著者
北岡 教英 赤堀 一郎 中川 聖一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.83, no.2, pp.500-508, 2000-02-25
被引用文献数
37

雑音環境下の音声認識の前処理として用いられる, パワースペクトル領域でのスペクトルサブトラクションでは, 音声と雑音の間の相関の影響で雑音除去が十分でないことが指摘されている.本論文では, 相関の影響を抑えるための方法として時間方向スムージングを提案する.これは, パワースペクトルの各成分ごとにスムージングを行うものであり, 統計的に相関の影響を小さく抑えることができる.更に, スムージングによる時間分解能の低下を防いでスムージングをより効果的に実現するために, 短い分析窓長で分析を行う方法を提案する.大語彙(い)単語認識実験により, 時間方向スムージング, 特に短い分析窓を用いた場合に有効であることを示す.また, 時間方向スムージングを用いたスペクトルサブトラクションに, 音響モデルを雑音付加音声で学習する雑音付加学習を併用した場合に, 更に認識率が向上することも示す.
著者
加辺 憲人 黒澤 和生 西田 裕介 岸田 あゆみ 小林 聖美 田中 淑子 牧迫 飛雄馬 増田 幸泰 渡辺 観世子
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.199-204, 2002-08-20
被引用文献数
27 20

本研究の目的は,健常若年男性を対象に,水平面・垂直面での足趾が動的姿勢制御能に果たす役割と足趾把持筋力との関係を明らかにすることである。母趾,第2~5趾,全趾をそれぞれ免荷する足底板および足趾を免荷しない足底板を4種類作成し,前方Functional Reach時の足圧中心移動距離を測定した。また,垂直面における動的姿勢制御能の指標として,しゃがみ・立ちあがり動作時の重心動揺を測定した。その結果,水平面・垂直面ともに,母趾は偏位した体重心を支持する「支持作用」,第2~5趾は偏位した体重心を中心に戻す「中心に戻す作用」があり,水平面・垂直面での動的姿勢制御能において母趾・第2~5趾の役割を示唆する結果となった。足趾把持筋力は握力測定用の握力計を足趾用に改良し,母趾と第2~5趾とを分けて測定した。動的姿勢制御能と足趾把持筋力との関係を分析した結果,足趾把持筋力が動揺面積を減少させることも示唆され,足趾把持筋力の強弱が垂直面での動的姿勢制御能に関与し,足趾把持筋力強化により転倒の危険性を減少させる可能性があると考えられる。<br>
著者
中山 明 福浦 篤臣 西村 道明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, no.1, pp.488-489, 1997-03-06
被引用文献数
9

ミリ波用電子部品やICパケージの開発のため, 誘電体材料のミリ波複素誘電率測定技術が求められている。すでに導波管励起誘電体平板共振器法, NRDガイドを入出力線路とするTE_<02δ>誘電体共振器を用いた測定法, ガウシアンビーム共振器を利用した方法が報告されている。文献(2)ではtanδ測定の前提として, 導体板の導電率を, 誘電体リング共振器と誘電体円柱共振器を同軸状に配置した共振器によって測定している。本研究ではNRDガイド励起TE_<0m1>誘電体共振器と支持台のないTE_<0mδ>誘電体共振器の組み合わせによる高精度なミリ波導電率測定法と, TE_<0m1>共振器による複素誘電率測定法について検討する。

1 0 0 0 OA 狂歌東遊

著者
浅草菴市人 撰
出版者
蔦屋重三郎
巻号頁・発行日
1799

葛飾北斎画。浅草菴市人撰。江戸名所狂歌本。大本1冊。書き題簽は「狂歌 東遊」であるが、通行書名は「東遊」。墨摺。寛政11年(1799)春日、蔦屋重三郎刊。絵師署名等「画工 北斎/筆工 六蔵亭/彫刻 安藤円紫」。巻末識語「寛政十二年庚申三月吉日求之 実正(花押)」。序、寛政11年(1799)むつき、浅草菴。絵は計29図で、うち半丁図8図。名所のほか、職人図、店頭図などを含むのが特徴。北斎が、(俵屋)宗理の名を師家に返却し、北斎を名乗り、独歩の意気込みのもとに手掛けた、最初の本格的絵本である。細緻な線描を主体とし、オリジナルな絵柄に富んだ絵本として、後世に与えた影響が大きい。阿蘭陀人の定宿「長崎屋」、板元の店頭図「絵草紙店」などはとくに著名。一部の画中に江戸初期以降の著名文人の詩歌等を画讃として掲げる。享和2年(1802)、狂歌を削り、『画本東都遊』と改題され、色摺り本として再出される。(鈴木淳)(2016.2)
著者
山崎 文靖 佐藤 隆幸 柿沼 由彦 有川 幹彦
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

中高年を好発年齢とする進行性の神経変性疾患では、動脈圧受容器を介した交感神経系による血圧調節機能が廃絶するため、重度の起立性低血圧や失神発作をおこし、末期には寝たきり状態となるが、重症例における治療法はない。そこで本研究では、二年間の実験的臨床研究により、非侵襲的な血圧制御システムを開発する。1.動脈圧反射の開ループ伝達関数の推定:自律神経失調患者と健常成人男性より求めた開ループ伝達関数Hnative(f)はlow-pass特性を示し、0.01Hz以上でゲインが徐々に減少した。定常ゲインは5.3であった。2.圧迫帯圧から動脈圧までの伝達関数HSTM-SAP(f)の推定:自律神経失調患者での平均ステップ応答関数では、圧迫帯圧の上昇に伴い動脈圧は10秒以内に定常状態の90%に達した。定常ゲインは0.7±0.3mmHg/mmHgであった。3.ヒトの血管運動中枢の動作原理の記述:同定した平均的なHSTM-SAP(f)を用いて,ステップ状の血圧低下に対する血圧サーボシステムの振る舞いをシミュレーションし,比例補償係数Kp=0.4,積分補償係数Ki=0.2で,サーボシステムがもっとも安定的かつ迅速に血圧低下を代償することをみいだした。この係数を用いた制御部Hl(f)を伝達関数として記述し、人工血管運動中枢を製作した。4.非侵襲的人工的圧反射装置の構築と有用性の検証:開発したデバイスは、人工血管運動中枢を搭載したPC、血圧モニタ、電磁弁装置、圧搾空気ボンベ、腹部圧迫帯からなる。3例でその効果を検討した。起立時に平均20mmHg低下した平均血圧は、装置の作動により11mmHgの低下に抑制することが可能であった。5.下肢圧迫による動脈圧制御の可能性:下肢圧迫の効果を検証するために、両下肢に圧迫帯を装着し応答性を検討した。圧迫帯内圧の上昇に対し動脈圧は20秒以内に最大反応値に達した。
著者
白山 幸彦
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.127, no.3, pp.209-212, 2006 (Released:2006-05-01)
参考文献数
11

うつ病の症状は,軽症から重症だけでなく,その内容も多岐にわたり,反応する薬物も様々である.抗うつ薬はセロトニンまたはノルピネフリンを介して治療効果を上げていると考えられているが,うつ病自身の原因はそうではないようである.第一選択薬が無効であった場合,第二選択薬は注意を要する.その決定に際して,ガイドラインは有用である.その運用に当たっては機械的にならず,その選択理由を考えることが大事である.また,その判断基準に客観的な治療マーカーを見出していくことが重要な課題である.コルチゾール,デヒドロエピアンドロステロン,テストステロン,の血中濃度はそれ自身の値だけでなく,比を取ることでさらに強力な治療マーカーとなる可能性を有すると考えられる.
著者
林 行雄
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.110-116, 2007 (Released:2007-03-30)
参考文献数
12
被引用文献数
1

もともとα2アゴニストは鎮静, 鎮痛, 交感神経の抑制などの多彩な薬理作用をもっているが, これらの作用の多くが麻酔管理に有用であることが麻酔領域でのα2アゴニストの臨床応用を促進した. 新たに開発されたDexmedetomidineは強力なα2アゴニストであり, 麻酔領域への臨床応用が図られたが, 諸般の理由でいったん臨床試験は打ち切られたものの, その良質な鎮静作用により, 後日術後鎮静薬として上市された. 今後の臨床応用の拡大と副作用の抑制が大きな課題といえる.
著者
深野 義人 宮澤 由妃 見越 大樹 井上 寿男 丸岡 秀一郎 黒田 和道 権 寧博 橋本 修 山岸 賢司
出版者
Society of Computer Chemistry, Japan
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.13, no.6, pp.332-334, 2015

To establish a system for the early diagnosis of respiratory diseases, we developed a method for analyzing RNA sequence data obtained by next-generation sequencer identify genes showing altered expression as biomarkers of respiratory tract infection. The respiratory tracts of mice were exposed to lipopolysaccharide to establish a model of respiratory disease. Twenty-five genes exhibited significantly altered RNA expression following exposure. We identified non-coding RNAs in five regions that could be candidate biomarkers of respiratory diseases.
著者
奥村 三菜子
出版者
母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究会
雑誌
母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究
巻号頁・発行日
no.6, pp.80-95, 2010

近年、日本語補習授業校幼児部の在籍率は増加の傾向にあるが、就学前児童は在外教育の対象には含まれていない。本稿では、補習校幼児部が在外教育の対象外に位置することから生じている問題を示し、その改善を目指して行った実践とその成果について、主に実践者側の視点から報告している。実践の結果、補習校と家庭とが「意識的」かつ「密に」連携することの意義が再認識できたと同時に、目的を明確にした活動を継続的に実践することが成果を生みだすためには重要であることが示唆された。しかし、補習校において継続的な実践を行うには困難を伴う現状があることも新たな課題として浮かび上がってきた。小学部や中学部へとつなげていけるような幼児部実践のためにも今後の問題改善に期待したい。
著者
奥村 三菜子 オクムラ ミナコ Okumura Minako
出版者
母語・継承語・バイリンガル教育研究会(MHB研究会)
雑誌
母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究
巻号頁・発行日
vol.6, pp.80-95, 2010-03-31

近年、日本語補習授業校幼児部の在籍率は増加の傾向にあるが、就学前児童は在外教育の対象には含まれていない。本稿では、補習校幼児部が在外教育の対象外に位置することから生じている問題を示し、その改善を目指して行った実践とその成果について、主に実践者側の視点から報告している。実践の結果、補習校と家庭とが「意識的」かつ「密に」連携することの意義が再認識できたと同時に、目的を明確にした活動を継続的に実践することが成果を生みだすためには重要であることが示唆された。しかし、補習校において継続的な実践を行うには困難を伴う現状があることも新たな課題として浮かび上がってきた。小学部や中学部へとつなげていけるような幼児部実践のためにも今後の問題改善に期待したい。
著者
榎本 雅夫 横山 道明 新井 宏紀 硲田 猛真
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.219-226, 1991-04-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
16

スぎ花粉症は増加しているといわれている。増加の要因としては様々なことが報告されているが, 自然集団の中でどの程度に増加しているかについての報告は少ない。著者らは和歌山県下無作為に集めた多数例の血清を対象にRAST, AlaSTATによりスギ特異IgE抗体の測定を行い1895年の調査と比較した。その結果は次の通りであった。1.スギRAST1以上の陽性者は22.7%, 2以上は18.3%であった。スギAlaSTATの陽性者頻度は, スコア1以上は33.8%, スコア2以上はRASTとほぼ同じ20.1%であった。2.女性よりも男性の方に陽性者が多かった。3.年齢的には16-19歳台で陽性者がもっとも多く, 加齢と共に陽性率は減少した。4.スギRAST陽性者は, 5年前の同調査と比較して増加していた。また, 好発年齢が若年化していた。5.スギ特異IgE抗体陽性者は針薬樹, スギやヒノキの樹林面積の多いところに多かった。しかし, 増加の要因としての大気汚染の関連は証明できなかった。
著者
小林 久泰
巻号頁・発行日
2005

筑波大学博士 (農学) 学位論文・平成17年3月25日授与 (乙第2111号)