著者
小西重直 著
出版者
広文堂
巻号頁・発行日
1923
著者
酒井 俊郎 占部 峻輔 瀬尾 桂太
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.89, no.10, pp.333-339, 2016-10-20 (Released:2017-01-20)
参考文献数
31
被引用文献数
3

分散媒となる炭化水素油(オクタン,ドデカン,ヘキサデカン)に植物油(大豆油)を混合すると,界面活性剤などの乳化剤を使用しなくても油中水滴型(W/O)エマルションが分散安定化できることを明らかとした。たとえば,オクタンを分散媒としたW/Oエマルションを乳化剤を使用せずに調製した場合(乳化剤フリーW/Oエマルション),調製直後は乳濁状態であるが2時間経過するとほぼ透明状態となる。つまり,乳化剤フリーW/Oエマルションは調製後2時間程度で油と水に分離する。一方で,オクタンに大豆油を重量分率で0.2混合すると,調製後12時間を経過しても乳化剤フリーW/Oエマルションは乳濁状態を維持していた。さらに,オクタン中の大豆油の含有率が増加すると,乳化剤フリーW/Oエマルション調製後12時間を経過しても乳濁状態はほとんど変化しないことが明らかとなった。また,高級脂肪酸(リノール酸,オレイン酸,ステアリン酸,パルミチン酸)をオクタンに混合しても,乳化剤フリーW/Oエマルションの分散安定性が向上することも明らかとなった。
著者
河野 透
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.107, no.6, pp.876-884, 2010 (Released:2010-06-07)
参考文献数
62

抗体,免疫治療など炎症性腸疾患であるクローン病に対する内科的治療が急速に進歩してきているにもかかわらず,罹病期間中にクローン病に起因する原因で外科的治療を受ける割合は極めて高いが,そのほとんどが根治的治療ではなく,適応は限定される(狭窄,膿瘍,瘻孔).クローン病患者の腸管手術に際して可能な限り腸管温存するべきである.病変部位が残る問題点はあるが小腸病変に限れば狭窄形成術が推奨される.病変腸管切除後の吻合部狭窄による再手術率が極めて高いことが大きな問題点であり,再発形式を鑑みた新たな吻合法の開発が期待される.肛門病変では排膿ドレナージが基本であるが,早期発見が最も重要である.
著者
富田 真佐子 福地本 晴美 鈴木 浩子 芳賀 ひろみ 河口 良登 竹内 義明 川上 由香子
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.667-675, 2019 (Released:2020-02-06)
参考文献数
25

炎症性腸疾患患者の健康関連QOLを包括的視点と疾患特異的視点から明らかにし,炎症性腸疾患と共にある患者のQOL説明モデルを示すことを目的とする.対象者は,都内にあるA大学病院消化器内科に通院中の外来患者63名.質問紙法により,対象者の属性(疾患名,性別,年代,社会活動,治療年数,治療内容,手術歴),包括的尺度としてSF-8,疾患特異的尺度として著者が作成したIBD患者のQOL尺度19項目を用いた.分析は,各項目について記述統計量を算出し,SF-8の平均値について国民標準値および既存の文献と比較した.QOLモデルを作成するためにSF-8とIBD患者のQOL尺度各項目とのピアソンの相関係数を算出した.QOL尺度は5つの下位概念ごとに因子数を1とした主成分分析によって合成した成分得点を用いた.これらの相関係数を参考にモデル図を作成し,パス解析を行い,総合効果を算出した.倫理的配慮として調査は匿名にて行い,書面にて調査の目的と方法,自由意志での参加,拒否による不利益がないことについて説明した.本研究は昭和大学保健医療学部倫理委員会の承認を得て行った(承認番号:403).対象者は,潰瘍性大腸炎51名(81%),クローン病12名(19%),男性28名(44%),女性35名(56%),年齢は40歳代が最も多く18名(29%),平均治療年数平均11.7±8.9年,治療内容は,5-ASA薬46名(73%)が多く,開腹手術経験ありは8名(13%)であった.SF-8の8つの概念のスコアの平均は50前後で,PCS(身体的サマリースコア)は50.1±6.4,MCS(精神的サマリースコア)は48.6±7.0であった.国民標準値と比較したところほとんど有意な差はなかった.SF-8とQOL尺度の5つの下位概念の成分得点との相関係数は±.218〜.698であった.SF-8のPCSとMCSを最終的な従属変数とした健康関連QOLモデルを描いたパス解析を行った.総合効果では,「心理社会的生活への負担」に最も影響するのは「食生活上の困難さ」であり,健康関連QOLのPCSとMCSに最も影響するのは「心理社会的生活への負担」であった.対象者のSF-8のスコアは国民標準値とほとんど差がなく,下痢や腹痛による苦痛が少なく食生活上の困難も少ない者は,健常者と大差ないQOLを維持できることが示された.パス解析の結果から,仕事や心理的な負担,食生活の困難さを感じている者は健康関連QOLが下がるが,周囲からのサポートは活力をもたらし,心理社会的負担を軽減させ,前向きに病いと付き合うことにつながることも示された.

1 0 0 0 OA XMRVと輸血

著者
浜口 功
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.699-703, 2012 (Released:2012-11-12)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

2006年に米国でRNaseLに遺伝子異常を持つ前立腺がん患者の前立腺組織より発見された新規ヒトレトロウイルスXenotropic murine leukemia virus-related virus(XMRV)は,2009年には原因不明の疾患である慢性疲労症候群(CFS)に関与するという可能性が同じ米国より報告され,大きな社会的関心を呼んだ.またこの報告では健常人での血液細胞および血漿中からもウイルスが検出されており,輸血による感染が危惧される事態となった.このような中,XMRVの検査法の確立と国内のXMRV感染状況の確認が急がれた.国内のCFS患者,前立腺癌患者においてXMRV感染の可能性を検索したが全例陰性であった.さらに,国内感染状況を把握することを目的に,血清学的検査法および,既に公表されているNAT法を用いて献血ドナーのXMRV NATスクリーニングを行った.血清学検査およびNATスクリーニングの結果はすべて陰性であった.これらの解析結果より,国内においては,XMRV流行は起こっていないことが確認された.
著者
野本 靖史 藤沢 武彦 山口 豊 柴 光年 馬場 雅行 門山 周文 山川 久美 斎藤 幸雄 ト部 憲和 木村 秀樹
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.247-253, 1990-05-25 (Released:2016-10-01)
被引用文献数
8

中枢気道の狭窄性病変・出血性病変29例, および肺末梢病変3例に対し, 気管支ファイバースコープ下エタノール注入療法(Bronchofiberscopic Ethanol Injection=BEI)を施行し, 以下の結果を得た。(1)出血に対する止血作用は強力で, 100%有効であった。(2)気道内腔にポリープ状に突出する腫瘍に対しての気道開大効果も大きかった。(3)速効性の点ではNd : YAGレーザー照射に劣ると思われた。(4)壁外腫瘍の圧排による気道狭窄例では気道開大効果はほとんど得られなかった。(5)合併症は注入部位から漏出したエタノールにより惹起された咳嗽以外認められなかった。(6)末梢病変に対する腫瘍縮小効果は, 1例のみ認められたが, エタノール注入の方法・量など検討すべき点は多いと考えられた。(7)BEIは高価な機器を必要とせず操作も容易であり, 適応を選べば, 中枢気道の狭窄性病変・出血性病変に対する極めて有効な内視鏡下治療の一手段であると考える。
著者
小林 莉子 松山 美和 大田 春菜 渡辺 朱理
出版者
一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.132-139, 2016

<p>【目的】 わが国の高齢化率は上昇を続けており,高齢者の健康寿命への関心も高い.特に食事は楽しみの一つであり,QOL の向上につながる重要因子とされている.咀嚼や嚥下機能が低下すると摂取する食品が制限され,食品嗜好へ影響を与えることが懸念される.しかし,咀嚼機能や嚥下機能など口腔機能と,食品嗜好との関係に着目した研究はみられない.そこで,本研究は,高齢者の咀嚼および嚥下機能と食品嗜好との関連性を明らかにすることを目的とした.</p><p>【対象】 徳島大学病院歯科衛生室の65 歳以上の外来受診患者40 名(高齢者群)と,徳島大学歯学部口腔保健学科学生25 名(若年者群)を対象とした.</p><p>【方法】 対象者の口腔内状況を確認し,平井らの摂取可能食品質問票の食品35 品目を用いて,食品嗜好スコア(好き/ 嫌い),咀嚼スコア(噛める/ 噛めない),嚥下スコア(飲み込める/ 飲み込めない)に関するアンケートを行い,口腔機能として咀嚼機能はガム咀嚼,前述の咀嚼スコア,嚥下機能は30 秒間の唾液嚥下回数,最大舌圧,水飲みテスト,前述の嚥下スコアを測定し評価した.高齢者群と若年者群の各パラメータにおける2 群間比較を行い,各群における口腔機能と食品嗜好との相関関係を求めて比較した.さらに,食品嗜好スコアと年齢および口腔機能との間における交絡要因の影響を排除するために,ステップワイズ重回帰分散分析を行った.</p><p>【結果・考察】 高齢者群のみに30 秒間の唾液嚥下回数と食品嗜好スコアとの間に正の相関が認められた.さらに,多変量解析により,高齢者群のみに嚥下スコアと食品嗜好に,30 秒間の唾液嚥下回数と食品嗜好スコアに正の相関が認められた.高齢者の食品嗜好には,年齢ではなく嚥下機能が影響する可能性が考えられた.</p><p>【結論】 高齢者の口腔機能,特に嚥下機能と食品嗜好には関連性があることが示唆された.</p>
著者
金井 雄太 福井 恒明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D1(景観・デザイン) (ISSN:21856524)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.1-12, 2013 (Released:2013-01-18)
参考文献数
25

近世に岡城の城下町として建設された大分県竹田には,城下町の町割の大部分が現在まで残っている.この竹田において,絵図および文献から,設計論理の解明を試みた.城下町建設以前の土地利用,街区や屋敷割,城下町の変化などを分析・考察した結果,竹田城下町は巨視的に見れば他の城下町と同様の碁盤の目の構造を取りながら,細部は微地形に則した設計がなされていたことがわかった.また,厳しい地形的制約の中で城下町を拡大するため,周囲の農地を城下町に組み入れる,寺院を城下町外へ移転させてその跡地を利用する,街区の寸法そのものを拡大する,などの手法が採られていたことがわかった.

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1890年03月12日, 1890-03-12
著者
幸田 正典
出版者
大阪市立大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本課題研究は、社会性魚類における共感性を調べることで脊椎動物の共感性の起源を探索ろうとしれいる。期間内に1、推移的推察、2、顔認知に基づく個体認識などの社会的認知、3、しっぺ返し戦略に基づくなわばりの親敵関係、4、ペア繁殖種における正および負の共感性の予備的検証実験などで成果を上げることができた。今回の研究から社会性魚類の認知能力は従来思われてきた以上に発達していること、その中には自己鏡像認知も含まれ、自己認識をしている可能性が非常に高いこと、ペア繁殖魚の間では相手を助けるあるいは相手に利する共感的な行動が認められることが強く示唆された。魚類における共感性を調べた研究はこれまでほとんどなく、今回の研究成果は画期的と言える。共感性実験では、具体的には負の共感として相手への電気負荷に対する救済行動、正の共感として相手個体への給餌を指標として用い、比較的短期間に救済や給餌による援助や救済行動が認められた。魚類では情動伝染はあっても特定個体へ向社会的行動ははじめての発見であり、この研究成果の意義は高い。以上のように、社会的認知能力だけではなく共感性においても相手個体を正確に認識した上でなされており、魚類でもおそらく自分の行為の持つ意味を「理解」した上で、共感行動を行っている訳である。我々の研究成果は共感に必要な高い認知能力、それにともなう多様な情動がすでに脊椎動物の進化の初期段階ですでに生じている可能性を示している。これらは、同時に実施しているホンソメワケベラなどの社会性魚類における自己鏡像認知と大きく符合するものであり、これらを合わせ、社会性魚類の共感性や社会認知能力の抜本的な見直しが必要かつ画期的な成果が期待できるでことを示唆する成果と言える。これらは、脳神経科学の最近の知見とも、その方向性はおおむね合致し、相補的な展開が今後期待される成果と言える。

1 0 0 0 日本歴史

著者
日本歴史学会 編
出版者
吉川弘文館
巻号頁・発行日
vol.(180);5月号, 1963-05-01

1 0 0 0 観神・観仏

著者
杉本 卓洲
出版者
密教研究会
雑誌
密教文化 (ISSN:02869837)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.152, pp.1-19, 1985
著者
隆達
出版者

内題、外題ともなく、亀甲模様絹布張りの帙に題簽がある。書名はこれによる。綴葉装(列帖装)の両面書写。上欄に十番ごとに数字を記すが、「八十」以降は順序が乱れている。しかし、本文は現状のままの方が続きが自然である。本文に錯簡のあった時代にこの数字が付され、のちに錯簡が正されたものと思われる。歌数は300で、伝本のうち最多を収録。巻末に隆達自筆との古筆了佐(鑑定家古筆家初代。1572-1662)の極めがある。隆達小歌は高三隆達(1527-1611)が節付けした小歌で、当時流行した。自筆と称される写本は多いが、検討を要する。帙見返しに国文学者高野辰之(1876-1947)の識語を貼付。「斑山文庫」は高野の蔵書印。

1 0 0 0 OA 有朋堂文庫

著者
塚本哲三 等編
出版者
有朋堂書店
巻号頁・発行日
vol.〔第91〕, 1917
著者
Mahiro Sawada Daiki Ichikawa Matej Borovinšek Matej Vesenjak Shinsuke Suzuki
出版者
The Japan Institute of Metals and Materials
雑誌
MATERIALS TRANSACTIONS (ISSN:13459678)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.1782-1789, 2020-09-01 (Released:2020-08-25)
参考文献数
22
被引用文献数
7

A drop in compressive stress in the plateau region is one of the issues in compressive behavior of porous metals since it has a negative effect on energy absorption efficiency. The compressive deformation behavior of porous aluminum with irregular unidirectional pores was investigated to clarify the mechanism of the drop. Compression tests of cubic specimens with various irregular circular pore geometries were performed. Digital image correlation and finite element analysis were also conducted to obtain strain and stress distribution of the surface perpendicular to the pores. Fracture of the cell walls was observed when the drop occurred. The results show that pore geometry has an effect on the number and the amount of drop in compressive stress. Measurement of an area of two nearest pores of the fractured cell walls suggests that the amount of drop in compressive stress increases as the area increases. Also, a calculation of normalized critical stress for the plastic collapse of the cell walls shows that the fractured cell walls tend to be geometrically weak. Furthermore, stress concentration occurred around the fractured cell walls, which resulted in a secondary fracture of the cell walls.