著者
大山 敬三 神門 典子 佐藤 真一 加藤 弘之 日高 宗一郎
出版者
国立情報学研究所
雑誌
学術情報センター紀要 (ISSN:09135022)
巻号頁・発行日
no.12, pp.111-120, 2000-03
被引用文献数
1

学術情報センターで開発中のオンラインジャーナル編集・出版システムは,学協会や大学が刊行する学術雑誌の執筆・編集・出版のすべての工程を電子化・オンライン化し,学術研究成果の流通を効率化するものである.学協会が運用して編集に利用するインハウスシステムは多様な編集部体制や文書形式に対応できる設計となっている.学術情報センターが運用してオンライン出版に用いるシステムは強力な検索能力を持ち,多数の購読者支援機能を提供する.本稿では,このシステムについて,著者,編集担当者,購読者などの視点からの機能や利用方法を説明し,学協会における活用方法を紹介している.
著者
井手 輝二 Teruji Ide
出版者
電気通信大学
巻号頁・発行日
2016-06-24

近年,無線通信システムにおいては,通信速度の高速化が図られている.第1及び第2世代移動通信システムでは音声通信が中心であったが,第3世代では数Mbpsまで高速化した.現在では第3世代と第4世代が混在しており最大100Mbps程度の高速化が実現している.第5世代移動通信システムが実用化すると想定される2020年頃には第3世代,第4世代,第5世代などの各システムが混在していると予想される.低IF方式受信機は,低IFで増幅度をある程度必要とするようなやや低速のデータ伝送の用途に対応するための狭帯域システムに適している.自営無線システムなどでは,今後も狭帯域システムが使用される場合があるため,低IF方式受信機の使用される用途が存在すると考えられる.zero-IFと低IF方式はハードウエア構成が同じであるため,ソフトウエア無線やコグニティブ無線のようにマルチバンドやマルチシステム対応で適用システムを切り替えるときに,ソフトウエアでzero-IFと低IF方式のどちらかの方式を切り替えることが必要な用途に適している.上記各システムが混在している場合において,周波数帯あるいは広帯域(高速データ伝送)/狭帯域(低速データ伝送)をソフトウエアで切り替えることが容易に可能である.本論文は,低IF方式の受信機において必須の課題であるイメージ信号の抑圧比を向上させるために,位相偏差補償処理及び振幅偏差補償処理をディジタル信号処理により実現する厚生及び処理方式の実現について述べている.位相偏差補償処理及び振幅偏差補償処理については受信機に入力した信号によりブラインド的に位相偏差と振幅偏差を検出して補償する方式と,パイロット信号を位相偏差と振幅偏差を生じるアナログデバイスに入力して,位相偏差と振幅偏差を検出して補償を行う方式に分けられる.補償する方法はフィードバック方式及びフィードフォワード方式,位相偏差と振幅偏差を直接検出して補償する方法と逆行列演算で補償する方法,収束アルゴリズムによる方法等がある.本論文では,収束アルゴリズム等は使用せず演算処理を少なくする方法としてブラインド的に1次の制御ループでフィードバック形式による補償方式,パイロット方式で逆行列でフィードフォワード形式により補償する方法を提案し,その解析及び性能評価を行う.第2章では,従来のイメージ信号抑圧方式を解析して,低IF受信機における位相・振幅偏差のイメージ信号抑圧特性への影響を示し,従来方式の問題点を明らかにする.さらに,提案方式の受信機の構成を検討して示す.第3章では,上記ブラインド的にフィードバック形式により1次の制御ループで補償する方法について,実用的な処理で位相・振幅偏差を検出して補償が出来る事の理論的根拠を示し,提案方式の構成において有効性を評価するために計算機シミュレーション及び実験によりイメージ信号抑圧比(IRR:Image Rejection Ratio)が向上することを確認して,その特性の評価解析を行う.さらに提案方法を実用的なFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の処理に対応するために,固定小数点演算の影響があっても実用的な入力信号範囲(入力信号の振幅の現象又は量子化ビット数の減少)で所要の60dBのIRRが可能であることナラビニ処理負荷を軽減するための近似処理による誤差(劣化)を評価解析する.また,収束時間(時定数)・入力信号の帯域幅と精度(分散)の関係及び2信号特性(希望波とイメージ波)についてもシミュレーション及び実験結果について考察して解析を行う.第4章では,上記パイロット信号を使用してフィードフォワード形式で逆行列演算による補償方式について提案を行い,理論的根拠を示し,提案方式の方法において有効性を評価するために第3章の制御ループによる方法と同様に計算機シミュレーションによりイメージ周波数信号抑圧比が向上することを検証して提案手法の評価解析を行う.パイロット方式では,温度変化等により位相及び振幅偏差が変化した場合においても補償が可能となるように受信信号とパイロット信号を合成して補償する方法の提案方式においてデータを平均する必要があるがその平均するデータ数・受信信号(妨害波)の帯域とIRRとの関係をシミュレーションで確認して解析を行う.第5章では,第3章及び第4章における提案方式であるブラインド方式及びパイロット方式についての比較を行い,通信システムに対する適用性を評価解析する.第6章は結論であり,第2章から第4章までの成果を要約する.
著者
宮崎 誠 冬木 正彦 三矢 晴彦 栗原 星史 奥田 高広 植木 泰博
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2017-CE-142, no.12, pp.1-5, 2017-12-01

CEAS3 の UI をマルチデバイス ・ モダンブラウザに対応した CEAS10 の開発に続き,CEAS10 のバックエンド部を Ruby on Rails の開発フレームワークを使い,Ruby で書き直すことで実装を最新にした OpenCEAS を開発している.MVC モデルに基づいた設計を充分把握することで View の改修 (CEAS10 の開発),Ruby on Rails によるソースコードの書き換え (OpenCEAS の開発) の 2 段階に分けたモダナイゼーションを実行することができており,1 度に開発する場合と比較して失敗するリスクが少ないと考えるシステム開発手法をとることができた.また,Ruby on Rails の DRY 原則,CoC,REST 原則といった基本理念に沿って開発することでソースコードが最適化され,コード量を大幅に削減できた.また,OpenCEAS のソースコードは,将来オープンソースにすることでシステムが広く普及することを目指しており,公開にあたっては,自由度の高い MIT ライセンスを採用する予定である.

1 0 0 0 OA Soichiro Asano

著者
Satoshi SAITO
出版者
Business History Society of Japan
雑誌
Japanese Yearbook on Business History (ISSN:09102027)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.55-75, 2003-03-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
8
著者
石岡 浩
出版者
Japan Legal History Association
雑誌
法制史研究 (ISSN:04412508)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.50, pp.137-160,en8, 2001-04-20 (Released:2009-11-16)

The purpose of this paper is to clarify the position of Fu-zuo and Chixing in the penal system of the Han Dynasty. Generally, Fu-zuo is considered as a slight punishment, and Chi-xing is considered as prisoners whose punishments are commuted because of their aristocratic rank. But I conclude that Fu-zuo and Chi-xing are the names of punishment which is commuted to the lower by the amnesty.After the change of the labour penal system in Wen-Ti _??__??_in 167 BC, when an amnesty was granted, the prisoners being condemned to death were commutated to the labour penalty, and the prisoners being imposed a labour penalty were cut down their term of imprisonment. Such prisoners were called Fu-zuo or Chi-xing. A lot of them were commanderred to the outlying region of North and used as soldiers and farmers till the maturity of their term. But after maturity, they could enter in the family register with their families at the front prefecture.Besides, when an amnesty was granted, some Chi-xing were transfered to the studio in a capital that was called Zuo-xiao _??__??_. They were cut down their term and at work there.In the Han's penal system, punishments were divided into two groups. One group consisted of death punishment and labour punishment. These two punishments were the main of penal system. And another group consisted of Chi-xing. It was, so to speak, to reserve labour and colony. So in case of need, it was extracted from regular prisoners by an amnesty.
著者
難波 康治 佐合 弘行 Nanba Koji Sago Hiroyuki ナンバ コウジ サゴウ ヒロユキ
出版者
大阪大学留学生センター
雑誌
多文化社会と留学生交流 (ISSN:13428128)
巻号頁・発行日
no.12, pp.113-120, 2008

留学生センター日本語教育部門では、日本語教育プログラムの改革と平行して平成18年度の教育基盤整備費の配分を受け、従来のプレースメントテストと履修登録手続きをすべてWEB化し、学内外のどこからでも縦横申請を行えるシステムを開発した。本稿は、その開発の経緯とシステムの概要について報告する。
著者
寺尾 京平
出版者
香川大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、臓器を物理的に切断し、1細胞サイズまで微小分割することで、立体的な臓器を空間的に「3次元分解」する新たな解析技術の確立を目指す。シリコンナノ加工技術により実現した独自技術であるシングルセルの一括切断技術をベースに、脳・腎臓等の様々な臓器を細胞レベルまで空間的に分割することで、多様な組成をもった微小臓器断片を得る。本年度以下の3項目について実験技術の構築と検証を行った。(1)生体から摘出した臓器を物理的に分割する刃状構造体(ナノブレード)を有した空間分画デバイスの製作:マウス臓器スライスをターゲットとして貫通孔を有したナノブレードアレイの作製条件、及び構造解析により強度に関する検討を行った。結果として、シングルセルサイズの貫通孔を有した様々なブレードアレイデバイスを完成させるとともに市販容器との適合性を考慮したチップ形状を実現した。(2)臓器サンプルへの正確なアプローチと確実な切断を実現する切断・送り機構の構築:押圧時に空間分画デバイスを臓器に確実にコンタクトさせるため、ナノブレードを保持する機構について開発を行った。また、操作性向上のためアタッチメント式で交換が容易なブレードデバイス脱着機構を考案した。(3)モデル臓器であるマウス脳・腎臓スライスを利用した空間分画の原理実証とイメージングによる分画状態の検証:マウス脳スライスをサンプルとして、空間分画を行い、各区画への薬液吐出時に隣接区画にリークがないことを確認し、それぞれの区画が独立した溶液層として利用できることを示し、細胞ライセートの逐次回収を実現した。
著者
國谷 実
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.376-381, 2019-08-01 (Released:2019-08-01)

日本の近代博物館の歴史,特に戦前の歴史をたどり,①殖産博物館,②集古博物館,③教育博物館,④通俗教育館(社会と科学の博物館),⑤科学博物館に分類する。これに対し,戦後の博物館は,社会教育法に基づく社会教育のための博物館に位置付けられており,特に②と⑤に特化している。しかし,戦後の博物館,――特にそのうちの科学博物館(科学館)は400~500館あると言われているが,近年,資金不足と老朽化や陳腐化によりその多くが転機に立たされている。今後,戦前の博物館の多様性を取り戻すことが重要であり,特に新しいイノベーションに貢献する科学館への方策を提言する。
著者
周 少丹
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.371-375, 2019-08-01 (Released:2019-08-01)

本稿は,中国政府の科学技術政策の流れを追いかけ,「新しい研究開発システムの構築」「自立的発展方針の確立からナショナル・イノベーション・システムの構築へ」「全面的イノベーション駆動発展戦略の実施」を三つの段階に分けて概観したものである。わずか数十年で米国と肩を並べる科学技術大国にまでに発展してきた中国の科学技術をどのように把握すればよいのかが大きな課題である。中国の科学技術はボリュームが大きく,欧米との間の人員流動も激しく,中国の指導部ですら把握していない部分もある。そのため,本稿にて提示した中国の科学技術政策のターニングポイントをよく知ることは,中国を理解する重要なツールとなると考えている。
著者
遠藤 悟
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.364-370, 2019-08-01 (Released:2019-08-01)

米国,ドイツ,英国の科学技術政策は,それぞれの国の政治システムの相違に加え,各国の研究活動の様態やアカデミックコミュニティーが果たす役割等により異なる特徴が見られる。本稿においては,各国の最近の科学技術政策の動向を具体的な事例とともに紹介する。米国についてはトランプ政権の科学技術政策についてその歴史的背景とともに概観する。ドイツについては連邦政府と州との関係を通した研究活動高度化の取り組みについて整理する。英国については高等教育・研究法の成立に至る政策決定へのアカデミックコミュニティーの関与について報告する。そしてこれらの事例から,日本の科学技術政策への示唆について考える。
著者
渋谷 亮介
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.357, 2019-08-01 (Released:2019-08-01)

2019年8月号の特集は「世界の科学技術政策の動向」です。従来,伝統的な学問分野の体系に即して研究が多く行われてきましたが,科学技術の発展や災害対応の要請もあり,学際分野研究と呼ばれるような異分野に跨がる新たな学問分野の研究が盛んになっています。また情報技術の発展に伴ってオープンサイエンスが進化し,異業種・異分野の専門家が協業した研究も珍しいことではなくなりました。これらの変化を踏まえますと,インフォプロは担当分野の情報だけではなく,近接分野の動向も把握する必要が出てきており,今後の科学技術の方向性を知ることは重要です。そこで今回の特集では,国内外の科学技術政策の動向と,それに基づいて科学館・博物館に求められる役割に焦点を当てました。はじめに文部科学省科学技術・学術政策研究所の赤池伸一氏には,日本の科学技術政策の基本ともいえる科学技術基本計画の歴史,現在の科学技術政策の概要と今後の課題について解説していただきました。次に,米国の科学政策の動向をレポートするウェブサイト「米国の科学技術」を運営されている遠藤悟氏には,米国,英国,ドイツの科学技術政策の動向と,各国におけるアカデミックコミュニティーによる政策への関与度の違いについて,事例を挙げてご執筆いただきました。続いて,昨今,科学技術の発展が目覚ましい中国について,国立研究開発法人科学技術振興機構の周少丹氏には,中国の科学技術政策の特徴と,科学技術の発展の礎となったターニングポイントについてご執筆いただきました。また日本では,イノベーション人材の育成の場として科学館・博物館が注目されています。そこで,一般財団法人日本宇宙フォーラムの國谷実氏には,科学館・博物館の設立の歴史と,役目の変化,イノベーション型博物館としての今後の役割についてご執筆いただきました。日本を含め各国の科学技術政策は,科学技術の進展や時流に応じて変わっていきます。そこで,国立国会図書館の榎孝浩氏には,日本,米国,欧州,中国の科学技術政策を調べる上で便利な資料をご紹介いただきました。1つの国の科学技術政策を採り上げるだけでも大きなボリュームがありますが,重要なポイントに絞って分かりやすくご執筆いただきました。本特集が,皆様の日々の活動において一助となることを願っています。(会誌編集担当委員:渋谷亮介(主査),大橋拓真,當舎夕希子,野村紀匡)
著者
野網 摩利子 谷川 惠一 小森 陽一 フローレス リンダ ドッド スティーブン テネフ ダリン ボーダッシュ マイケル
出版者
国文学研究資料館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

夏目漱石が中世ヨーロッパの文学・文化・思想、ならびに、欧米近代思想を学んだことにより、近代の枠組みに囚われない思考を有し、現代から見ても新しい小説と文学理論とを作り得たことを論証した。平成26年度にはケンブリッジ大学にて、また、平成28年度にはオックスフォード大学にて、アカデミックビジターとして在籍し、漱石留学当時の文献に基づいて本研究を進めた。英国およびヨーロッパでの招待講演、ならびに、国内外での国際シンポジウム主催のほか、単著『漱石の読みかた―『明暗』と漢籍』、単著論文「思想との交信―漱石文学のありか」【上】【下】、「漱石文学の生成―『木屑録』から『行人』へ」等、活発に成果を発信した。