著者
土肥 美里 遊佐 真一 島田 善彦 上坂 昌大
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.341-349, 2010 (Released:2010-06-25)
参考文献数
28

pH に応答した会合状態の変化を多段階に制御可能な水溶性ポリマーの合成を目指し,塩基性で側鎖フェノール基のイオン化により親水性を示すポリヒドロキシスチレン(PHS)と,幅広い pH 領域で水溶性を示すポリスチレンスルホネート(PSS),弱酸性の pKa をもつ安息香酸を側鎖結合したポリビニル安息香酸(PVB)からなる ABC 型トリブロック共重合体(PHS18-b-PSS78-b-PVB18)を可逆的付加-開裂連鎖移動(RAFT)型制御ラジカル重合で合成した.水中での pH に応答した会合挙動の変化を動的光散乱,静的光散乱,蛍光プローブを用いた実験により調べた.その結果 pH>13 の水中でトリブロック共重合体はユニマー状態で,pH が 13~6 付近で PHS18 ブロックを疎水性のコア,PSS78-b-PVB18 ブロックを親水性のシェルにもつ高分子ミセルを形成した.pH<6 ではミセル間の会合により水溶性の凝集体を形成した.
著者
大坪寛子
雑誌
日本輸血 細胞治療学会誌
巻号頁・発行日
vol.54, 2008
被引用文献数
1
著者
Jun KAMBE Yu SASAKI Ryo INOUE Shozo TOMONAGA Teruo KINJO Gen WATANABE Wanzhu JIN Kentaro NAGAOKA
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
pp.20-0190, (Released:2020-04-29)
被引用文献数
9

The prevention of diseases through health control is essential at zoos. Recently, the gut microbiota, which is an ecosystem consisting of the bacteria living in the digestive tract, has been found to be one of the key systems that mediates animal health. However, there is little basic knowledge about gut microbiota in zoo animals, particularly the relationship between mothers and infants during lactation. Here, we investigated the formation of the gut microbiota during infancy in an Asian elephant (Elephas maximus) in Okinawa Zoo and compared the composition between infant and mother. In addition, we analyzed the components of breast milk and examined the correlation with the infant gut microbiota. Analysis revealed that the gut microbiota of the infant contained high amount of Lactobacillales and its diversity was relatively low compared to that of the mother. We found several milk components, such as lactose, threonine and estradiol-17β, which showed a positive correlation with the change of Lactobacillales during the lactation period. In conclusion, the present study sheds light on the mechanism of gut microbiota formation during infancy in an Asian elephant and provides important insights into the health control of Asian elephants in zoos.
著者
東 ゆかり
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
no.24, pp.39-47, 2017-03

The aim of this study is to examine the creative process of Hoiku Shoka from the perspective of the Reijin, members of the Gagaku Department of the Court Ministry, who were engaged in its composition. The study was conducted by analyzing autographed manuscripts written by Fuyu Toyoda, a teacher at the Tokyo Women's Normal School Kindergarten who worked as a translator and lyric writer during the early Hoiku Shoka period. Originally, Hoiku Shoka began as a collection of educational songs for kindergarten instruction. It then started being used for various purposes, such as for Tokyo Women's Normal School students or unspecified audiences at concerts. The study reveals that the music composition quality underwent changes under the circumstances.

1 0 0 0 OA 農薬中毒の4例

著者
前川 謙一 加川 憲作 松野 康成 冨田 恵子 毛利 泰実 畠山 啓朗 勝村 直樹 山藤 正広 河村 修 端山 和雄
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.52-55, 1997-05-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

去2年間に当院を受診した農薬中毒の4例について報告した。症例はパラコート2例, スミチオン2例で, それぞれ生存1例, 死亡1例で死因はともに呼吸不全であった。パラコートの生存例は死亡例より多くの量を服毒していたが, 嘔吐が強いため, 実際の吸収量は少なく, また超急性期に胃洗浄, 人工透析, 血液吸着が行われたため救命し得たと考えられた。またスミチオンの死亡例は来院時, 原因物質が不明であり, 人工透析および血液吸着導入までの時間を要し, 呼吸不全を招来したことが死亡原因と考えられた。したがって, 原因物質の如何にかかわらず, 農薬中毒に対しては, 早期より人工透析および血液吸着を含めた集中治療を実施することが予後の改善につながると考えられた。
著者
小森 雅晴
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

快適な移動を実現するため、前後、左右、斜め方向に移動できる搭乗型全方向移動体が求められており、この開発を目的として本研究を行った。全方向駆動車輪の構造の検討を行い、最適と考えられる全体構造を明らかにした。この車輪を試作し、実験を行い、その有効性を確認した。また、この車輪を用いた全方向移動体の全体構造の設計を行い、試作した。試作した移動体の実験を行い、前後、左右、斜めの方向に移動できることを確認した。
著者
矢口 拓宇
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Ea1018, 2012

【はじめに、目的】 転倒恐怖感を測定する方法にTinettiらの開発したFall Efficacy Scale(以下FES)がある。FESは10項目の日常生活活動を転倒なく行う自信があるかを問うものであり、対象者が日常生活のどの場面で転倒恐怖を感じるのかを知るのに有効な手段として使用されている、しかし、実際には行わない活動については想像で答えを要求するため、入院や入所中の方、家事を行わない男性などには使いにくい場面もある。また、10項目の質問項目は時間もかかるという欠点がある。そこで、より簡便でほぼ誰にでも使用可能な評価方法として歩行自己効力感尺度Walk Efficacy Scale(以下WES)を開発した。本研究の目的はWESとFESの関係を明らかにし、WESが転倒恐怖感の尺度として用いることができるかを検討すること、WESと身体機能評価、精神的健康感との関連性を調査し、WESの臨床応用を検討することである。【方法】 対象は当施設併設の通所リハビリテーション利用者86名(平均年齢77.5±9.5、男性31名、女性55名)とした。認知症はあっても軽度で、意思疎通が問題ない者であった。WESとFESは質問紙にて配布し回答を得た。WESは「屋内を転倒なく歩く自信があるか」と「屋外を転倒なく歩く自信があるか」の2項目からなり、それぞれ「とても自信がある」を4点、「まあまあ自信がある」3点、「あまり自信がない」を2点、「全く自信がない」を1点として2項目の合計点を8点満点で算出した。FESは入浴や着替え、買い物など10項目の日常生活活動を転倒なく行える自信があるかを上記と同様4段階で回答を求め、その合計点を40点満点で算出した。また、86名中37名(平均年齢76.9±9.4、男性13名、女性24名、身長154.2±9.9、体重57.4±9.6)について身体機能評価とアンケートを行った。身体機能評価は握力、30秒間立ち上がりテスト(以下CS-30)、Functional Reach Test(以下FRT)、5m歩行時間及び歩数を測定した。また、質問紙にて過去3ヶ月間の転倒経験及び精神的健康感の尺度としてWHO5について回答を求めた。統計学的処理はWESとFES及び各身体機能評価、要介護度、WHO5との関連をspearmanの順位相関係数にて求めた。また、過去3ヶ月間の転倒経験から対象者を転倒群と非転倒群に分け、上記と同様の項目について対応のないT検定を行った。有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には本研究の意図を十分に説明し、書面にて同意を得た。【結果】 統計学的処理の結果、WESとFESに有意な正の相関が認められた(R=0.72)。その他にWESと相関が認められたのは、CS-30(R=0.35)、FRT(R=0.57)、5m歩行(R=-0.36)、歩数(R=-0.35)、要介護度(R=-0.42)WHO5(R=0.37)であった。FESと各測定項目との相関は認められなかった。転倒群は非転倒群に比べ5m歩行時間において有意に高い値であったが、その他の項目には有意差は認められなかった。【考察】 本研究において新たに開発されたWESと従来から用いられてきたFESの結果に有意な中等度の相関が認められたことから、WES結果が転倒恐怖感を示す尺度として用いることができると考えられる。樋口らはバランス能力、歩行能力、下肢筋力とも転倒恐怖感に関連性がみられなかったと報告している。Wolfらも、バランス機能が有意に改善しても転倒恐怖感には影響がなかったと述べている。本研究においてもFESと身体機能との関連性は認められなかった。しかし、WESはCS-30、FRT、5m歩行などのバランスや歩行能力についても関連性が認められた。本研究により、歩行に特化して質問するWESを用いることで、歩行中の転倒恐怖感と身体機能に関連があるという可能性が見出された。これは、バランスや歩行能力の改善を目的とした理学療法が歩行という課題における転倒恐怖感の改善につながるかもしれないという新たな可能性も感じられる結果となった。転倒群と非転倒群における比較ではWESとFESともに有意差は認められなかったため、転倒恐怖感と実際の転倒との関連性は低いと考えられる。本手法はまだ開発されたばかりで、信頼性や妥当性の検討はまだ不十分である。今後のさらなる検証が必要である。【理学療法学研究としての意義】 WESは歩行における転倒恐怖感尺度として用いることができ、身体機能や精神的健康感と関連付けて評価できる可能性のある方法である。
著者
田村遼也 今村俊幸 仲谷栄伸
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2014-HPC-143, no.21, pp.1-7, 2014-02-24

近年提唱されている,特に縦長行列 (m×n かつ m≫n) の QR 分解アルゴリズム Tall Skinny QR(TSQR) は階層的な構造による高並列性と通信最適性により極めて注目が集まっている解法である.本研究では GPGPU による TSQR の実装の中でも,CPU 資源を極力使わず,主たる計算部分を GPU に担当させる完全オフロード実装に関する研究を進めた.現時点では TSQR のフルバリエーションは未完成ではあるが,上三角行列Rの集約計算を限定したものの完全オフロード化に成功している.既存の GPU 数値計算ライブラリの代表格である MAGMA と比較しても,高速化するケースがあり,TSQR の並列性と GPU の高い処理能力が立証されたといえる.