著者
濱田 雄行
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

オンコリティックウイルスAdE3-midkineは陰性荷電であるため(1元)、これに対し陽性荷電のポリエチレンイミン(PEI)(2元)さらには腫瘍特異的なCD44を受容体とする陰性荷電のコンドロイチン硫酸を加工(3元)し、これらをさらに多重加工することにより抗体存在下においてその抗腫瘍効果を検討した。9元目以降で抗腫瘍効果は増大し、13元目で最大となった。B6C3F1マウスと同種由来の卵巣癌細胞株OVHMを用いたsyngeneic mouse modelにおける抗腫瘍効果を検討したところ、腹腔内腫瘍モデルにおいて60%、皮下腫瘍モデルにおいて90%の完全腫瘍退縮が得られた。
出版者
神奈川県水産総合研究所
雑誌
神奈川県水産総合研究所研究報告 (ISSN:1342176X)
巻号頁・発行日
no.7, pp.11-16, 2002-03

サメ類は高位捕食者として食物連鎖の頂点に立つ生き物であり、生態系においても重要な役割を果たしている。しかし、生活史特性のもろさが起因してその資源は乱獲に陥りやすく常に資源崩壊の危険性を秘めている。実際、目的外の魚を捕獲する混獲により資源が枯渇する事態も生じている。これと軌を一にして、環境保全の面からサメ類の保護が声高に叫ばれるようになっている。一方、サメ類による漁具・漁網の破損、鉤針にかかった漁獲物がサメにより捕食される食害、さらには人身被害などサメがヒトに与えるマイナス面もしばしば問題になっている。このような漁獲被害や混獲の問題は、特にマグロ延縄漁業で多くみられ、その被害も大きいとされている。サメ類による漁業への被害は主に外洋性大型サメ類が研究対象となっており、沿岸性のサメ類に関する被害の具体例についての知見はほとんど見られない。相模湾において底立延縄によるギスの資源調査を行う過程で、漁獲されたギスとトウジンにサメ類による食害と思われる形跡が数多く見られた。また、ギスの資源調査で混獲されたサメ類を材料として、相模湾におけるフトツノザメの食性調査が行われた。
著者
松田 浩 木村 吉郎 河村 進一 森田 千尋 才本 明秀 森山 雅雄 出水 亨 牧野 高平 豊岡 了 上半 文昭
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

(1)非接触全視野非破壊試験法の開発とその応用:レーザシェアログラフィを用いた欠陥検知への有効性について検討した。また、超高速度カメラを用いた動的変位計測システムによる振動計測法の有効性を確認した。(2)常時微動計測に基づく構造同定及び健全度評価への応用:耐震補強前後の実橋脚を対象として、レーザドップラ速度計による振動試験とFE解析から振動モード同定を実施した。補強前後の固有振動数の変化を実振動計測および振動解析で確認することができた。
著者
福田 博
出版者
日本複合材料学会
雑誌
日本複合材料学会誌 (ISSN:03852563)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.76-80, 1983-04-30 (Released:2009-08-11)
参考文献数
28
被引用文献数
1 1
著者
栄徳 勝光
出版者
高知大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

国内外で10例報告されているインジウム肺のマウスモデルを研究室単位で実施可能な気管内投与法によって確立し、急性症状である肺胞蛋白症の再現に成功した。RNA-Seqによる網羅的な遺伝子発現解析により、慢性期の変化である間質性変化を示すマーカー遺伝子の発現も確認された。インジウム肺における遺伝子発現プロパティを明らかにしたことで、今後の治療法の開発の指針を示す重要な手がかりを得ることができたといえる。また、気管内投与法によるインジウム肺マウスモデルの確立により、今後のインジウム肺の研究の促進が期待できる。
著者
飯田 周作 飯田 千代 清藤武暢 佐藤 創
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.13, pp.57-64, 2008-02-16
被引用文献数
4

アルゴリズム教育は,情報系の学部における重要なトピックスである。しかし,同時に学生の理解に大きな個人差が見られ,ミニマムエッセンシャルズとしてのアルゴリズム教育とは何かという難しい問いに直面している。本報告では,専修大学ネットワーク情報学部における「アルゴリズム的思考法」という科目で行ってきた教育を分析することにより,アルゴリズム的思考法を育成するための教育方法を提案する。At departments of Universities related to computer or information technologies, teaching algorithm is still an important topic. However, there are big dirrerences in the levels of understanding among the students. So, it is important to know what is the essential and minimum part in teaching algorithm. In this article, we analyze student behavior in a subject called "Algorithmic Thinking Style"and propose a new teaching method for algorithm education.
著者
内山 純一
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.249-272, 1981-06-28 (Released:2010-07-16)
参考文献数
49
被引用文献数
4 5 14

The effect of toothbrushing may be consist of plaque removal and gingival massage. However, analytical study of these two factors has not been demonstrated yet. The purpose of the present study was to analyze the effect of toothbrushing on experimental gingivitis, and to make clear the influence of plaque removal and/or gingival massage.Four monkeys (Macacca irus) were used, and to establish gingivitis they were fed soft diet during 8 months of preparatory period. An experimental period of 28 days, each monkey's mouth was separated in following four quadrants; 1) Toothbrushing (plaque removal plus gingival massage) 2) Plaque removal 3) Gingival massage 4) Control (no treatment). During 28 days, clinical examinations were repeated and biopsies were sampled on day 4, 7, 14 and 28. The biopsy material was subjected to histometric analysis.The results showed that:1) During experimental period, Gingival Index and pocket depth decreased gradually in all treated quadrants, except for control. However, the improvement of gingivitis was most remarkable in toothbrushing quadrant.2) Gingival shrinkage occurred in toothbrushing and gingival massage quadrant.3) The percentage-area of infiltrated connective tissue, and the number of inflammatoly cells within the connective tissue decreased gradually in all treated quadrants.However, these two parameters showed most marked decrease in toothbrushing quadrant.4) The number of leucocytes within the sulcular epithelium decreased rapidly in all treated quadrants.5) Collagen density increased gradually in all treated quadrants with decrease of inflammatory cells.The present experiment demonstrated that a gingival inflammation may be improved by gingival massage alone (without plaque removal). It seemed that the effect of toothbrushing on gingivitis results from both plaque removal and gingival stimulation (massage) with toothbrush.
著者
段谷 秋比登[作詞]
出版者
ビクター
巻号頁・発行日
1929-11
著者
山本 政儀 柏谷 健二
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

ユーラシア大陸に位置するロシア・バイカル湖,モンゴル・フブスグル湖の長い堆積物コアーから読み取れる種々の指標は,過去から現在に至る環境変化を理解する有用な情報を提供する。本研究は,化学情報,特に化学化石の1つである地殻物質,天然放射性元素ウラン(U)・トリウム(Th)に着目し,それらの同位体測定を通じて,これら元素の堆積挙動,堆積年代への応用,さらに古環境解析に役でてることを目的とし、以下の成果を得た。1)フブスグル湖の最深部付近で掘削(2004年)した長さ81mコアーについて,表層から3cm毎に切断した試料のうち,約350試料についてU,Th同位体を測定した。^<238>U濃度(河川から流入する岩石・土壌由来Uを差し引いた残りのU成分:自生成U)深度分布パターンは,見掛け上酸素同位体ステージの変動とよく似たパターンを示した。この傾向は,バイカル湖の堆積物においても見出しており,温かい・湿潤期(自生成Uが多い)と寒冷・乾燥期(自生成Uが極めて少ない)指標になりうることを明らかにした。^<232>Thは,河川から流入する岩石・土壌の指標として有用である。2)幾つかの深度での堆積物の年代を^<234>U/^<238>U-^<230>T/^<238>U比を用いるアイソクロン法で決定した。3)自生成U濃度変動と気候変動との関連については,間氷期の温かい・湿潤期には湖内有機物生産量の増加,湖水への河川水による溶存Uおよび化学的風化を受けた土壌物質の供給量増加に,一方氷期は上記要因の減少によると考えられた。
著者
大門 正幸
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究で得られた重要な知見は以下の通りである。なお、(A)-(E)は特に北部方言で書かれた『リンディスファーン行間注解』に関するもの、(F)は北部方言以外の方言で書かれた注解に関するもの、(G)と(H)はそれぞれ古英語散文と中英語散文に関するもの、(1)は古英語・中英語全般に関わるものである。(A)ラテン語1語が2語以上の古英語で訳されている場合、行間注解の語順は純粋な古英語の語順を反映していると考えるべき証拠がある。(B)助動詞と本動詞を含む構文の場合、行間注解の語順はラテン語の動詞の形態的構造とは関係がない。(C)助動詞と本動詞を含む構文の場合、否定辞が先行すると「助動詞一本動詞」語順が生じるが、これは古英語の否定辞の接辞としての性質を反映したものである。(D)助動詞と本動詞を含む構文、特に本研究で分詞構文(ParticipleConstructions)と呼ぶ構文の場合、主語の有無が語順に大きな影響を与える。すなわち、主語が空の場合、「本動詞一助動詞」という語順が優勢となる。この操作は北欧語に見られる文体的倒置であると考えられる。(E)ただし主語がある場合にも「本動詞一助動詞」語順は可能であるので、基底語順としてOV/VO両方の語順が可能であったことを認めざるをえない。(F)文体的倒置によって引き起こされたと考えられる現象は北部方言以外の行間注解には見られない。(G)古英語散文においては、文体的倒置によって引き起こされたと考えられる現象が、本研究で法動詞構文(ModalConstructions)と呼ぶ構文においても見られる。(H)文体的倒置によると考えられる現象に関する、古英語における北部方言とそれ以外の方言との相違は、中英語にも見られる。(I)北部方言とそれ以外の方言の相違はバイキングの侵略による北欧語の影響によるものであると考えられる。p/
著者
米本 昌平
出版者
中央公論新社
雑誌
中央公論 (ISSN:05296838)
巻号頁・発行日
vol.129, no.4, pp.88-91, 2014-04
著者
三好 宏 前川 拓治
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

生体における臓器虚血再灌流障害は、生命予後を大きく変化させる。臓器保護作用をもつ薬剤として水素の腎保護作用に注目して研究を行った。ウィスターラットを使用し、麻酔施行後、気管挿管・人工呼吸を行い、両側側腹部切開にて腎臓を露出後、腎動脈・腎静脈・尿管を一塊としてクランプする。虚血時間は40分。水素の投与は、低濃度・高濃度群に分けて行った。その後、閉腹し、24時間後、48時間後に採血を行い、血中尿素窒素、クレアチニンを測定した。水素投与により、血中尿素窒素、クレアチニンの上昇が抑えられることが判明した。
著者
水谷 明子
出版者
九州大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1994

本研究ではハンミョウ(Cicindela chinensis)の幼虫を材料として運動検出と距離測定の視覚神経機構を調べた。ハンミョウの幼虫は地面の巣穴でエサとなる昆虫等を待伏せる。適当な大きさの昆虫等が近づくと跳び出しこれを捕獲するが、大きな物体を近づけると巣穴の奥に逃避する。この捕獲行動と逃避行動の切換えを調べることで、視覚機構を調べた。幼虫は6対の単眼をもつが、そのうち大きな2対の単眼で頭上を見ている。ダミ-標的に対する行動から、幼虫は自身が跳び上がれる高さ以下の標的にのみ捕獲行動をし、視角が同じでもそれより高い標的には逃避行動を示した。このことは、幼虫の行動が標的の高さで切換わることを示した。2対(4個)の単眼の視野測定から、複数の単眼の刺激の時間パターンがこの切替に関わることが示唆された。隣接単眼の視野は頭の近くでは重複せず、高いところでは大きく重複していた。このことから、隣接単眼が僅かな遅延でほぼ同時に刺激されれば逃避行動、順番に刺激されれば捕獲行動を引起こすとするモデルを提唱した。現在このモデルの鍵となる高さに応じて応答特性を変化させるニューロンを脳内で生理学的に検索している。視覚刺激要因のうち標的の運動速度は行動の切替には直接関与しないが、静止した標的は何れの行動も引起こさない。従って、視覚行動には標的の動きが必須である。電気生理学的に標的の動きに特異的に応答するニューロンを検索し、視葉内に数種の運動感受性ニューロンを同定し、その形態を明らかにした。現在、運動特異的ニューロンの形成回路を検索中である。
著者
石川 保幸
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

活動依存的シナプス可塑性は広く学習と記憶の細胞学的基盤として受け入れられている。なかでもシナプスの連合性は活動依存性のシナプス可塑性においてシナプスの印付けと新規に合成される神経可塑性関連タンパク質との相互作用によって説明することが出来る。可塑性関連のセリン・プロテアーゼ(neuropsin)がシナプス入力依存的に長期増強(LTP)特異的にシナプスタグ形成に関係すると報告した。Neuropsinはインテグリンβ1およびCaMKIIシグナルによってシナプスの連合性に寄与する事が明らかとなった。シナプスの印付けの役割は、複雑な神経ネットワークの制御および情報処理に役立っていると考えられている。すなわち、このメカニズムが破綻した場合、様々な神経疾患を引き起こすことが考えられる。この発見は今後、シナプス連合の異常とされる PTSD の発症機構の解明などに役立つと考えられる。
著者
吉田 麻子
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2009

制度:新 ; 報告番号:甲2773号 ; 学位の種類:博士(文学) ; 授与年月日:2009/3/2 ; 早大学位記番号:新4992
著者
小路 純央 森田 喜一郎 柳本 寛子 内村 直尚
出版者
久留米大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

我々は心理教育、認知行動療法、作業療法、軽スポーツからなる復職支援プログラムを実施し、BDI-II、SDS、HAM-D、SASS-Jに加え、今回多チャンネル近赤外線スペクトロスコピー(NIRS)を用いて、客観的評価としての有用性について検討した。プログラム施行前後で、診断名が変更となった方もおり、外来のみでの診断の困難さが示唆された。またうつ症状の改善を評価するだけでなく、社会適応能力を含めた評価が必要であることが示唆された。さらに多チャンネルNIRSより健常者に比較し脳酸素化Hb濃度変動がうつ病群で有意に低く、プログラムにより前頭前野、側頭領域において血流変動が改善することが示唆された。
著者
金 史英 横田 裕行
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.39-45, 2014-07-20 (Released:2014-07-20)
参考文献数
43

外傷診療における画像診断の有用なモダリティとなったCTが,短時間での全身撮影を可能とした結果,外傷初期診療時に全身CTを行う概念が広く受け入れられ,多くの施設で施行されることとなった.しかしJATECでは,primary surveyでのCTは推奨されず,循環不安定例に対する撮影は一般的には禁忌とされている. 近年,CTの技術的進歩とCTやIVR-CTの蘇生室等への設置がなされた結果,外傷患者に対する全身の撮影がより容易となり,全身CTのprimary surveyへの導入や循環不安定例に対する撮影が行われ,死亡率を減少させることが報告されている.従来の身体所見や画像検査を用いたprimary surveyは,もはや最適とは限らないともされ,最短時間で最適な治療をもたらし得る全身CTを,循環不安定例に対しても積極的に適用すべきである.しかしながら,循環不安定例の全てに安全に全身CTが施行可能とは限らず,我々はCTを撮影しない勇気を持ち続ける必要がある.