕 浅沼 尚 丸山 茂徳
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.128, no.4, pp.549-569, 2019-08-25 (Released:2019-09-20)
参考文献数
61
被引用文献数
4 4

The evolution of eukaryotes is one of the most important issues in the history of life. Paleontological studies discovered the oldest eukaryotic fossil from the Paleoproterozoic Francevillian Group in Gabon. To clarify specific features of ancient sedimentary basins in Gabon, geologic evidence for the Francevillian Group is summarized and a new geotectonic model is proposed. The model gives much weight to the upwelling of mantle plume, which can explain why the Francevillian basin only hosted natural reactors. The Great Oxidation Event in the Paleoproterozoic played an important role in not only the evolution of eukaryotes but also in the formation of natural reactors. Reductive weathering of the continental crust, which was affected by plume-related volcanisms, transported Uranium-rich minerals into sediments of the Francevillian Group without dissolution of Uranium. The subsequent oxidation event enabled uranyl ions to accumulate within an oxic failed rift basin, and settled large quantities of organic matter on the seafloor. Hydrothermal circulation within the Francevillian Group precipitated highly Uranium-rich ores, which became natural reactors at approximately 2.0 Ga, and might have influenced the evolution of eukaryotes in this basin. In a large sense, the degree of oxidation of the ocean-atmosphere system has been linked to the amount of sedimentary rocks. In that way, mantle overturn in 2.7 Ga, which created a large continental crust, was one of the crucial events that affected the evolution of eukaryotes.
著者
小林 愛
出版者
麻布大学
巻号頁・発行日
2017-03-31

人と動物の関係に関する研究は、人と動物の心的つながりや、動物からの恩恵など今日までに様々行われている。特にコンパニオンアニマルからもたらされる恩恵は人と動物の日常的な関係から生じると考えられている。適切な社会化、人との良い経験、身体的接触は人と動物の関係の基礎であり、人と動物の情緒的つながりである絆の形成に寄与する。社会性の高い犬と比較し、猫は単独行動をする動物であることから、人から自由気ままな動物で、人に対して社交性がないという印象を受けている。しかし、近年人と猫の相互作用に関する研究が発展し、猫も人に対する社交性があり、人と直接的に関わりをもつことが明らかとなってきた。例えば、大人は猫に話しかけ猫が近づいてくるのを待つが、子どもは積極的に猫に近づくため、猫は子どもよりも大人を好むことが示されており、人側の関わり方により猫の行動が変化することが示されている。また、シェルターから猫を譲渡された飼い主に猫を選んだ理由を調査した研究では、猫の活発で友好的な行動を理由に挙げた飼い主が多く、猫の行動が飼い主の猫との関わりの起点となっていることが示唆されている。これらのことから猫との直接的な関わり方が人と猫の双方に影響し、関係性を変化させていくことが考えられた。そして関わりの場面における両者の行動学的ならびに生理学的な評価を得ることが、人と猫の関係の理解に重要と考えた。そこで本研究は人と猫の日常的な関わり方、特に人が猫をなでるという行為に着目し、人が猫をなでることによる人と猫への影響を生理学的に明らかにすることを目的とした。1章 日常的な人と猫の関わり方の調査と人から猫への愛着に関与する関わり方の抽出 愛着は幼児と母親の間で形成される情緒的絆の起点であり、個体間の関係性の根本をなす。人と猫においては、猫への愛着が高い飼い主は飼育放棄することが少ないことが報告されており、人と猫の間においても愛着を介した絆が存在する可能性がある。このことから、人と猫の両者の関係の評価として愛着に着目した。猫と飼い主の交流時間や交流内容が、家族構成や飼育環境の違いにより異なることが明らかとなっているが、どのような日常的な関わり方が猫への愛着に関係するかを明らかにした研究はない。第1章では猫の飼い主と猫の日常的な関わり方の調査研究を行い、飼い主の猫に対する愛着に関与した関わり方を明らかにすることを目的とした。猫の飼い主を対象にウェブにてアンケート調査を行なった。調査項目は4部構成であり、第一部は年齢や性別などの猫に関する基本情報17問、第二部は「猫に話しかけるか」、「猫は近づいてくるか」などの猫と飼い主の普段の関わり方についての21問、第三部は飼い主の猫に対する愛着34問、第四部は年齢や性別などの飼い主自身の基本情報の10問の回答を得た。有効回答数は602部であり、最も多かった関わり方は飼い主が「猫に話しかけること」(97%)であり、次いで「猫は飼い主になでられることが好き」(90%)であった。「飼い主が猫の要求を受け入れること」は61%、「猫とコマンドによる交流をする」は14%であった。「猫をなでる」と「猫の要求を受け入れる」は飼い主の猫への愛着に強く関与していた。この他にも「交流時間」、「猫が飼い主の近くにいる」、「コマンドによる交流」が愛着に関与しており、全て正の関連があった。第2章 猫をなでることによる人のストレス緩衝作用 第1章で明らかにした人の猫への愛着形成に関与する日常的な関わり方のうち、「猫をなでる」に着目した。これまでの研究でペットをなでることを含んだ交流は、人の血圧と心拍数の減少をもたらすことが報告されている。この効果が心疾患のリスクの軽減に寄与していると示唆されており、心疾患リスクの軽減の要因としてストレスの緩衝作用が考えられる。このことから猫との「なでる」を介した交流が人のストレスを軽減させると仮説を立てた。そこで第2章では、猫との交流が人のストレス負荷に与える生理的影響を調べた。 心疾患と猫アレルギーのない大学生11名(男性8名、女性3名、平均年齢21.1±0.3歳)を対象にした。11名のうち6名は供試猫と、5名は供試犬と普段から関わりがあった。実験の流れは20分の安静(pre)ストレス負荷として暗算(MA)5分、猫との交流、犬との交流、交流なしのいずれかを行う20分間の交流(Int)、15分安静(post)であった。3つの交流の順序はランダムであり、全て異なる日に行なった。本研究室で飼育している猫と犬各1頭が実験に参加した。人は唾液中コルチゾール濃度と心拍変動(HRV)、心理尺度(POMS2)、猫と犬をなでた時間を評価指標とした。また、猫と犬の評価も行いHRVと人になでられた時間を評価指標とした。HRV解析では時間領域解析を行いRR間隔であるRRI、自律神経全体の指標であるSDNN、副交感神経活性の指標であるRMSSDを算出した。RRI、SDNN、RMSSDはすべてpre、Int、post、に比べMAが有意に小さくなった。交流20分間のSDNNは交流なしよりも猫との交流で有意に小さくなった。唾液中コルチゾール濃度に有意差はなかった。POMS2の活気スコアの変化量は交流なしと比較し猫と犬との交流後で有意に高くなった。猫は人になでられていない時よりなでられている時にRRIが長くなった。猫のSDNNとRMSSDは人になでられている時となでられていない時で有意差はなかった。猫とは反対に、犬はなでられていない時はなでられている時に比べRRI、SDNN、RMSSD全てで有意に大きくなった。人になでられている時間と猫のRMSSDに正の相関がありSDNNとの相関関係はなかった。 以上の結果から、ストレス負荷課題は人にとってストレスとなり自律神経系を活性化させた。交流なしに比べ猫との交流でSDNNが小さかったことは、副交感神経活性には差がなかったため交感神経活性が抑制されたことが考えられた。従って猫との交流はストレス軽減効果がある可能性が示された。さらに猫や犬との交流により活気が増加したことから、猫と犬の交流は人のポジティブな気分を増加させることが示された。猫はなでられている時間が長いほどリラックスする、またはリラックスしているほど猫は人になでられることを受け入れることが考えられた。猫にとって人になでられることは、猫同士で行う相互グルーミングの役割となる可能性が考えられた。一方犬では、人になでられている時にリラックスせず自律神経系が活性化した。これは普段行なっている遊びやコマンドによる交流を期待していたことが考えられた。第3章 猫をなでることによる人の情動中枢への影響 2章で猫をなでることを含んだ交流により人のポジティブな気分の増加が示された。人は猫をなでるとき、猫の様子や行動を読み、猫のリラックスした状態を感じ「柔らかくて気持ちいい」などの情動が付随して起こることが予想される。このことから、猫をなでることは人の社会的情動の中枢に影響する可能性がある。社会的情動に関連のある脳部位として下前頭回に着目した。3章では猫をなでることが人の情動制御中枢に与える影響を明らかにすることを目的とした。 右利きで猫アレルギーのない麻布大学に在籍中の学生30名(男性10名、女性20名、平均年齢20.0±1.6歳)を対象に実験を行なった。猫は2章と同じ猫を用いた。頭部前頭葉に16ヶ所の血流量を評価できるNIRSを装着し、同時に胸部に心拍計を装着した。6つの接触課題(猫のぬいぐるみの背中に手を置く(TP)、猫のぬいぐるみを一定の速さでなでる(SP)、猫のぬいぐるみを自由になでる(FP)、本物の猫の背中に手を置く(TC)、本物の猫を一定の速さでなでる(SC)、本物の猫を自由になでる(FC))をランダムに行なった。各課題後に感情評価を行い、心拍データは心拍変動解析に用いRMSSDとSDNNを算出し自律神経活性を評価した。その結果、女性の右下前頭回ではぬいぐるみよりも猫に接触したときに活性が高くなった。さらに女性の右下前頭回の活性は人のRMSSDと正の相関、SDNNと負の相関があり、感情価はぬいぐるみよりも猫に接触したときに高かった。右下前頭回は表情やジェスチャーを見たときに活性することが報告されており、猫に触れたことにより活性した可能性がある。女性にとって猫に触れること、猫をなでることは快情動とリラックスを伴うことが示唆された。総合考察 猫をなでることは日常的に多く行われており、人の猫への愛着に関与することが示された。さらに、猫のリラックス状態と人になでられる時間は正の関係があった。これより猫がリラックスしている時になでることは直接的な関わりを長くすることにつながること、またはなでる時間が長いほど猫はリラックスすることが考えられた。そして人は猫をなでると快感情とリラックスを伴うことが示され、相互に作用していることが明らかとなった。人との良い経験と身体的接触は人と動物の絆形成に寄与することがいわれており、リラックスを伴う猫をなでる関わり方を繰り返すことは、人と猫の情緒的結びつきを生じさせる要因となる可能性が示された。男性への影響は検討の余地があるが、日常的に猫をなでることは人と猫の友好的な関係構築に有用であると考察した。
著者
糟谷 真宏 安藤 薫 尾賀 俊哉 大橋 祥範 久野 智香子
出版者
一般社団法人 日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.93, no.1, pp.1-11, 2022-02-05 (Released:2022-02-15)
参考文献数
25

1926年から95年間継続した愛知県安城市の連用試験水田(黄色土)における,三要素それぞれの欠如および三要素に有機物連用を加えた処理が水稲の収量性に及ぼす影響を,養分収支や土壌化学性の変化との関係から整理した.水稲の精玄米収量は,試験年数を経るにつれ(無肥料区,無リン区)<無窒素区<(無カリウム区,三要素区)<堆肥750 g m−2施用区<堆肥2250 g m−2施用区の大小関係に収束した.養分収支は,窒素は無窒素区以外,リンはリン無施用の試験区以外はプラスとなったが,カリウムは,無窒素区,無リン区,稲わら堆肥2250 g m−2施用区以外はマイナス収支となった.交換性カリウムや可給態リン酸などの作土中濃度は,1976年から40年以上の間増減傾向は認められないものの,養分収支を反映した処理区間の差が認められた.三要素区,無カリウム区のカリウム収支は毎年マイナスであり,カリウムは土壌から収奪されているにも関わらず,三要素区,無カリウム区の作土の全カリウム,非交換態カリウム,交換性カリウム濃度に増減傾向が認められないことから,土壌中のカリウムは動的平衡状態に達していると判断され,土壌の風化に伴うカリウム供給の可能性が示唆された.
著者
岡 典栄
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.155, pp.66-80, 2013 (Released:2017-02-17)
参考文献数
14

本稿では,聴覚を通じて音声日本語を習得することがほぼ不可能な,日本手話を第一言語とするろう児・者に対する第二言語としての日本語教育について考察する。従来のろう教育で行われてきた補聴機器等を用いた母語教育としての国語教育では達成が難しかった日本語の習得が,日本語教育の視点の導入によりパラダイム自体が転換し,ろう者のエンパワーメントにつながることを見る。また,ろう者に対するわかりやすい日本語,視覚情報としての日本語の提示を通じて,まわりの人々もエンパワーされることを見る。
著者
福田 真
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
pp.2204, (Released:2023-07-05)
参考文献数
34

日本は、 2050年までに温室効果ガスの総排出量をゼロにすることを宣言し、再生可能エネルギーの導入など、脱炭素社会に向けた取り組みを加速している。一方で、風力発電施設の設置には、希少な猛禽類などが風車のブレードに衝突して死亡するバードストライクなどの問題があり、生物多様性保全と脱炭素社会の両立が求められている。このような背景から、環境省では、鳥類への影響が高い地域を事前に把握できるよう、センシティビティマップを作成した。細かな要因を組み込んだバードストライクのリスク評価には多大な時間が必要であり評価手法も研究レベルにあるが、再生可能エネルギー発電施設の建設はすでに推進されてきており、リスク評価手法の熟成を待って作成したのでは社会的な意義を果たせない。このため、新たな調査を行わず現時点で利用可能な情報のみを利用しながら実現可能なセンシティビティマップを作成することをめざし、精度の向上についてはリスク評価手法の熟成とデータの蓄積を待って高精度のものに置き換えてゆくアプローチを採用した。
著者
北川 夏樹 鈴木 春菜 中井 周作 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.67_I_697-67_I_703, 2011 (Released:2012-12-28)
参考文献数
20

本研究では人の社会的な生活に欠かせない活動の一つである「移動」に着目し,移動中に感じる気分や体感と,生活に対する個人の主観的な評価である「主観的幸福感」との関係について検証することを目的とした.また,移動時の風景等の属性と幸福感についても相互の関係を検証し,幸福感という観点からの「良い移動」について検討した.結果,移動時の肯定的な感情や感覚を下位尺度とする「移動時の幸福感」尺度と,生活における種々の主観的幸福感との間に正の相関関係がみられた.これは,移動が目的地へ達するための単なる手段ではなく,人の生活の質を向上させうる重要な活動の一つであることを示唆している.さらに,移動先での目的によって移動が幸福感に及ぼす影響が異なることや,移動時の風景が幸福感に有意に影響している可能性が示唆された.
著者
森田 茂樹 瀬戸 牧子 原 恵子 井手 芳彦 石丸 忠彦 和泉 元衛 辻畑 光宏 長瀧 重信
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.458-461, 1983-04-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
20
被引用文献数
4 4

民間療法として大量の飲水と水浣腸を行ない,急性水中毒症の発症をみた健康成人例を経験した.症例は25才,男性.昭和54年より健康増進を信じて大量飲水と水浣腸を始あた.昭和55年5月27日大量発汗後約30分で2lの飲水と81の水浣腸を行ない,四肢のこわばり感等出現したのち呼名反応なくなつたため当科入院となつた.入院時血清Na l24mEq/lと低Na血症を呈していた.また入院前24時間以上水分摂取がなかつたにもかかわらず, Na濃度6mEq/lと低浸透圧尿の多量排泄(1日量5300m1)がみられた.この利尿に伴つて血清Na濃度は改善し意識が回復した.以上より急性水中毒症と診断した.急性水中毒症は何らかの基礎疾患を有する例にみられやすく,その成因は細胞外液の急激な低浸透圧化のために水分が細胞内に移動し,脳浮腫をきたすためとされている.本例では発症後水分制限がなされたこと,高張ブドウ糖・Na製剤輸液を使用したことに加えて,急激な利尿により細胞外液の浸透圧改善が得られ救命し得たと思われる.なお第3病日に行なつた腰椎穿刺では, Na濃度97mEq/l, Cl濃度82mEq/l,総蛋白量12mg/dlと低浸透圧であつた.血清Na濃度の改善よりも脳細胞内および脳脊髄液の浸透圧改善は遅れると考えられる.入院時検査成績で総ビリルビン4.0mg/dl, CPK 1815mU/ml, LDH 507mU/ml, GOT 67mU/ml等の異常値を示していたが,水中毒症との関係については現在の所明らかではない.
著者
渡邊 淳子 森 真喜子 井上 洋士
出版者
日本臨床倫理学会
雑誌
臨床倫理 (ISSN:21876134)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.53-62, 2017 (Released:2021-07-12)
参考文献数
20

摂食嚥下訓練において言語聴覚士(以下,ST)はジレンマを感じることがある.そこで,摂食嚥下訓練の場面に注目し,STが経験するジレンマの様相とそのようなジレンマが生じるプロセスを明らかにすることを目的とした.摂食嚥下訓練の経験があるST8名に半構造化インタビューを行い,得られたデータをStrauss & Corbin版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した.10のカテゴリーと1つのコアカテゴリーが抽出され,帰結となったカテゴリーのうち《患者に無益な努力をさせ続ける苦悩》,《直接訓練を止めると患者が衰弱してしまうジレンマ》,《患者の益にならないような直接訓練を続けるジレンマ》,《患者の死に加担したように感じる苦悩》の4つのカテゴリーがジレンマの状況であった.そのうち3つの状況は倫理原則が対立する倫理的ジレンマの状況であった.また,本研究の結果から,STが感情労働による疲弊や共感疲労に陥るリスクが高いことも示唆された.
著者
和田 明 高野 泰隆 穂積 照雄
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
水工学論文集 (ISSN:09167374)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.331-336, 1994-02-28 (Released:2010-08-25)
参考文献数
2
被引用文献数
1

Tokyo Bay has been selected as a study area and the bay was divided into 215 blocks in order to analyze the exchange flow between various blocks by applying a non-linear programming method and to identify the characteristics of flows in the bay in four seasons.The analytical results obtained successfully revealed the occurrence of flow patterns which cannot be expressed by existing simulation analyses, and consequently made it possible to conduct discussion on the environmental values given to each block.Based on the results of flow analysis, particles were thrown into all boxes in the bay and the tracking of these particles was carried out, in an attempt to evaluate the size of bay-water retention time.
著者
片山 友子 水野(松本) 由子
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
総合健診 (ISSN:13470086)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.657-664, 2016 (Released:2017-01-01)
参考文献数
23
被引用文献数
1

総務省の調査によると、20代のインターネット利用は99%を超え、スマートフォンでの利用は約88%となっており、スマートフォンの使用者は急増している。インターネットは情報収集やコミュニケーションのツールとして利便性が高いが、一方で、インターネット依存が心身に悪影響を与える可能性が指摘されている。本研究では、スマートフォンの利用率が高い大学生を対象に、インターネット依存傾向のある者の健康度および生活習慣、気分状態の関連性について検討を行った。 インターネット依存傾向尺度による分類から、インターネット依存傾向群をⅠ群、非依存群をⅡ群とする2群に分類した。この2群について、心身の健康および生活習慣、気分状態の調査を行い、その特徴を分析した。 調査の結果、対象者156名中、Ⅰ群は58%、Ⅱ群は42%であった。Ⅰ群はⅡ群と比較すると、身体的健康度、精神的健康度、睡眠の充足度が有意に低値を示した。Ⅰ群は、睡眠不足のため、昼間に眠たくなり、勉強がスムーズにはかどらず、大学生活に影響を及ぼしていることが示唆された。また、就寝時間が遅くなることから夜食の習慣化が生じ、目覚めの体調不良から朝食の欠食などがみられ、イライラ感や肥えすぎ・やせ過ぎなどにも繋がると考えられた。心理検査では、Ⅰ群はⅡ群と比較すると、不安感、抑うつ感、イライラ感がつのっていることが分った。これらの結果から、ネット依存傾向のある者は、睡眠習慣と身体的および精神的健康に相互に悪影響を与える可能性が示唆された。さらに、Ⅰ群の約65%にインターネット依存傾向があることを自覚しているが、約17%には自覚がなく、依存傾向が進行する可能性が示唆された。 依存が深刻化する前に予防教育を行い、インターネット依存が生活習慣や心身の健康に与える危険性について啓発することが重要であることが示唆された。
著者
東京帝国大学 編
出版者
東京帝国大学
巻号頁・発行日
vol.從大正8年 至大正9年, 1924