著者
西成 活裕
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:08272997)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.257-263, 2004-05-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
山田 奨治
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
no.19, pp.15-34, 1999-06

オイゲン・ヘリゲル著『弓と禅』は、日本文化論として広く読まれている。この論文では、ヘリゲルのテクストやその周辺資料を読み直し、再構成することによって、『弓と禅』の神話が創出されていった過程を整理した。はじめに弓術略史を示し、ヘリゲルが弓術を習った時点の弓術史上の位置づけを行った。ついでヘリゲルの師であった阿波研造の生涯を要約した。ヘリゲルが入門したのは、阿波が自身の神秘体験をもとに特異な思想を形成し始めた時期であった。阿波自身は禅の経験がなく、無条件に禅を肯定していたわけでもなかった。一方ヘリゲルは禅的なものを求めて来日し、禅の予備門として弓術を選んだ。続いて『弓と禅』の中で中心的かつ神秘的な二つのエピソードを選んで批判的検討を加えた。そこで明らかになったことは、阿波―ヘリゲル間の言語障壁の問題であった。『弓と禅』で語られている神秘的で難解なエピソードは、通訳が不在の時に起きているか、通訳の意図的な意訳を通してヘリゲルに理解されたものであったことが、通訳の証言などから裏付けられた。単なる偶然によって生じた事象や、通訳の過程で生じた意味のずれに、禅的なものを求めたいというヘリゲル個人の意志が働いたことにより、『弓と禅』の神話が生まれた。ヘリゲルとナチズムの関係、阿波―ヘリゲルの弓術思想が伝統的なものと錯覚されて、日本に逆輸入、伝播されていった過程を明らかにすることが今後の研究課題である。
著者
中谷 敏昭 林 達也
出版者
天理大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

高齢者が自立生活を維持するためには下肢筋機能が維持されていることが望ましい.本研究では,連続ジャンプ(SSC動作)を用いて下肢筋力や筋パワーなどの筋機能を改善する運動プログラムの効果と中止の影響を検討した.連続ジャンプは,Borg-RPEで14.3程度,着地時の床反力は体重の約2倍程度であった.3ヶ月間のトレーニグでは,下肢筋力やバランス能力が改善した.トレーニグ終了後は,脚伸展能力が低下する傾向にあった.トレーニング期間を5ヶ月間に延ばした場合には,下肢筋力とバランス能力が改善した.連続ジャンプを用いた本課題のトレーニグは,高齢者の下肢筋機能やバランス能力を改善するプログラムと言える.
著者
太田 慎一郎 渡辺 昭典 徳永 博
出版者
(社)日本蚕糸学会
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.77-81, 1957-02-28 (Released:2010-11-29)
参考文献数
8

1) m2は3齢起蚕において黒色鮮明な特有の斑紋を発現し, 分離系統においては同一蛾区の正常蚕の第3就眠に前後して熟眠となる。しかし超過脱皮をきたし三眠蚕となると斑紋は黒色減退し, 淡褐色味が加つてくる。2) m2は異常三眠蚕を生じ易い傾向があるが, この三眠蚕となつたものを用いると系統維持が容易である。3) m2で超過脱皮を行つたものの中にプロセテリー或いはメタセテリーを生ずることがしばしばある。また族中不脱皮斃蚕の多出すること等から考えると, m2は遺伝的ホルモン異常蚕とも考えられる。4) m2純系においては毛蚕の軽重によつて, その後の発育に影響があり, 毛蚕体重の軽いもの程異常三眠蚕を生じ易い傾向がある。5) m2の経過日数は11日前後のものが多く, 1-3齢間の生長率を支122号に対比するとm2は明らかに生長率が大きい。これは絹糸腺の肥大生長に伴う結果と考えられる。熟蚕の絹糸腺の形態は正常蚕の最終齢のそれと酷似している。6) 繭は体躯に応じて貧弱である。蛹は23℃ 保護下では14-16日で発蛾するが, 中には20日以上を要した個体もある。7) 蛾も非常に小さいが生殖力は完全でよく受精する。雌は造卵の絶対量が少なぐ, m2-IIでは30粒の受精卵を産下したものが最高で, m2-IIIでは50-200粒ぐらい産卵する。8) 二眠蚕 (m2) は四眠蚕に対し劣性として遺伝する。
著者
岡田 惇
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.537-547, 1961-12-15

(1) A local, but severe earthquake occurred near Nagaoka City, Niigata Prefecture, on February 2nd, 1961. Its epicentral area was in the western part of Nagaoka City, being not very far from the area stricken by the Sekihara Earthquake of 1927. Figs. 2 and 3 show the epicenter and isoseismal lines of the earthquake (after JMA, Niigata Meteorological Observatory). According to the JMA, the epicenter was located at 37°27'N and 138°49'E, and the depth of the origin about 10 km. The magnitude of the earthquake was 5.0. (Gutenberg-Richter)
著者
家計経済研究所[編]
出版者
家計経済研究所
巻号頁・発行日
2004
著者
石橋 正己 荒井 緑 當銘 一文 石川 直樹
出版者
千葉大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

天然物抽出エキスコレクションおよび天然物基盤合成化合物ライブラリーを用いて,ウィント(Wnt),ヘッジホッグ(Hh),トレイル(TRAIL),bHLH転写因子等のシグナル分子を標的とした天然物の探索および活性化合物の作用メカニズムの解析に関する研究を行った.各シグナル経路ごとにスクリーニングで得られた代表的な化合物として,Wntシグナル阻害作用をもつカルデノリド,TRAIL耐性克服作用をもつクワ科植物由来のプレニル化フラボン,Hhシグナル阻害作用をもつジテルペン,Hes1担持ビーズを用いる「標的タンパク質指向型天然物単離法」により得られた放線菌由来のピペリジンアルカロイドなどが挙げられる.
著者
田中 光晴
出版者
日本比較教育学会
雑誌
比較教育学研究 (ISSN:09166785)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.38, pp.87-107, 2009

In Japan, the issue of private tutoring expenses has been debated as a social issue for some time. We have recently seen a new phase regarding private tutoring expenses; for example, several public junior-high schools are affiliated with specific private tutoring schools and offer after-school facilities to support extra education for students. Despite the significant function and impact of taking advantage of private tutoring, past educational research has neglected to focus on these aspects. Different from other educational issues such as equal educational opportunity and diversity in public education, these issues go beyond public education and limitations exist to discuss them only within the public education arena. How private tutoring and public education will establish a cooperative relationship has presented considerable controversy.In South Korea, the issue of private tutoring has also been debated for several years, yet with considerably more intensity. Since the 1960s, private tutoring expenses have been recognized as social issues and the South Korean government has been attempting to take various measures toward them. However, while the government is tackling the issues, we have not seen much progress or improvement. This article investigates the reasons behind this lack of progress, aiming to disclose the historical background, relevant factors and the current situation of private tutoring expenses in South Korea. It approaches the subject from the perspective of educational policy, revealing a vicious circle whereby new governmental policies concerning private tutoring expenses have in turn caused other private tutoring expense issues.Through reviewing the background of issues concerning private tutoring expenses, it becomes obvious that the primary reason why private tutoring expenses developed as social concern is rooted in radical entrance examination policies after the 1960's, which evolved with the development of mass education. Although these policies achieved a high degree of equality of educational opportunity, the rigid college admission system is characterized by contradictions. Therefore, many students started to seek supplementary education outside of school to differentiate themselves from their peers. In South Korea, a paradigm shift in private tutoring has recently become apparent. (View PDF for the rest of the abstract)
著者
平本 昌宏
出版者
分子科学会
雑誌
Molecular Science (ISSN:18818404)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.A0052, 2012 (Released:2012-06-21)
参考文献数
23
被引用文献数
2 2

Principles of organic photovoltaics such as p-i-n junction concept, nanostructure design, and bandgap science for organic semiconductors are surveyed. Details of the invention of p-i-n junction in the history of organic photovoltaics are described. Research targets based on molecular science, which assist the development of organic photovoltaics, are proposed.
著者
大野 加奈子
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.165-187, 2007-09-30

本稿では、日本の伝統文化とされる「書」について、現在見られる日本の書道界のシステムをそこで活動する一般修練者の立場から記述して提示し、茶道やいけ花の家元制度と比較してその特徴を考察する。日本の書は、本来情報伝達手段であり実用的なものであったが、日本の近代化の中で実用的価値が薄れ消滅の危機を迎えた。「芸術」「伝統文化」へその存在価値を求めた書は、義務教育への参入を通して日本人の誰もが書を経験するものとなり、日展をはじめ出品数2万点を越す全国規模の大型展覧会の開催といった活動を通し、現在の日本の書とそれを支える書道界を作り上げた。日本の書道界では、日展を権威のヒエラルヒーの頂点とした、全国規模の大型展覧会での受賞歴により階梯を登るシステムが形成されている。そのシステムを家元制度と称し、西山松之助が『家元制度の展開』で書道界(会)について述べている。書道界(会)のシステムを家元制度との比較から考察し、そこに働く力学を探る。書道界(会)は家元制度的な組織運営形態をとっているが、代々続く家元や継承すべき型は存在せず、書道界で地歩を築き上昇するための方策として家元的制度を採用していること、またそうすることで書道界全体が日本の「伝統文化」の中に位置づけられるのを目指す意図があったことを示す。
著者
上嶋 健治
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.11, pp.2546-2553, 2007-11-10

従来,循環器疾患治療の原則は安静であり,運動療法は禁忌とみなされていた.しかし,心臓リハビリテーション(心リハ)が運動耐容能だけでなくQOL(quality of life)や生命予後までも改善することが報告されてきた.とくに心筋梗塞後の死亡率を大幅に改善するとともに,ステント留置例にも早期から安全に実施できることが明らかにされた.また,心リハはACC/AHAの慢性心不全のガイドラインでもクラスIのエビデンスレベルで有効性が証明されている.本邦でも1988年に心筋梗塞症例に心リハの保険診療が認められて以降,現在まで狭心症,開心術後,大血管疾患,慢性心不全,末梢動脈閉塞性疾患にも適用拡大されてきた.しかし,欧米では心リハが当初の身体機能の回復から,冠危険因子是正や冠動脈病変退縮を目的とした予防活動に変貌しつつある.その中で,本邦の「エクササイズガイド2006」は,メタボリックシンドロームを念頭に置き,運動の実践方法を提示したものといえる.このように,心リハは,循環器患者の「回復の医学」でもあり,健常者も含めた「予防の医学」でもある治療効果の大きい先進医療である.<br>
著者
服部 健太 溝江 真也 三角 正樹
雑誌
第54回プログラミング・シンポジウム予稿集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.99-106, 2013-01-11

仮想化環境やクラウドの浸透によって,ITシステムの利用は高度化しており,それにともないシステム運用の負荷も高くなっている.このような状況の中,多くの現場では,突然のトラブル対応や頻繁な設定変更の依頼などに追われて,エンジニアが疲弊してしまうといった問題がある.現場では,監視ツールやチケット管理ツールなど,運用のための様々なツールを導入したり,個別のスクリプトやマクロを駆使したりするなどして,効率化の努力を行っているところも多いが,最終的に,これらツール間のやり取りを行うのは人手であるため,なかなか負荷軽減につながらない.我々はこのようなITシステムの運用現場を少しでも効率化することを目指して,IT運用自動化プラットフォームKompiraを開発している.従来から数多くある統合運用管理ツールと異なり,Kompiraでは運用自動化に必要な最小限の機能に的を絞ることで,シンプルで軽量なプラットフォームを実現している.運用業務とは数多くのツール間を連携させることであるととらえ,Kompiraはそれらをジョブフローと呼ぶ運用手順を記述したスクリプトで結びつける.本稿では,Kompiraの特長や設計と実装について説明し,実際の適用事例を紹介する.
著者
Huseyin Aydin Elhachmi Essadiqi In-Ho Jung Stephen Yue
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
ISIJ International (ISSN:09151559)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.1871-1880, 2013-10-15 (Released:2013-10-30)
参考文献数
22
被引用文献数
1 5

In the present work, the effects of intercritical annealing parameters on the microstructure and cold rollability (deformation rate and ratio) of “3rd Generation Advanced High Strength Steels (AHSS)” were studied. Hence, this paper discusses the formation of microstructures with different volume fractions of ferrite, martensite, bainite and retained austenite (RA). Two novel microstructures have been created, based on two levels of manganese (Mn): (i) ferrite plus martensite nucleated in austenite microstructure (FMNA structures), using Mn levels of 5 to 7 wt% and (ii) ferrite plus retained austenite duplex structure (FADP steels) for a Mn level of 10 wt%. In general, the ductility is a function of the amount of retained austenite and the strength is highly dependent on the martensite level.
著者
金 壮律 半田 麻子 石川 博之 吉田 重光 飯田 順一郎
出版者
日本矯正歯科学会
雑誌
Orthodontic waves : journal of the Japanese Orthodontic Society : 日本矯正歯科学会雑誌 (ISSN:13440241)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.112-117, 2001
被引用文献数
6

本研究の目的は, 口蓋部瘢痕組織が上顎の前後的成長に如何なる機序で影響を及ぼすのかを実験的に検討することである.生後20日齢の雄ウィスター系ラット45匹を用い, 粘膜骨膜を剥離することにより横口蓋縫合前後の口蓋両側部に瘢痕組織を形成した実験群, および無処置群の2群に分けた.さらに実験群を5群に分け術直後から術後8週目まで, それぞれ2週間おきに10%中性緩衝ホルマリン液にて灌流固定を行い, 上顎を切り出した.その後, 金属片を前方から3本目の口蓋ヒダの正中部とその後方約10mmの位置に埋め込んだ後, 軟X線撮影を行った.前後的成長量の計測は軟X線写真上で矯正用ノギスを用い, 頬骨前縁部と両側第一臼歯近心間, さらに両側第一臼歯近心と底蝶形口蓋縫合間の計測を行った.また, 計測値は埋め込んだ2本の金属片距離の実測値と軟X線写真上へ投影された金属片の距離で補正した.その結果, (1)両側第一臼歯近心と底蝶形口蓋縫合間距離においては, 実験群が無処置群に比べ前後的増加量は少なく, (2)頬骨前縁部と両側第一臼歯近心間距離においては, 実験群と無処置群の間では前後的増加量に大きな差は認められなかった.(3)無処置群においてはラットの顎発育に前後的な成長スパートが認められたが, 実験群ではそれが認められなかった.これらの実験結果から, 口蓋部瘢痕組織は上顎の前後的成長を抑制し, それは瘢痕組織により横口蓋縫合部での骨添加が阻害されたためと推測された.また, 顎発育の成長スパート以前に縫合をまたいで形成された瘢痕組織は, 上顎の前後的成長を大きく抑制することが示唆された.
著者
崔 唯爛
巻号頁・発行日
2013

Thesis (Ph. D. in Policy and Planning Sciences)--University of Tsukuba, (A), no. 6434, 2013.3.25
著者
Dang Ba Khac Trieu
巻号頁・発行日
2013

Thesis (Ph. D. in Engineering)--University of Tsukuba, (A), no. 6462, 2013.3.25