出版者
総合研究大学院大学
巻号頁・発行日
2015

元資料の権利情報 : CC BY-NC-ND
著者
荻野 敏 菊守 寛 後藤 啓恵 入船 盛弘
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.222-231, 1996-04-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
6
被引用文献数
1

男性23名, 女性33名のイネ科花粉症を対象に, アゼラスチンの効果を初期投与, 治療投与の2群で比較検討した。著明改善は初期投与群28.6%, 治療投与群23.8%と初期投与群で良い効果が見られた。逆に改善以上の改善率はそれぞれ57.1%, 71.4%と治療投与群でより良い効果が認められた。また, 初期投与群では平均約4週間早く投与を開始したことから8週目, 治療投与群では4週目とほぼ同じ時期の症状を比較すると, 初期投与群では症状はより軽症に抑えられている成績が得られた。治療投与群の3例に軽度の眠気の副作用が認められたが, 薬剤の継続投与に問題はなかった。アゼラスチンはイネ科花粉症に対しても初期投与, 治療投与いずれにおいても優れた効果が見られ, 特に花粉飛散初期からの投与は有効性が高く使用する価値のある薬剤であると思われた。

1 0 0 0 OA 杏林叢書

著者
富士川游 等編
出版者
吐鳳堂書店
巻号頁・発行日
vol.第2輯, 1926
出版者
有斐閣
雑誌
ジュリスト (ISSN:04480791)
巻号頁・発行日
no.1230, pp.136-148, 2002-09-15
著者
天尾 久夫
出版者
作新学院大学
雑誌
作大論集 = Sakushin Gakuin University Bulletin (ISSN:21857415)
巻号頁・発行日
no.7, pp.163-194, 2017-03-15

[要約] 信金中央金庫(Shinkin Central Bank)は昭和21年(1946年)6月1日に設立され、平成28年(2016 年)3月末で、国内14店舗、23分室、海外5拠点を構えている。 この金融機関の特徴を一言で述べれば、日本の金融史の大きな事件を、金融当局の指導のもと上手く対応し尽くした金融機関と言える。この機関は、現在の全国265の信用金庫の信用ほう助や日本銀行の一歩手前の全国信用金庫の最後の貸手の存在として位置づけられる。信金中央金庫の社史を見ると、為替の取引の自由化、プラザ合意、金融ビッグバン、バブル経済の進捗、崩壊、金融機関の倒産、2000年になり日本の中小企業の海外展開の進捗、高齢化社会の進捗と企業の継承問題、地域創生に併せて経営業務が展開されてきた。 信用金庫がなぜ為替取引の業務も担当しなければならないのか、どうして投資信託から保険まで窓口販売手数料を稼ぐ必要があるのか、筆者はこの銀行がどういう顧客に対してどのようなポジションを志向しているのか、目指す業態は都市銀行ではないのかという錯覚を抱く。 この金融機関は、「信用金庫法」に基づいて業務を行っている。この法律の元々の狙いは会員(中小企業)向けの資金決済や与信のための金融で国民経済に貢献することであった。なぜ、上記のように変遷したのかという金融史の視点も存在する。しかし、本稿ではその議論を省くことにした。 この機関は平成28年3月で総資産(平残)は34兆6440億円で、会員(主として信用金庫)からの出資金は6909億円、連結自己資本比率(国内基準)は41.1%を記録している。そして、出資会員に占められているのは、全国265行の信用金庫である。 信金中央金庫は会員信用金庫のセントラル・バンクとしての位置づけとなっており、国内で都市銀行(メガバンク)・地方銀行という範疇からみて、規模の小さな信用金庫の信用保証を果たすという経営目標を掲げている。 しかし、銀行には日本銀行という中央銀行の存在があるにも係わらず、戦後の混乱期を終えても、なぜ、信用金庫にセントラルバンクの機能が必要なのか、そのことが大きな疑問として残る。会員へのサービスのように振る舞っているが、この機関はなぜ信用金庫の代理貸出を為し、その意味で各信用金庫が都市銀行(メガバンク)の支店のように展開しているようにも見える。 本稿では、信金中央金庫の財務データーからこの機関の行動を分析する。本稿では貸出に関しての関数を推計することにした。これは現在の金融当局の貨幣拡張政策による金利低下が、この種の機関にどのように作用しているかを見たいと考えたからである。これが本稿の副次的目的である。 この信金中央金庫を考える際に、信用金庫の現行の業態の特徴を検証することが必要となる。本稿では、まず信用金庫の現況について検証することから始めている。信用金庫は、政府が実体経済を刺激するとき、中小企業向け貸出時に信用保証協会などを通じ積極的に与信を与えている。 信金中央金庫も、最近では、東日本大震災の復興預金を集め、そこから復興資金を提供したり、あるいは、人口減少する過疎地域で「地域創生」の名の下、資金提供を行っている。全国のそれぞれの信用金庫が地域住民や中小企業の預貸業務を行うことが主目的であるとすれば、これは完全に業務目的が重なる分野である。信金中央金庫と各信用金庫がどのように重複する貸出について棲み分けを行っているのか、それも本稿で明確にしたい疑問の一つである。 上記のような見解に同意できない研究者もいるかもしれない。例えば、農林中央金庫と地方のJAの与信部門では、預貸への分野の重複を避け、上部機関の農林中央金庫が採算性の乏しいJA本体の利益を保つために、投資銀行として、地域JAから集めた資金を信託して利益を得ている事実がある。そうした業態と同じ形状を採っているのではないかという疑念が本稿作成の動機の一つである。 さて、本稿の結論だけを述べれば、日本で、すべての信用金庫の預金は右肩上がりで増えていることが確認できるが、貸出については思うように伸びていないことが確認できる。信用金庫のその余剰資金は有価証券では国債、社債で運用されている。そして信金中央金庫は信用金庫のかなりの資金を信金中央金庫の預入金として資金運用を行っている。ところが、信金中央金庫は、その資金運用の国内業務での収益率(利鞘)が、0.1%を下回る事態になっており、投資銀行の体を為していない状況にある1)。 信金中央金庫の貸出行動についても政府への依存度の高い姿が見える。すなわち、この機関は預金を大量に集めて、乏しい資金運用力でも十分機関本体に維持可能な金融収益を稼得している。しかし、貸出も政府・地方自治体への関係が深く、他業種への貸出能力に長けていない。そして、昨今、信託部門を都市銀行系列の信託銀行に売却した。この金融機関は、いよいよ生き残りを与信業務に掛けなければならない時期に来た。本稿はこのことを明示した論文と言える。1) 2016年10月31日の日経新聞で信金中央金庫の傘下の信託銀行を三菱UFJ信託銀が買収と記載されたとき、本稿を書き終えるところであった。
著者
古賀 弥生
出版者
活水女子大学
雑誌
活水論文集. 文学部編 (ISSN:21882983)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.123-147, 2015-03-31

本稿は、福岡市就労自立支援センターにおいて実施されている、ホームレス状態から就労自立を目指す方々を対象とした演劇によるコミュニケーション講座の実践状況と、筆者が約1年間にわたって行った活動成果の検証についてまとめたものである。 検証の結果、この講座における「話す・聞く」という基本的な人との関わりの経験は対話の訓練や集団の疑似体験になっており、演劇の持つ共同性が生かされた活動となっていることが判明した。また、現実社会ではなく講座の中の守られた環境において体験したことが実社会の予行演習となっており、演劇の特徴のひとつである虚構性が関連していると考えられる。さらに自らのコミュニケーションの状況を少し引いた目で見る経験から自分のコミュニケーションの特徴を知り、これまでとは違うコミュニケーションのやり方を学ぶなどの成果も挙がっており、演劇の特質である客観性が生かされているともいえる。
著者
大迫 茂人 佐野 光仁 愛場 庸雅 近藤 千雅 北尻 雅則 坂下 啓史 東川 雅彦 村本 大輔 奥村 隆司 坂本 平守 浅井 英世
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.10-15, 2009 (Released:2012-11-20)
参考文献数
7

大阪府における新生児聴覚スクリーニング後の精密聴力検査結果を過去 5 年間にわたり検討し,本事業の評価を試みた。  対象児は聴覚スクリーニング後に要検査児として大阪府下の36精密聴力検査施行病院耳鼻咽喉科に紹介された新生児達である。  調査項目は10項目であるが,今回は上記の目的に関係の深い 3 項目について検討した。  精密聴力検査医療機関を受診した児数は平成14年度159名より年々増加し,平成18年度は372名と順調にのびていた。また,精密聴力検査を受けた児数も平成14年134名から増加し平成18年度は318名であった。  その受診児に対する精密聴力検査の結果の中,難聴児の検出数とその率は平成14年度では63名47%であったがその後,年々増加し平成18年度では194名61%であった。他方,両側性高度難聴児の検出は平成18年度でも受診児中精密検査を受けた318例中29例であった。  スクリーニング検査結果と精密聴力検査結果を比較して両検査結果が一致している割合は平成14年度の35.4%から年々上昇し平成18年度には63.5%と高まっていた。この事実から両検査施行者の検査技術の向上などがうかがわれる。  上述調査の結果は耳鼻咽喉科の観点からみると大阪府における本事業は順調に歩んでいることを示す一面と考えられる。
著者
阿部 章彦 加藤 匡志 稲葉 鋭
出版者
The Japanese Society for Medical Mycology
雑誌
真菌と真菌症 (ISSN:05830516)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.254-259, 1989-12-25 (Released:2009-12-18)
参考文献数
18
被引用文献数
1

鉄と真菌の相互作用について著者らが行ってきた実験結果をもとに深在性真菌症の組織応答の面から検討した.1) 鉄過剰状態による易感染性: 鉄過剰状態後のICRマウスに Candida albicans を接種すると, 早期に腎膿瘍が形成され, 仮性菌糸が認められたが, 対照群ではその時点で膿瘍内に真菌要素はみられなかった. すなわち, 鉄過剰は真菌症の組織学的所見には本質的な差異をもたらさなかったが, 真菌要素の発育促進に大きな影響を与えていた. 白血病マウスを用いた実験でも同様の結果であった.2) 血清鉄低下による感染抵抗性: Lipopolysaccharide あるいは muramyl dipeptide を前処置して血清鉄を低下させた後, アスペルギルスを接種すると, その発育速度の低下がみられ, 真菌病変の形成に時相のずれをきたした.3) UIBC (不飽和鉄結合能) の低下による易感染性: 糖尿病性ケトアシドーシスによるUIBCの低下は, Rhizopus oryzae の発育を促進した.4) トランスフェリン量低下による易感染性: D (+) galactosamine 肝障害は, トランスフェリン量を低下させ, カンジダの発育を促進した.以上の鉄代謝の変化による深在性真菌症の組織応答は, それぞれの対照群と比べ, 本質的な差異はなかったが, 鉄代謝の変化は真菌の発育の速さと病変の広がりに影響を与えていた.
著者
佐々木 理 高橋 皇基 丹治 雅博
出版者
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
雑誌
日本血管外科学会雑誌 (ISSN:09186778)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.195-197, 2017-07-31 (Released:2017-07-26)
参考文献数
7

Ehlers-Danlos症候群(EDS)は結合織に脆弱性を持つ遺伝性疾患である.なかでも血管型(IV型)は血管壁,消化管壁に脆弱性を示し非常に重篤な合併症をもたらす.今回,われわれの経験したEDS IV型が疑われた症例について報告する.症例は30歳男性.突然の右下腿の腫脹,疼痛を主訴に来院した.精査の結果,右後脛骨動脈瘤破裂と診断され,緊急コイル塞栓術を施行された.22歳時に樹状肺骨化症,25歳時に脳梗塞,脳内硬膜動静脈奇形,左内頸動脈–海綿静脈洞瘻,症候性てんかんの既往があり,特徴的な病歴からEDS IV型が疑われた.術後は順調に経過したが,術後23日の早朝に突然の腹痛を訴え,その後ショック状態となった.緊急の造影CTの結果,右後腹膜への造影剤漏出と多量の血腫を認め,外腸骨動脈の破裂が疑われた.直ちに救命のため尽力したが奏功せず死亡した.本症候群は急性に致命的合併症を来す疾患である.今回の症例でわれわれが反省すべき点を含め,文献的考察を加えて報告する.