著者
田近 淳 小板橋 重一 大津 直 廣瀬 亘 川井 武志
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.113, no.Supplement, pp.S51-S63, 2007 (Released:2009-01-27)
参考文献数
43
被引用文献数
1

石狩平野・夕張山地・富良野盆地を横断し,山麓に分布する変動地形を観察するとともに,夕張山地の大規模地すべり地形とその移動体を貫通したトンネルの見学を行なう.石狩低地東縁断層帯では,ブラインドスラストが形成した段丘面の緩やかな傾動や撓曲変形を観察する.断層帯周辺は縄文時代以降の遺跡の密集地帯であり,発掘により多くの地震性地すべりの痕跡が発見されている.それらも観察できるかもしれない.富良野断層帯では盆地の両側に分布する断層崖や地形面の傾動を観察するとともに,傾斜した十勝火砕流堆積物とこれを覆う砂礫層や断層の剥ぎ取り標本を観察する.一方,両断層帯に挟まれた夕張山地の蛇紋岩や白亜系蝦夷累層群・新第三系の分布域には大規模な地すべり地形が分布する.道道夕張新得線赤岩トンネルは蛇紋岩と付加体構成岩類からなる大規模地すべり移動体を貫くトンネルである.本コースは,活断層・地すべり・トンネルなど,変化に富む巡検となっている.現地での様々な議論を期待する.
著者
加藤 大介 芝 譲 松田 壮史
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.63, no.506, pp.155-161, 1998-04-30 (Released:2017-02-02)
参考文献数
10

The main objective of this paper is to propose an evaluating equation for deformation capacities of reinforced concrete columns determined by flexural failure, which is caused by the compressive failure of the core concrete. The effects of the compressive failure of the core concrete become significant for corner columns subjected to varying high axial load. Therefore, these problems are discussed paying special attention to the effects of the varying axial load. The proposed equivalent axial load ratio was found to be effective to apply equations to columns with varying axial load.
著者
吉田 雄一 中山 樹一郎
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.69-74, 2007 (Released:2007-03-05)
参考文献数
8

難治性の慢性そう痒性皮膚疾患に対する塩酸エピナスチンの有用性,安全性の検討を行った。他剤による前治療でコントロール不十分の比較的罹病期間の長い患者に対し塩酸エピナスチン1日1回(20mg)もしくは1日2回(40mg)の切り替え投与を行った。投与開始1週間後より両群において皮疹の程度,そう痒とも有意な改善がみられ,4週間投与にて著明な改善がみられた(92%)。安全性に関しては40mg投与群においても特に重篤な副作用は認められなかった。以上の結果より,各種難治性慢性そう痒性皮膚疾患の治療に本剤の20mgまたは40mg切り替え投与は有用であると考えられた。
著者
亀山 剛 渡辺 一雄
出版者
広島大学総合博物館
雑誌
広島大学総合博物館研究報告 (ISSN:18844243)
巻号頁・発行日
no.3, pp.7-22, 2011

絵下山公園は原爆爆心地から12.4kmにある広島市営公園でギフチョウの生息地である。この山頂部に2006年デジタルテレビ放送所の鉄塔および局舎が完成した。ギフチョウの行動研究と並行して,工事の影響を極力抑える努力を試み『ギフチョウの住む自然豊かな都市近郊型公園』の創成を目指している。本稿ではギフチョウの生息条件について総論を試み,保全の具体策と工事前後の飛翔,産卵状況の変化,今後の課題を述べる。ギフチョウは一時的に減少したが最近2,3年,回復しつつある。今後,適切な生息環境と景観の整備により里山のシンボル,ギフチョウの生息環境を保持した都市近郊型公園を目指したい。減少の原因は気候の異常変動と巨大鉄塔出現による飛翔・産卵行動の変化が考えられた。行動の変化を『飛翔パターン全体を認識・記憶する生理メカニズム』の存在とそのトータルな変更ととらえ,適応行動の遺伝という観点から仮説を立てて論じた。Mt. Ege ("Ege-san" in Japanese; alt. 593 m) is located near Hiroshima City, 12.4 km from the atomic bomb memorial dome. The municipal park at the summit, is a popular Hiroshima sightseeing spot and a habitat of Luehdorfia japonica, a butterfly that is a symbol of the concept of "satoyama" (the area between mountain foothills and flat, arable land). In 2004, construction was begun of a digital TV tower at the summit area. At this time, we reviewed the principle habitat of Luehdorfia with a focus on their flight behaviors. We described successive changes related to individual numbers, ovipositions, and flight behaviors during the construction. The food plant, Asarum hexalobum, was transplanted to the area, and advice was offered to those involved with the construction on how to create and/or maintain a good habitat. Although the population of the butterflies temporarily diminished during the construction, its current status indicates a tendency toward recovery. We are planning to produce a unique natural park, in which Luehdorfia can be observed flying amongst the cherry blossoms in the spring.
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.1042, pp.36-39, 2015-02-25

東京国際空港(羽田空港)も国際線旅客ターミナルにひと工夫を施した。屋内に木造橋を建設したのだ。欄干に触れるとひやりと冷たいヒノキの感触が伝わってくる。旅客は触覚ではるか江戸の昔を体験するだろう。
著者
山城 公人 大川 浩志 小竹 茂夫 柴田 健司
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
巻号頁・発行日
vol.27, 2016

近年、石材等の採石場の跡地に管理型廃棄物最終処分場を計画する事例が増えている。採石場跡地に最終処分場を建設する利点として、河川水等の表流水の流入が少ない点や沈下や崩壊の恐れが少ない点が挙げられる。一方、採石場跡地に処分場を建設する難しさも存在する。<br> 管理型最終処分場では、一般に遮水シートを用いた表面遮水工が必要であることから、遮水シートの基盤はシートの破損を防止するための平滑性が求められる。特に、斜面部は底盤部と異なり覆土による基盤の平滑化が困難であるため施工上の工夫が求められる。<br> 安価で施工性のよい硬岩斜面の平滑化工法の開発や積極的な採用は、採石場跡地に代表される岩盤での最終処分場建設促進に有効であると考える。<br> 本報告では、花崗岩の切土斜面と現地発生土を用いた盛土斜面の両方が存在する管理型産業廃棄物最終処分場の建設工事において、経済的で短工期を目的とした施工事例を紹介する<br>
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.1053, pp.66-75, 2015-08-10

長崎市の「軍艦島(ぐんかんじま)」(正式名:端島(はしま))が脚光を浴びている。「明治日本の産業革命遺産」として、世界文化遺産に登録されることが7月に決定。約100年にわたって、風雨にさらされながら解体されずに残った鉄筋コンクリート造の建造物群…
著者
大塚 元一
出版者
Japan Society of Material Cycles and Waste Management
雑誌
廃棄物学会誌 (ISSN:09170855)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.96-105, 2001-03-31
参考文献数
9
被引用文献数
1

昨年, 廃棄物処理法の改正のみならず, 循環型社会形成推進基本法および各種リサイクル法の制定・改正がなされ, 循環型社会に向けて法整備が進められた。廃棄物問題は, 循環型社会という言葉に変えられたと感ずるほどである。産業廃棄物処理業界にとって, 急ピッチの変革は戸惑いでもあるとともに, 見方によってはビジネスチャンスでもある。しかし依然処理業者への偏見, 最終処分場等の危機的状況およびそれに伴う処分すべき廃棄物の適正処理システムの崩壊の恐れ, 静脈産業の市場の病的現象など, 産業廃棄物処理業界にとって乗り越えなければならない課題が山積している。<BR>循環型社会の形成は, 廃棄物問題の新しいスタートである。しかし歴史の上に築かれてきた廃棄物に対する企業および国民の「負」の思いを, 急激に変革することは難しい。産業廃棄物処理業者は, 「負」からスタートしなければならないことを理解していただきたい。
著者
百地 章
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
1993

博士論文
著者
前田 基成 服部 環 玉井 一 小牧 元
出版者
上田女子短期大学
雑誌
紀要 (ISSN:09114238)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.129-139, 1993-03-31

拒食型のANに加え,過食型のANおよびBNも評価できる質問紙(EDI)の信頼性・妥当性を検討する目的で,健常な女子高校生・女子大学生,摂食障害患者を対象としてEDIを実施し,次のような結果が得られた。(1)健常者を対象とした結果を因子分析し,6因子50項目を抽出した。それぞれの因子は,情緒的不安定,過食傾向,自己のボディ・イメージ,自尊感情,肥満恐怖・やせ願望,成熟拒否と解釈された。各因子は十分な単一因子性があることが示され,これらにより尺度構成を行った。(2)各尺度の信頼性が,ten Berge & Zegers(1978)の方法による信頼性係数,Cronbachのα係数,再検査法による信頼性係数によって示された。(3)因子分析の結果から,内容的妥当性,因子的妥当性が備わっていると判断されたほか,各摂食障害患者と健常者との比較,および各患者間の比較から,EDIは臨床的に有効であることが示された。
著者
白羽 英則 小橋 春彦 大西 秀樹 中村 進一郎 山本 和秀 小林 功幸
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

Des-gamma carboxy prothrombin (DCP)は、血管内皮細胞のKDRに作用し、細胞移動能(2.2倍)、細胞増殖能(1.5倍)を亢進させた。これら効果はKDR阻害剤により消失した。肝癌細胞のシークエンス解析からexon2の脱落したΔ2-gamma-glutamyl carboxylase(GGCX)を同定し、クローニングした。肝癌細胞においてΔ2-GGCX発現はDCP産生細胞(69%)において非産生細胞(8%)と比較して優位に高く、本来DCP非産生細胞であるHLE, SK-Hep-1は、Δ2-GGCX遺伝子導入によりDCP産生機能を持つようになった。これらの結果より肝癌におけるΔ2-GGCXの発現は、DCP産生の一因であることが解明された。Δ2-GGCX導入Hep3Bは、parental Hep3Bに対して約10倍のDCPを産生し、逆にWT-GGCX導入Hep3Bは、DCPの産生が消失した。それぞれの細胞を、ヌードマウス皮下に接種し8週間飼育した。Δ2-GGCX遺伝子導入細胞(腫瘍体積632mm^3)においては、WT-GGCX遺伝子導入細胞(腫瘍体積153mm^3)と比較して4.2倍と大きな腫瘍をヌードマウス皮下に形成し、血管新生も多く認められた。HCC患者組織(手術標本)でもDCP産生、血管新生の検討を行った。免疫組織染色の検討では、DCP発現と血管新生を示すCD31発現の相関が認められた。また、造影CTで評価したHCCのvascularityと、血清DCPの値にも相関が認められた。これらの結果より、DCPは臨床検体においても血管新生と密接な関連を持つことが判明した。
著者
水野 毅 石野 裕二 髙﨑 正也
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.849, pp.16-00558-16-00558, 2017 (Released:2017-05-25)
参考文献数
6

A new over-flow prevention valve with a trigger mechanism is designed, fabricated and studied experimentally to evaluate its performances. Loading arms are used to transfer combustible fluid such as oil between tankers and tanks. A loading arm is equipped with an over-flow prevention valve for safety. This valve stops the fluid flow when the fluid exceeds a threshold level in a tank. It must be composed of mechanical elements solely because electric components may induce combustion. Therefore, it uses a pneumatic circuit to detect the fluid level and close the valve. The fabricated valve utilizes positive pressure caused by the height difference of fluid level between the tank and the sensor probe instead of negative pressure that was used in a conventional valve. However, the positive pressure is insufficient to close the valve directly. Therefore, a trigger mechanism is introduced between a piston pushed by the positive pressure and a locking mechanism keeping the valve open. This mechanism generates sufficient force to release the lock and close the main valve from the force pushing the piston. The concept, operation principles and the pneumatic circuit design are presented. Experiments simulating actual operation are carried out with the fabricated valve. The sensor probe is inserted into the water with a constant speed by a single-axis robot instead of flowing oil into the tank. The relation between the velocity and the depth when the valve closes are studied experimentally.
著者
南 正昭 吉武 和徳 田村 洋一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.699-706, 2002-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
13

本論文は, 車椅子利用者の選択できる経路が, 街路網上に存在する路上障害物や施設整備水準によって限定されることに着目し, 車椅子利用者が自らの身体状況に応じて障害要素を回避し目的地へ到達することができるように, 経路選択を支援する方策について考察を行ったものである. 山口県宇部市の中心市街地を対象地域とし, 現地調査を実施して街路網上障害要素に関するデータを収集し, データベースの構築を行った. このデータをもとに, 車椅子利用者は自らの許容水準を満たさない街路網上障害要素を回避し, 所要時間が最短となる経路を選択することを仮定し, 推奨経路を地理情報システム上に提示する対話型の支援システムを開発した. 本システムの実行例を通して, 経路選択の支援策としての有用性を明らかにするとともに改善すべき課題をまとめた.