著者
上野 将司
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.531, pp.68-72, 2011-11-14

1972年7月5日、前日からの雨量は午前6時には500mmを超え、集落の裏山で小規模な崩壊が発生した。流出した土砂の排除に従事していた消防団員1人が、午前6時45分ごろに発生した2回目の小崩壊(幅20m、高さ10m)に巻き込まれて生き埋めになった。消防団員や住民など多くの人が集まり、降りしきる雨の中で救助活動を始めた。
著者
下村 泰彦 増田 昇 山本 聡 安部 大就 田村 省二
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.289-294, 1992-03-31
被引用文献数
4 7

本研究は,公共空間と接道部空間とを相互に関係づけながら,フォトモンタージュ法を用いて景観シミュレーションモデルを作成し,景観モデルの評価を通じて今後の街路修景・緑化手法に関する有効な知見を得ることを目的とした。その結果,公共緑化に関しては,壁面状況の良悪に係らず,高木の樹冠を大きくすることによって景観の向上が認められ,修景・緑化効果を明らかにすることができた。特に,歩道中央植栽は,修景・緑化効果を十分に発揮することが明らかとなった。接道部緑化に関しては,壁面状況,植栽形式に係らず,接道部を緑化することによって景観が向上することを明らかにし,接道部緑化の修景・緑化効果を確認することができた。
著者
TSUNEKI KATSUJI
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
日本鱗翅学会特別報告 (ISSN:05495210)
巻号頁・発行日
no.1, pp.167-172, 1965-12-30

白水隆博士の送付された3頭の蜂類を検した結果をここに記録した.これらのうち1頭はPsen属の新亜種であり,1頭はホソギングチバチ属の新種であった. 1. クロバネセイボウ Chrysis (Chrysis) fuscipennis RULLE. ♀. 原種は金緑色の青蜂であり,日本本土の亜種murasakiは濃紫色である.標本は両者の中間状を呈し,琉球産のものに近い.台湾産のものは多くは原種に属する. 2. 夕イワンプセンバチ Psen (Psen) koreanus formosensis subsp. nov. ♀. (付図1-4) チョウセンプセンバチの亜種であるが,第3触角節が長幅比でやや大である点(=より長い),胸部の点刻がより小である点で区別できる.本土産のハクサンプセンバチPsen hakusanus TSUNEKIにも類似するが,本亜種では点刻が遥かに粗大である点で異なる.なお,比島産のPsen coriaceus LITH, ジャバ産のPsen elisabethae LITH(両者は亜種関係のようである)にも近似するが,体に青味を欠くことによって容易に区別でき,点刻・中節の彫刻も異なる. 3. シロウズギングチRhopalum (Latrorhopalum) shirozui sp. nov. ♀. (付図5-15) ホンギングチ属の中で,ク口ホソギングチ亜属は外部生殖器の構造・体に光沢を欠くこと,額域が明瞭であること,腹柄が後転・腿節の和より長いこと等の特徴で明らかな自然群をなすものであり,アジアの特産群である従来インド(高地)・チべット・日本・朝鮮・樺太から計5種が知られていた.台湾(渓頭(ケイトウ), 約1150m)から6番目の種類が発見されたことは興味深い.本種は前胸前側角が歯状に突出している点で,極めて容易に全ての既知種から区別できるが,また頭楯・触角・前中肢の第1附節・第8腹面節等にも顕著な特徴がある.触角節および脚の変形度からみると,本種は日本および朝鮮の2種より進化の度がやや低く,インドのものより高いことが結論される.ギングチバチには日本列島とヒマラヤ地方とに共通するもので,しかも他地方にその類を見ない亜属が幾つかあるが,台湾は調査不十分のため何も分っていなかった.今回白水博士の採集品により,台湾がその1グループに関連して浮び上ったことは,大いに意義あることである.
著者
安藤 愛次
出版者
THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.265-268, 1960

6月から8月にかけて, 5日ごとにニホンギリの伸びをはかり,そのときの気象条件との相関性をしらべた。くらべた気象の因子は貝平均気温,最高,最低気湿,降水量および雲量とである。<br> 相関関係のみとめられた因子は気温,ことに平均,最高気温であり,キリの伸びと降水量および雲量との相関性はみとめられなかつた。伸びの量と気温との回帰式から,この地方の台切りしたキリの上長生長において,貝平均の気温が1°Cたかいときには13cmおおくのびて2.6mとなることが推定された。
著者
中橋 雄 寺嶋 浩介 中川 一史 太田 泉
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.373-382, 2010
参考文献数
14

本研究は,「電子黒板を活用して学習者が考えを説明する学習活動」で生じる相互作用を調査し,学習者同士の思考と対話を促すために教師が行った指導方略をモデル化して捉えることを目的としたものである.学習場面をビデオで撮影するフィールド調査により,学習者および教師の発話と行動について分析を行った.その結果,教師の指導方略として,「対話のための場を整える」,「説明方法を指導する」,「自らモデルを示す」,学習者の説明に対して「受け答える」,「思考を促す問いかけをする」といった事象のカテゴリーが生成された.そして,それらを構成する要素の中には,<提示画像を準備する><説明を書き込むよう注意する><印の付け方を注意する><色を変えて比較させる><書き込みを保存させる><立つ位置の見本を示す><身振り手振りの見本を示す>といった電子黒板を活用することによる特徴的な所作・動作を伴う事象が確認された.
著者
原田 泰 上田 信行
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.70-70, 2008

これからの情報デザイナーにとってドキュメンテーションのスキルと技術は欠かせないものとなるだろう。この研究のテーマは出来事を記録、視覚化し、リアルタイムに振り返りのための情報として活用することである。さまざまなダイアグラム手法を駆使して会議也ワークショップなどのイベントをリアルタイムに記述する手法の開発を行っている。本稿では、いくつかのワークショップで実践したドキュメンテーションの事例を報告する。ドキュメンテーションは<BR>1.活動のプロセスの記録と視覚化<BR>2.その場でフィードバックすることによる活動全体の振り返り<BR>3.参加者が次のイベントのために持ち帰れるよう出来事の記録をパッケージ化すること<BR>の3つのレベルでデザインされている。
著者
小川 雨田雄
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
岩石礦物礦床學 (ISSN:18830757)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.285-288, 1939-06-01 (Released:2008-03-18)
参考文献数
7
著者
三木 登 赤津 一衛
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.18, no.7, pp.303-308, 1971
被引用文献数
4

市販トマト製品中のトマトパルプの状態と粒度分布を調べ,次にホモジナイザー,ミキサーおよび超音波を使いトマトパルプを破壊し粒度分布を変えて,粒度分布の違いが色に及ぼす影響について調べた。その結果,<BR>(1) 市販のトマトケチャップ,トマトジュース中のトマトパルプの粒度分布に著しい差を認めた。粒度の大きいものではトマト細胞が残っており,lycopeneは顆粒状に存在していたが,粒度の細かいものではトマト細胞が破壊されlycopeneは細胞外に細かく分散していた。<BR>(2) パルプ量が0.5%~1.0%のトマトジュースにおいてはパルプ量と色との関係は定量的であった。<BR>(3) 漿液の色はトマト製品の色にあまり影響を与えておらず,パルプの色の影響が強かった。<BR>(4) 粒度が細かくなると色は肉眼的にも測色値においても悪くなつた。すなわちつやのある赤色から白っぽい赤色へと変わった。その原因はパルプの破砕とlycopeneの分散の結果反射条件が異なったためと考察した。<BR>(5) 細胞内外にあるlycopeneの安全性について考察を試みた。
著者
種子田 定俊
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.28, no.7, pp.552-561, 1973-07-05
被引用文献数
2

イルカは普通の動物の筋肉の能力から予想されるよりもはるかに速く泳ぐことで知られている. そのことから, イルカが泳ぐときの流体摩擦抵抗は, 同じ形の剛体が同じ速度で進行するときよりも, はるかに小さいのではないかと推測されている. 流体力学的に見てその可能性が存在するだろうか?
著者
竹山 恵美子 小沼 朋恵 高内 沙紀 堀内 美香 福島 正子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 63回大会(2011年)
巻号頁・発行日
pp.174, 2011 (Released:2011-09-03)

【目的】ペルーで栽培されるサッチャインチの完熟種実から圧搾して得られるグリーンナッツオイル(サッチャインチオイル)は,ω-3系脂肪酸であるα-リノレン酸とγ-トコフェロールに富んでいる。発表者らはこのオイルが生体に対して高い抗酸化力を示し,DNAの酸化損傷を抑える働きを有する可能性を臨床試験により明らかにした。一方,アマニ油やエゴマ油も同様にω-3系脂肪酸に富んだ油として知られており,以前から使用されている。しかしながら,ω-3系脂肪酸を豊富に含む油脂は加熱や光照射による影響を受けやすく,保存や調理の際の劣化が問題となる。そこで,より適した調理法を開拓するためグリーンナッツオイル,アマニ油およびエゴマ油の加熱および紫外線照射による影響について検討した。 【方法】試料はグリーンナッツオイル,アマニ油およびエゴマ油の3種類を用いた。これらを各々フライパンに一定量とり,80,100,120,140,160,180℃で10分間加熱した。また,UVランプを用いて,0,5,10,15,20,25時間紫外線照射した。これらの過酸化物価,カルボニル価を測定した。【結果】紫外線照射により過酸化物価・カルボニル価は,3種の油ともに上昇したが,その値はアマニ油>エゴマ油>グリーンナッツオイルの順で,特にグリーンナッツオイルは他の2種に比べて著しく低い値であった。また,10分間の加熱においても,温度の設定が高くなるほど両価の上昇が認められたが,過酸化物価はある温度をピークに減少し,その減少開始温度は油の種類により異なった。140℃までの加熱においては,グリーンナッツオイルが3種の油の中で最も劣化度が低いことが認められた。
著者
波部 剛 高森 一乗
出版者
特定非営利活動法人日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.256-265, 2008-06-30
被引用文献数
2

近年,歯科治療において,審美的,理工学的などの用件より接着技術が頻用されている.口腔を対象とする歯科臨床において,接着の阻害因子である湿度のコントロールが重要である事実を,In vitroの多くの研究,すなわちその上昇により接着強さが低下するという結果が明らかにしている.しかし,口腔の湿度分布やその防湿効果に関する研究は少なく,その詳細は不明である.今回われわれは,今後主流を占めるであろう接着臨床に必要となる基礎データを,口腔の環境面からのアプローチとして,口腔内の温・湿度に着目し,その分布とエア・ブロー,サクション,ラバーダム防湿による変化を検討した.事前に本研究の主旨を説明し同意が得られた,顎口腔機能に異常を認めない成人10名,平均年齢31±4歳(男性5名,女性5名)を対象に行った.なお本研究は,明海大学倫理委員会承認番号A0607に則って行った.測定装置として温・湿度センサ(THP-B4T,神栄)を用い,温湿度変換器(THT-B121,神栄)を用いて,データ記録装置(midi Logger GL200,グラフテック)にデータを記録した.PC上で解析ソフト(midi Logger Software,グラフテック)を用いて検討した.実験1 口腔内温・湿度分布上顎前歯ならびに臼歯の唇(頬),口蓋側にそれぞれ湿度センサを配置し,その温・湿度が安定するのを待って測定を行った.実験2 エア・ブロー,サクションによる温・湿度の変化上顎第一大臼歯頬側部にセンサを配置し,エア・ブロー,サクションをそれぞれ5,10秒行い,処置前後の温・湿度の変化を経時的に観察した.また同部にラバーダム防湿を行い,その変化も測定した.口腔の湿度においては,後方にいくほどその湿度の上昇が観察され,温度も上昇が観察された.相対湿度ならびに絶対湿度の測定においていくつかの差異が認められた.各防湿法の比較においては,エア・ブローならびにサクションにおいて,温・湿度の低下が観察されたが,その影響は一時的なものであり,それぞれを中止すると,ただちに温・湿度の上昇が観察された.ラバーダム防湿においては,防湿後の温度の変化はほとんど観察されないが,有意な湿度の低下が観察され,その効果は持続的で安定していた.部位的な差異同様,相対湿度と絶対湿度においていくつかの差異がみられた.以上の結果より,口腔内の温・湿度の分布に差があること,持続的な防湿効果はラバーダム防湿のみに観察されること,エア・ブロー,サクションにより温度が大きく変化することにより,相対湿度ではなく絶対湿度が湿度の指標として適切であることが明らかとなった.
著者
中岡 義貴 佐藤 哲司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.204, pp.57-62, 2014-09-10

インターネット上に存在する多くのレシピサイトでは,料理のジャンルや使用する食材など,様々な条件を指定することで,膨大なレシピ集号の中から単体のレシピを検索することができる.本研究では,調理者がこれまでに経験した食材や調理法に基づいて,無理なく調理のレパートリーを拡大することを目的とする,調理レパートリー拡大手法を提案する.レシピに出現する食材と調理手順に含まれる調理法の出現頻度,およびそれらの関係性を分析し,調理者の負担が少ない,未経験の食材と調理法を含むレシピを優先的に推薦する.大規模なレシピ共有・検索サイトのデータを用いて,推薦法を実装した評価実験用システムを用いた評価結果から,調理の負担が軽いレパートリー拡大やより多くの調理経験を積める効果的なレパートリー拡大などの,作り手の状況に合わせたレパートリー拡大について考察する.
著者
橋元 良明
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.47-53, 2012

本稿では,まずsociologieという言葉が,日本での通説とは異なり,フランスの革命指導者シエイエス(Emmanuel Joseph Sieyes)がその手記でしたためたのが最初であることを述べた。そこには市民革命前夜の新しい社会秩序成立への期待があった。その後,オーギュスト・コント(Auguste Comte)が改めてsociologieという言葉を使用し,産業革命後の社会再編も伴って,学問としての「社会学(Sociology)」の展開が始まるが,その中から,研究対象の分化という形で「社会心理学(Social Psychology)」が発展する様子を概説した。最後の節では,「社会情報学」が,「社会心理学」などとは異なり,大学の組織論的要請から生まれた言葉であり,研究領域にちなんで学術的発展の必然から生まれた語ではないことを述べた。すなわち,東京大学新聞研究所の学部転換構想や,札幌学院大学における新学部設置をめぐって「社会情報学」という言葉が作り出されたという特殊な出自をもっ学問領域名であった。
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.390, pp.53-54, 2005-12-23

自然の山や地盤を相手にすることの多い土木工事では,地質に起因する事故から逃げられない。特に,トンネルなどのように土の強度が構造全体の安全性を左右する工事では,いったん事故が起きれば,人的にも物的にも多大な被害が生じる。 事後の調査で原因がわからないことも多い。一般に,事前の地質調査が不十分だと言われる。
著者
滝澤 恵美 岩井 浩一 伊東 元
出版者
茨城県立医療大学
雑誌
茨城県立医療大学紀要 (ISSN:13420038)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.19-26, 2003-03
被引用文献数
3

転倒経験と高齢者自身の主観的な歩行評価を調査し, 時間的・空間的歩行変数が示す歩行パターンとの関係を検討することを目的とした。対象者は屋外独歩可能な65歳以上の高齢者39名とした。主観的歩行評価は歩行中に「よくつまずくと思いますか?」「転びそうだと思いますか?」の2項目を質問した。転倒は「過去1年間に何回転びましたか?」と質問し, 転倒経験が1回以上の者を転倒経験有りとした。時間的歩行変数は自由歩行速度と最大歩行速度, 空間的歩行変数は歩幅, 重複歩距離, 歩隔の平均値, 歩幅と重複歩距離のばらつき(変動係数)を計測した。転倒経験が有った者は11名(28%)であった。転倒経験は有るが現在「つまずきそうにない。」「転びそうにない。」と感じている者は転倒経験者の約半数存在した。しかし, この様なケースを特微づける時間的・空間的歩行変数は存在せず, 転倒経験と高齢者自身の主観的な歩行評価が歩行パターンに影響を与えるとは言えなかった。