著者
知念 直紹 保坂 哲也
出版者
防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究の目的は、幾何学的群論において重要な群である無限離散CAT(0)群の研究である。特に、CAT(0)群の幾何的に作用するCAT(0)空間の位相的性質あるいは Gromovが提案したCoarse的な性質の研究である。当該年度はNovikov予想と関連があるasymptotic次元の有限性の研究に従事した。3月に実施された早稲田大学での幾何学的トポロジーの研究集会において、早稲田大学の佐藤氏よるBaumslag-Solitar群のHopfian性の解説、特に小山氏による計算トポロジーの視点からみた有限空間の逆極限の解析は、コンパクト空間の逆極限であるCAT(0)空間の理想境界の解析に適用できると考えられるので、有限空間の逆極限の解析をすることによってasymptotic次元の有限性の研究に生かした。また、任意のコンパクトな距離空間はある有限空間の逆極限とホモトピー同値であることから、この結果はCAT(0)群となんらかの関係があると予想される。CAT(0)空間の基礎的あるいは代表的な空間であるユークリッド空間の無限等長群を研究することは無限CAT(0)群を研究することにおいて重要である。もっと一般に、ある性質Pをもつ位相群について、その位相群は位相群の半直積と同型となるかを解析した。よく知られている有限次元ノルム空間の有限対称積の等長群を決定したが、無限次元ノルム空間はいまだに解決には至っていない。引き続き無限次元について研究を行う。また、任意のコンパクトな距離空間はある有限空間の逆極限とホモトピー同値であることのシンプルな証明を横浜国立大学の横浜セミナーにおいて発表した。特にその逆極限の中に位相的に距離空間を埋め込めることができ、その埋め込みは距離空間として最大であることも分かった。
著者
江崎 行芳 沢辺 元司 新井 冨生 松下 哲 田久保 海誉
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.116-121, 1999-02-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
17
被引用文献数
8 10

「老衰死」の有無を考察するため, 老年者の最高グループである百歳老人 (百寿者) 42剖検症例の死因を検討した. 対象は, 最近までのおよそ20年間に東京都老人医療センターで剖検された男性9例, 女性33例で, この性別比は全国百寿者のもの (1対4) にほぼ一致する.臨床経過や諸検査値を充分に考慮して剖検結果を検討すると, これら42症例の全てに妥当な死因があった. 死因となったのは, 敗血症16例, 肺炎14例, 窒息4例, 心不全4例などである. 敗血症の半数近くは腎盂腎炎を原因としており, 肺炎の多くが誤嚥に起因していた. 悪性腫瘍は16例に認められたが, その全てに前記死因のいずれかがあり, 悪性腫瘍自体が主要死因となったものは1例も存在しなかった.超高齢者では, (1) 免疫機能の低下, (2) 嚥下・喀出機能の低下, が致死的な病態と結びつきやすい. しかし, このことと「老齢であるが故の自然死」とは関わりがない.「老衰死」なる言葉に科学的根拠があると考え難い.
著者
太田 成男 大澤 郁朗 金森 崇 麻生 定光
出版者
日本医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

ミトコンドリアに局在するアルデヒド脱水素酵素ALDH2は、エタノール代謝においてアセトアルデヒドから酢酸への反応を触媒する。その一塩基置換の遺伝子多型であるALDH2^*2はドミナント・ネガティブに働き、ALDH2活性を抑制する。我々は、ALDH2^*2が晩期発症型アルツハイマー病(AD)の危険因子であり、ALDH2^*2をもつ健常人集団の血清には、過酸化脂質がより多く蓄積していることを示した。過酸化脂質は、毒性の強いアルデヒド類である4-ヒドロキシ-2-ノネナール(4-HNE)に自然に変換されることから、4-HNEがALDH2の標的基質であることを想定した。すなわち、ALDH2酵素活性が低下すると4-HNEが蓄積し、毒性を発揮すると想定した。この想定を証明するために、マウス型ALDH2^*2遺伝子をPC12細胞に導入し、ALDH2活性をドミナント・ネガティブ低下させた。そして、ALDH2活性欠損株に酸化ストレスを与えると、4-HNEの蓄積と細胞死が促進されることを証明して、この仮説が正しいことを証明した。すなわち、ALDH2は酸化ストレスへの防御機構として働いていることが示唆された。次に個体レベルにおいてALDH2活性の欠失が及ぼす影響を調べるため、アクチン・プロモーター下にマウスのALDH2^*2を挿入し、トランスジェニック(Tg)マウスを作製した。3系統のTgマウスについて解析したところ、骨格筋において、過酸化脂質の分解物であるマロンジアルデヒドと4-ヒドロキシアルケナールが蓄積していた。しかも、筋繊維は生後直後正常であり、age-dependentの筋繊維の萎縮であることを見いだした。そこで、ALDH2欠損マウスでは、酸化ストレスが亢進されていることが推定された。さらに、ALDH2欠損筋繊維では、ミトコンドリア脳筋症の指標であるragged-red-fiberとミトコンドリアの凝集が認められた。このTgマウスでは、ALDH2^*2によりALDH2活性が抑制され、酸化ストレスによって生じるアルデヒド類の解毒能が低下した結果として筋萎縮が生じたものと考えられる。ragged-red fiberが出現したことから、ミトコンドリア脳筋症のモデル動物となる可能性がある。
著者
野田 起一郎
出版者
公益社団法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.226-230, 1972-10-30 (Released:2010-10-21)
参考文献数
10

The process of squamous metaplasia in the uterinecervix might be discussed more properly in contextwith inflammation, regeneration or repair for itsinitiation may be related to the inflammatory process. On the other hand, squamous metaplasia maybe initiated by non-inflammatory stimuli such aschronic irritation of a physical nature or by chemicalirritants. Althorgh the process of squamous metaplasia is extremely common in the uterine cervix, itis not usually regarded as a change which necessarilyantedates development of cancer. However, some of the chemical stimuli which initiate squamous metaplasia are also capable of inducing cancer in theuterine cervix of the experimental animals.Squamous metaplasia can be arbitrarily subdividedinto: 1. reserve cell hyperplasia, 2. immature squamous metaplasia, 3. premature squamous metaplasia and 4. mature squamous metaplasia. The cellularchanges which can be related to each of them havebeen presented.
著者
石川 清子 イシカワ キヨコ Kiyoko ISHIKAWA
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture bulletin
巻号頁・発行日
vol.15, pp.9-22, 2015-03-31

ゾラの『居酒屋』の舞台になったパリ、18区のバルベス、グット・ドール地区は20 世紀後半からアルジェリア、モロッコ、チュニジアの北アフリカ(マグレブ)移民労働者が多く住み、現在はアラブ・アフリカ人街としてパリのなかでも複数のエスニシティ、言語、文化が混在する独特の雰囲気をもつ地区になっている。「パリのなかのメディナ」「アラブ人のゲットー」とも呼ばれるこの地区はフランス人及び北アフリカ出自の作家、アーチストに作品の題材を提供してきた。本稿では、バルベス、グット・ドールにおけるマグレブ移民労働者のプレゼンスを社会的、歴史的に概観しながら、文学を中心に音楽や映画におけるその表象を考察し、マグレブのみならずフランスにとっての「記憶の場」のあり方を検証する。
著者
會田範治 原田春乃編著
出版者
明治書院
巻号頁・発行日
1960
著者
長福 香菜
出版者
広島大学国語国文学会
雑誌
国文学攷 (ISSN:02873362)
巻号頁・発行日
no.212, pp.17-31, 2011-12

1 0 0 0 蓮月と敦子

著者
佐藤 節夫
出版者
日本陶磁協会
雑誌
陶説 (ISSN:05639522)
巻号頁・発行日
no.693, pp.42-44, 2010-12
著者
塩田良平編
出版者
筑摩書房
巻号頁・発行日
1965
著者
佐口 健一 田中 佐知子 小林 文 中村 明弘
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.75-80, 2019-02

近年,教育現場における学習成果の評価方法として,パフォーマンス評価が求められており,その評価方法の一つとしてポートフォリオ評価が挙げられる.ポートフォリオには学生が学修カリキュラムを通した振り返りとして,成長した点や反省点などが記述されている振り返りシートが含まれる.そこで本研究ではテキストマイニングの手法を用いて振り返りシートの記述内容の分析を試みた.2018年度の2〜4年次の学生582名の内,本研究に参加の同意が得られた557名を対象とし,各学生が2年次3月初めのオリエンテーションの際に提出した1年次振り返りシートを解析した.調査項目は,1年次を振り返り,自分の「成長した点」と 「反省点」についての自由記載とした.解析の結果,「成長した点」として最も多かったカテゴリは「寮生活」で,次いで「友達」,「コミュニケーション」であった.これらの抽出されたカテゴリから,本学の特徴である初年次全寮制教育において学生はコミュニケーション能力が高まったと感じていることが明らかとなった.また,「反省点」として最も多かったカテゴリは「勉強」で,次いで「テスト」,「予習復習」であり,集中して勉強できなかったことや,勉強開始がテスト直前になってしまったことなどを挙げている.これらの結果から,テキストマイニングの手法を用いてポートフォリオの振り返りシートの記載内容を解析することにより,学生が初年次全寮制教育プログラムで学んだと感じている内容を,教員が根拠をもって認識できることが明らかとなった.
著者
玉垣 庸一 宮崎 紀郎 小原 康裕
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.9-18, 2007-09-30 (Released:2017-07-11)
参考文献数
15

よく知られた伝統的なカラーオーダーシステムの一つであるオストワルトシステムは一般に混色系として分類されている。しかし本稿では、対数変換によって明るさ尺度の等歩度性(知覚的均等性)を獲得していることからオストワルトシステムは混色系と顕色系の両側面を兼ね備えたカラーシステムであると考えた。そして、CG生まれのカラーシステムの1つであるHSVカラーモデルを混色系と見なし、オストワルトシステムとの関連性を究明した。混色系の表色値としてRGB値が測色的に定義されているとき、HSVカラーモデルのSパラメータとVパラメータがそれぞれ対数変換前の混色的なオストワルト等色相三角形における純度、鮮明度に対応することを明らかにし、色ベクトル空間に展開されたHSVカラーモデルの等色相三角形は対数変換前の混色的なオストワルト等色相三角形と構造的に一致することを示した。