著者
伊東 紘一 入江 喬介 川井 夫規子 中村 みちる 谷口 信行
出版者
自治医科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

臨床応用を試みるために正常者ボランティアの手の骨を用いて骨および周囲の骨膜,腱、関節の描出を行った。骨の内部はおよそ半分が描出できた。骨膜の認識は13MHzの周波数を用いた時にわずかに可能であったが、明瞭な画像とならないので、周波数を更に高めたり、画像処理のための工夫が必要と考えられた。そこで、骨内部における超音波の減衰を測定し、その減衰量から、骨内部の描出に必要なダイナミックレンジを演算処理により向上させる方法を考案し、動物の骨を用いて超音波出力を2通りに変化させて検討した。その結果、動物の骨では送信出力強度の差による変化は見られなかった。また、受信側のサチュレーションや透過パルス以外の信号が混入していないことを確認できた。一方、半分に切断した骨と切断していない骨との間で10dBの減衰量の差があり、骨膜の散乱が大きいことが推測できた。動物および人の骨において骨内部の描出に必要なダイナミックレンジは80dB以上であるとの結論を得た。また、骨内部の描出には一音線上で64回以上の加算が必要であることが判明した。
著者
木方 展治 結団 康一
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.581-589, 1992-10-05
被引用文献数
1

神奈川県足柄平野内の扇状地にしけん区を設け、深さ130cm までの土壌水を経時的に採取して硝酸態窒素濃度を調べた結果、以下のことがわかった。1)下層(100〜130cm)の土壌水硝酸態窒素濃度の最大値と平均値は,扇央上部の延沢では3.66 mgL^<-1>と0.705 mg L^<-1>であった.扇端上部の透水性の非常によい宮台では施肥後に最大値24.6mg L^<-1>を示したが,平均値は1.35mg L^<-1>と延沢を上回るもののそれほど高い価を示さなかった.先端下部の透水性が悪く,地下水位の高い曽比では最大値0.684mg L^<-1>,平均値0.041mg L^<-1>と低い値であった.2)水田に流入した窒素量から水田下層より浸透水として流出する賞賛対窒素量を差し引いた値は,延沢では2〜7kg ha^<-1>とかんがい期,非かんがい期ともわずかに0を上回った.宮台ではかんがい期に年間施用窒素量の50%近い硝酸態窒素が浸透しており,差し引き値は-20kg ha^<-1> year^<-1> を示したが,茶園の-270〜-280kg ha^<-1>year^<-1>に比べて1/10以下であった.3)曽比のような湧水地帯の湿田は脱窒機能が大きく,扇状地浸透水のうち,扇端部に浸出してくる地下水中硝酸態窒素を浄化する働きをしていることが推測された.
著者
宮野 英次
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

多くの重要な離散最適化問題は計算量の意味で困難(NP困難)となる.すなわち,最適解を求めるための多項式時間で動作するアルゴリズムが存在しない.また,ある状況では,問題を解く前に,完全な入力が与えられない場合もある.例えば,入力が徐々に与えられるような要求列となっている場合である.将来の要求に関する情報が欠損している場合にもアルゴリズムは効率よく動作する必要がある.前者をオフライン計算モデル,後者をオンライン計算モデルと呼ぶ.本研究では,それら2つの計算モデルにおける困難な離散最適化問題に対して,最適解に対する出力解の精度が理論的に保証されたアルゴリズムを設計した.
著者
安中 正美
出版者
名古屋大学農学国際教育協力研究センター
雑誌
農学国際協力 (ISSN:13475096)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.41-45, 2009-03

名古屋大学農学国際教育協力研究センター第9回オープンフォーラム「大学等が有する知的資源の組織的活用による国際教育・研究協力の推進と強化 : 農学知的支援ネットワークの形成に向けて」(2008年10月30日~2008年10月31日)名古屋大学大学院環境学研究科レクチャーホール
著者
松浦 晋也
出版者
日経BP社
雑誌
日経パソコン (ISSN:02879506)
巻号頁・発行日
no.665, pp.70-75, 2013-01-14

日経パソコンは2013年10月に創刊30周年を迎えます。その間、パーソナルコンピューティングはどう進化してきたのか。その足跡を毎号1年ずつ、テーマを設けて振り返っていきます。 意外に思う人も多いだろうが、1982年にWindowsの開発を始めた段階で、米マイクロソフトには本格的なOSをゼロから開発した経験はなかった。
著者
武内 和彦 TRUDY Fraser TRUDY Fraser FRASER Trudy
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

本研究の主要目的は、国際的な平和と安全に対する現代の脅威に対応する国連システムの効率性について調査を行うことである。本年度はオーストラリア・メルボルンのロイヤルメルボルン工科大学で開催された「People and the Planet」というワークショップに参加し、本研究成果を発表し、レビューを受けることができた。本年度も英国パルグレイブ・マクミラン社から出版予定の「The UN Today : Human Security in a World of States」の執筆に引き続き取り組んだ。原稿は査読審査段階であり、現在校正作業を行っている。最終原稿は平成25年9月1日に出版社に提出し、引き続き編集を行う予定である。国連大学サステイナビリティと平和研究所のヴェセリン・ポポフスキー博士と共同で取り組んでいる「グローバルな立法者としての安全保障委員会」というテーマのプロジェクトでは、安全保障委員会の立法的決議の知識基盤を構築することを模索し、安全保障委員会の立法行動が国連加盟国と国際的な安全と平和に与える影響について評価する。平成24年夏には、ニューヨーク市立大学ラルフ・バンチ国際研究所の所長であるThomas Weiss氏が開催した専門家諮問会議に参加し、平成25年3月にはセント・アンドルーズ大学のグローバル立憲政治研究所の所長であるAnthony Lang氏による「著者のワークショップ(Authors Workshop)」に参加した。現在、このプロジェクトの論文に取り組んでおり、ラウトレッジ社から出版される「Global Institutions」シリーズとして出版される予定である。
著者
小出 公平 牧野 浩志 石名坂 賢一 佐々木 政秀 池内 克史
出版者
Institute of Industrial Science The University of Tokyo
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.157-162, 2013

ITS世界会議の記念すべき20回目の会議が,2013年10月に東京で開催される.我が国ITSの進展は,横浜会議からファーストステージが始まり,名古屋会議を境にセカンドステージに入り現在に至っているといわれている.我が国ITSは,今回の東京会議を契機に,次世代のステージにステップアップするものと期待されている.名古屋会議から9年がたち3度目の世界会議が東京で開催されるのを機に,地域の自治体が次世代のITSを活用して新しいまちづくり・交通社会づくりに取り組んでいる姿を紹介する.[本要旨はPDFには含まれない]
著者
梅本 守
雑誌
人文研究 (ISSN:04913329)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.7-23, 1999-12
著者
石田 淳
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.203-218, 2009-09-30 (Released:2010-03-30)
参考文献数
28
被引用文献数
2

本稿の第一の目的は,Raginによって提唱されたファジィ集合を用いた質的比較分析(fsQCA)の手法,とくにファジィ集合から真理表を作成しブール代数分析につなげるアプローチを紹介することである.第二の目的は,ファジィ集合を扱うというfsQCAの特性を活かしたさらなる応用の可能性,具体的には,fsQCAをいくつかの指数から作られる合成指数の再構成に用いるという応用の仕方を提案することである.本稿では特に,fsQCAを用いて,国連開発計画によって提唱され毎年データが公開されている人間開発指数を,主観的幸福感や選択の自由についての自己評価といった,人々の主観的評価をも考慮した指数に再構成することを試みる.
著者
上村 忠昌
出版者
鹿児島工業高等専門学校
雑誌
鹿児島工業高等専門学校研究報告.RESEARCH REPORTS OF KAGOSHIMA NATIONAL COLLEGE OF TECHNOLOGY
巻号頁・発行日
vol.35, pp.69-83, 2000-08-31

鹿児島県・宮崎県・愛媛県などを主として、「ラーフル」という語が「黒板拭き」という意味で使われている。業界のカタログ用語としてはかなり用いられているが、世間的には方言の状況にあり、全国的には通用しない。明治時代の初期には、大阪・愛知・和歌山あたりから西日本に広く使われていたものが、現在、西の周圏地域にだけ色濃く残ったものと思われる。語源は、幕末・明治初期の蘭学の中で用いられたと推測されるオランダ語のrafelと考えられる。rafelは、「こすること、撒糸(ホツシ)ニシタル、ほつれ糸、リント布」という意味で、明治初期に我が国に黒板が導入された時期的状況からも、語源として最も蓋然性が高い。
著者
臼井 裕一
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.7, pp.298-303, 2013-07-01

日本において特許分類の付与は具体的にどのようになされているのか,また審査室の担当技術との関係はどのようになっているのかについて説明し,FIとIPCとのコンコーダンスの不備によってヒット件数0件のIPCが生じていることを示した。また,IPCの方がFIよりも細分化されている実例についても例示した。このような分類付与の問題点に対しては,やはりFI・Fタームを中心に検索すべきである旨指摘し,あわせてFI・Fタームのメインテナンスが適切になされているかについても触れた。なお,現在進行中のIPC細分化のCHCプロジェクトの進展も含めて今後の動向を注視する必要がある。
著者
酒井 美里
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.7, pp.292-297, 2013-07-01

2013年1月より,欧州と米国との共通特許分類,CPC(Cooperative Patent Classification)が発足している。従来,米国特許庁は独自性の高い米国特許分類(USPC)を長く利用してきた。今回,共通特許分類の発足に伴い,米国特許庁は国際特許分類(IPC)の流れを汲む分類体系に歩み寄った,と捉えることもできよう。欧州/米国の二庁間では重複作業の排除と情報共有が期待されている,といわれる。また一般ユーザーにとっては分類体系の理解,調査分類の決定などの面で,負担軽減のメリットがあると考えられる。本稿ではCPC分類に至る流れや,分類体系の概要を概説した上で,Espacenet,USPTOにおける検索方法と留意点について概説する。