著者
成沢 富雄
出版者
秋田大学
雑誌
がん特別研究
巻号頁・発行日
1985

研究目的:プロスタグランジン合成阻害剤が化学発癌剤誘発ラット大腸発癌のプロモーション期を阻害して、その発生を阻止する。大腸粘膜におけるプロスタグランジン産生の阻害が原因であると考えているが、その確証はない。プロスタグランジン合成阻害剤の抗プロモーター作用の機序を追求する。研究計画:ラットを用いた発癌実験でプロスタグランジン合成阻害剤インドメサシンの抗プロモーター作用の病理学的解析を、ラット大腸粘膜のオルニチン脱炭酸酵素活性を指標として胆汁酸デオキシコール酸のプロモーター作用、インドメサシンの抗プロモーター作用、プロスタグランジン【E_2】のプロモーション誘発作用を解析する。研究成果:発癌剤N-ニトロソウレア注腸投与による発癌イニシエーションを終了したラットにインドメサシン水溶液を飲水として実験終了まで自由に摂取させた。インドメサシン非投与ラットに比べテ、大腸癌発生率、発生個数は有意に減少した。インドメサシン投与は、大腸粘膜の注腸投与デオキシコール酸誘発のオルニチン脱炭酸酵素、プロスタグランジン産生を有意に低下させた。プロスタグランジン産生阻害の代償としてプロスタグランジン【E_2】を注腸あるいは皮下投与したラットでは、本酵素活性はデオキシコール酸注腸投与のみのそれに近い値まで回復、上昇した。以上の結果から、胆汁酸が大腸粘膜におけるプロスタグラン産生とオルニチン脱炭酸酵素活性を亢進させ、プロスタグランジン合成阻害剤が前者を阻害することによって、後者の発現の抑制と大腸発癌のプロモーションを阻止することが明らかとなった。すなわち、プロスタグランジン【E_2】がプロモーション誘発に直接介在していると推論できる。
著者
原尾 政輝 岩沼 宏治
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.41-53, 1991-01-14
被引用文献数
6

ある言語におけるユニフィケーション問題とは,その言語の任意の項t_1,t_2が与えられたとき,σ(t_1)=σ(t_2)となる置換(ユニファイア)σが存在するか判定する問題である.ユニフィケーションは,定理証明の機械化や記号処理等と関連して重要である.本稿では,高階論理における項のユニフィケーションについてアルゴリズム論的立場から考察する.一般に,2階以上の項のユニフィケーション問題は決定不能であるが,いくつかの制限付き導出規則の下でユニフィケーション問題が可解となることを示す.また,実用上有用な2階のクラスについて,計算の複雑さがNP-完全となるものが存在することを示す.
著者
藤原之廉
出版者
稲村儀右衛門
巻号頁・発行日
1733
著者
菅家 正瑞 佐藤 正治
出版者
長崎大学
雑誌
経営と経済 (ISSN:02869101)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.103-133, 2006-09
著者
蛭田 眞一
出版者
日本動物分類学会
雑誌
動物分類学会誌 (ISSN:02870223)
巻号頁・発行日
no.39, pp.29-36, 1989-06-25
被引用文献数
2

日本産間隙員形虫類の分類学的研究の第一報として,北海道東部太平洋岸の釧路付近の砂浜潮間帯より得られた間隙貝形虫1種を新種Microloxoconcha kushiroensisとして報告した.この属の種類の報告は,日本からは初めてであり,同時に亜寒帯からも初めてである.本種は左右に偏平で,雄の体長は約0.2mmで,雌(約0.18mm)よりもやや大きい.この種は主に付属肢の形態で同属の他の種と識別出来るが,ハワイ産のM.subterranea GOTTWALD,1983と殼及び付属肢両者の全般的な形態において非常に似ているのが特徴である.雌雄の生殖器官の形態においても両種は互いによく似ている.
著者
舟橋 和夫
出版者
京都女子大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

本研究の成果は以下の通りである。まず、第1は移民個人のデ-タベ-スをはじめてコンピュ-タ上に形成したことである。これにより移民デ-タの処理と分析が自在に行えるようになった。しかも、移民デ-タベ-スは公開するので、他の移民研究者も自在に研究分析が可能になった。従来の移民研究では、明治元年から明治18年までの間に集団的な移民はないという見解であったが、今回明治4年にハワイへの集団移民が新たに見つかった。現時点ではこの移民がどのような移民であったのか詳しいことは不明であるため、今後の研究課題である。日本からの出移民122年間の地域的特徴を簡単に述べると以下の通りである。明治元年から明治18年頃までは、当時開港されていた神奈川県と長崎を中心として、その周辺から多く出ている。行き先はアジアである。明治18年から明治末までは広島、山口、和歌山、熊本、沖縄などからのハワイ行きと、長崎からのアジア行きの2つの移民の流れが見られる。大正年間から第2次世界大戦前までは広島の出移民がもっとも多く、北海道、福島、新潟、静岡、滋賀、和歌山、岡山、山口、福岡、熊本、沖縄など各県に広がった。戦後の出移民を多い順に指摘すれば、沖縄、東京、福岡、北海道、熊本、長崎の順である。戦前の出移民県である広島と山口はそれほど上位にはランクされていないのが特徴である。このように、移民現象はそれぞれ地域の特徴が鮮明に出ている。生活史研究においては、既に移民経験者が非常に少なくなっており、インタビュ-することが極めて困難であったが、今回は夫婦の移民経験者にインタビュ-できた。2人の生活史を掲載し、移民研究の基視資料としたい。
著者
秋庭 裕 川端 亮 稲場 圭信
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

3力年の調査研究によって知り得たところと、今後の研究継続のための作業仮設は以下のとおりである。日本型新宗教の教団として、グローバリゼーションの先進地、アメリカ合衆国でもっとも広く受容されたSGI(創価学会インターナショナル)は、当初、「戦争花嫁」たちの国際結婚によって海を渡った。同時に、結婚によって、その教えは国籍・民族の壁を越えて広まる契機をつかんだ。次の段階は、ロサンゼルスを中心とする西海岸で、カウンター・カルチャーとの出会いをとおし、アイデンティティを模索する若者層に広まった。1970年代のSGIは、日系人とヒッピーの若者を主要な担い手として、「アメリカ化」をとげていった。「アメリカ化」は、経典類の英語への翻訳とそのいっそうの洗練、教団組織の役職への現地の人びとの積極的な登用、組織運営などへのアメリカ的な習慣の採用などからなるが、アメリカ化のプロセスは、直線的に進んだのではない。それは、試行錯誤的で、ときには混乱をともないながら、80〜90年代を通じて徐々に達成された。その結果、人びとが極度の緊張状況を強いるグローバリゼーション化の著しいアメリカ合衆国において、民族や階層を越えて、SGIに入会する人びとに増加につながった。救済論的には、キリスト教的世界観、罪の意識とは正反対の、現世肯定的な救済を強調する、日蓮仏法に立脚するSGIの思想と世界観が、アメリカ合衆国という上昇志向の強い競争社会において、適合性が高いことが重要であろう。
著者
ホーキンス リチャード・A
出版者
上智大学
雑誌
アメリカ・カナダ研究 (ISSN:09148035)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.47-67, 1995-03-31

1930年代, アメリカ合衆国の大陸部分は史上最悪の経済恐慌を経験した。しかしながら, 本稿では合衆国の大陸外の領土のひとつであるハワイが, 大恐慌の最も深刻な影響を回避することに成功した事実を論じている。これは, この時期のハワイの失業率が合衆国本土のそれと比較して極めて低い水準に保たれていたことに象徴される。このハワイの成功はハワイ経済が二大農産物(砂糖とパイナップル)に過度に依存している事実を鑑みれば奇異な現象であるともいえる。ハワイ経済は, 合衆国本土のそれとは対照的に寡占企業による支配構造が特徴である。ハロルド・イッキーズ(ローズヴェルト政権内務長官)の言葉によれば, ハワイの経済は「『砂糖寡頭制』によって支配されていた」のである。この寡占体制は兼任重役制による企業の経営権確保を手段としてハワイを牛耳っていった。そしてこの支配権によって, ハワイ経済が大恐慌による悪影響から隔離される結果となったのである。失業率は, フィリピン移民労働者の非強制本国送還があり, その空白を「市民労働者」が埋め合わせたために高くなることがなかった。さらにこの時代, 新製品の缶入りパイナップルジュースの輸出が飛躍的に伸びたために経済全体が潤うこととなった。ニュー・ディール政策に関しても, ハワイはアメリカの他地域と比較して影響を受けなかったといえる。雇用機会創出計画は確かにハワイの労働者に利をもたらしたが, それはアメリカ本土における影響の大きさに較べれば死活的なものではなかった。しかしながら, 二つの政策は確かに重要な意味を持った。ジョーンズ=コスティガン法によってハワイのサトウキビの年次生産量が設定され, それによってハワイは本土の砂糖製造業社に較べて著しく低い生産上限が割り当てられた。この事実は, ハワイ全体の収入源がニュー・ディール政策によって制限されることのなかったパイナップル産業へと転換されたことの一因でもある。ハワイに大きな影響を与えたいまひとつの政策は, 「全国産業復興法(項目7A)」, 「全国労働者関係法」によるものであり, それによって労働条件, 最低賃金の改善が行われたのである。
著者
石川 クラウディア
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

近年、関係省や有力な団体が、一貫して、外国高度人材受け入れ政策を主張し続けてきたが、それに並行して、日本の出入国管理法政策のもう一つの特徴は人座育成政策に推進と言える。本研究は、1)外国人留学生、2)外国人技能実習生、そして、3)経済連携協定(EPA)に基づいた外国人看護師・介護士等の受入れ制度を対象に、日本の入国管理法政における国際自在育成施策推進のインパクトと可能性を明らかすることが目的であった。また、ドイツとオーストラリアの外国人育成プログラムとの比較研究を行いながら、移民政策における国際的キャパシティー・ビルヂングの役割を分析しました。
著者
羽鳥 徳太郎
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.345-359, 1968-06

Making use of data of tsunamis which occurred in the region of South America, frequencies of tsunami generation and of tsunami which propagated to Japan are investigated. Refraction diagrams and the distributions of tsunami height for seven tsunamis which propagated across the Pacific Ocean are shown. Especially, these phenomena along the coast of Japan are shown in detail with the aid of mareograms. The spectral analysis of records obtained in Japan is made for five tsunamis. The generating area of the Chilean tsunami of 1960 is estimated by means of an inverse refraction diagram. This source includes the area of aftershock activity extending about 800 km in an elongated shape.|南米太平洋沿岸で発生した歴史津波の資料によると,波源付近の波高が10m程度の津波によつて日本,ハワイは数回相当な被害を受けている.1900年以後は我が国においても検潮儀によつて7個の津波が観測された.このうち1960年11月20日のペル沖で起きた地震(M=6.75)によつて,微小な津波を観測した例もある.マグニチュードが8.3以上の地震に伴なう津波は,例外なく全太平洋沿岸地域で観観されているが,8.0以下の地震による過去の津波は,日本沿岸で波高50cm以下の微弱なものである.

1 0 0 0 OA 陸軍成規類聚

著者
陸軍省 編
出版者
偕行社
巻号頁・発行日
vol.下(明治33年4月15日現行), 1900
著者
岩橋 永悟
出版者
Waseda University
巻号頁・発行日
2005-02-02

データマイニング分野における頻出パターン抽出問題では,大規模なデータに対して処理を行うため,メモリ容量不足やディスクアクセス増加といった問題に直面する.このようなリソース面の制約を緩め,現実時間で頻出パターンを抽出するために,様々な並列化手法が提案されている.しかし,従来の並列化手法の多くは全ての頻出パターンを抽出するため,結果として莫大な数のパターンが抽出されてしまう.大規模なデータに対しても,ユーザにとって解析する負担が少ない,冗長性を軽減したパターンを高速に提示する並列化手法が必要である.そこで,本稿では,FPcloseに基づき頻出飽和パターンを並列抽出する手法を提案する.さらに,並列化において問題となる,タスク負荷の偏りを平坦化する手法を提案する.提案した手法をPCクラスタ上で実装し,評価を行った結果,最小サポートを2%と設定した場合,32PU投入時に30.9倍の速度向上を得た.
著者
棚田 輝嘉
出版者
実践女子大学
雑誌
実践国文学 (ISSN:03899756)
巻号頁・発行日
no.73, pp.140-120, 2008-03