著者
木村 聡元 大塚 幸喜 八重樫 瑞典 箱崎 将規 松尾 鉄平 藤井 仁志 佐藤 慧 高清水 清治 畑中 智貴 佐々木 章
出版者
医学書院
雑誌
臨床外科 (ISSN:03869857)
巻号頁・発行日
vol.72, no.8, pp.952-957, 2017-08-20

【ポイント】◆現在漢方薬は,西洋医学的解析が進み,少しずつエビデンスが蓄積され,使用しやすくなってきた.◆大腸癌における漢方薬は,おもに周術期の合併症予防と抗癌剤治療の有害事象対策に用いられることが多い.◆漢方薬は,その特性を理解し利用することで,今後も癌治療における重要な役割を担っていくものと考えている.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1326, pp.64-66, 2006-01-30

地場力とは何か。その地方固有の技術や、人材、企業としてのネットワークなど様々な要素から成るものだ。福井市で、自動車部品製造装置などを作るジャロックは、パートも含めて従業員が36人。地場力を駆使して廃業の危機から復活を遂げつつある。同社の2005年3月期の売上高は4億8500万円、経常利益は3500万円。2006年3月期もほぼ同水準の業績を達成する見込みだ。
著者
髙橋 覚 青木 茂樹
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.72, no.10, pp.734-742, 2017

<p>原子核乾板は,荷電粒子の軌跡を三次元的に1 μm以下の空間分解能で記録する強力な飛跡検出器である.その特徴をもとに,宇宙ガンマ線精密観測実験GRAINEを推し進めている.一方で原子核乾板は本来時間情報を持たず,製造してから現像するまでの間に蓄積する飛跡は,数ヶ月から数年スケール(およそ10<sup>7</sup>秒)の時間的な不定性を持つ.GRAINE実験を実現するためには,原子核乾板に秒以下の時間分解能を持たせる必要がある.</p><p>原子核乾板に秒以下の時間分解能を持たせるために,多段シフターと呼ぶ手法を考案した.多段シフターは複数の原子核乾板から構成され,それぞれを固有の周期で動かすことで時刻に応じた独立な位置関係を創り出し,解析時に飛跡の位置関係を再現することにより入射時刻を秒以下で再構成できる.原子核乾板から構成される多段シフターは,高い効率かつ高い信頼性での時間情報付与,低いエネルギー閾値(運動エネルギーにして,陽子で~10 MeV,電子で<~10 MeV),大面積化が実現可能である.また,シンプルな構成,コンパクト,軽量,トリガー系不要,高電圧不要,低消費電力,不感時間無しが実現可能である.このように多段シフターは,原子核乾板が本来持つ特徴を最大限活かした時間情報付与機構を実現する.これらに基づき,三鷹光器社と実機を共同開発し,気球実験に実戦投入した.</p><p>GRAINE実験の実現を目指して,2011年に,原子核乾板ガンマ線望遠鏡の初めての気球実験をJAXAと共同でおこなった.その中で,ガンマ線電子対生成事象を捉え,0.2秒の時間分解能を付与し,天球上の到来方向を決定する一連の流れを確立し,気球搭載原子核乾板ガンマ線望遠鏡の実現可能性を実証した.2015年には,望遠鏡の総合的な性能実証を目指した気球実験をJAXAと共同でおこなった.その中でミリ秒オーダーに迫る時間分解能を実現し,将来的なパルサー位相ごとの偏光測定の展望を拓いた.今後は口径面積やフライト時間の拡大を図り,科学観測の開始を目指す.</p><p>2014年には,原子核乾板の特徴を活かして,ニュートリノ反応精密測定やニュートリノ振動の精密検証を目指し,多段シフターを導入したJ-PARC T60実験を開始した.2014–2015年にかけて2ヶ月近くにわたるニュートリノビーム照射実験をおこない,46.9日に対して時間分解能7.9秒を実現するとともに,ニュートリノ振動実験T2Kのニュートリノビーム測定器であるINGRIDとのハイブリッド解析を確立した.2016年にはスケールアップした照射実験をおこない,126.7日にわたり秒レベルの時間分解能を実現しつつある.今後スケールアップなどを図り,物理実験を計画している.</p><p>多段シフターによって,時間分解能は従来手法に対して5桁の改善を果たすなど飛躍的な向上を成し遂げた.将来的なスケールアップを図った実験では,さらにこれらの一桁から二桁程度の向上を目指すが,それを実現するための新型多段シフターの開発も進んでおり,その実現見通しが得られつつある.多段シフターによって原子核乾板は有意な時間軸を持つ新しい検出器へと発展し,新しい宇宙線観測や加速器ニュートリノ実験を切り拓く.</p>
著者
廣井 亮一
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.1-6, 2011 (Released:2017-06-02)

「司法臨床」とは、司法的機能と心理臨床的機能の交差領域に生成する問題解決機能によって、子どもや家族の問題を適切に解決することである。司法と心理臨床の機能を併せ持つわが国の家庭裁判所における実践過程を振り返ると、両者の機能が乖離したり、司法的機能が強調され過ぎて心理臨床的機能が著しく低下したりしている。司法臨床の実現にとって困難な主要因として、司法と臨床の間題解決機能が派生する両者の基本的枠組みの相違が指摘される。それゆえ、司法臨床の展開のためには、法と心理臨床の価値や方法論の違いをそれぞれ尊重し合いながら、現代社会が直面する問題や紛争解決のために、両者の枠組みをダイナミックにぶつけ合うことが必要である。そうすることによって、特定の領域に限られつつある法と心理学の協働が更なる発展に向かうものと思われる。

1 0 0 0 OA 裁判記録

出版者
巻号頁・発行日
vol.[179],
著者
荒牧 勇
出版者
中京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

スポーツと脳の構造の関係を明らかにするために、3つの研究を行った。1. 陸上競技の短距離選手と長距離選手の脳の構造画像を比較した結果、長距離選手は尾状核が発達していた。2.ハンドボール選手の試合中のミスの数と島皮質の灰白質ボリュームの大きさが相関していた。3.サッカーのリフティングを練習すると、物体の動きを知覚するMT/V5と左半身の運動を制御する左小脳が発達した。以上の研究結果から、1.競技種目ごとに特徴的な脳構造があること、2.個人の競技能力を予測する脳部位があること、3.スポーツの訓練により脳構造が発達することが明らかとなった。
著者
高井 信勝
出版者
北海学園大学
雑誌
北海学園大学工学部研究報告 (ISSN:02865262)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.121-141, 2009-02-20

The optical holographic interferometry to be used for analyzing vibrating modes of objects is described to reveal the information of vibrations recorded in the holograms.The fringe patterns obscrved in the images reconstructed from holograms depend on not
著者
中村 かれん
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3-4, pp.184-205, 2006-03-28 (Released:2017-06-08)

日本の聴覚障害者を代表する団体は,政府の利益を推進するよう設計された法的環境のなかで単に活動しているというだけでなく,さらに進んで,システムを自己の利益のために操作することにも成功している.この団体は,政治権力による統制を避けるために,団体をアメーバのように細分化し,団体構造の柔軟性を保ってきた.本論文は,日本の市民社会構造の中での政治権力とそれに対する抵抗の問題を取り上げる. The main organization of the deaf in japan has not only been able to work within a civil law environment designed largely to promote the interests of the state and quell social protest, but has been able to succeed in manipulating the system to its own benefit It has shown remarkable organizational flexibility by subdividing in an amoeba-like fashion to avoid political control. This paper engages questions of power and resistance in the civi society framework of japan.

1 0 0 0 OA 團扇合美人揃

著者
尚左堂俊満 画
出版者

窪俊満画の狂歌物合。『東都名所煙草入合』と合綴、半紙本合1冊。『団扇美人揃』は、寛政9年(1797)刊か。元外題は「狂歌 団扇合美人揃」。墨摺。共表紙に「案 各連中/細 尚左堂俊満/工 勝東橋」、また識語に「浅草観音地内天神開帳/奉納寛政九年」とある。狂歌題は、「四季官女」「やつし六玉川」「青楼十二時」「やつしあふみ八景」。各番の勝ちの狂歌のみ掲げ、半丁ごとの上部に狂歌三首、その下に図を置く。最終丁裏に一榎菴笛成、正木桂長清、尚左堂俊満の狂歌を載せるので、狂歌は、当該3人によるものであろう。各図は、美人を交えた縦長の暖簾形である。題名に「団扇合」とあるように、狂歌師が持ち寄ったのは団扇型の図案であったと思われるが、それを俊満、東橋が暖簾形に焼き直したものか。俊満の狂歌「それ/\に団扇をかけてあふくゆへ狂歌のれんと人やみるらん」は、「の連」に「暖簾」を言い掛け、その間の事情をそれとなくのぞかせる。『東都名所煙草入合』は、元外題「全図狂哥入 東都名所煙草入合」。墨摺。共表紙に「各案 泉橋狂歌連中」「画 東籬園響/細工 竹馬亭」とあり、識語に「寛政八年」(1796)と記す。名所は湯島、正灯寺、日本堤など、計18箇所。体裁は「団扇合美人揃」に同じで、題名に「煙草入」とあるが、図はすべて縦長の暖簾形もしくは幟形。図案の中には「虎屋」など、商家の屋号を標記するものも散見される。ごく珍本であるが、天理図書館に一本の伝存が確認される。(鈴木淳)(2016.2)
著者
加藤 孝義 現代行動科学会誌編集委員会 KATO Takayoshi
出版者
現代行動科学会
雑誌
現代行動科学会誌 (ISSN:13418599)
巻号頁・発行日
no.25, pp.24-33, 2009

西欧の合理主義思想がもたらした現代社会のテクノロジーは、確かに人類の福祉・幸福に多大な恩恵をもたらした。しかし、これによる知性偏重の弊害が感性という人間性の側面を損なう負の遺産をもたらしたことも事実である。本論では、この抑圧されていたともいえる人間性を支える感性を復活させ、それと知性との調和的統合こそが、来るべき世紀の人間像として重要な意義をもっているという新しい人間観を、知性と感性の相互関係のモデルを試論的に考え提案した。
著者
井上 英治 河村 正二
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.34, pp.12, 2018

<p>日時:2018年7月15日(日) 13:30-16:30<br>場所:1号館地下1階1002教室<br><br>霊長類学はチンパンジーなどを対象にした野外での生態学的研究と実験室での認知能力研究が著名である一方で,遺伝子,発生,疾患モデル,進化などをテーマにした研究も長い歴史がある。従来これらの様々な領域の融合研究は試みられ続けているものの,実質的な成果を上げるのは困難であった。しかし,この状況が大きく変わろうとしている。大規模並列塩基配列決定(次世代シーケンス)技術による全ゲノム配列決定や誘導多能性幹細胞(iPS細胞)化と分化誘導の開発などの近年の目を見張るような技術革新は,大きなうねりとなって霊長類のゲノム,発生,生態,そして進化の研究を繋ぎ,変革している。<br>本シンポジウムは,このムーブメントを広く市民に伝えることを目的として,最新のゲノム・細胞研究テクノロジーを用いた,腸内細菌,採食生態,種分化,医科学発生モデル,脳の進化といった幅広い研究を高校生でもわかるように紹介する。<br><br>講演プログラム<br>司会 河村正二(東京大学・大学院新領域創成科学研究科)<br>13:30-13:35 趣旨説明<br>13:35-14:00 「先端技術とフィールド調査―面白い研究ってなんだろう?―」<br>松田 一希 (中部大学・創発学術院)<br>14:00-14:25 「霊長類の味覚―味覚に関わる遺伝子とその多様性―」<br>今井 啓雄 (京都大学・霊長類研究所)<br>14:25-14:50 「ゲノム解析が明かす種分化の謎―スラウェシ島のマカクの種分化と二次的接触―」<br>寺井 洋平 (総合研究大学院大学・先導科学研究科)<br>14:50-15:00 休憩<br>15:00-15:25 「最新医科学に貢献する霊長類―霊長類だから知り得たこと―」<br>中村 紳一朗 (滋賀医科大学・動物生命科学研究センター)<br>15:25-15:50 「ゲノムを通して我が身を知る―ヒトとサルの間にあるもの―」<br>郷 康広 (自然科学研究機構・生理学研究所)<br>15:50-16:00 休憩<br>16:00-16:30 パネルディスカッション<br><br>企画:井上英治(東邦大学・理学部),河村正二(東京大学・大学院新領域創成科学研究科)</p>
著者
黒沼 善博 くろぬま よしひろ Kuronuma Yoshihiro 沖縄大学地域研究所特別研究員 株式会社大林組
出版者
沖縄大学地域研究所
雑誌
地域研究 = Regional Studies (ISSN:18812082)
巻号頁・発行日
no.22, pp.149-171, 2018-10

南西諸島に位置する宮古島は、生活・農業・産業用水のほとんどを地下水に依存しているが、多雨な気候であるにもかかわらず、地質上、水源確保が困難な環境にあった。その克服策として、地下水の安定的な供給を行うために建設されたのが地下ダムである。地下ダム建設を端緒に、さらなる再生可能エネルギーを構築するため、風力発電、太陽光発電、バガス発電、メタン発酵、バイオエタノール製造など資源再生を行う施設が島内に次々と建設された。 島嶼環境における有限資源の持続を可能にするのは、建設技術の複合と応用である。本稿では、宮古島で展開されている環境技術を分析し、島嶼環境における資源再生技術の将来性を展望する。
著者
石川 容平 松室 堯之 篠原 真毅
出版者
京都大学生存圏研究所
雑誌
生存圏研究 (ISSN:1880649X)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.23-38, 2018-11-05

第5次エネルギー基本計画が審議され、平成30年7月3日閣議決定された。パリ合意の影響を強く反映した方針が示され、世界の潮流を見据え、再生可能エネルギーを主力電源とする明確な方向性が打ち出された。2050年の温室効果ガスの削減目標は80%である。本稿では、その具体的達成手法のひとつとして、洋上再エネの最適組み合わせをエネルギー源とする海洋インバースダムと、水素貯蔵システムが協調した200万kWクラスの洋上エネルギーセンター構想を述べる。バックアップ電源が不要で高速需給調整機能を持つ洋上発電所建設は再エネ拡大を牽引する。このような洋上発電所の世界展開には地政学的制限を伴うが、一方でこのシステムは最小規模(20MW)の宇宙太陽発電衛星の地上局を構成するため、地政学的条件に殆ど影響されない究極の宇宙再エネシステム発展の足掛かりとなる。ここでは小型発電衛星の建設可能性と発展性について論じる。宇宙太陽エネルギーは世界の共有資源であり、その賦存量も地上より遥かに大きい。エネルギー利用の冗長性と国際紛争軽減が期待される。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1542, pp.80-83, 2010-05-24

「アイエヌジーを買わないかとか、ハートフォードはどうかといった日本にある外資系生命保険の買収案件はもちろん。最近は、英大手生保のプルーデンシャルが買収を発表(今年3月)した米AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)傘下の香港・AIA(アメリカン・インターナショナル・アシュアランス)の話も来た。