著者
楊 洋 植田 憲
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第58回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.116, 2011 (Released:2011-06-15)

「中国結」は、一本の紐を多様に編むことによってつくられる中国の伝統的な装飾である。近年、急速に進む近代化を要因として、消失が危惧されている生活文化のひとつである。 本研究は、「中国結」の意匠的特質を把握し、その維持・継承へ向けた指針を導出することを目的としたものである。中国における「結び」の文化を再確認・再認識することを念頭におきつつ、調査・研究を実施した。 古文書などの文献調査をはじめ、江西省南昌市における職人や地域住民への聞き取り調査、質問紙調査を行い、次の事柄を明らかにした。(1)「中国結」は、大きく、「基礎結」「変化結」「組合結」の三種類に分類することができる。(2)「中国結」は春秋戦国時代(前770~前476年)以前、紐を「結ぶ」ことは、実用性のみが求められていたが、春秋戦国時代から「結び」に装飾性がみられるようになった。唐・宋時代 (618~1279年)は、「中国結」の第一流行期であるといえ、椅子や傘、服などに、「中国結」が施された様子を確認することができる。「万字結び」「綬帯結び」「団錦結び」「酢草結び」の「基礎結」はこの時代に生み出された「中国結」である。明・清時 代になると、人びとは「基礎結」を発展させた「変化結」や「組合結」を創出し、さらに「結び」の意味の範囲は広く、種類は多様になった、独特の風格を特徴として、多く の民衆に受け入れられ、中国の伝統的な吉祥物として、全国に広がっていった。(3) 道教・仏教・儒教・陰陽五行説など伝統的思想から吉祥を求める「中国結」の寓意内包が充実するとともに、さらに一層、人びとに親しまれるようになった。また、「結び」に使われる特定の色彩の組み合わせがみられることから、色と「結び」付いた意味などが含まれている場合も多い。いつの時代にあっても幸せな人生を歩むために、人びとは「結ぶ」という行為のなかに、さまざまな心の機微を込めてきた。(4)気持ちを込める媒体としての「中国結」人びとは、自身のさまざまな感情や思惟を「結び」に託して豊かに表現した。 伝統的な「中国結」の意味は、今日、中国の人びとに十分に理解されているとはいえない状況にある。時間をかけて育まれた中国の「結び」の文化を、中国で暮らす人びとが再認識・再評価し、次の世代へ継承していくために、教育現場での活用、実用的な生活 用具に応用することが重要である。
著者
坂本 昌巳 三野 孝 藤田 力
出版者
The Crystallographic Society of Japan
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.135-139, 2005-04-27 (Released:2010-09-30)
参考文献数
20

Synthesis of optical active compounds from achiral or racemic materials is one of the most impressive studies in organic chemistry. Here we provide two new technique of generation of optical activity without anyl outside chiral source. One is the breaking of chiral symmetry of axially chiral materials via racemization-preferential crystallization method. Another involves the asymmetric reaction using the frozen chirality generated by chiral crystallization of achiral materials.
著者
庄司 泰雅 大畑 聡 三田 久徳
出版者
千葉県水産研究センター
雑誌
千葉県水産研究センター研究報告 (ISSN:13472534)
巻号頁・発行日
no.2, pp.7-13, 2003-03

1999年5月から2001年5月の間、バイのインポセックス個体が産卵可能であるかを九十九里沿岸及び内房富浦沖のバイトを用いて検討した。使用した材料の個体数は、九十九里沿岸で797個体、富浦沖65個体で、インポセックスを含めた雌雄比は、九十九里沿岸53:47、富浦沖33:32でほぼ1:1であった。殻長63~93mmの範囲において、インポセックスの発生率は、九十九里沿岸でも成東沖で65.4~92.6%、南白亀川沖で85.0~100%と地先により違いが認められた。内房富浦沖では100%であった。九十九里沿岸のバイの殻長とペニス長の関係は、雄個体では殻長に比例してペニスが長くなったが、インポセックス個体では、殻長70mm以上で特に比例関係は認められなかった。殻長70mm以上の生殖腺熟度指数(G.I)は、雄及びインポセックス個体で5~8月に高く、9月以降低下した。正常雌のG.Iが特にインポセックスのG.Iより高い傾向を示さなかった。成東沖の殻長51~59mmのバイでは、5月中旬でも生殖腺の発達は認められなかった。産卵時期の水温が、20℃以下で経過した年は、産卵不調に陥り、個体群の維持に影響すると考えられた。資源管理の面からは殻長60mm、もしくは70mm以上で漁獲するのが望ましい。
著者
佐々木 輝美 武藤 栄一
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
放送教育研究 (ISSN:03863204)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.57-70, 1987

While the problem of "ijime (bullying)" has become serious among pupils, few scholars have paid attention to this problem until recently. Among the studies done by scholars, most of them are fact-finding surveys and are not enough to explain why pupils bully others. Pupils' ijime behavior is sometimes very violent and such behavior is often portrayed on TV programs. Thus, it is possible to consider the issue from the view point of TV violence. Many researchers have undertaken studies of TV violence in western countries. Several theories on the mechanics of how television violence affects the viewer have been raised. One such theory, supported by past research, deals with the effects of modeling as well as of desensitization. The objective of this study is to examine the effects of "ijime" TV programs on children within the framework of observational learning theory and desensitization theory. The following three hypotheses will form the basis for this study. 1) Pupils exposed to "ijime" TV programs tend to bully others. 2) Pupils learn ways of bullying more through TV than any other medium. 3) Pupils exposed to "ijime" TV programs are more desensitized to bullying behavior by others. A survey was conducted in order to test the above hypotheses. The subjects were 977 (male 497, female 480) junior high-school students. The questionnaire included the following headings: 1) sex 2) programs frequently watched 3) experiences of bullying behavior 4) media through which students learn this bullying behavior 5) degree of desensitization to real bullying (students were asked how they would react if they happened to see real bullying by others) The first hypothesis was proved as a result of a chi square analysis of the obtained data; while the others were not. By discussing these results, the following were suggested. 1) In measuring desensitization, our questionnaire did not seem to be sensitive enough, and this reminds us of the basic problem of difficulty in measuring attitude. 2) In the process of learning bullying behavior, personal media as well as mass media seem to function as sources of acquiring bullying methods. This suggests that it would be necessary to clarify the interaction of these two types of media. 3) Pupils exposed to " ijime" TV programs tend to bully others and this suggests the necessity to control the portrayal of bullying behavior on TV.
著者
乾 睦子 北原 翔
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.115, no.3, pp.146, 2009-03-15 (Released:2013-11-27)

訂正地質学雑誌115巻1月号掲載の口絵(乾 睦子・北原翔,2009,日本の建築用大理石石材と産地の現状.地質雑,115,Ⅰ-Ⅱ.)において,石材産地の記述に誤りがありましたので,下記のとおり訂正いたします.著者一同第2図.キャプション2行目.誤)岩手県大槌町正)岩手県遠野市(宮守町)
著者
伊藤 真利子 大西 立顕
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第42回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.1P10, 2019 (Released:2019-10-22)
参考文献数
7

化合物空間をネットワークにより表現することで空間の特徴を捉えようとする試みが先行研究でされている.このネットワークでは頂点が化合物を表し,二つの化合物の類似度がある閾値よりも高ければ頂点間にリンクが張られる.しかし,ネットワーク構造は閾値の設定に大きく依存する.そこで本研究では,二頂点間のリンクの重みを化合物の類似度とした重み付きネットワークを考える.生物活性低分子データベースのChEMBLから各ターゲットに対する化合物のデータを取得し,それらの重み付きネットワークの構造を解析した.その結果,極めて強く他の頂点とつながるような頂点は見当たらなかった.またネットワーク全体のコミュニティ構造は弱かった.しかし部分的に,互いに強くつながり合い,全体とは異なる生物活性分布をもつ化合物の集合が見られた.また特に強い(もしくは特に弱い)生物活性値をもつ化合物同士は強くつながり合っていることもわかった.
著者
堀 憲次
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第42回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.2B08, 2019 (Released:2019-10-22)
参考文献数
5

合成経路設計システムにより創出される経路は、①多くの場合前駆体の合成が合成困難、②多段階合成では、合成経路の数が発散する、③提案合成反応は標的分子を主生成物として与えない可能性がある、などの理由により標的分子の合成を保証しない。①はSAスコアを計算することで、②はin silicoスクリーニングと実験の組み合わせにより解決できる。本研究では、③について、RDkitを用いて可能性のある反応を予測し、それらについて理論計算を行うことにより、どれが主反応であるかを決める手順を作成することを試みた。これは、複数の生成物が予想される反応では、単にTS構造を求めるだけでは不十分で、最も低い活性化自由エネルギーを与えるTS構造を求めて比較することで始めて、主生成物がどれであるかを判定できることによる。開発された手法をEne反応に対して適用し、主生成物が何であるかについて予測できる可能性が示された。
著者
金谷 重彦 小野 直亮 森田 晶
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第42回ケモインフォマティクス討論会 東京
巻号頁・発行日
pp.1P02, 2019 (Released:2019-10-22)
参考文献数
3

メタボローム研究を中心に薬用・植物知識ベース(機能性、配合)、さらにヒト生理活性を統合的に扱うデータベースKNApSAcK Family DB(http://kanaya.naist.jp/ KNApSAcK_Family/)の構築を進めている。メインウインドウを図1に示す。KNApSAcK Core Systemには、生物種と二次代謝物の関係データ情報が整理されており、現在までに、114,238レコードの生物種-二次代謝物の関係、二次代謝物の総数は51,086種となっている。さらに、アルカロイドにおける生合成経路データベースCobWebを開発した。本データベースを活用し、グラフコンボリューションニューラルネットワークにより、代謝経路既知のアルカロイド化合物を生合成開始物質へ分類したところ、非常に良好な識別結果を得た。
著者
櫛 泰典 六川 千秋
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

平成6、7年度分人ABO血液型を司るのはO型糖鎖を前駆体としてA型の人ではA型糖鎖を作るα1-3ガラクトサミン転移酵素、B型の人ではB型糖鎖を作るα1-3ガラクトース転移酵素の存在が知られ、その存在の有無が大きく関連している。この研究は人の赤血球のAB型の人の型活性糖脂質を詳細に調べたことによって得られた結論を基にして細胞表面のA型糖鎖、B型糖鎖発現をAB型の人ではどのように調節されているのか解明するためのアプローチで、以下の点を平成7年度に解明することを目的として研究を行った。1。AB型の人ではA型合成酵素とB型合成酵素の両方が存在し、O型糖鎖を基質として糖鎖の伸長を行うが分岐したO型糖鎖にA型糖鎖とB型糖鎖が結合したハイブリッド型の糖鎖が存在しないのか?2。しないとすればA型合成酵素とB型合成酵素は基質に対して親和性が異なるのか?あるいはA型合成酵素の局在とB型合成酵素の局在がGolgiで異なるのか?3。また、基質となる分岐型のO型糖鎖がGolgiでどのように存在するのか?を中心に研究を行い、以下の結果を得た。1、AB型の人の赤血球を個別に集め、これより糖脂質を抽出し、型活性を調べ、既に200例を増やしても糖脂質としては各々分子上に型活性糖鎖が結合していることが確認された。より簡便にするためにα1-3ガラクトサミン特異的レクチン(HP)を用いて酵素分解との組み合せも上記の結果を支持した。また、ハイブリッド型の糖鎖が存在しないか確認するためにいくつかの特異的糖鎖分解酵素とその後の薄層クロマトグラフィーでの免疫染色を行った結果、その様なハイブリッド構造を持つ分子は存在しないことが明かにされた。血液型物質が多量に含まれる小腸や大腸についても同様の結果を示した。4、A型赤血球膜より抗A抗体に反応するガングリオシド構造を明かにするために大量のA型赤血球膜を集め、これを出発材料としてガングリオシドを抽出、精製を行った。イオン交換クロマトグラフィーによってモノシアロ、ジシアロ画分に分離を行い、更に、モノシアロ画分を分離し、抗A抗体により、免疫染色を行うS-Iの下に数本の陽性バンドが検出され、その完全構造を解析した結果、新規のA型エビトープを一方に持ち、もう一方にはシアル酸が有する構造と思われる。現在その完全構造を検討している。
著者
日本チバガイギー株式会社アグロテック事業部開発
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.709-712, 1991-11-20 (Released:2010-08-05)

フェノキシカルブの安全性評価のために, 原体および製剤 (25%水和剤) を用いた各種の毒性試験を実施した. その結果, 本剤は急性毒性がきわめて低いほか, 皮膚および眼に対する刺激性もほとんどなく, また皮膚感作性も認められなかった. 亜急性および慢性毒性/発癌性試験では, 体重増加抑制や肝臓重量の増加などが認められ, また, 一部試験で肝臓の病理組織学的変化が認められたが, 発癌性は認められなかった. 繁殖毒性および催奇形性も認められなかった. 細胞毒性を示す濃度においても変異原性は認められなかった.フェノキシカルブを25%含有するインセガー水和剤は, 農林水産省により1990年11月7日に農薬登録され, また, 本剤の登録保留基準値は, 果実2ppm, かんきつ果皮20ppm, 茶1ppmと設定されている。本剤は定められた使用基準を遵守することにより, 安全性を確保できる農薬であり, 農業資材の一つとして有用であると考えられる.
著者
Atsushi Tateno Masatake Asano Daisuke Akita Taku Toriumi Niina Tsurumachi-Iwasaki Tomohiko Kazama Yoshinori Arai Taro Matsumoto Koichiro Kano Masaki Honda
出版者
Nihon University School of Dentistry
雑誌
Journal of Oral Science (ISSN:13434934)
巻号頁・発行日
pp.18-0458, (Released:2019-10-21)
参考文献数
45
被引用文献数
13

Tissue engineering is a promising approach to supplement existing treatment strategies for craniofacial bone regeneration. In this study, a type I collagen scaffold made from a recombinant peptide (RCP) with an Arg-Gly-Asp motif was developed, and its effect on regeneration in critical-size mandibular bone defects was evaluated. Additionally, the combined effect of the scaffold and lipid-free dedifferentiated fat (DFAT) cells was assessed. Briefly, DFAT cells were separated from mature adipocytes by using a ceiling culture technique based on buoyancy. A 3 cm × 4 cm critical-size bone defect was created in the rat mandible, and regeneration was evaluated by using RCP with DFAT cells. Then, cultured DFAT cells and adipose-derived stem cells (ASCs) were seeded onto RCP scaffolds (DFAT/RCP and ASC/RCP) and implanted into the bone defects. Micro-computed tomography imaging at 8 weeks after implantation showed significantly greater bone regeneration in the DFAT/RCP group than in the ASC/RCP and RCP-alone groups. Similarly, histological analysis showed significantly greater bone width in the DFAT/RCP group than in the ASC/RCP and RCP-alone groups. These findings suggest that DFAT/RCP is effective for bone formation in critical-size bone defects and that DFAT cells are a promising source for bone regeneration.
著者
Kabun Yamauchi Akimasa Tsujimoto Carlos A. Jurado Yusuke Shimatani Yuko Nagura Toshiki Takamizawa Wayne W. Barkmeier Mark A. Latta Masashi Miyazaki
出版者
Nihon University School of Dentistry
雑誌
Journal of Oral Science (ISSN:13434934)
巻号頁・発行日
pp.18-0433, (Released:2019-10-21)
参考文献数
31
被引用文献数
28

In this study, dentin bond fatigue resistance and interfacial science characteristics of universal adhesives through etch-and-rinse and self-etch modes were investigated. Resin composite was bonded to human dentin with four universal adhesives, namely, Adhese Universal, All-Bond Universal, G-Premio Bond, and Scotchbond Universal Adhesive. The initial bond strengths, bond fatigue strengths, and interfacial science characteristics of the universal adhesives with dentin through etch-and-rinse and self-etch modes were determined. Bond fatigue resistance (initial bond strength and bond fatigue strength) of universal adhesives in etch-and-rinse mode showed no significant difference in contrast to that in self-etch mode and was material-dependent regardless of the etching mode. Although phosphoric acid conditioning of dentin did not have a strong impact on the bond fatigue resistance, surface free energy and parameters of dentin were significantly decreased by etching and by application of universal adhesives regardless of etching mode. Changes in γS and γSh for when universal adhesive was applied to etched and ground dentin were significantly different depending on the adhesive. The results suggest that bonding performance of universal adhesives was effective in both etching modes; however, bonding mechanisms may be different for each.