- 著者
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今井 健一
- 出版者
- 公益財団法人 アジア成長研究所
- 雑誌
- 東アジアへの視点 (ISSN:1348091X)
- 巻号頁・発行日
- vol.27, no.1, pp.21-30, 2016 (Released:2020-01-06)
- 参考文献数
- 4
本稿では,少子高齢化がエネルギー消費,特に電力,都市ガス,プロパンガス,灯油といった家庭用エネルギーの消費にどのような影響をもたらすかについて分析した。北九州市と県庁所在都市を含む九州8 都市のデータに基づく分析結果は,少子高齢化の下で世帯数が増加している結果,「1世帯当たりの構成人員」が減り,家庭用エネルギー消費における規模の経済が失われつつあること,すなわち,「1 世帯当たりの構成人員」が減少している結果,「世帯構成人員1 人当たりの家庭用エネルギー消費量」が増えているということがわかった。この結果は,家庭用エネルギーの効率的な利用という点において好ましくない。今後,少子高齢化がさらに進んだ場合,家庭用エネルギー消費における規模の経済がさらに失われていく可能性がある。世帯内だけでなく,世帯間,あるいは複数の世帯から成るコミュニティ内でエネルギーを共有していくという視点が必要となってくる。