著者
平沢 茂
出版者
文教大学
雑誌
教育研究所紀要 (ISSN:09189122)
巻号頁・発行日
no.12, pp.33-36, 2003

日本における学力低下論争の最大の問題は、今、子供たちに共通に修得させなければならない学力(共通基礎学力)とは何かについての展望を欠いていることである。この根源的な問いを明らかにしないままで、学力が低下すると騒ぎまわるのは、一種の「狼少年」現象と言ってよい。今求められる学力の本質は何か、共通基礎学力とは何かについて考察する。
著者
吉田 直人
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

クリソタイルは天然に産出する水和ケイ酸塩粘土鉱物で、針状の結晶として成長する。多くの工業製品に利用されていが、人が長期間にわたって吸入するような機会に遭遇した場合、健康影響が懸念されている。本研究ではクリソタイルと細胞との間にどのような相互作用があるのか、細菌細胞を用いて明らかにした。溶液中で大腸菌とクリソタイルを混合するのみでは、クリソタイルは大腸菌の生育になんら影響を及ぼさない。ところが弾性体上にて曝露させると大腸菌とクリソタイルに物理的変化が生じることがわかった。寒天等の弾性体上にてクリソタイルと共に曝露させる方法を考案し、曝露装置を開発して実験に供したところ、曝露時間が長くなるに従って生細胞は漸次減少した(弾性体曝露)。曝露後の大腸菌を電子顕微鏡にて観察すると、クリソタイルの細胞膜への穿刺が確認された。本実験条件においてクリソタイルは細菌に対しては変異原となるのではなく、ミサイルのように穿つといった物理的で性急な反応をもたらすと結論づけた。クリソタイルにプラスミドを付着させ、大腸菌をクリソタイルと共に弾性体曝露させたところ10^7/μg DNAの効率でプラスミドを取り込んで、抗生物質耐性に形質転換することを見出した。クリソタイルは溶液中では6-9μmの凝集体あるいは、さらに細かい針状結晶として浮遊している。曝露の過程では、曝露時間に伴って水分が弾性体中に浸透していくので、クリソタイルの濃度が弾性体表面では上昇する環境が生まれる。この過程でクリソタイルは自己凝集し、栗のいが状になることが判明した(いがぐり状化凝集)。その時にすべり摩擦力が同時に加えられので、細菌を付着したいがぐりが滑っていくような物理現象を明らかにした。これら一連の研究において、すべり摩擦力を利用した生物工学の概念を創出し、摩擦生物工学として新たな研究分野を切り開いた。
著者
星 正治 中野 正博 牧 孝 鬼塚 昌彦 長 哲二 上原 周三 小西 圭介 豊原 不可依 名越 智恵子 高本 望 豊島 耕一 吉村 厚 吉永 春馬
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.67-73, 1984-03-01

π-中間子を用いて癌の放射線治療を行う場合に必要な, 照射中に患者の体外がらπ-中間子の停止領域(付与線量のピーク領域)を観測する方法(モニターの方法)を議論した. π-中間子が停止したスターを生成する領域からπ原子X線やχ線,中性子が放出されこれらの放射線は照身中の患者の体外で検出できる. 実験では正常の生体等価物質としての水ファントムを用い, π-中間子の到達深度を変えて照射した. π-中間子による核反応に伴うγ線はNaI検出器と同時計数回路を用いて測定した. こうしたy線測走法は深部線量分布のピークと照射すべき患部が一致していることを確めるのに有効であることが分った. 更に正確に患者の体内での深部線量分布のピークの位置ぎめにこの方法を用いる為には, 多孔コリメーターの付いたシンチレーションカメラなど用いることが有効であることが示唆される.(1983年11月15日受付)
出版者
南相馬市
巻号頁・発行日
2011-07-31
著者
古賀 政男[作曲]
出版者
コロムビア(戦前)
巻号頁・発行日
1933-09

1 0 0 0 OA 近体婦女文章

著者
篠田正作 著
出版者
浜本明昇堂
巻号頁・発行日
1894
著者
香能村幹女 著
出版者
此村欽英堂
巻号頁・発行日
vol.上, 1896
著者
高櫻 綾子
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

幼児が日常的に交わす発話には幼児間の関係性が反映すると考えられる。なかでも「ね」発話(e.g.一緒に遊ぼうね、ね~仲間に入れて)は幼児にとって身近な発話である反面、情動や意図が暗黙的に込められることから、遊びや会話を成立させるには「ね」発話を間主観的に理解し、相手との関係性に応じた相互作用を交わす必要がある。そこで本年度は保育園の3歳児クラス20名を対象に1年間(各月2回)の参加観察を行って得たデータをもとに「ね」発話に着目して幼児間における親密性について検討した。まず「ね」発話を用いた相互作用と親密性形成との関連を検討した結果、呼びかけの「ね」発話により相手の注意を喚起し、語尾につける「ね」発話によって聞き手への配慮を示すことで、相手からの応答を引き出しやすくなり、二者間での間主観的な理解を促進することが明らかとなった。またこうした相互作用が親密性形成の基盤になると同時に、二者間での親密性の深化に伴い、第三者によって生起された事象に対する情動や意図についても互いの内的状態を間主観的に把握することを示した。さらに3歳児は「ね」発話を実際に使用し、相手の反応を得る中で「ね」発話の使い分けを獲得することを明らかにした。特に親密な二者間と第三者との間では、遊びの開始や内容を呼びかける「ね」発話に差異が認められた。また「ね」発話同様、3歳時期の会話に多用されている終助詞「よ」と比較した結果、自らの意図を明確に伝えたい文脈では「よ」を使用し、相手に配慮を示し、共感を得る中で遊びや会話の成立を図ろうとする文脈では「ね」発話を使用することが明らかとなった。よって3歳児は「ね」発話を手掛かりに互いの情動や意図を間主観的に把握するなかで親密性を形成し、相手との親密性やその場の状況に応じて「ね」発話を使い分けることが明らかとなり、「ね」発話が幼児間における親密性を捉える指標になることを示した。
著者
田原 真司 今井 丈彦
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1079, pp.50-55, 2001-02-19

「35年前、四国では工場の作業員の日給が500円、ホウレンソウ1kgが25円だった。中国の山東省では今、作業員の日給が400円、ホウレンソウが1kg20円。日本の35年前より安いコストを活用しない手はない」——。 加ト吉の加藤義和・会長兼社長は、そんな身近な数字を挙げて中国の圧倒的コスト競争力を強調する。
著者
横山 ゆりか 伊藤 俊介 長澤 夏子 横山 勝樹 中村 佳甫
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

場所愛着に関する研究はいくつかあるが、いずれも戸建を中心とした住宅や古い既成住宅地域を対象とした研究である。本研究では、戦後郊外に面開発されてきた比較的新しい計画住宅団地とその周辺地域に対する愛着の醸成について考察する。同一県内に異なる時期に開発され、計画の異なる2つの住宅地を対象とし、居住者の大人と子どもにプレイス・アタッチメントを問う計量的・質的調査を行った。その結果、住民の入居時期と年齢層によって異なる愛着の状態が形成されている実相を示し、それを反映した研究手法が地域のプレイス・アタッチメント研究に今後求められることを明らかにした。
著者
早川 晶子 阿部 研自 谷川 雅俊 高橋 周美 内田 安彦 奥谷 幸裕
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.721-733, 2012-11-25
被引用文献数
1

Perflubutane(以下,sonazoid<sup>®</sup>)による造影超音波ガイド下にて肝腫瘍にラジオ波焼灼療法(以下,RFA)を施行した症例(以下,SZ群)328例とsonazoid<sup>®</sup>を使用せずRFAを施行した症例(以下,C群)340例の2群の特定使用成績調査を実施し,sonazoid<sup>®</sup>による造影超音波ガイド下におけるRFA時の安全性,有効性を検討した.有害事象はSZ群67.1%,C群69.3%であり,その種類および頻度に差は認められなかった.副作用はSZ群に1例(悪心,嘔吐)認められた(0.3%).SZ群のRFAガイドとしての総合評価(有効率)は90.9%,造影前後の病変視認性向上率は75.0%であり,Bモードの病変視認性が明瞭でない症例のRFA成功率は,SZ群でC群より有意に高かった(<i>P</i><0.001).sonazoid<sup>®</sup>は,肝腫瘍のRFAガイドとして安全かつ有効に使用可能であり,造影による病変視認性向上はRFA成功率にも寄与することが示唆された.<br>
著者
服部 耕治
出版者
甲南女子大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

これまで我々は超音波を用いた関節軟骨定量評価システムを開発してきた。しかしながら、このシステムでは、軟骨表層の変性をとらえることができても、関節軟骨全層を評価することはできなかった。そこで我々は関節軟骨超音波評価システムにおいて超音波造影剤が有効に作用するかどうか調査した。関節軟骨試料からの超音波反射波はAモードエコーとして表示される。このAモードエコーのピークピーク値を評価の指標とした。軟骨試料を造影剤に浸透後、生理食塩水中で超音波計測を行った。超音波造影剤によって最大ピークピーク値は5.3~9.8倍に増強された。また、超音波造影剤は、生理食塩水に浸透後2分で最大となり、その後徐々に低下していく造影動態を示した。我々の研究は関節軟骨の超音波評価に造影剤を用いることで、関節軟骨の生体力学的な特性を予測できることを示した。
著者
黒崎 真由美
出版者
湘北短期大学
雑誌
湘北紀要 (ISSN:03859096)
巻号頁・発行日
no.32, pp.143-154, 2011-03-31

1980 年代以降の急激な円高傾向を受け、我が国の海外渡航者数は急激な伸びを示した。海外が単なる憧れだった時代から、誰もが身近に感じることのできる時代へと移行した。学生の留学という視点でも、フルブライト奨学生(1)に代表される、米国の有名大学への奨学金取得による留学から、能力の向上や生活体験、資格の取得を目的とした留学に多くの一般学生が参加できるようになった。また、インターネット等の情報技術の飛躍的な発達により、世界中の出来事を瞬時に知ることができる高度情報化時代に突入している。溢れる情報をどのように加工し、自分のものとして定着することができるかということが大きな課題となっている。本稿では、このような世界情勢のなか、短期大学生の海外での「生活体験」ともいうべき、カナダやオーストラリアにおける通常の授業の枠組みを超えた3 ヶ月留学の学修が、英語能力や、帰国後の学生生活、その後の進路や考え方にどのような影響を与えたのかということについて考察するものである。

1 0 0 0 OA 下総国旧事考

著者
清宮秀堅 (棠陰) 著
出版者
清宮利右衛門
巻号頁・発行日
vol.第7本 巻13 神社,寺院, 1905