著者
石川 有紀子
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.229-230, 1994-03-07

人対人の対話には対面、電話、キーボードなどさまざまな状況がある。このようなコミュニケーションモードの違いによる談話の構造や発話の特徴を比較した研究がいくつかあるが、これらは教示や説明を与える側(提供者)の発話を中心に分析したものや、対話参加者の役割には特に着目しない分析であった。しかし、対話は参加者間の共同作業であり、コミュニケーションモードによる対話の特徴を明らかにするためには、教示や説明を受け取る側(取得者)の発話を積極的に分析し、モードに応じて取得者がどのように会話に寄与しているかを調べることも重要である。道順案内の対話において、取得者B1, B2, B3は提供者Aに対して以下のような反応をしている。<対話例1>A:で、その道をまっすぐいくと右手に本屋さんがあります。B1:はい。B2:はい、右手に本屋さん。B3:ということは、××大学がある方向に行くということですか?取得者B1, B2, B3は提供者Aに対して確認の発話を行なっているといえる。B1はあいづちのみであるが、B2は相手の発話を繰り返すことによって確認しており、B3は相手の発話から推論されることを述べることによって確認している。このような確認行為は共有信念を得るための共同作業として捉えることができ、そのときのインタラクションの深さはB1, B2, B3の順に深くなると考えられる。Clarkはこのようなインタラクションの深さの違いを「会話のレべル」として捉え、Attention, Identification, Understandingの3つのレべルを定義している。本稿では情報取得者と情報提供者の対話を分析し、コミュニケーションモードによって、インタラクションの深さが異なることを示す。具体的には、(1)コミュニケーションモードの違いによって取得者の確認発話におけるインタラクションの深さが異なること、(2)この確認発話に対して提供者がさらに応答を行なう場合、その発話のレべルがコミュニケーションモードや先行する発話に影響されること、を実験結果に基づいて報告する。
著者
渡辺 弘
出版者
社団法人 大阪生活衛生協会
雑誌
生活衛生 (ISSN:05824176)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.69-76, 1964-04-30 (Released:2010-10-28)
参考文献数
6
著者
森 公希 新城 靖 中井 央 三宮 秀次 佐藤 聡
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.71-78, 2020-11-26

サイバー攻撃の対策として,IDS の導入が挙げられる.IDS はネットワークに流れる通信パケットを監視し,攻撃シグネチャを検知するとネットワーク管理者に通知するシステムである.しかし,IDS はホストの環境と関連のない脆弱性への攻撃であったとしても検知するため,一般的に大量の検知アラートが発生するという問題がある.本稿では,IDS の攻撃シグネチャと脆弱性スキャンのログを関連付けることで,ホストの脆弱性や環境に基づいて調査すべき IDS アラートを減らす手法を提案する.また,脆弱性識別子による機械的な関連付けができない場合については,自然言語を用いて関連付けを支援する.
著者
Yoshihiro Morino Seiji Tamiya Naoki Masuda Yota Kawamura Masakazu Nagaoka Takashi Matsukage Nobuhiko Ogata Gaku Nakazawa Teruhisa Tanabe Yuji Ikari
出版者
The Japanese Circulation Society
雑誌
Circulation Journal (ISSN:13469843)
巻号頁・発行日
pp.1006040751, (Released:2010-06-09)
参考文献数
23
被引用文献数
26 47

Background: Several studies have indicated that the clinical outcomes of sirolimus-eluting stents (SES) are significantly associated with longitudinal positioning of the stent relative to the underlying plaque distribution. Methods and Results: Optimal SES landing was determined using unique stepwise intravascular ultrasound (IVUS) criteria, mainly targeting the sites with plaque burden <50% (plaque area/external elastic membrane area ×100). To verify the criteria, (1) achievability and (2) actual impact on clinical and angiographic outcomes were assessed. A total of 162 consecutive patients with 180 lesions were enrolled and treated according to the IVUS criteria. Plaque burden at the proximal and distal margins was 41.4±13.6% (n=144) and 34.9±15.6% (n=170), respectively (within 3 mm of stent ends). The target was achieved in 72.3% of the proximal and 84.1% of the distal margin for the criteria. A strikingly low angiographic margin re-stenosis rate (2.7% of proximal and 1.4% of distal margin) and low target lesion revascularization rate (2.2%) were achieved. Receiver operator characteristic curve indicated that plaque burden was the strongest predictor of margin re-stenosis and its threshold (51.6%) was almost identical to that of the criteria. Conclusions: The proposed stepwise IVUS criteria mainly targeting plaque burden <50% are feasible and useful in the real-world practice of SES implantation.
著者
高橋 正弘 金子 精一
出版者
獣医疫学会
雑誌
獣医科学と統計利用
巻号頁・発行日
vol.1981, no.6, pp.21-25, 1981

「全国食中毒事件録」 (厚生省) に記載されている東京都および神奈川県の食中毒事例のうち, 原因食品, 原因物質, 原因施設および摂食場所の要因ならびに患者および死者数を用い, 各要因の相互関連を数量化理論第III類により解析した。検討した期間は1973~1977年の5年間である。原因食品は15, 原因物質は9, 原因施設は12, 摂食場所は8のカテゴリーにそれぞれ分け, 計4アイテム・44カテゴリーを解析に用いた。<BR>数量化理論第III類による解析では, 1973~1974年の各カテゴリーは腸炎ビブリオ系, それ以外の細菌性食中毒系, 不明系の3つの類似性をもった群に大別され, 食中毒の発生状況が異常であった1975~1976年は, 3群に明確に区別されないなど, 両者で異なる構造をもつことが推察された。<BR>つぎに, 患者数および死者数の増加に関与するアイテム・カテゴリーを数量化理論第I類で推定したところ, 患者数は, アイテムでは原因施設, 摂食場所, カテゴリーでは学校, 仕出し屋が強く関与し, 死者数は, アイテムでは原因物質, 原因食品, カテゴリーではボツリヌス菌, 自然毒, 野菜類がそれぞれ強く関与していることが明らかになった。<BR>このように, 数量化理論の応用は, 食中毒要因の相互関連を計量的に把握することを可能にし, その中から患者数・死者数を減少させるための行政対策を立案することができた。
著者
土屋 紀子
出版者
山梨大学看護学会
雑誌
山梨大学看護学会誌 (ISSN:13477714)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.9-14, 2005

クランベリージュースが最近のスーパーマーケットの店頭に出ている。最近になって女性によい飲み物,尿路感染症(UTIs;Urinary Tract Infections)に効果があるなどの内容が記されている。このクランベリージュースは,かつて北米原住民の伝統的に愛用された生薬である。近年になって,日常の健康維持,生活習慣病予防に期待できる飲用水や産物であると科学的な検証をもって注目されてきたので文献研究手法にて分析評価した。その結果,以下のことが明らかになった。その1.尿路感染症予防の効果として,従来はキナ酸による弱酸性化の促進作用のみを強調されてきたが,近年の研究ではクランベリーの豊富なポリフェノール系含有量によって多様な抗酸化作用抑制効用が検証されていること。その2.このことが健康増進,疾病予防効果として尿路感染症の他に生活習慣病予防食品として期待されていること。その3.代替治療を求めて多様な機関で研究は進められているが,未だに研究デザインや研究プロセスにバイアス問題を払拭されていない研究課題に直面していること。また,副作用としての事例は腎結石形成,出血傾向の事例やストーマ関連では弱アルカリ性化微弱など代替役割を明確に期待できないことなどの課題を残している。
著者
森田 哲夫 塚田 伸也
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.451-458, 2017

超高齢社会を迎え,死者数の増加により,墓地需要が増加すると予想されている.一方で,市営墓地の空き区画の減少している.近年の出生率の低下,高齢者世帯や独居の増加,生涯未婚率の上昇等により,承継者のいない墓地が増加すると予想されている.本研究は,地方都市の前橋市を対象に,墓地需要動向を把握するうえでの課題を整理し,死者数や埋葬場所等の基礎的なデータベースの必要性を示した.市民アンケート調査データを分析した結果,市営墓地の需要,樹林型の墓地等の需要が存在することを示した.次に,既存の墓地需要予測方法の課題を整理し,課題に対応した需要予測の適用方法を検討し,市営墓地の需要量を算出した.その結果,今後10年間の市営墓地の将来必要数が約2,000区画であり,樹林型の墓地の需要量を把握した.
著者
小野 大地 和泉 諭 阿部 亨 菅沼 拓夫
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.63-70, 2020-11-26

不正アクセスやマルウェアによるサイバー攻撃の脅威が増大しており,それらへの対策は喫緊の課題となっている.一方,ネットワークをソフトウェアによって柔軟に制御・管理する技術として Software Defined Network(SDN)が注目されており,具体的な実装として OpenFlow が広く用いられている.OpenFlow はスイッチからトラフィックに関する統計情報を収集することが可能であることに加え,スイッチレベルで通信の遮断が可能であることから,ネットワークのサイバーセキュリティ対策に有用であることが過去の研究で示されている.本研究ではサイバー攻撃の準備段階として行われるポートスキャンの検出に注目し,OpenFlow 環境下におけるポートスキャン検出に関して,オーバーヘッドの増加や検出遅延に関する課題を解決するための手法を提案する.具体的には,既存の周期的にポートスキャン検出処理を行う手法に対して,Packet-In メッセージの特徴を考慮したイベントドリブンな検出手法の設計・実装を行い,より迅速かつ低いオーバーヘッドでの検出の実現を目指す.また,実験により,実際の正常なトラフィックにおける誤検出の頻度に関する評価や,既存手法とのパフォーマンスの比較,検出遅延の測定を行い,提案手法の有用性を示す.
著者
森永 直樹 内ヶ島 美岐子 Mohammad Abdur RAHIM 大西 一聡 高橋 和文 小杉 善雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.3, pp.467-469, 2002 (Released:2004-03-05)
参考文献数
15
被引用文献数
2

The carboxylation of m-aminophenol with potassium hydrogencarbonate in aqueous solutions has been studied kinetically. The formation of 4-hydroxyanthranilic acid (4HAA) has been found for the first time in the carboxylation of m-aminophenol which gives only p-aminosalicylic acid (pAS) in the usual Kolbe-Schmitt reaction. Since 4HAA was easily decarboxylated, the product was removed from the reaction mixture after the carboxylation for 1 h at 60 °C. This method was repeated three times and 4HAA was obtained as a major product in 30.2% yield.
著者
福田 徹哉
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.218-222, 2015

農文協は「農文協図書館」(1982年〜)開館後,農業の専門書店「農業書センター」(1994年〜)を千代田区大手町の旧JAビル内に開店させ(現在は神田神保町にて営業),その後「ルーラル電子図書館」(1996年〜),通販専門の書店「田舎の本屋さん」(1997年〜)を開設スタートさせてきた。現在は二つの専門図書館と二つの専門書店を農と食の総合情報拠点として位置付け,利用者,読者に連携して応えていく活動を展開している。「農家を減らさない」「農家の元気を育てる」ことこそ「地方創生」の根源に据えるべきであり「地域活性化」はこのことを抜きにしては考えられない。農文協図書館には地域と農家の元気を育てる実践的な情報がたくさんある専門図書館だ。農村を中心とした地域活性化につながる実践的なテーマに応えるレファレンスと蔵書の充実が農文協図書館の役割といえる。
著者
江川 悠斗 谷口 義明 井口 信和
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.56-62, 2020-11-26

Wi-Fi ネットワークを介して様々な IoT 機器がインターネットに接続されているが,小規模組織や家庭では IoT 機器が適切に管理されておらず,十分なセキュリティ対策が講じられていない場合がある.我々はこれまでに IoT 機器の把握を支援することを目的に,IoT 機器から送信される無線フレームを利用した IoT 機器一覧表示システムを開発してきた.本稿では,IoT 機器から送信される無線フレームを受信する際の受信電波強度を利用して,所在が不明な IoT 機器の設置位置にユーザを誘導するナビゲーション機能を新たに提案,本システムに導入する.また,研究室内に設置した IoT 機器を利用した実験により,ナビゲーション機能を用いて IoT 機器の設置された位置にユーザを誘導できることを示す.
著者
佐藤 信 大場 俊輝 高橋 康次郎 蓼沼 誠
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.8, pp.593-599, 1976-08-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
2

清酒をもろみの汲水の全部または一部にして使用し醸酵させて造る新しいタイプの清酒, いわゆる貴醸酒について, それの製法, お酒の特微, 開発に致る経過をくわしく解説していただいた。醸造技術者にとって新製晶開発は1つの大きな仕事であリ, また願望でもある。しかし, それは単にアイデアのみで生まれるものではない。本誌には著者の長年にわたる清酒成分に関する研究の成果を基とした多様化の設計の手法, 新製品開発までのステップと新製品に与えるイメージ, 製造法の緻密な検討が紹介されている。是非一読をすすめたい。
著者
山浦 亘平 井口 信和
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.49-55, 2020-11-26

ネットワークの構築や構成変更を実施する際,作業者は作業手順書に基づき作業を実施する.作業手順書は一般的に手作業で作成されるため,作業手順書に記載されている内容に誤りが含まれる可能性がある.要件を満たしていない作業手順書に基づき作業を実施した場合,構築したネットワークは要件を満たさないことになる.そこで我々は,要件を満たすネットワークを構築するための作業手順書の作成を支援することを目的に,システムを開発してきた.開発システムは,仮想的に構築したネットワークの情報を用いて,要件を満たしている作業手順書を作成する.開発システムは,既存ネットワークの再現,仮想ネットワークの動作検証,作業手順書の自動作成ができる.本稿では,開発システムを評価するための実験について述べる.
著者
津保 勝郎 吉川 望海 野津 史彦 秋田 泰 高山 昇 上砂 敏之 福島 淑隆 三田村 圭二
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:03899403)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.234-235, 1994

A 37-year-old male heavy drinker was admitted to our hospital because of epigastralgia and back pain. He had been treated under the diagnosis of chronic alcoholic pancreatitis at his first admission. He had been addicted to alcohol and admitted to our hospital four times within two and a half year. ERCP finding at first admission had showed localized stenosis of the mein pancreatic duct (MPD) at the head of pancreas and dilatation of the distal pancreatic duct.<br> At his fourth admission after two and a half years, however, ERCP showed severe stenosis of MPD and protein plug at the head, irregular dilatation of MPD at the distal portion of the head and obstruction of MPD at the body to tail and calcification at the tail of pancreas. However pancreatic endocrine and exocrine functions were still not so severely disterbed. Alcoholic pancreatitis progresses by the continuous intake of alcohol and the abstinence from drinking is import to prohibit progression of pancreatitis.