著者
中西 真 高田 潤
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.484-485, 2012-11-20 (Released:2017-06-30)
参考文献数
4

電磁波吸収材料は,不要な電磁波を効率良く吸収し熱に変換する材料である。電磁波の電界や磁界は物質中の電子が持つ電荷や磁気モーメントと相互作用し,電磁波のエネルギーが電子の移動や磁気モーメントの運動のエネルギーに変換されることで吸収が生じる。特に磁性損失材料の吸収機構である磁気共鳴について解説するとともに,最近の材料の開発動向についても触れる。
著者
信岡 巽
出版者
福山大学
雑誌
福山大学人間文化学部紀要
巻号頁・発行日
vol.4, pp.159-202, 2004-03-01

1914年7月一次大戦が勃発すると、T. E. Hulme はためらうことなく直ちに陸軍名誉砲兵中隊に一兵卒として志願し入隊した。翌年4月ベルギーのフランダースで戦闘中、負傷して本国に送還され入院した。しかし、退院後、再度志願し、今度は海兵隊の士官として1917年8月、ベルギーのオースト・ダンケルク・ベインズに出動。それからまもなくの9月28日ドイツ軍の砲撃にあって不帰の客となった。34歳の若さであった。知識人の多くが戦争に懐疑的であった中で、彼は、なぜ敢然と銃をとり、砲弾に身を曝したのであろうか。彼は入院除隊中 New Age 誌や Cambridge Magazine 誌で戦争擁護の論陣を張り、特に後者の誌上で当時の反戦平和論者 Russell (Bertrand) と激しく論戦した。彼はその中で Russell の平和論が、個人の生やパーソナリティに価値を置くローマン主義的な進歩思想に基づいていると批判し、ヨーロッパのヘゲモニーを目指すドイツの軍国主義に対し伝統的な文化や思想を防衛するために、「英雄的価値」に拠る主戦論を展開した。しかし、彼がいう「英雄的価値」とはなんであろうか。Hulme は比較的早い時期、フランスのサンジカリスト、ソレル (G. Sorel) やアクシオン・フランセーズの思想に触れ強い影響を受けた。また、熱烈な原罪説の信仰者でヒューマニズムを激しく攻撃した。彼の戦闘参加と彼のこうした思想とは、どのように結びつくのであろうか。このノートは、比較的おろそかにされている Hulme の政治思想の解明に、これらの問題に照準を合わせながら、一つのアプローチを試みたものである。
著者
村上 祐子
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.354-355, 2017-04-15

アラン・チューリングは計算機科学の創設者の一人であることはいうまでもないが,理論生物学における形態形成の先駆者でもある.さらに,技術者倫理と軍事研究者の規範との衝突や,性嗜好による差別といった現代にもつながる倫理上の問題の当事者としても今後その存在は重要な参照先になるだろう.
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス = Nikkei electronics : sources of innovation (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.1194, pp.40-45, 2018-08

米Oculus VRが2018年5月に発売したヘッドマウントディスプレー(HMD)「Oculus Go」の売れ行きが順調だ。199米ドルと安価な上、単体動作が可能で手軽なことから、これまでVR(Virtual Reality)用HMDを購入しなかったユーザーにも広がり始めている。
著者
岡 千春
出版者
人体科学会
雑誌
人体科学 (ISSN:09182489)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.65-73, 2013

In dance performance, the viewer sometimes has a sense that he is attracted to a specific dancer. However the viewer is not attracted to other dancers like he is to the specific one. It can be said that the dancer who attracts the viewers has a special "body" or bodily image. In this study such body is defined as "the dancing body", which is the state of mind-body unity that Yuasa analyses with his mind-body theory. The purpose of this study is to discuss the change in the relation between mind and body of dancer through dance experience, on Yuasa's mind-body theory and Shimizu's field theory. (to discuss how the mind-body relation changes occur through dance experience) The process of a dancer reaching "the dancing body" is the same as the process of discipline (Shugyo) in the Eastern philosophy. The dancer forms his mind and body based on his bodily senses gained from his dance experience. The bodily kinesthetic is a sense unique to a dancer. It can only be obtained through stage experience, and experiencing the state of "non-separation of the self and the other" with the audience. When the dancer dances with his mind and body in unity and becomes one with the audience's mind and body, the dancer can reach the state of mind-body unity.
著者
中村 孝
出版者
社団法人日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.445-446, 2006-04-15

筆者は2004年10月から2005年7月まで,カナダのアルバータ大学機械工学科で在外研究を行う機会を得た.アルバータ大学はアルバータ州の州都エドモントンにある学生数3万人以上の総合大学であり,世界45ヵ国170校と提携を結んでいる.特に,機械工学科は筆者の所属する北海道大学機械系専攻と実質的な交流を続けている.筆者は約10ヶ月の間,Advanced Composite Materials Engineering (ACME) Groupに在籍し,Fernand Ellyin教授とZihui Xia助教授の指導の下でCFRPの環境強度に関する研究に携わった.研究内容については,論文等で紹介する機会もあると思うので,本稿では印象に残った身の回りの出来事を綴ってみたい.

1 0 0 0 OA 食品の嗜好

著者
青木 宏
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.77-83, 1994-01-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
6
被引用文献数
2
著者
佐藤 真実
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 68回大会(2016)
巻号頁・発行日
pp.89, 2016 (Released:2016-08-04)

目的 日本の食生活が洋風化し、食料自給率、食品群別摂取量、家計支出は年々変化している。本研究では、消費に関わる食品や料理の嗜好度について性別、年齢、世帯構成別に違いを明らかにする。また1975年からの食嗜好の変遷について明らかにする。  方法 平成26年7月より県内の10歳代から80歳代までの男女1650名を対象にアンケート調査を行った(有効回答率89.1%)。調査項目は、119食品の料理や食品の嗜好度と摂取頻度、属性(性別、年齢、世帯構成)などについてである。嗜好度は9段階(1:もっとも嫌い~9:もっとも好き)の尺度を用いた。  結果 全体では、ごはん(7.47)、焼肉(7.27)、味噌汁(7.25)、みかん(7.23)などの嗜好度が高く、これらの料理や食品は性別、年齢別、世帯構成別で有意差が認められなかった。性別では、男性がラーメン(7.31)、刺身(7.31)、そば(7.07)、焼き魚(7.03)などの麺類、肉・魚料理で嗜好度が高かった。年齢別では、若年層の嗜好度が全体的に高く、とくにアイスクリーム(7.47)、鶏のから揚げ(7.44)などで嗜好度が高かった。年齢が高くなるほど焼き魚、野菜煮物、コーヒーなどの嗜好度が高くなった。世帯構成別では、一人暮らしの嗜好度が全体的に低かった(いずれも有意水準5%以下)。1975年と比較して、肉料理や魚料理の嗜好度はやや上昇、果物、嗜好飲料の嗜好度は減少傾向であった。平均嗜好度はどれも「少し好き」な状況であり、かつてのような料理や食品ごとの嗜好度の差は小さかった。
著者
濱田 リラ 王 蓉 伊藤 公一
出版者
Japanese Society for Thermal Medicine
雑誌
日本ハイパーサーミア学会誌 (ISSN:09112529)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.259-266, 1998

従来より, SAR (Specific Absorption Rate) による加温機器の性能評価がひろく行われているが, 温度の値そのものによる評価ができればより望ましい.そこで本研究においては, ハイパーサーミア機器の加温特性に関する以下の定量的な評価指標を導入した.それらは, 最大加温長Hm<SUB>43</SUB>, 最大加温径<I>D</I><SUB>m43</SUB>, 最大加温体積<I>V</I><SUB>43</SUB>, 深部有効加温体積比<I>R</I><SUB>V43</SUB>および最高温度<I>T</I><SUB>max</SUB>である.一例として, 治療温度を43℃以上とした場合において, 同軸スロットアンテナで構成した組織内加温用アレーアプリケータの特性を数値解析により求め, 血流量, 入力電力と評価指標の関係を整理したチャートを作成した.それらのチャートより, アプリケータ加温特性の全体把握および定量的比較が可能であることがわかる.また, 腫瘍の位置や体積などに応じ, 本論文で示したようなチャートより適切な入力電力を決定できる.以上の指標による評価は, アプリケータの設計のみならず治療計画支援の場においても有用である.今後は, <I>teq43</I>等の治療時の測温データより得られる指標との併用を検討していく必要がある.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ニューメディア (ISSN:02885026)
巻号頁・発行日
no.1524, pp.7-8, 2016-08-08

スカパーJSATホールディングス(スカパーJSAT HD)は2016年8月4日、「スカパーJSATグループ 2016年度 第1四半期決算説明会」を開催した。代表取締役社長の高田真治氏は、有料多チャンネル事業の今後の取り組みについて述べた。 有料多チャンネル事業では、例え…
著者
小川 真彩高 本田 晋也 高田 広章
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.748-761, 2018-02-15

近年,車載システムは高機能化が著しく,エンジン制御に用いられるパワートレイン・アプリケーション(パワトレアプリ)もマルチコア化が求められている.マルチコアシステムの設計においては,処理のコア配置を適切に決定する必要がある.そのためには,マルチコアシステムでは処理のコアへの配置や共有データのメモリ配置によりメモリアクセス時間やコア間の排他制御の実行オーバヘッドが変化するため,これらを考慮したリアルタイム性解析が必要となる.本研究では,シングルコア向けの最悪応答時間解析手法を拡張し,前述の実行オーバヘッドを考慮することにより,マルチコアに適した最悪応答時間解析手法を実現した.実現した手法を,パワトレアプリを想定した評価ソフトに適用した結果は,実機実行の結果と相関が高く,コア配置の決定に有用であることが分かった.In recent years, vehicle systems have become more functionality. Among them, powertrain applications used for engine control are also required to be executed on multicore architectures. On multicore systems, it is necessary that each of processes is allocated to a core accordingly. Because the amount of execution overheads caused by memory access time and inter-core exclusive control depends on core and data allocation, considering those overheads is needed for analysis on multicore systems. In this study, we propose a worst case response time analysis method considering those overheads for multicore automotive systems. We applied our method to an evaluation software imitated power train application and executed this software on an actual processor board. As a result of comparison between them, our method can be used deciding core allocation because of strong relationship between them.
著者
多田敏捷編
出版者
京都書院
巻号頁・発行日
1992
著者
大塚 直
出版者
国立音楽大学
雑誌
国立音楽大学研究紀要 (ISSN:02885492)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.1-12, 2008

演劇とは何か。この問題をめぐって様々なアプローチが考えられるだろう。だが本稿では、少なくとも伝統的な西洋の戯曲を参照するかぎり、演劇が常に王の退位など法的権力の失効する「例外状態」を扱いながら、そこに正義を洞察するメディアとして機能してきたことに着目する。演劇は、その意味では政治学者カール・シュミットの唱えた「例外状態」説における法の問題と通底する問題性を持っている。このような視座は、とくに旧東ドイツの劇作家ベルトルト・ブレヒトとその後継者ハイナー・ミュラーの〈教育劇〉において考察されてきた。では彼らは、極限状況における「正義」の問題をどのように演劇テクストに結実させたのか。さらに、彼らの仕事を嚆矢として出現した新しい現代劇の傾向を「ポストドラマ演劇」と定式化する演劇学者H.-Th. レーマンは、今日の演劇形態のいかなる点に正義/正当性(Gerechtigkeit)を見出しているのか。これらの問題を整理することで、現代における演劇の可能性を捉え直してみたい。