著者
相田 満
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 = The Bulletin of The National Institute of Japanese Literature (ISSN:03873447)
巻号頁・発行日
no.26, pp.161-222, 2000-03-29

「やまともろこし、儒仏のもろもろの書どもを、ひろく考へいだして、何事もをさをさのこれるくまなく、解あきらめられたり」(本居宣長『源氏物語玉の小櫛』)とまで評された『河海抄』(四辻善成・撰)は、その博引傍証的性格から、中世以前の学問体系をうかがう資料としても貴重だが、そこに遍在する『職原抄』引用部の分析・調査を行ったところ、『職原抄』の一部分がほぼ重複もなく再構成されるという結果を得た。このことは、『河海抄』の編纂者が、『職原抄』を熟知した上で、『河海抄』編集にその知識を反映させていたことを物語る。また、その引用箇所が「職原抄」の一部分に集中していることから、『河海抄』に取込んだ記事の選別・非選別の基準や意図を、そこから読みとることも可能といえよう。そして、同様の分析手法を重ねるならば、『河海抄』の知識源泉の解明に道を開くのみならず、他の注釈書や類聚編募物についても、その応用が可能であると予想する。 “Kakai-sho”(河海抄) selected by Yotsutsuji Yoshinari which was evaluated as「やまともろこし、儒仏のもろもろの書どもを、ひろく考へいだして、何事もをさをさのこれるくまなく、解あきらめられたり」(In ”Genji-monogatari Tama-no-ogushi” by Motoori Norinaga) is valuable as a document can be seen academic frameworks before the Middle Ages from its character that explains every examples in many documents. To survey and analyze quoted part of “Shokugen-sho”(職原抄), this results showed that it was almost reconstituted without overlapping. This indicates a compiler of Kakai-sho who knows well about “Shokugen-sho” reflected to edit it. It may be said that it is possible to read a standard and an intention of sorting, non-sorting of the article which was taken in “Kakai-sho”, because quotation points were concentrated in the part of ”Shokugen-sho”. It is expected that if the similar method of analysis was done repeatedly, not only opening the way for elucidation of the knowledge source, but also the application will be possible about other commentaries and collection of similar objects.
著者
中坪 孝之
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.179-187, 1998-01-20
被引用文献数
22

広島県太田川中流の氾濫原では,イネ科帰化草本シナダレスズメガヤEragrostis curvula(ウィーピングラブグラス)が急速に優占しつつある.1991年の秋に砂州に1m×1mのコドラートを35ヶ設置し,6年間追跡調査した結果,本種が出現するコドラート数,本種の被度が50%を越えるコドラート数のいずれもが急激に増加した.1993年の長期にわたる増水は一時的な被度の低下をもたらしたが,その後の回復はすみやかで,1996年には半数以上のコドラートで本種の生育が認められた.他の帰化草本や在来種では,このような増加傾向は認められなかった.シナダレスズメガヤは多年生で大きな株になるため,増水時に水流を妨げ,結果として株の下流側にマウンド状に砂が堆積する.本種の優占度と堆積した砂の厚さの間には正の相関が認められ,分布の中心部では砂の厚さが30cm以上に達していた.また,コドラートにおける本種の優占度と出現種数の間には負の相関が認められた.本種は種間競争のみならず,立地環境そのものを改変することによって,河川氾濫原の遷移パターンを変えてしまう可能性が示唆される.
著者
井上 謙吾
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.509-513, 2008-07-01 (Released:2011-04-14)
参考文献数
5

筆者は現在,アメリカ・マサチューセッツ州のマサチューセッツ大学アマースト校,Derek R. Lovley 教授のもとで博士研究員として研究活動を行なっている.ここでは,渡米に関するエピソード,Lovley研究室での研究生活,鉄還元細菌Geobacter とこれを利用した微生物燃料電池の研究について紹介する.
著者
ジャクソン トーマス バトナー アシュビー・リン 中川 雅道
出版者
大阪大学大学院文学研究科臨床哲学研究室
雑誌
臨床哲学 (ISSN:13499904)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.110-134, 2015-03-31

原著者:ジャクソン, トーマス / バトナー, アシュビー・リン
著者
辻 悟一
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.370-371, 2002-12-31
著者
辻 悟一
雑誌
経済学雑誌 (ISSN:04516281)
巻号頁・発行日
vol.99, no.5, pp.164-178, 1999-03
著者
矢口 祐子
出版者
日本女子大学
雑誌
国文目白 (ISSN:03898644)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.36-44, 2005-02-28
著者
劉 政安 青木 宣明 伊藤 憲弘 坂田 祐介
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.818-825, 2002-11-15
被引用文献数
6 2

中国ボタン品種群の中原品種グループから9品種と, 対照品種として日本ボタン'連鶴'の合計10品種を供試し, 花芽分化・形成過程と促成能力について調査した.調査開始の6月下旬にはすべての品種においてがく片が観察され, 花芽分化の開始が確認された.その後の中国ボタンの花芽形成パターンは, (1) : 花芽分化スピードが早く, 夏季に花芽形成のスピードが鈍ることなく順調に進み, 10月上旬に雌ずい形成が完了するグループ('白鶴臥雪'など3品種), (2) : 花芽分化スピードが中程度で, 10月中旬に雌ずい形成が完了するグループ('珊瑚台'など3品種), (3)花芽分化スピードが遅く, 雌ずい形成は11月上旬にほぼ完了するグループ('錦綉球'など3品種)の3つに分類できた.促成栽培における中国ボタンの萌芽率は低温期間が4週間と短くても100%を示したが, 日本ボタン'連鶴'は極端に低下した.また, 中国ボタン'白鶴臥雪'は低温期間が短くても開花率は比較的高かった.開花の見られた中国ボタン品種における開花はすべての処理区で年内に終了した.年内促成には, 80%以上の開花率を示した'白鶴臥雪', '鳳丹', '淑女装'の3品種が適すると考えられる.
著者
橋本 洋子 佐藤 陽子 中西 朋子 横谷 馨倫 梅垣 敬三
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.39-47, 2011 (Released:2011-03-30)
参考文献数
25
被引用文献数
1

【目的】健康食品やサプリメントの利用が普及する中,その利用は幼児にまで広がっている。幼児のサプリメント利用の判断は主に母親に委ねられている。そこで,本研究は,幼児を持つ母親の食や栄養,サプリメントに関する知識の実態とその情報源を把握することとした。【方法】2008年10月11日-2009年1月26日に6都県(青森,山形,茨城,埼玉,東京,千葉)の幼稚園および保育所に通う幼児の親1,844名を対象とし,自記式質問紙法によるアンケート調査を行った。回答者のうち母親1,050名を解析対象者とした(有効回収率55.7%)。【結果】幼児にサプリメント(錠剤やカプセル状)を利用させたことのある母親は9.5%であった。幼児を持つ母親は,5大栄養素の基礎的知識はよく理解していたが,特定成分の摂取量と生体影響の関係を踏まえた有効性や安全性に誤解が見られた。また,国が実施している健康食品に関する制度や栄養調査結果に関する知識が乏しかった。さらに,母親が栄養や食に関する判断を行う際,最も参考にしている情報源は,テレビ・インターネットであり,政府機関の発行物はほとんど参考にされていなかった。【結論】幼児を持つ母親は,栄養や食に関する基礎的な知識は持っていたが,公的な情報が充分に伝わっていない現状が明らかとなった。公的もしくは専門機関からの正しい情報の積極的な提供が必要と考えられた。
著者
斉藤 正一 中村 人史 三浦 直美 三河 孝一 小野瀬 浩司
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.58-61, 2001-02-16
被引用文献数
4

山形県内のナラ類の集団枯損被害地で, カシノナガキクイムシの脱出状況と被害木の枯死経過を6年間調査し, カシノナガキクイムシと枯死に関与する特定の菌類(仮称ナラ菌)の動態に関する試験を行って, これらの相互関係を検討した。カシノナガキクイムシは, 6月下旬に短期間かつ大量に羽化脱出し健全木に穿入して, 8月上旬に被害木は枯死することが確認された。また, 羽化脱出初期の時期と枯死に関する時間的経過との間には有意な関係が見出された。ナラ菌伝搬に関する実験と時期別のナラ菌の接種試験の結果から, カシノナガキクイムシは枯死に関与するナラ菌を樹幹内に伝搬し, 羽化脱出初期の時期と同様の接種時期にのみ枯死が発生したことから, ナラ類の枯死経過には, カシノナガキクイムシの穿入と伝搬されたナラ菌の樹幹内での動態が関連することが強く示唆された。
著者
柳井 重人 保田 圭一 丸田 頼一
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.273-276, 1995-03-31
被引用文献数
3 4

本研究では,住宅地における生垣等の囲障分布の実態と囲障に係わる住民意識との関連性等を明らかにし,生垣化推進に際しての問題点や課題を探ることを目的とした。調査対象地区は東京都大田区内の住宅地とし,現地踏査による囲障分布実態調査およびアンケートによる住民意識調査を行った。その結果,生垣の出現率は人口密度等の地域特性の相違によって異なること,ごく身近な接道部の緑の量は,住民の身近な緑の多少感や満足感に影響を及ぼし,それには生垣の存在が深く係わっていること等が把握された。さらに,生垣の所有者は,街並みとの調和等の美観の面での効果を生垣の利点として評価する一方,剪定等の維持管理を負担に感じていること等が把握された。
著者
佐藤 正
出版者
金子書房
雑誌
児童心理 (ISSN:0385826X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.169-175, 1967-03
著者
佐々木 豊 井上 貴之 小薗井 茜 渡邊 瑞生
出版者
農業情報学会
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.123-131, 2014 (Released:2014-07-01)
参考文献数
10

日本農業は高齢化が進み,次世代を担う人材の確保・育成が重要な課題となっている.農学系学校はその入り口となる重要なものであり,より多くの若者に農学・農業の面白さや魅力を伝える必要がある.また現在日本農業はTPP交渉も含めて大きな転換期を迎えている.一方,近年国内外でアニメ,コミック,キャラクターを中心とする日本型サブカルチャーが注目されている.現在の国内における日本型サブカルチャー利用・効果をまとめると,1.実在の場所の聖地化,2.キャラクターを用いた商品パッケージによる新購買層の獲得,3.ご当地キャラクターによる広報効果,4.農業・農学校を舞台としたコミックなどによる農学・農業学校の人気・関心度の向上が挙げられる.但し,失敗例も多く,また成功が一過性のものでは長期的に活用できない.我々は調査結果を踏まえ,日本型サブカルチャー戦略の長期的成功要素の分析・考察を行って,これを踏まえて独自のアイデアとして“やおわらし”を考案・設計し,農学と農業の両面からその活用と活性化を検討した.“やおわらし”とは,「八百万の神の童子(わらし)」から作ったオリジナルの造語・概念である.具体的にこの“やおわらし”の提案,“やおわらし”活動・成果の現状の報告を本論文で行った.農学・農業両面における活用について実施しており,特にアンケート結果から現状でも評価が高く,今後の期待の声も大きかったので報告する.
著者
西尾 浩二
出版者
京都大学西洋古代哲学史研究室
雑誌
古代哲学研究室紀要 : HYPOTHESIS : The Proceedings of the Department of Ancient Philosophy at Kyoto University (ISSN:0918161X)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.41-53, 2006-06-30

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。
著者
HIROSHI WATANABE MAKIKO YASHIRO TOMOYUKI ASANO SHUZO SATO ATSUSHI TAKAHASHI KYOKO KATAKURA HIROKO KOBAYASHI HIROMASA OHIRA
出版者
福島医学会
雑誌
FUKUSHIMA JOURNAL OF MEDICAL SCIENCE (ISSN:00162590)
巻号頁・発行日
pp.2014-27, (Released:2015-05-19)
参考文献数
17
被引用文献数
4

Stressful life situation can trigger the onset and flare-ups of Behçet’s disease (BD). In addition, the association of systemic sclerosis (SSc) and BD is rare. In this study, we report a patient who had Sjögren’s syndrome as a primary disease and subsequently developed SSc and BD after an earthquake disaster and the death of her father.