著者
外山 昌之 岡田 実 小牧 省三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-I, 通信I-情報通信システム・理論 (ISSN:09151877)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.271-277, 1996-05-25
被引用文献数
22

本論文では,光ファイバマイクロセル方式においてスロット付きアロハ方式に最大比合成マクロダイバーシチを適用することにより,伝送特性を改善する新しいマイクロセルパケット伝送システムを提案し,その伝送特性の解析を行っている.提案システムでは,制御局において受信信号をすべて用いるのではなく,受信電力の高い信号を選択した後最大比合成を行う.このため,ハードウェア規模を増大させることなくダイバーシチを構成することが可能である.端末の分布がサービスゾーン内で一様な場合および分布に偏りがある場合について,スループット特性およびパケット送信成功確率を計算機シミュレーションにより解析する.その結果,提案ダイバーシチ受信方式により高いスループットが得られることを示す. また,端末分布が集中する領域においても高い送信成功確率が得られることを示す.
著者
中橋 和博 大林 茂
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

本研究では、亜音速場でよく用いられる縦渦導入による境界層剥離制御法が超音速流中の境界層剥離に対しても有効かどうかを数値解析でもって調べること,およびそのための効率よい数値計算手法の構築を目的とし,研究を以下のように進めて大きな成果を得た.1.超音速流中のボルテックスジェネレーターまわりの詳細な数値計算を効率よく行うための数値解法の開発を進めた.従来の差分法計算法に生じる計算特異点等の問題点を解決するため,非構造格子法によるナビエ・ストークス計算コードの開発を進めた.その結果,計算特異点等の問題が解決されたことにより計算時間は従来の計算法に比べ数分の1に減らすことが可能になり,その有効性を確認した.この計算法は,世界的に現在主流の差分法に基づく計算法に取って代わりうる能力があり,数値流体力学研究への貢献は非常に大きい.2.平板上に三角錐状の突起をつけた場合および同様の形状の空洞を設けた場合について,それらが超音速流中において誘起する流れ場をナビエ・ストークス数値計算により調べた.その結果,突起形態および空洞形態ともその後流に対の縦渦を誘起することを確認し,かつその誘起渦度の強さは三角錐の開き角と一様流のマッハ数との関係で大きく変化することを見いだした.また,空洞型ボルテックスジェネレーターは超音速場での衝撃波発生および空力加熱問題点で有利であるが,生成された縦渦が下流では壁面へと進んで平板境界層と融合し,境界層外の運動量を境界層に導く効果は弱くなってしまうこと,また,三角錐開き角とマッハ数との関係も上流境界層が厚い場合は明確ではないとの結果を得た.以上の研究において,備品として購入したコンピュータはプログラム開発および計算前処理と後処理端末として非常に有効であった.
著者
町 岳 中谷 素之
出版者
The Japanese Association of Educational Psychology
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.322-335, 2014
被引用文献数
5

本研究では, 小学校5年生の算数グループ学習における相互教授法(Palincsar & Brown, 1984)の介入効果を, 学習課題達成度(分析1)・グループ学習への肯定的認知(分析2)・発話プロセス(分析3)により検討した。相互教授法による教示を行った介入群と, 自由に話し合いをさせた対照群を比較したところ, 介入群では学習に関連する深い発話が多く非学習関連発話が少ないことや, 学習課題の達成度が高く, グループ学習への関与・理解に対する認知が向上するといった, 相互教授法の介入効果が示された。次に児童を向社会的目標の高・低によりH群・L群に分割し, 児童の個人的特性と相互教授法介入との交互作用効果について検討した。その結果, グループ学習開始前には低かったL群児童のグループ学習への関与・理解に対する認知が, 介入群において向上した。また発話プロセスの分析からは, 相互教授法による話し合いの構造化によって, 向社会的目標L群児童では, 非学習関連発話が抑制されることで, グループ学習への関与が促されるという結果が見られた。またH群児童においても, 学習に関連する深い発話が促されるなど, より能動的な関与を促進する可能性が示された。
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.349-350, 2014-12
著者
小浜 駿
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.283-293, 2014
被引用文献数
2

本研究では, 先延ばしの際に生じやすい意識から先延ばしを3パターンに分け, 3パターンそれぞれの先延ばしを行いやすい者の学業遂行について検討することを目的とした。学業遂行に影響を与えると考えられる変数として, 3パターンの先延ばしを行いやすい者の仮想的有能感および達成目標についても検討が行われた。292名の4年制大学生を対象とした質問紙調査の結果, 以下の3点が明らかとなった。第1に, 否定的感情が一貫して生じる先延ばしは, 学業遂行に悪影響を与えないことが明らかとなった。ただし, 失敗を回避しようとする状況では学業遂行に悪影響が生じる可能性が示唆された。第2に, 状況の楽観視から生じる先延ばしは, 学業遂行に悪影響を与えることが明らかとなった。また, 低い学業遂行の帰結として生じる自己評価の低さを, 他者軽視に基づく仮想的有能感によって補償していることが推察された。第3に, 計画性をもって行われる先延ばしは, 学業成績に好影響を与えることが明らかとなった。計画性をもって行われる先延ばしは, 気晴らしの機能をもつ先延ばしによって課題遂行のための目標が明確化するために学業遂行に好影響を与えると推察された。
著者
阿部 晋吾 太田 仁
出版者
The Japanese Association of Educational Psychology
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.294-304, 2014
被引用文献数
1

本研究では中学生を対象に, 自己愛傾向の程度によって, 教師からの叱りの動機推測が援助要請態度に及ぼす影響に差異がみられるかどうかを検討する質問紙調査を行った。その結果, 教師からの叱りに対して向社会的動機を推測するほど, 援助適合性認知は高くなる一方, 自己中心的動機を推測するほど, 援助適合性認知は低くなることが示された。自己中心的動機の推測はスティグマ認知にも影響を及ぼしていた。また, 自己愛傾向の高い生徒は, 向社会的動機の推測の影響が弱く, 自己中心的動機の推測の影響が強いことも明らかとなった。
著者
曽山 いづみ
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.305-321, 2014
被引用文献数
1

本研究は新任小学校教師9名を対象に1年間計4回の継時的インタビューを行い, 新任教師の経験過程を明らかにした。1学期, 夏休み, 2学期, 3学期末以降のインタビュー時期別に, 1: 子どもへの理解とかかわり方, 2: 先生としての自分のあり方, 3: 1, 2を促進する要因, 阻害する要因, について分析を行った。新任教師は【わからなさ/難しさに直面する】【子どもの色々な姿を見る】ことを通して徐々に【自分なりの感覚をつかむ】ことができるようになっていた。一方で【先生としてのあり方に悩む】ことと【自分らしいあり方が明確になる】ことを揺れ動きながら, 教師としてのアイデンティティを模索, 形成していた。担任クラスでの困難が大きく, かつ周囲のサポートが得られにくいときには【担任としての責任の範囲】に深く悩むことが示唆された。発達過程を阻害する要因として, 1学期時はリアリティ・ショックや環境への適応が強くあったが, 徐々にその影響は小さくなっていた。同僚教師や保護者との関係は, 阻害/促進どちらの要因にもなり得, 状況文脈によってその影響は大きく変わること, 新任教師にとっては主体性の発揮が大きなテーマであることが示唆された。
著者
野村 亮太 丸野 俊一
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.257-272, 2014
被引用文献数
4

個人の認識論とは, 各人が暗黙に持っている"知識"や"知ること"の性質についての信念のことであり, 個々の信念は認識的信念と呼ばれている。本研究の目的は, 野村・丸野(2011)が想定した教授学習過程への影響のうち, 個人の認識論が授業観と授業中の振る舞いを規定するという想定を検討することであった。そのために, まず745名の学生を対象とした調査によって認識的信念尺度を作成し, その信頼性・妥当性を確かめた(研究1)。このうち, 159名(男性79名, 女性80名)の大学生に対して, 質問と回答を取り入れた講義を行った(研究2)。その結果, 同一の授業に対して, 認識的信念下位尺度のうち, 利用する知識についての性質(条件性および適用可能性)を高く見積もった群は, 授業に協同活動的な側面を見出しやすく, 授業中の質問と回答の意義を実感し活用していた。また, より議論中に自他の意見の調整を行ったと自己評価した。この結果は, 授業を協同的活動として捉えるための認識的信念という観点から議論された。

1 0 0 0 OA 拾芥抄 : 3巻

著者
[洞院公賢] [撰]
出版者
村上勘兵衛
巻号頁・発行日
vol.[4], 1656
著者
Salomon Pines
出版者
Garland Pub.
巻号頁・発行日
1987

1 0 0 0 OA 故実叢書

著者
今泉定介 編
出版者
吉川弘文館
巻号頁・発行日
vol.装束集成(今泉定介編), 1906
著者
長部 喜幸 治部 眞里
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.323-333, 2014-08-01 (Released:2014-08-01)
参考文献数
10
被引用文献数
3 4

AMED(日本版NIH)や製薬企業における,政策決定・戦略立案に資するエビデンス提供のため,新しい指標に基づいた医薬品産業の現状俯瞰・将来予測を試みた。今回は,医薬品・パイプラインが対象とする適応症の観点から,疾病別にみた医薬品の開発状況を分析した。具体的には,国際特許分類(IPC)を用いた分析や,個々の疾病に基づいた分析を行った。
著者
佐野 博也 杉之原 広次郎 サノ ヒロヤ スギノハラ コジロウ Hiroya SANO Kozirou SUGINOHARA
雑誌
福山大学工学部紀要
巻号頁・発行日
vol.15, pp.1-7, 1993

Experimental investigation was made on electromagnetic noise radiated from a digital IC package on a printed circuit board with a ground plane, which simulates a multi-layer printed circuit board. We found that the principal radiation source on a printed circuit board with a ground plane is a loop composed of pins of an IC package, Vcc-pin and GND-pin, and the ground plane on the board. The loop stand out perpendicular from the board. It was also shown that the use of surface mounted devices (SMD) are effective to reduce the electromagnetic radiation from this loop. Use of a small outline package (SOP) gives radiation power 8.3 dB less than the case of a DIP package.
著者
Jun TAMURA Takaharu ITAMI Tomohito ISHIZUKA Sho FUKUI Kenjirou MIYOSHI Tadashi SANO Kazuto YAMASHITA
出版者
公益社団法人 日本獣医学会
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
pp.14-0503, (Released:2015-03-05)
被引用文献数
13

To determine the reference level of central venous oxygen saturation (ScvO2) and clinical efficacy of central venous blood gas analysis, partial pressures of oxygen and carbon dioxide, pH, oxygen saturation, base excess (B.E.) and HCO3 concentration were compared between simultaneously obtained central venous and arterial blood samples from conscious healthy 6 dogs and 5 cats. Comparisons between arteriovenous samples were performed by a paired t-test and Bland-Altman analysis. Between arteriovenous samples, B.E. showed good agreement, but there were significant differences in other parameters in the dogs, and no good agreement was detected in cats. The ScvO2 in dogs and cats were 82.3 ± 3.5 and 62.4 ± 13.5%, respectively. Central venous blood gas analysis is indispensable, especially in cats.
著者
福井 彦次郎 [フクイ ヒコジロウ]
出版者
龍南會
雑誌
龍南會雜誌
巻号頁・発行日
vol.20, pp.8-10, 1893-11-09
著者
七海 絵里香 大澤 啓志 勝野 武彦
出版者
Japanese Institute of Landscape Architecture
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.443-446, 2013
被引用文献数
7

The leaves of Oshima cherry (<i>Prunus</i> Wilson var. <i>speciosa</i> Makino) are edible and used to wrap sakuramochi. Seventy percent of leaves of the Oshima cherry are produced in Matsuzaki town, Izu Peninsula. In this town, cherry trees are cultivated for harvesting their leaves. These trees are closely planted and pruned, enabling them to grow many tillers, which spread out and form the distinctive landscape in this area. In this study, we investigated the actual distribution, forming process of leaves in cherry tree fields, and change in the production process in Matsuzaki town. From the results, we assumed that the number of cherry trees planted corresponded to the amount of charcoal produced. However, the field cultivation method of cherry trees was devised only by the end of the 1960s, after the production of charcoal decreased due to an energy revolution, which resulted in a crisis in the cherry tree leaf production. It was considered that cherry tree fields were distributed throughout Matsuzaki town. However, our results show that these fields are unevenly distributed.
著者
駒井 信一郎 細江 智夫 野沢 幸平 オカダ カオル デ・カンポス・タカキ ガルバ・マリア 福島 和貴 宮治 誠 堀江 義一 河合 賢一
出版者
Japanese Society of Mycotoxicology
雑誌
マイコトキシン (ISSN:02851466)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.11-18, 2003-01-31
被引用文献数
3 18

新たに分離された糸状菌102菌株の培養エキスについて病原性糸状菌2種および病原性酵母2種を用いて抗真菌性を調べた結果,35菌株に抗真菌活性が認められた.今回は,APBAをはじめとする各種アスペルジルス症の原因菌であるアスペルジルス·フミガツスに対して特異的に抗菌活性を示したアスペルジルス·ベルシカラー·グループに属するIFM 51759株に着目し,その成分検索を行ったところ,3種のピラノン誘導体,アスペルリンとその立体異性体及びアセチルフォマラクトンとともに新規フラノン誘導体エピムサシンDを得たので,その構造を各種機器データの解析から推定した.今回得られた4化合物について抗アスペルジルス·フミガツス活性を検討したした結果,アスペルジルス·フミガツスに対してのみ抗菌活性を示したアスペルリンとアセチルフォマラクトンがその生産量と活性の強さからIFM51759株の活性本体と想定した.また,フラノン誘導体エピムサシンDはピラノン誘導体とは異なり,弱いながらアスペルジス·ニガーにも抗菌活性を示した.