著者
長尾 桂子 身内 賢太朗 中 竜大 矢ケ部 遼太
出版者
新居浜工業高等専門学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

宇宙から到来する暗黒物質の方向を検出できる検出実験では、方向情報を利用して暗黒物質の様々な性質を調べることができると考えられる。暗黒物質の速度分布は先行研究から非等方的な成分を含むことが示唆されており、この検証には方向を検出できる検出実験が適している。本研究では、方向情報を利用して速度分布の非等方性を検証するのに必要なイベント数や検出器のエネルギーしきい値等の条件を、モンテカルロシミュレーションを利用して明らかにした。
著者
Tomoya Yamashita
出版者
一般社団法人 日本動脈硬化学会
雑誌
Journal of Atherosclerosis and Thrombosis (ISSN:13403478)
巻号頁・発行日
pp.38265, (Released:2016-12-07)
参考文献数
42
被引用文献数
36

Atherosclerosis is a chronic inflammatory disease. Interventions targeting the inflammatory process could provide new strategies for preventing atherosclerotic cardiovascular diseases (CVD). Previously, we have reported that oral administration of anti-CD3 antibodies, or active vitamin D3, reduced atherosclerosis in mice via recruiting regulatory T cells and tolerogenic dendritic cells to the gut-associated lymphoid tissues. From this, it is reasonable to propose that the intestine could be a novel therapeutic target for prevention of atherosclerotic CVD. Recently, the association between cardio-metabolic diseases and gut microbiota has attracted increased attention. Gut microbiota, reported to be highly associated with intestinal immunity and metabolism, were shown to aggravate CVD by contributing to the production of trimethylamine-N-oxide (TMAO), a pro-atherogenic compound. We have also previously investigated the relationship between patient susceptibility to coronary artery disease (CAD) and gut microbiota. We found that the order Lactobacillales was significantly increased and the phylum Bacteroidetes was decreased in CAD patients compared with control patients. In this review article, we discuss the evidence for the relationship between the gut microbiota and cardio-metabolic diseases, and consider the gut microbiota as new potential diagnostic and therapeutic tool for treating CVD.
著者
松木 駿也
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100192, 2015 (Released:2015-04-13)

1.  はじめに 近年の観光形態の変容により観光客に対する地域の説明には、バスガイドのような画一的なガイドから専門知識と観光客を楽しませる技術が必要な解説活動(インタープリテーション)へ求められるものが変化してきた。そこで注目されているのが地域住民による観光ボランティアガイドである。世界遺産のような観光客の多く訪れる地域では受け入れ態勢の整備としてガイド育成が求められ、さらに、ジオパークのような学習観光の場では専門知識と適切な安全管理を行える有償ガイドも出現している。 そのような中で、島原市、南島原市、雲仙市からなる長崎県島原半島には、現在、有償無償の10ほどの観光ガイド組織が存在しており、世界遺産とジオパークという二つの大きな観光政策のもとガイド組織の再編が行われている。本報告では、その概要について述べ、観光ガイド組織やガイド個人への聞き取り、アンケート調査をもとに、再編過程にある島原半島の観光ガイド制度に対するガイド個人の認識や、ガイド間・組織間関係の変化から、現在のガイド制度の問題点と今後の持続可能性について考察していく。   2.  世界遺産による観光ガイドの統合 南島原市の日野江城跡、原城跡は、2007年に世界遺産暫定リストに記載され、2015年1月に推薦が決定した「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の構成資産となっている。これにより、日野江城跡、原城跡では観光ガイドの需要も高まると予想される。そこで市内の合併前旧町ごとに存在した5つのボランティアガイド組織を管轄する南島原ひまわり観光協会を中心に協議を重ね、5組織を「有馬の郷」に統合することとした。観光協会は旧町域を超えて地域資源を相互に通しで案内可能な人材(「スルーガイド」)を養成しようと画策している。これに対し、各組織は人材育成の必要性を強く実感しており、各組織にできる範囲での対応・協力をしていくこととしている。強いリーダーシップを発揮する観光協会のもと、目的を共有した既存ガイド組織が連携を図っていくこととなるが、一部のガイドへの負担増加が危惧される。   3.  ジオパークによる観光ガイド・ボランティアの再配置 1990年代前半に噴火災害の起こった島原では、2004年からNPO団体がまだすネット(のちに島原半島観光連盟)に所属するガイドが有償の火山学習プログラムを行っていた。2008年に日本ジオパーク、2009年に世界ジオパークに島原半島が認定されるのを契機に、ジオパーク推進協議会事務局では2007年から養成講座を開講しジオガイドの育成を行った。参加者の多くは既存のガイドやボランティアであり、事務局はジオパークガイドとしての制度を確立することをしていなかった。しかし、世界ジオパーク再審査直前の2012年12月にこれまでに養成講座を受講した者などの希望者に認定試験を課し、これに合格した27名を有償ガイドを行う認定ジオパークガイドとし、観光連盟の中に組織した。そのため、観光連盟ガイドなど他の様々なガイド組織に重複所属する者もいる一方で、これまでにガイド活動を行ったことのない者も多く含まれる組織となった。また、かつて莫大な災害支援を受けた島原にはボランティア意識の強い者も多く、ガイド個人の背景の違いから組織内での意識がまとまらない。また、ジオパーク事務局と観光連盟の2つの上部組織、認定ジオパークガイドと観光連盟ガイドの2つのガイド組織が併存することもその溝をさらに深める要因となっている。ジオパーク事務局がガイドを把握し、まとめることができておらず、現場であるガイドとの意思疎通をとれる制度の確立がもとめられる。
著者
増田 一 大堀 隆文 渡辺 一央
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.397-404, 1994-02-25
被引用文献数
5

KL(Karhunen-Loeve)変換を可能とする3層構造ニューラルネットを提案した.このニューラルネットは次の構造的特徴を有する.(1)入力層N(=入力次元数)個,中間層R(≦N)個,出力層N行×R列個の線形ユニットをもつ.(2)出力層第r(=1,2,…,R)列ユニット群は,中間層第rユニットと係数ベクトルW_r={W_<nr>;n=1,2,…,N}を介して結合し,かつ出力層内で同行前列ユニットから係数1の加算的結合を受ける.(3)中間層第rユニットは,入力層全ユニットと従属的係数W_r/∥W_r∥^2(∥・∥はノルム)を介して結合する.この並列出力形ニューラルネットの入力層-出力層各列間で恒等写像学習を行わせると,大局最適解に心ず収束し,収束後中間層第rユニットから入力標本の第r次KL変換成分が直接得られることを理論的に示した.また,高速な収束が期待できる簡単な学習則を示した.更に,(1)入力標本群の共分散行列Cが正則,(2)Cが非正則,(3)Cが多重の固有値をもつ,三つの場合についてシミュレーションを行い,理論の妥当性と学習の高速性を検証・確認した.
著者
池野 英利 神山 斉己 臼井 支朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.1047-1054, 1993-05-25
参考文献数
9
被引用文献数
5

生物神経系は神経細胞の電気・化学的特性によって実現された高度な情報処理機構を備えている.細胞膜を通過するイオン電流は神経細胞の電気的特性を規定することから,神経回路の機能に対しても影響を及ぼす.このことから,イオン電流のモデル記述およびこれに基づく生理工学的解析は,神経系における情報処理機構の解明にとって極めて重要なアプローチの一つである.イオン電流は膜電位固定実験法によって測定でき,その動的,かつ非線形な特性はHodgkin-Huxley型方程式によって一般的に記述される^<(1)>.しかしながら,この方程式に含まれる時間および膜電位に依存した複雑なパラメータを実験データから推定する方法は確立されておらず,このことはモデル記述を得る上で大きな問題であった.本論文では,4種類の膜電位固定実験プロトコルによって測定されたイオン電流に対し,非線形最適化法を用いた系統的パラメータ推定法を提案する.本方法をHodgkin-Huxleyのナトリウム,カリウム電流モデルによって生成した模擬実験データに適用し,イオン電流特性および細胞応答の再構成を通じてその有効性を示した.
著者
一見 敏男
出版者
社団法人日本化学会
雑誌
化学教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.32-35, 1980-02-20
著者
大塚 昇三
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.167-182, 2015-06-11

フーリエには情念が世界をかたちづくるという根本思想がある。もし人間が情念にしたがって自由に行動すれば情念の引力と斥力が働いて,歩兵隊の陣形のように中心集団と,その両側に中心集団と競い合う二つの極集団を形成する。この中心と両極の構造をフーリエは系列とよぶ。情念が,情念みずからの存在や働きを,人間の集団形成の行動を通して系列構造という目にみえるかたちであらわす,ともいえる。そして神がこの系列構造を原型にして世界のいっさいをかたちづくる。情念が自由ならいっさいが系列構造を分有して統一がうまれ,世界は調和する。情念が抑圧されると系列構造に歪みが生じ,統一が乱れて世界は不和になる。これがフーリエの根本思想である。本稿では,「文明のカースト」を中心に,このカーストの階層構造と系列構造との対応関係を確認する。この確認作業をもって,フーリエが系列といういわば事物の認識パターンにそって外界からの情報を分類・編集し,かれ独自の鍵になる観念を成形しているという筆者のフーリエ解釈の傍証としたい。
著者
高田 艶子 岩永 誠
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.49-55, 2014 (Released:2014-05-01)
参考文献数
18
被引用文献数
3 1

本研究は,認知症高齢者を対象として,補完代替医療 (CAM) としての音楽療法がその行動・心理症状 (behavioral and psychological symptoms of dementia: BPSD) のうちアパシーに与える効果を検証することを目的とした.平均年齢 85.9 歳の施設の認知症高齢者 20 名に,なじみの音楽による集団音楽療法を隔週で 8 ヶ月間,合計 10 回実施した.その結果,対象者全体では「情動反応」領域の歌唱,リズム,身体運動に有意な改善が認められ,「社会性」領域の集中力に改善傾向が認められた.アルツハイマー型ではリズム,集中力の改善および歌唱と参加意欲に改善傾向が認められたが,脳血管型では改善が認められなかった.このことから,音楽療法は認知症高齢者,特にアルツハイマー型のアパシーの側面に見られる BPSD 軽減に役立ち,QOL の向上に結びつくものと考えられ,薬物療法の補完代替医療法として有効であることが示唆された.
著者
高野 昭雄
出版者
京都大學人文科學研究所
雑誌
人文學報 = The Zinbun Gakuhō : Journal of Humanities (ISSN:04490274)
巻号頁・発行日
vol.105, pp.141-159, 2014-06-30

本稿は,京都市左京区松ケ崎地区の近代における朝鮮人労働者の足跡について論じた。松ケ崎は,平安遷都にさかのぼる松ケ崎百人衆の伝承をもち,また鎌倉時代末期には全村挙げて日蓮宗に改宗するなど結束の強さを誇ってきた。その伝統は,現在でも,五山送り火の一つである「妙法」の送り火に受け継がれている。こういった歴史をもつ松ケ崎は,周辺地域に比べ,工業地としての開発が遅れていた。そのため松ケ崎の朝鮮人労働者は,隣接地区に比べ,人口も少なく,目立った存在ではなかった。それでも,第一次世界大戦時の大戦景気の中で,松ケ崎にも東洋ラミー織布会社の工場が作られ,朝鮮人労働者が就業した。大戦景気時に労働力が不足し,繊維産業に朝鮮人が従事する現象は,京都では西陣地区でも見られた光景である。その後,1920年代になると,京都市では人口が急激に増加する中で,社会基盤整備事業が活発に行われ,土工や砂利採取夫として就業する朝鮮人も急増する。松ケ崎でも,人口増加を支えるための浄水場が建設され,その配水池の工事を中心に,朝鮮人労働者が多数従事した。また浄水場の工事や高野川での砂利採取,京都高等工芸学校の建築工事には,朝鮮人労働者と被差別部落住民とが,ともに就業していた。土木建築業や砂利採取業に,朝鮮人労働者と被差別部落住民とが従事する形態も,京都市他地域と共通する現象であった。一般的に京都の在日朝鮮人について語られる際,戦後の状況もあって,東九条を中心とした京都市南部あるいは西部に言及されることが多かった。しかし,西陣や上賀茂,修学院といった北部にも朝鮮人が多く居住し,それぞれ特色ある就業形態をとっていた。また松ケ崎のような朝鮮人労働者が少ない地域においても,京都市の典型事例とも言うべき朝鮮人労働者の就業状況があった。
著者
中山 大樹 小池 弘子
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
醗酵工學雑誌 (ISSN:03675963)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.157-164, 1965-03-25
被引用文献数
1

In the Kiso district of Nagao prefecutre, there is a local pickle called sunki, a native vegetable food, prepared without brine or vinegar. The author isolated 25 strains of lactic acid bacteria from 15 specimens of sunki and five specimens of various pickles, obtained from the same distric. In this paper 19 strains of isolated rods were identified as follows : - One strain of spore bearing rod isolated from dried sunki was identified as B. coagulans Hammer. Six strains of homo-fermentative rods were identified as L. plantarum (Orla-Jensen) Holland, one strain of hetero fermentative rods was identified as L. buchneri (Henneberg) Bergey et al, and 10 strains of hetero-fermentative rods L. brevis (Orla-Jensen) Bergey et al.Among these strains two strains can be considered as new varieties, for which the authors proposed the names of L. plantarum (Orla-Jensen) Holland var. sunkorum nov. var. and L. brevis (Orla-Jensen) Bergey et al. var. otakiensis nov. var. respectively.