著者
貞広 幸雄
出版者
公益社団法人 日本不動産学会
雑誌
日本不動産学会誌 (ISSN:09113576)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.118-127, 2009-04-10 (Released:2015-07-23)
参考文献数
60
被引用文献数
2 1

This paper reviews the papers discussing the evaluation and regulation of big-box retailers in Japan. Topics discussed in papers are classified into one of the four categories:1)descriptive analysis of store location, 2)evaluation of the effects of big-box development, 3)regulation of big-box retail stores, and 4)store closure in downtown area. Outline of existing studies is briefly summarized, from which directions of future studies are shown.
著者
鈴木 祐丞
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.647-671, 2014-12-30 (Released:2017-07-14)

本稿では、ウィトゲンシュタインの『哲学宗教日記』における、彼のキェルケゴールへの関係を考察する。同書から知られるのは、要約すれば、キェルケゴールが『キリスト教の修練』を通じて描き出した宗教哲学を、ウィトゲンシュタインが、実際にキェルケゴールのその著作を手引きとして、一歩一歩辿ったということである。キェルケゴールは、『修練』において、人間は、「キリストとの同時性」という状況に身を置き、「躓き」の可能性に直面し、それを実存的に乗り越えることによってこそ、信仰を得ることができると考える。また、彼は、そのような理想的な信仰の要求を前に、自らの不完全さを認識することで、人間は罪の赦しを体感できると考えている。自らに根深く巣食う虚栄心や臆病さを罪として認識するようになったウィトゲンシュタィンは、救いをキリスト教に求め、キェルケゴールの『修練』に手を伸ばす。彼は、そこで、まさにキェルケゴールが『修練』において意図した仕方で、罪の赦しにリアリティを見出したものと考えられるのである。
著者
尹 智暎 大藏 倫博 角田 憲治 辻 大士 鴻田 良枝 三ッ石 泰大 長谷川 千紗 金 勳
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.313-322, 2010 (Released:2010-07-15)
参考文献数
25
被引用文献数
8 14

The purpose of this study was to investigate the relationship between cognitive function and physical performance in Japanese older adults. Ninety four older adults, aged 65 to 87 years (mean age 71.9±5.3 years), were recruited as participants. Cognitive function was evaluated by Five-cognitive Function Test (FCFT). The FCFT, which was developed specially for Japanese older adults, consists of 5 subscale elements: attention, verbal memory, visuospatial cognition, word fluency, and associate learning. Hand dexterity (3 items), muscle strength (2 items), balance (3 items), flexibility (2 items), walking ability (2 items) and reaction ability (2 items) were defined as lifestyle-related physical performances. After adjusting for age, educational level and systolic blood pressure the FCFT score was significantly correlated with observed data of hand dexterity (hand working with a peg board, r=0.485, p<0.001), lower-extremity muscle strength (5-repetition sit-to-stand, r=-0.231, p<0.05), walking ability (5-m habitual walk, r=-0.225, p<0.05; timed up and go r=-0.304, p<0.01), and reaction ability (simple reaction time, r=-0.415, p<0.001; 4-way choice reaction time, r=-0.401, p<0.001). Multiple regression analysis revealed that the FCFT score was explained by the hand working with a peg board (F=42.36, p<0.001) and 4-way choice reaction time (F=29.62, p<0.01). The contribution rate on this model was 42%. These results suggest that cognitive functions were associated with some physical performance. Especially, hand dexterity (hand working with a peg board) and reaction ability (4-way choice reaction time) may be the useful synthetic indicators of cognitive functions in Japanese older adults.
著者
岩城 万里子
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.637-643, 2010 (Released:2016-11-30)
参考文献数
20
被引用文献数
1

Modern life overflows with the maturity of industrialized society. The ideal way of the consumer who makes [Yarikuri] is long lost. Now the theme of ecology is important. It is thought that we should review the lost custom, and improve the way we consume. Kimono, if it is seen from the point of “Let us not waste! [Mottainai] value”, has an excellent characteristic in recycling and reuse. The system that uses it well exists. Kimono returns to one cloth when the seams are removed. It was a merchant named Shikkai to have handled the system. The industrialization society put it at maturity then, I researched who Shikkai are in what situation and what role he plays. As a result, it is exposed to the crisis of the disappearance with the decline of the kimono culture though Shikkai has undergone a transfiguration with the transition of economy and industry of our country after the war. However, the idea and aspect of “Let us not waste! [Mottainai] value” run to the basic concept [Kurimawashi] of Shikkai, and peeling off and using the original value of kimono. In addition, it is thought that it is necessary to study the behavior patterns of the coordination of collecting knowledge over many topics and using it.
著者
尾縣 貢 高本 恵美 伊藤 新太郎
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.573-583, 2003-09-10 (Released:2017-09-27)

本研究の目的は,上肢の無気的作業能が400m走中の走速度逓減およびパフォーマンスに及ぼす影響を検討することであった。400m走50.70±1.38秒のタイムを持つ十種競技者10名を対象に,400m走中の40m毎の速度変化,ゴールタイム,30秒間のペダリング中およびクランキング中の最大パワー,平均パワー,パワー低下率,それぞれの運動5分後の乳酸値を測定した。主な結果は次の通りであった。1)クランキング後乳酸値/400m走後乳酸値と400m走タイムとの間には,有意な負の相関関係が認められた。この結果から,高い強度の無気的運動に耐えうる上肢の能力を高めることが,400m走のパフォーマンスを高めることにつながるものと考えられる。2)400m走では,10名全員が80m地点通過後に速度逓減を示し,ゴールまで逓減を続けた。80m以降の速度逓減は直線回帰式で表すことができ,その傾き(絶対値)を速度逓減指標とした。この速度逓減が緩やかな者ほど,400m走タイムは短いという関係が認められた。3)320-360m区間(第8区間)から360-400m区間(第9区間)への速度逓減は,上肢のパワー低下率および下肢のパワー低下率との間に有意な正の相関関係が認められた。これは,上肢のパワー発揮の持続力に優れることがゴール前の速度低下を小さく抑えることにつながることを示唆するものである。以上のことから,上肢のパワー持続能力がゴール前の速度逓減に影響を及ぼしていることが明らかとなった。
著者
横尾 章一郎 山内 寛行
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集 平成20年度電気関係学会九州支部連合大会(第61回連合大会)講演論文集
巻号頁・発行日
pp.397, 2008 (Released:2010-04-01)

SRAMの動作Marginを統計的なDC解析とTransient解析の二つの解析方法で求め、その結果を比較検討した。Read(Hold)MarginはTransient解析の方がDC解析よりも良く、WriteMarginの値はTransient解析の方がDC解析よりも悪くなった。Transient解析で各Marginのパルス幅を大きくすればDC解析の結果に漸近することが確認された。このことから適切にワード線とビット線のパルス制御幅の動作マージンへの影響を反映できていることが確認できた。発表では詳細な比較データを合わせて発表する。
著者
林 靖人 山田 崇 大島 正幸
出版者
特定非営利活動法人 産学連携学会
雑誌
産学連携学 (ISSN:13496913)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.2_20-2_28, 2020-06-30 (Released:2020-07-31)
参考文献数
17

信州大学と塩尻市は,2004年に地域ブランドに関する研究会を発足し,2005年より共同研究として地域ブランド戦略・アクションプランを構築・実践してきた.2015年からは新たに地域ブランド創造事業とコミュニティ・エンゲージド・ラーニングによる地方創生を推進している.この間,我が国は,人口増から人口減に転じ,地域・社会の様態,行政・企業・大学などの各主体を取り巻く環境・考え方も変化している.本稿では,15年以上に及ぶ取り組みを改めてふり返り,その取り組みが地域にもたらしたこと,将来の地域に向けて考えるべきことを考察する.
著者
五十嵐 弘樹 沼田 靖 田中 裕之
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第26回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.235, 2015 (Released:2015-10-20)

現在、食品廃棄物の再利用を進めるために付加価値のある物を抽出、生産する検討がなされている。糖は食品廃棄物中に多く含まれており、化粧品の原料や機能性を持つ糖を抽出、回収する試みが行われている。そのプロセスにおいて抽出物の定量分析をその場で行う必要がある。糖の分析には高速液体クロマトグラフィーが用いられている。しかし、この方法では糖の種類により異なるカラムを選択する必要がある。そこで、その場でも適応できるより簡便な糖の定量分析法の開発が望まれる。その方法としてラマン分光法に着目した。本研究では、同一分子量の糖の定量分析を確認するためにグルコースとその立体異性体であるガラクトース、及びマンノースの同定と定量を行った。得られたラマンスペクトルは各単糖によって異なっていた。また、得られたピークから作成した各単糖の検量線は良好な直線性を示し、ラマン分光法による定量が可能であると考えられる。
著者
中澤 愛子 京 哲 中西 一吉 小川 晴幾 笹川 寿之 清水 廣 田中 善章 井上 正樹 上田 外幸 谷澤 修
出版者
公益社団法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.467-472, 1991 (Released:2011-11-08)
参考文献数
15

子宮頸部におけるHuman Papillomavirus 16型, 18型の感染を子宮頸部擦過細胞から得たDNAを用いてPolymerase Chain Reaction (PCR) 法により検出した.さらにHPV感染と組織診, 細胞診との関係を比較検討した.Dot blot法と比較してPCR法は検出感度に優れていた.PCR法にてHPV16型または18型を検出した症例数は, 正常69例中11例, 頸部コンジローマ3例中0例, CIN 67例中17例, 浸潤癌30例中11例であった.Koilocyte, binucleated cell, dyskeratocyteなどのHPV感染細胞所見を検討できた59例中, PCR法にてHPV 16型または18型が陽性となったのは19例, 陰性であったのは40例であった.HPV 16型または18型陽性の19例中, koilocyteは5例 (26%), binucleated cellは4例 (21%), dyskeratocyteは11例 (58%) で, HPV陰性例40例中では, それぞれ1例 (3%), 10例 (25%), 15例 (38%) に認めた.しかし, いずれの所見も特異的でなく, 細胞診のみではHPV感染を検出するのは困難であると思われた.また, 細胞診, 組織診にて正常の症例中, 約16%にHPV DNAを認め, これらの症例の今後のfollow upが重要であると思われた.
著者
小山 健太郎 関口 和真 野中 謙一郎
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.746-754, 2014 (Released:2014-10-18)
参考文献数
13
被引用文献数
5 6

In this paper, we propose a path-following control for front-steering vehicles based on time-state control form (TSCF) using travel distance as a virtual time-axis. The technique of TSCF can transform the nonlinear dynamics of front-steering vehicles into two linear subsystems. The proposed method uses a travel distance as a virtual time-axis based on geometric relationship between controlled vehicle and reference path. This method can realize path-following control independent of vehicle heading angle. In addition, we utilize the proposed method in model predictive parking control considering the constraints of vehicle steering angle, travel range and singular point. This method can realize parking control in the area larger than the conventional method. The performance of proposed method is verified through numerical simulations and experiments with a one-tenth scale model car.
著者
内田 良一
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.252-258, 2018-09-25 (Released:2018-12-25)
参考文献数
33
被引用文献数
1

長鎖アミノアルコールと長鎖脂肪酸がアミド結合して生成されるセラミドは、スフィンゴリン脂質とスフィンゴ糖脂質の母骨格を形成する。セラミドとしても細胞と細胞内小胞器官を覆う脂質二重層膜の少量ながら構成成分となる。一方、皮膚の最外層を覆う表皮の角層細胞間において、鎖長と水酸基化度の違う酸アミド結合型脂肪酸とスフィンゴシン塩基の違いによる多様な分子種からなるセラミドは物質透過バリアの主要な構成成分となる。これら構造物的な役割に加えて、セラミドとその代謝産物のスフィンゴシン-1-リン酸やセラミド-1-リン酸は生理活性脂質(脂質メディエーター)として、細胞の増殖、分化、細胞死、および自然免疫の調節を介して、生体の機能維持に重要な役割を果たしている。
著者
大城 有騎 並里 留美子 仲西 孝之
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 第29回九州理学療法士・作業療法士合同学会 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
pp.70, 2007 (Released:2008-02-01)

【目的】 腰痛疾患に対する運動療法として腹筋運動が多く採り上げられているが、その方法は様々で、指導する際に目的とする効果が得られているのかと疑問に思うことが多い。腰痛などの体幹の痛みは、体幹の深層筋である多裂筋や腹横筋、横隔膜、骨盤底筋群の機能低下により引き起こされると言われている。その中でも腹横筋は、動作に先行して予測的に姿勢を制御するなど体幹の安定性に重要な筋肉である。また、腹部内臓を圧迫し、腹腔内圧を高め、横隔膜を押し上げることで強制呼気に作用している。本研究の目的は、腹筋運動時の呼吸方法の違いにより腹横筋の活動に変化があるのかを、非侵襲的に評価が可能な超音波診断装置を用いて検証することである。また、その結果から、腹横筋の活動に効果的な腹筋運動が示唆されたので報告する。【方法】 対象は、疾患を有しない健常者10名(男性5名、女性5名、平均年齢は25.3±3.3歳)とし、検査肢位は、ベッド上背臥位、胸上にて手を組んでもらい、両膝は屈曲位で本人が最も楽な角度とした。計測部位は、腋下線上の肋骨下端から2_cm_下方・臍方向へ2_cm_の部位にプローブ端を設置し、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋の3層構造を超音波診断装置(TOSHIBA製 LOGIQ TM400 739Lプローブ)にてイメージングした。計測方法としては、モニタリングされた腹横筋筋厚を3箇所計測し、その最大値を採用した。そして、安静吸気時の腹横筋筋厚を基準とし、呼吸方法の異なる1)胸式呼吸最大吸気にて息を止め腹筋運動、2)腹式呼吸最大吸気にて息を止め腹筋運動、3)腹式呼吸最大呼気を行いながらの腹筋運動の3種類の腹筋運動課題を行い、腹横筋筋厚の変化率を算出した。また、それぞれの課題間に有意差があるかをWilcoxon signed-ranks testを用いて検定を行い、有意水準1%未満とした。【結果】 安静吸気時の腹横筋筋厚に対する、各課題の腹横筋筋厚の変化率平均は、1)104.4±13.9%、2)102.5±8.6%、3)170±25.9%で、3種類の課題の変化率群を比較すると1)と2)には有意差が認められず、1)と3)・2)と3)の課題間に有意差が認められた(P<0.01)。【考察】 今回、超音波診断装置を用いて、腹筋運動時の呼吸方法の違いにより腹横筋の活動に変化があるのかを比較・検討した。その結果、安静吸気時の腹横筋筋厚に比べ、1)・2)の変化率は乏しく、3)の変化率が著明に増加し、1)と3)・2)と3)の課題間に有意差が認められた。そのため、最大吸気にて呼吸を停止しての腹筋運動に比べ、最大呼気を行いながら腹筋運動を実施したほうがより腹横筋の活動を促進できることが示唆された。