著者
金子 邦彦
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.65-68, 2004-01-10 (Released:2009-11-26)
参考文献数
36
著者
渕 祐一 成松 浩志 仲摩 聡 寿 久文 平川 英敏 鳥島 嘉明 野口 玉雄 大友 信也
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.520-524_1, 1991-12-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
8
被引用文献数
8 10

これまで毒性が不明とされてきたホシフグについて, フグ毒試験を行って部位別の毒性を検討した. 大分県沿岸産30個体及び山口県近海産1個体の計31個体 (雄16個体, 雌15個体) 中, 皮膚の有毒個体出現率は雄12.5%, 雌33.3%で雌の方が高く, その毒力レベルは雌雄とも弱毒であった. 卵巣の同出現率は80.0%で, その毒力レベルは強毒を示した. また, 消化管は雌の1個体が弱毒を示した. 他方, 筋肉, 肝臓及び精巣はいずれも無毒であった. 以上の結果から, ホシフグは皮膚, 卵巣, 消化管に毒性が認められる有毒種であることが明らかになった.
著者
熊谷 大輔
出版者
弘前大学大学院地域社会研究科
雑誌
弘前大学大学院地域社会研究科年報 (ISSN:13498282)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.21-37, 2017-03-21

近年、人口減少や高齢化の進行する地方では小地域福祉活動が活発化してきている。一方、それら活動には継続が困難となる場合も少なくない。これら小地域福祉活動における継続要因は、(1)柔軟な参加と活動の仕組み、(2)利他意識の醸成、(3)人との出会いとつながり、(4)地域への理解と愛着の生成、(5)活動に対する誇りと自信、の5 つの論点にまとめることができる。本論文では、福祉をめぐる「場づくり」を目指すF団体に所属するメンバー6 名に実施したインタビュー調査をもとに、活動の継続要因や望ましい活動のあり方について、5 つの論点との関連性と活動メンバー個々人に生じる変化を踏まえて検証した。そのうち、(1)「柔軟な参加と活動の仕組み」は活動の「条件」に当たるものであり、(2)以降の4つの論点は活動の「成果」に当たるものであり、「成果」の実感と活動「条件」の整備との間には困難な調整が求められることが示唆された。さらに、これら「成果」と「条件」は「一般化」と「特殊なものとの融合」という2 つの志向が影響していると考えられ、活動主体のずれは多様な人びとが活動に参加することによる多様性が増せば増すほど活動主体は個々に異なる方向に純化させようとする考え方を生成しやすいことが示唆された。以上を踏まえると次のように結論づけられる。(1)活動メンバーは「活動の仕組み」以上に「人との出会いやつながり」を重視する傾向がある。(2)したがって、小地域福祉活動の継続には、「共同・実践ありき」と呼ぶべき「活動姿勢」の実現が重要な鍵を握る。(3)さらに言えば、「柔軟な参加態度と活動の仕組み」という最低限の「条件」と活動の多様な「成果」との調整が不可欠である。In recent years, small local welfare activities have increased in depopulation and aging regions.However, most of those activities cannot continued. Through my short bibliographic survey, Iconclude the primary factors of continuation of those activities as follows: 1) organization for flexibleparticipation of members and decision of activities, 2) fostering of altruistic awareness of members,3) encounters with the unknown and connections with members, 4) fostering of understanding ofand attachment for local community, and 5) self-confidence and pride of the activities.Therefore, in this paper I studied the interrelationship between these factors, paying attention topersonal changes of members, through the interviews with six members of Group F which aims tochange the negative image of welfare work in Akita City.At first, I analyze that the first factor corresponds to the activities "conditions," and the otherfour factors correspond to the "results." Consequently, the members of group need to difficultcoordination between the first conditional factor and the other resultant factors. In addition, I findout that in the conditional factor "respect for the peculiarity" is oriented and in the resultant factors"generalization" is valued. Accordingly, I guess the latent conflict between members has beenoccurred from this inconsistency of orientations.Lastly, I conclude as follows : 1) the members of groups tend to make much more of the resultantfactors, especially "encounters and connections", than the conditional factor. 2) this "encountersand connections" factor can be called the activity principle for "cooperative practice". 3) thoughtthis principle the group could solve the conflict between organizational condition and resultant fulfillment of members.
著者
一色 舞子
出版者
高麗大学日本研究センター
雑誌
日本研究
巻号頁・発行日
vol.15, pp.201-221, 2011

本稿は、文法化の観点から日本語の補助動詞 「-てしまう」の意味変化に伴う主観化、間主観化の様相を明らかにすることを目的としている。 まずは従来の研究において一様に指摘されてきた 「-てしまう」のアスペクト的意味について考察するが、本稿では多くが指摘する「-てしまう」の<完了> のようなアスペクト的意味 は本質的なものではなく、それが頻繁に置かれる文脈がもたらす二次的な解釈に過ぎないと主張する。 次に「-てしまう」の主観的意味について考察する。本稿ではその主観的意味として<一掃><遺憾>を挙げる。これらは「-てしまう」に固定的な意味というよりは、発話状況を含めた文脈によってその都度実現する語用論的意味である。ただし、これらの主観的意味は排他的なものではなく、文脈によっては一形式に複数の意味解釈が可能となる場合もある。 その次に間主観的意味について考察する。本稿では 「-てしまう」 の間主観的意味として<言い訳> <照れ隠し> <配慮>を挙げる。これらは 「-てしまう」 のもつ 「非意図化」 という機能 が関連していると思われる。 最後に、「-てしまう」の音韻縮約形である「-ちゃう」の意味的及び形態的特徴を考察する。本稿では、「-ちゃう」は「-てしまう」 とは意味面では大きな差はないものの、運用面で異なる 特徴を見せるということと、音韻縮約によって一形態素化した「-ちゃう」は「-てしまう」の文法化における形態的な証拠であることを主張する。
著者
向井 智哉 湯山 祥
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
pp.2203, (Released:2022-08-10)
参考文献数
31
被引用文献数
1

刑罰の正当化根拠を検討する従来の研究には,共通の尺度が存在せず研究ごとに異なる項目が用いられていたため,知見の統合が行いにくいという課題があった。この課題に対応するため,本研究では,刑罰の正当化根拠尺度(Justification of Punishment Scale: JPS)とその短縮版(Shorter version of Justification of Punishment Scale: S-JPS)を作成し,その信頼性・妥当性を検証することを目的とした。予備調査では,刑法学に関する書籍から刑罰の正当化根拠に関する記述を抽出し,それらをKJ法によってカテゴリーに分類した。研究1では,抽出されたカテゴリーに沿って作成された項目を用いて探索的因子分析を行った。その結果,応報,復讐,一般予防,改善更生,隔離の5つの因子が抽出された。研究2では,知見の頑健性を確かめるため再度探索的因子分析を行い,同様の因子構造が抽出されることが示された。信頼性係数は十分に高かった。さらに,シナリオで描写される具体的な事案についての量刑判断の根拠とJPSの対応する因子の相関・偏相関を検討したところ,有意な相関・偏相関が見られた。また短縮版であるS-JPSに含まれる項目を抽出し,JPSと比較したところ,これらの尺度が同様の性質を有することが示された。以上のことより,今後の研究に用いることのできる妥当化された刑罰の正当化根拠尺度およびその短縮版が作成された。
著者
中嶋 みどり
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.72-80, 2005-04-20 (Released:2017-07-24)

本研究の主な目的は, 保育園に通わせている保護者169名, 児童相談所職員68名, 保育士71名を対象に, 児童虐待の認知について, (1)専門家群と比較することによって, 保護者群の特徴を明らかにし, (2)保護者群においては, 個人要因(被虐待経験, 育児環境, 年齢)の高低と虐待認知の差を検討した。その結果, 保護者は, 児童相談所職員に比べて, 即座に子どもに大きなケガや有害な影響をもたらさない行為は, 虐待とみなす程度が低いこと, 日常的な世話に関わる行為は虐待と認知しやすいことが示された。児童相談所職員は, 児童虐待防止等に関する法律の定義に準拠した認知をしており, 即座に子どもに大きなケガや有害な影響をもたらさない行為を有意に高く「虐待」とみなした。保育士は, 保護者と似た捉え方であった。保護者の個人要因と虐待認知の関係において, 臨床群の先行研究で扱われた個人要因(被虐待経験, 育児環境, 年齢)は, 虐待認知に影響を及ぼさなかった。今後は保護者群の虐待認知に影響を及ぼす要因を新たに検討する必要がある。
著者
清水 優史
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.50, no.460, pp.3107-3115, 1984-12-25 (Released:2008-03-28)
参考文献数
9

The genesis of Korotkoff sound at high cuff pressure has been made clear by the model expreimental study using the thin walled silicon rubber tube being modified to have zero internal cross sectional area as an artery ehen compressed by the relatively higher external pressure than the internal one. The sound is generated by the steep pressure wave front formed in the course of pressure wave propagation through the completely collapsed tube segment under the cuff. The amplitude of the pressure wave penetrating into the collapsed tube segment and that of the steep wave front reaching to the distal end of the segment, measured from the artery also weakens correspondingly and, at some Peb, the sound becomes unaudible. The pressure wave form depends strongly on the transmural pressure at the distal end of the collapsed segment.
著者
清水 優史 谷田 好通
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.48, no.434, pp.1936-1944, 1982-10-25 (Released:2008-03-28)
参考文献数
9

血圧測定のよりどころであるコロトコフ音の発生機構のうち最低血圧でのそれを, 実験及び理論計算により明らかにした. コロトコフ音は外圧によりいくぶん圧平された管部を圧力波が出播する際, 波の先頭部に形成される圧力不連続面(衝撃波面)が管を急激に膨張させることにより生ずる. この衝撃波面は管法則の非線形性に起因する波の追いつき現象により作られ, その強さは管の圧平の度合と圧平部長さにより決定される.
著者
田中 良
出版者
奈良大学
雑誌
奈良大学紀要 (ISSN:03892204)
巻号頁・発行日
no.20, pp.p29-39, 1992-03

天地開闢以来、天の運行は人々の生活に甚大な影響を及ぼし、人々はときにはその恵みに感謝し、ときには人知及ぱぬその力に畏怖を覚えてきた。ギリシア・ローマ時代におけるアポロン(太陽神)、ポセイドン(海神)、アルテミス(月の女神)、ボレアス(北風)、ゼピュロス(西風)、ノトス(南風)、エウロス(東風)などの、気象にまつわる神々の創造は、その表れであろう。以来、気象の変化と神の力の密月は、少なくともフランス文学史上、18世紀まで続く。確かに1597年にガリレオの温度計発明とともに気象学は観測時代にはいり、1643年にはトリチェリが気圧計を発明し、1664年にはパリで定期的な気象観測が始まっているが、文学的、とりわけ小説の世界でみる限り、気象の変化は神の力と一体化していた。つまり人々に被害をもたらす気象は、神の怒りであり、逆にいえば神の存在証明であった。それを象徴しているのは、18世紀のベルナルダン=ド=サン=ピエールの『ポールとヴィルジニー』において、ヴィルジニーの乗った船を転覆させる暴風雨であり、サド侯爵の『悪徳の栄え』において、心優しいジュスチーヌを最後に直撃する雷であろう。しかし19世紀になって天気図が作成され、暴風雨警報が発令されるに及んで、気象は神の力から解放され、今度は小説におけるひとつの機能として利用され始める。とはいえ、この世紀前半のバルザック、スタンダールといった、外的状況に左右されず、自らの欲望、意志を貫こうとする人物を描いた作家よりむしろ、周辺の変化に翻弄される人物を主に描いた、後半のフローベール、モーパッサンの諸作品にその傾向は顕著である。例えば『感情教育』の有名な冒頭は、早朝、蒸気と霧にまみれた出帆間際の船上であり、その霧はいかにも宿命的な出会いにふさわしく演出され、『ボヴァリー夫人』では、良い気候を求めての転地がエンマの運命を決定する。モーパッサンの『女の一生』も、あたかも主人公ジャンヌの波乱に満ちた半生を予告するかのような豪雨の描写から始まり、最後は今後の彼女の幸せを象徴するかのような夕日に映える花畑の中を、彼女が赤ん坊を抱きながら馬者で走り去る場面で終わっている。20世紀にはいっても、ジッドの『田園交響曲』は「これで三日も降りやまぬ雪が、道をふさいでいる」という一文で始まり、ロマン=ロランの『ジャン・クリストフ』も、窓ガラスを打つ雨の場面から始まる。サルトルの『嘔吐』でさえ、最後の一文は、「明日ブールヴィルには雨が降るだろう」である。これらの作品は、気象状況を小説内の一つの機能として利用している限りにおいて、極めて古典的と言わねばならない。ではプルーストにとっての気象とは何か、また『失われた時を求めて』の中において気象はいかなる働きをしているか、これが本論のテーマである。
著者
武田 裕之 柴田 基宏 有馬 隆文
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.76, no.661, pp.601-607, 2011-03-30 (Released:2011-03-31)
参考文献数
16
被引用文献数
1 3

Recently, with the advance of motorization, decline of the city center has come to be considered as a serious problem especially in local cities. To solve such a problem, a concept called “Compact City” is proposed. However, there are no concrete image and criteria of it. This study devises the evaluation indexes from the books and papers about Compact City, and evaluates some DIDs by applying the indexes. As the samples, 37 DIDs in Kyusyu are selected. In addition, DIDs of Aomori city and Toyama city are examined because there are Compact City policies practiced by each city government. The indexes are created to have high versatility by using the statistics data from open resources and GIS data. The relative evaluation and ranking evaluation are utilized. Hita, Amagi, and Shimabara ranked in the top 3 DIDs. Also, Yatsushiro, Omuta, and Nobeoka ranked in the worst 3 DIDs. Each DID's characteristics and assignments are clarified since the DIDs ranked in higher positions are not always evaluated as good enough to be Compact City in every indexes, and the relationship between the indexes and the ranking evaluation is not significant.
著者
Kentaro YOSHII Keita MOTTATE Yuki OMORI-URABE Yumiko CHIBA Takahiro SETO Takahiro SANADA Junko MAEDA Mayumi OBARA Shuji ANDO Naoto ITO Makoto SUGIYAMA Hiroshi SATO Hiroshi FUKUSHIMA Hiroaki KARIWA Ikuo TAKASHIMA
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
pp.1010260371, (Released:2010-11-02)
被引用文献数
22 25

Tick-borne encephalitis virus (TBEV) is a zoonotic agent causing severe encephalitis in humans. Rodent species which are potential hosts for TBEV are widely distributed in various regions in Japan. In this study, we carried out large-scale epizootiological surveys in rodents from various areas of Japan. A total of 931 rodent and insectivore sera were collected from field surveys. Seropositive rodents against TBEV were found in Shimane Prefecture in Honshu, and in several areas of Hokkaido Prefecture. These results emphasize the need for further epizootiological and epidemiological research of TBEV and preventive measures for emerging tick-borne encephalitis in Japan.
著者
田中 秀夫
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 = Journal of the Brewing Society of Japan (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.432-452, 1998-06-15
参考文献数
407

平成9年の醤油ならびに醤油関連の研究業績は, 日本経済の沈滞, 醤油需要の低迷をそのまま反映するかのように目覚ましい進歩があったとするにはほど遠い。醤油本来の研究が少ない上に他の食品産業同様に環境問題, 食品衛生などの周辺の問題対応が多く, 地道な発展が阻害されているかのように感じられる。より一層基礎を固め目前に迫った21世紀に向け, 発展への確実な道が切り拓かれることを期待する。
著者
谷口 洋幸
出版者
中央大学
雑誌
法學新報 (ISSN:00096296)
巻号頁・発行日
vol.116, no.3, pp.523-548, 2009-09
著者
小池 順子
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 = CHIBA KEIZAI RONSO (ISSN:21876320)
巻号頁・発行日
no.54, pp.1-19, 2016-07-21

本論文は、音楽における表現とはいかなる営為かという問いの解明を目指している。この課題を遂行するにあたり、美学と音楽美学の知見を手がかりに、表現の概念が様々に揺れ動いてきたことを論証した。造形芸術においては、表現概念の中で描写と表出の対立が長くあった。対照的に、音楽芸術は造形よりも早く、表出芸術として認識された。19世紀には作曲家が表現の主体として存在価値を高めた。しかし作曲家の表現としての音楽は、演奏行為を通じて初めて直観的になる。演奏行為が演奏者という別の主体に委ねられるとき、次の問いが導かれる。第一の問いは、演奏者の行為は作曲家の表現を単に再現する行為なのかという問い、第二の問いは、演奏者の演奏行為は表現になりうるか、なりうるとしたら表現者としての演奏者はいかなることを遂行しているのかという問いである。