著者
今西 順一 Jun-ichi Imanishi
出版者
京都府立大学福祉社会学部福祉社会研究会
雑誌
福祉社会研究 (ISSN:13471457)
巻号頁・発行日
no.2, pp.50-63, 2001

本論文は、現行法制度の原則である民刑分離の下で、どのような制度が最も効果的に、犯罪被害者の財産的損害の回復を行うことが可能なのかを考察したものである。1章では、被害回復の方法の基本となる、民事手続においての被害回復について述べる。この方法は被害者が加害者に対して、(1)民事裁判を提起するか、(2)示談を成立させることが考えられる。しかし、これらの方法は損害回復の実効性に乏しいものである。というのも、加害者が無資力の場合、被害者は為す術がなく、泣き寝入りせざるを得ないからである。2章では、わが国の「犯罪被害者等給付金支給法」について述べる。この制度は犯罪被害者に対して、国家が見舞金を支給するというものである。ただ、この制度はその性格上、被害者の損害を補填するものではない上に、財源を税金によっているため、被害者救済の範囲も自ずと限界がある。3章では、実効性の高い損害回復制度として、犯罪者からの没収・追徴財産、罰金等を基とした、被害者救済基金のわが国への導入の可否について述べる。この制度はわが国でも実行が容易で、かつ効果的な被害者救済を行うことが可能と考える。
著者
二宮 佑一
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.129-135_1, 1981-02-01 (Released:2011-03-14)
参考文献数
7

高品位テレビの信号をディジタル信号に変換する目的のA/Dコンバーターを開発した.方式は, 3段の直並列形で, 各部で発生する直流ドリフトを除去する安定化回路を持っている.試作器は, 入力周波数24.3MHzにおいて正常に動作する等, 総合的に見て, 高品位テレビ用A/Dコンバーターとして充分使用し得るものである.

1 0 0 0 OA 続膝栗毛

著者
十返舎一九 著
出版者
江島伊兵衛
巻号頁・発行日
vol.10編 上州草津温泉膝栗毛 下, 1881
著者
謝 静
出版者
RIKKYO UNIVERSITY(立教大学)
巻号頁・発行日
2020

元資料の権利情報 : CC BY-NC-ND
著者
谷口 力夫 星 旦二 藤原 佳典 高林 幸司
出版者
東京都立大学都市研究センター
雑誌
総合都市研究 (ISSN:03863506)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.5-18, 1998

都道府県別にみた平均寿命の30年間の経年変化の実態を分析し、特に東京都平均寿命の特性を明らかにすることを目的とし、1965年から1995年までの5年毎30年間の男女別都道府県別平均寿命を分析対象として調査を実施した。都道府県別平均寿命の経年変化をみると、男女共に急速に延びていった。しかしながら性別にみた増加傾向は同一ではなかった。女性の平均寿命は、1985年頃まで直線的に延長していったが、1990年以降はその延びが鈍化し上に凸な二次曲線の延びとなっていった。男性の増加傾向は、女性よりも5年早く二次曲線の延びに変化していた。都道府県別平均寿命の地域間格差を経年的にみると、1965年では男性で最大4.52歳、女性では同様に3.46歳であったものが、30年後の1995年では、男性で3.67歳、女性では3.25歳へと縮小していった。1965年の時点で、最も短い平均寿命は、男性では青森県の65.32歳、秋田県の65.39歳で、女性では秋田県の71.24歳、岩手県の71.58歳であった。一方、最も長い平均寿命の地域は、男性で東京都の69.84歳、京都府の69.18歳、女性では東京都の74.70歳、神奈川県の74.08歳であった。1965年の時点において、東京都の男女の平均寿命は突出して高い値を示していたが、年次経過とともにその延びは鈍る傾向を示し、30年後の1995年における順位は大きく変化していった。30年後の1995年の東京都平均寿命の男性順位は20位で、女性平均寿命の順位は35位となり、他の道府県の平均寿命の延びに比べて、延び率が少ないことが明らかになった。
著者
平松 祐太 遠藤 雅也 林 豊彦 織田 孝 乾 浩明
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.195-204, 2016 (Released:2017-08-01)
参考文献数
17

筋委縮性側索硬化症や脳性まひをはじめとする重度肢体不自由者は, 個人に合った支援機器を利用すれば, 生活の質を著しく改善できる. その利用には操作スイッチが用いられているが, 現在の技術レベルでは, 身体の痙攣や振戦などの不随意運動がスイッチを入れてしまうと, 機器への誤入力が起こってしまう. そこでわれわれは, 不随意運動がある重度肢体不自者でも使用できるように, 3軸地磁気センサを用いた操作スイッチGSN/1を開発した. 不随意運動による誤入力を最小にするために, 統計的パターン認識法のひとつであるフィッシャーの線形判別法を応用した. さらに, 健常者を用いた2種類の不随意運動 (痙攣, 振戦) のモデルを開発し, 不随意運動も起きる条件下におけるGSN/1の操作性能の定量評価に用いた. 実験結果より, 正しい入力を許容レベルに維持するために必要とされる 「痙攣および振戦の条件」 について明らにした.
著者
南 毅
出版者
日経BP社
雑誌
日経マネー (ISSN:09119361)
巻号頁・発行日
no.353, pp.74-81, 2012-04

悪質な金融商品勧誘のうち、最近増えているのが「劇場型」という勧誘手法だ。複数の人間から同じテーマについて電話や封書を送りつけられるため、内容を信じてしまいおカネを振り込む。その後、相手側と連絡が一切取れなくなり、おカネは戻ってこないまま泣き寝入りになる。 上の事例は80代のaさんのケース。ある業者から配偶者宛てに封書が届く。
著者
竹村 明日香 宇野 和 池田 來未
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.48-64, 2018-12-01 (Released:2019-06-01)
参考文献数
28

室町後期から江戸期にかけて作られた謡伝書にはしばしば五十音図が掲載されており,行段それぞれに謡曲独自の発音注記が付されている。本稿ではそれらの発音注記を精査し,おおよそ二系統に大別できることを明らかにした。一つは悉曇学の影響が強い系統で,行を「口喉舌唇」,段を「上音/中音/下音」の対立で捉えるものである。もう一つは,室町後期以降に権威のあった『塵芥抄』系伝書の系統であり,行を「喉舌歯腮鼻唇」,段を「ひらく/ほそむ/すぼむ」の対立で捉えるものである。『塵芥抄』系伝書の五十音図とその発音注記は,近世の謡伝書や学問書には直接引用されていないものの,処々にその影響を窺わせる記述が見られる。タ行の調音に「腮」を用いて説明している点等は『蜆縮涼鼓集』の記述とも共通しており,近世期における日本語音の把握には,『塵芥抄』系伝書の影響が少なからずあったと考えられる。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1966, pp.34-37, 2018-11-12

背筋が寒くなるのはここからだ。音声通話の開始と終了時間を記録するのは当たり前。利用者がどんなアプリを立ち上げたかという操作ログも、10秒単位で表示する。
著者
近藤 昌和 高橋 幸則
出版者
水産大学校
雑誌
水産大学校研究報告 (ISSN:03709361)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.283-297, 2009-03

魚類は、両生類、爬虫類、哺乳類などと同列の一つの動物群であると考えられてきた。しかし、単系統群ごとに分類群を認識する分岐分類学では、魚類だけからなる分類群を認めず、脊椎動物のうち両性類から始まる四肢動物を除いた残りのグループ、すなわち側系統群であるとされる。したがって、魚類とは分類群ではなく、鰭を有し、鰓呼吸をする魚形の脊椎動物の総称ということになる。現在、魚類は無顎上綱(メクラウナギ綱、頭甲綱)と顎口上綱に大別され、顎口上綱には、軟骨魚綱(全頭亜綱、板鰓亜綱)、肉鰭綱(シーラカンス亜綱、肺魚亜綱)および条鰭綱(腕鰭亜綱、軟質亜綱、新鰭亜綱)が含まれる。また、四肢動物は、肉鰭綱の四肢動物亜綱に分類される。著者らは真骨魚類(条鰭綱新鰭亜綱ハレコストム区真骨亜区)について、好中球内顆粒の種類数の違いから、少なくとも以下の3群に大別されることを明らかにした。本研究では、真骨魚類における各種好中球顆粒の起源を明らかにするために、ポリプテルス目に属するポリプテルス エンドリケリーについて、好中球のRomanowsky型染色性を調べるとともに、細胞化学的特微を明らかにし、これまでに報告した各種真骨魚類と比較した。
著者
小田井 剛 牛腸 直樹 丸 智美 和氣 花奈美 日比野 壮功 小林 俊幸 田所 浩
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.234-237, 2016

症例は31歳男性で, 過去に脱力発作や特記すべき既往なし.入院当日, 咽頭痛を訴え近医耳鼻科を受診し, ヒドロコルチゾン静脈投与を受け帰宅した.帰宅後, 自宅にて米飯3杯, イカ・豚の生姜焼き, 漬物を摂食した.摂食3時間後, 四肢脱力・起立困難, 動悸を認め救急要請し当院搬送となった.来院時, 血清カリウム2.1mEq/L, 血清インスリン201.9µU/mLであった.カリウム製剤, スピロノラクトン投与にて, 第2病日には血清カリウム値や四肢脱力は改善した.75g糖負荷試験において, 120分に頂値を示すインスリン過剰分泌反応, 180分に反応性低血糖を呈し, またHOMA-R:2.69であった.周期性四肢麻痺の家族歴を有さず, インスリン抵抗性を背景にもちステロイド投与や糖質過剰摂取がインスリン過剰分泌反応を惹起し続発性低カリウム性周期性四肢麻痺を発症した一例を経験した.インスリン抵抗性や糖尿病を有する患者は数多くおり教訓的で示唆に富んだ症例と考えられ報告する.