著者
鈴木 春菜 中井 周作 藤井 聡
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.425-430, 2010 (Released:2017-11-29)
参考文献数
18
被引用文献数
3

都市・交通に関わる各種施策の検討・評価にあたっては,物質的環境や行動の変化に与える影響はもとより,人々の心的状態を顧慮する必要がある.まちの雰囲気や活力等計量化し難い社会的,人文的側面にも繋がりうる重要な要素であると考えられるからである.本研究では,買い物行動における楽しさに着目し,その影響要因について,国内3都市で実施した調査の分析を行い検討した.分析の結果,平日と休日の買い物の楽しさの規定因については差異が存在すること,居住地域への愛着の水準や買い物行動における交通機関の差異,当該買い物行動への同伴の有無が,買い物行動中の「楽しさ」の水準に影響を及ぼす可能性が示唆された.
著者
石井 康夫
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第31回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.171-174, 2015 (Released:2016-02-26)

近年のゲーム機市場規模は、2007年にピークに到達した後、2008年のリーマンショックと同時に低下しつつある。世界三大ゲームメーカーのソニー(SCE)、任天堂、マイクロソフトは、それぞれ深刻な問題に直面している。その原因は、リーマンショックの影響はもちろん、それよりもっと重要な原因は、パソコンにおけるゲーム市場の継続的な拡大と、2008年以降、携帯電話やスマートフォンの急速な普及だと考えられる。本論では、近年のゲーム機の利用実態を明らかにし、業界の課題や利用者のゲーム機に対する要望機能等を明らかにするため、生活者に対しアンケート調査を実施して実証的な分析を行った。分析手法は単純集計、因子分析、多重応答分析、数量化理論等の多変量解析手法を採用した。過去の研究を調査すると関連する幾つかの研究がある。しかし、近年急激に普及している最新の機種も含めた研究はなく、さらに既に述べたような研究アプローチに基づく研究は少ない。今回の分析結果から、いくつかの興味深い結果を得ることが出来た。
著者
山田 泰弘
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.135, no.3, pp.109-112, 2010 (Released:2010-03-14)
参考文献数
7
被引用文献数
2

薬物動態(DMPK)研究は,創薬の成功確率を高めるための重要な役割を担うだけではなく,戦略を左右することもあるので,DMPK研究が創薬のボトルネックになってはならない.そのために,DMPK試験の効率化と高速化が追求され,試験系の自動化や薬物濃度測定のハイスループット(HT)化が日々更新されている.本稿では,①探索段階でのDMPK試験の意義とHT分析の必要性,②HT分析へのアプローチおよび③HT分析での留意点について紹介する.
著者
武若 耕司
出版者
コンクリート工学
雑誌
コンクリート工学 = Concrete journal (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.16-23, 2007-02-01
参考文献数
16
被引用文献数
1 5

シラスコンクリートは, 用いる細骨材の全てをシラスとしたコンクリートと定義される。シラスは, 南九州に大量に存在する火砕流堆積物の総称であり, 乱した状態では砂状になることから, 以前よりこの地域では, 細骨材としての利用可能性について検討が行われていたが, 1990年代後半に入り, 海砂の採取規制に伴う代替骨材として着日されるようになり, 検討が本格化してきた。そして, 2006年1月に, 鹿児島県より『2005年制定 シラスを細骨材として用いるコンクリートの設計施工マニュアル (案) 』が発刊されるに至った。本文では, このマニュアル (案) の内容を基に, シラスコンクリートの主な特微, 配合設計法および施工⊥の注意点などを概説するとともに, 実用化の事例ならびに今後の展望を示す。
著者
Yoichi Katsumata
出版者
Japan Society of Physical Education, Health and Sport Sciences
雑誌
International Journal of Sport and Health Science (ISSN:13481509)
巻号頁・発行日
pp.201805, (Released:2018-10-18)
参考文献数
17

This study examined the influence of the relative age effect (RAE) on the competitive level and playing position of male elementary school Japanese baseball players. The sample comprised the following: (1) 506 general male baseball players (BP) who were aged 11–12 (sixth grade) and who had not competed at the prefectural level and (2) 189 regionally selected players (SP) who were aged 11–12 (sixth grade) and who had been selected to compete at the prefectural level or a higher level. The subjects were divided into two groups based on their birth months (Semester 1 (S1): April–September and Semester 2 (S2): October–March). Prevalence ratio for each semester was calculated. Pearson’s chi-square test was employed to examine the RAE of each group and each playing position. Results of a chi-square test at each competitive level showed that the SP group was statistically significant (S1>S2) but the BP group was not. The chi-square test for the pitcher and the fielder (catcher, infielder, and outfielder) positions revealed statistical significance in the SP group (S1>S2), with only the pitcher position showing statistical significance in the BP group (S1>S2). The results indicated that the RAE was higher in more competitive level junior baseball players and that the RAE exerted a stronger influence on the pitcher position than on the fielder positions.
著者
田中 厚成 岡本 恒 服部 恭介
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.31-48, 2013-02-28

近年発展の極めて著しいスーパー・コンピュータを用いた大規模数値解析により、流体中の圧力の3次元等圧面、および流体が作用する複雑な等応力面が、3次元立体形状として可視化され、更にそれらの形成、移動、および変化を求めることにより複雑で難解な流体現象を説明する方式が確立しつつある。これは単に工学的意義が大きいばかりでなく、今世紀まで残された数学の難問の一つである流動現象の支配方程式の解を3次元的に図示しているとも受取ることができる。この数値解析には世界トップクラスのコンピュータを年単位で連続運用する必要があり、結果の検証には、等圧面、等応力面の形状、強さ、位置、移動速度等の詳細で膨大な基礎データが必要になる。このため長期間かけてシステマチックな基礎実験研究の裏付けに基づいて成されたものである。 本研究では複雑多岐な等圧面、等応力面を用いた流体のダイナミクス(動力学)を流体の支配方程式の解析解(:数式解)と見なしている。第1報で関数解析により有意な解を得る条件を定め、その条件から得られる解により流体中の多数の渦構造圧力が提示できることを示した。第2報では解法の有効性を高める漸近解の収束方式、高次微分の信頼性等を検討した。本報では数値実験で用いている弱周期境界条件を用いても数式解は安定し、且つ、流体中の渦構造圧力の個数、形状、間隔を合わす上で有効であることを示す。これにより本方式の実用化の可能性も提示することができたと考える。

1 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1899年05月22日, 1899-05-22
著者
尾上 直之 張 汀汀 橋本 周司 田中 章喜
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.52, pp.449-450, 1996-03-06
被引用文献数
1

近年、テレビ・ビデオ等のAudio Visualメディアの充実にともなって、われわれは映像を見て、同時に音を聞いている。音のない映像を見ると、違和感さえ感じるものである。背景音楽(BGM)の多くは、作曲家によって作曲されており、簡単なBGMについても製作の自動化はほとんど行われていない。我々は、動画像から背景音楽を自動生成するシステムの制作を行っている。動画像から単純な構造的特徴を抽出し、これらをリアルタイムで音楽的特徴と結び付け、適当なメロディーを付加するシステムである。BGMを生成する試みは、これまでにも報告されているが、ここでは画像の内容に立ち入らず物理的な特徴のみに注目し、最終的に画像受信側に小さなアダプタを付加して、個人の好みに合わせた音楽を生成することを目的としている。本稿では、システム構成の概要とサンプル動画像を用いた音楽生成の結果を報告する。
著者
津田 篤太郎
出版者
医学書院
雑誌
medicina (ISSN:00257699)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.1916-1918, 2015-10-10

ポイント●抗原回避が困難で,薬物療法が効果不十分あるいは拒否される場合に,漢方治療が検討される.●アトピーは炎症軽減とバリア機能回復という2つの目標に,それぞれ異なった生薬を配する.●鼻炎では小(ショウ)青(セイ)竜(リュウ)湯(トウ)が代表的処方であるが,含有する麻黄の副作用に留意する.●気管支喘息では,心因性の要素が関与する咳嗽に漢方薬がしばしば用いられる.
著者
コリンズ G. P.
出版者
日経サイエンス
雑誌
日経サイエンス (ISSN:0917009X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.60-69, 2004-10

今から100年前、偉大な数学者ポアンカレが提唱した数学の難問が、ついに証明されたようだ。「私たちが住んでいる3次元空間を構成する様々な3次元多様体の中で、最も単純で簡単なのは『3球面』と呼ばれる形。これと同じくらい簡単な形はほかにない」という予想だ。
著者
西村 多久磨 村上 達也 櫻井 茂男
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.89, no.4, pp.345-355, 2018 (Released:2018-10-25)
参考文献数
43
被引用文献数
2

Development of prosociality and a trajectory in prosocial behaviors have been a major interest among developmental psychologists. The present study investigates age-related changes in prosocial behaviors from middle childhood to early adolescence based on the relational approach, emphasizing relations with the recipients of the prosocial behaviors (i.e., prosocial behavior toward family, strangers, and friends). A total of 1,829 Japanese students (944 boys and 885 girls) from mid-elementary and junior high schools (ages 9―14 at the time of the first measurement) participated in a one-year longitudinal study. This sample consisted of five cohorts: the 4th, 5th, 6th, 7th, and 8th grade samples. The results of the latent difference score model showed a decrease in prosocial behaviors once, as mean level of individual changes; while at the same time, the model indicated a bounce-back in prosociality after the middle of the junior high school period. Additionally, we found unique changes in prosocial behaviors toward family in the form not following the overall developmental trajectory.
著者
佐藤 田實
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.211-215, 2002-05-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
18
被引用文献数
2 1

治療に際し処方の効きが鈍いとき, 少量の附子を加えると効果を著しく高めた。これは附子と薬との相乗効果の結果と思った。その解明のため自験例と古典の記載を分析し考察を加えた。第1例は22歳女性の紅斑性狼瘡で小柴胡湯合当帰芍薬散に附子1gを追加し6週間で紅斑が消えた。第2例は25歳女性のニキビで当帰芍薬散+補中益気湯に附子末1gを追加して8週間でニキビが治った。第3例は44歳男性で慢性微熱に補中益気湯に附子末2gを加えて6週間で治癒した。附子はどんな症状に効果的なのか。3症例には冷えは認めずむしろ熱のある例も含まれた。また症状はまちまちで一定の傾向がなかった。そこで症例を増せば大凡の傾向が出るものか, 古典の附子加味の例を集め分析した。すると症状は陰陽虚実, 気血水で見ても, 自験例と同様に, 様々であった。この結果を説明するに, 多様な症状に応じ附子に各の効能を想定すると, 多数の効能が必要となりそれは不自然である。そこで附子は, 分量が少なくそれ自体の効果は少ないが, 組む相手薬の効能を高めると仮定すると, 説明し易いことを示した。以上の議論を集約し, 附子の働きには薬への感受性を高める間接効果即ち相乗効果と, 四逆湯のような熱薬としての直接効果との, 2通りの様式があることを述べた。最後に附子加味の臨床に有用な事柄を古典をもとに纏めた。