- 著者
-
鷲家 勇紀
西川 友章
藤野 槌美
- 出版者
- 公益社団法人 日本食品科学工学会
- 雑誌
- 日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
- 巻号頁・発行日
- vol.63, no.9, pp.394-404, 2016-09-15 (Released:2016-11-30)
- 参考文献数
- 16
- 被引用文献数
-
1
市販のコーヒー焙煎豆には,通常エージング処理が施されており,この処理によって,コーヒー抽出液中の多くの香気成分が減少するだけでなく,機能性にも影響することが明らかになってきている.そこで本研究ではマウスにエージング処理をしていないコーヒー焙煎豆,または28°C,96時間エージング処理したコーヒー焙煎豆からそれぞれ抽出したコーヒー抽出液投与による抗不安効果を検証した.高架式十字迷路試験における抗不安効果を検証した結果,エージング処理をしていないコーヒー焙煎豆の抽出液の飲用は不安様行動を有意に減少することが示唆された.この抗不安効果には,硫黄化合物2成分,pyrolle類1成分,およびpyrazine類4成分がそれぞれ関与し,何れもエージング処理によって減少する成分であった.以上の結果から,焙煎直後のコーヒー焙煎豆の抽出液に認められた高い抗不安効果は,焙煎豆のエージング処理によって消失することが分かった.さらに,エージング処理していないコーヒーの抗不安作用に関するメディエーターを検証した結果,GABAA受容体,ドーパミンD1受容体の関与が示唆された.