著者
李 康碩
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.69, no.585, pp.101-107, 2004

1.はじめに 構造物の部材断面最適設計法に関する研究は,これまで多数行われてきたが,これらの研究の多くは,部材断面を連続設計変数とした線形計画法あるいは非線形計画法などの目的関数の勾配情報に基づいた数値解析方法である。しかしながら,現実の構造設計の場では,施工性や建築計画面の観点から,構造物の部材断面はあらかじめ定められた断面リストから選択しなければならない。これは部材断面を離散変数とした離散断面最適化の問題を導く。一方,連続断面結果に基づきRound-off方法により離散断面を考慮するなど,数値解析方法に基づいた離散断面最適化手法が開発されているが,制約条件を満たさない場合や大域最適解に至らない場合など,これらの手法は信頼性が低いと指摘されている。近年,ヒューリスティックスアルゴリズム(Heuristic Algorithm),すなわち遺伝的アルゴリズム(GA),Neural Network,Simulated Annealingなどに基づいた離散断面最適化手法が提案されており,特に,その中,GA手法は多数の研究者によって積極的に行われてきている。ヒューリスティックスアルゴリズムを用いた離散断面最適設計法は従来の数値解析方法が有している欠点を解決しているものの,大域最適解に至るまでの計算コストが高いなどの欠点がある。より有効な構造物の離散断面最適化手法に関する研究は必要である。最近,音楽プロセス(Jazz演奏)に基づいた最適化アルゴリズムであるハーモニーサーチヒューリスティックスアルゴリズム(Harmony Search Heuristic Algorithm,HSHA)が提案されており,これを著者らは構造物の連続断面最適設計法に応用し,その有効性を検討した。本研究ではHSHAに基づいた新しい散断面最適設計法を提案した。また,これをベンチマーク用トラス構造物に適用するとともに,既往のGAを中心としたヒューリスティックスアルゴリズムを用いた最適解とも比較し,本手法の有効性を検討した。2.離散断面最適化問題の定式化 構造物の離散断面最適化問題は,式(1)に示すように設計条件を定める不等式制約条件G^l_j≦G_j(A)≦G^u_jの下で,構造物の重量(目的関数)W(A)を最小とするような最適離散断面積Aを求める。本研究において適用したトラスの制約条件は,(1)離散部材断面リスト(A_I(k),I=1,…,n),(2)部材応力度(σ^l_I≦σ_I≦σ^u_I,I=1,…,n)および(3)節点変形(δ^l_I≦δ_I≦δ^u_I,I=1,…,m)である。3.HSHAに基づいた離散断面最適設計法 一般的に,制約条件づき離散最適化問題においては,目的関数(重量)は制約条件の満足度に関するペナルティーを課した方法を用いて評価する。しかしながら,本研究ではHSHA自体の有効性を検討するためにペナルティー方法を使わずReject方法,すなわち制約条件を満足する領域のみから最適解を求める。本研究で提案した離散断面ぐ最適化手法は4つのステップに分けられる(図1)。Step-1では,離散最適化問題を具体化するとともに,離散断面リストの設定およびHSHAパラメータ(HMS,HMCR,PAR)値を設定する。更に,式(2)に示した初期ハーモニーメモリ(HM),すなわち初期断面変数ベクトル群を,設定したHMS数だけ離散断面リストからランダムに組み合わせ,設定する。ここでは,FEM解析を基に制約条件を満足した断面変数群を選択するとともに,目的関数値(重量)によりソートされる。Step-2では,新しいハーモニー(断面変数)ベクトルを図2に示すように,HMあるいは全解ベクトル群から,(1)Memory considerations,(2)Pitch adjustmentsおよび(3)Randomizationという確率過程を基に生成する。ここでは,HSHAオペレータであるHMCRおよびPARが確率過程を制御する。Step-3では,Step-2において生成した新しいハーモニーをFEM解析するとともに,Reject方法を用いて制約条件の満足度を判断する。新しいハーモニーが制約条件を満足し,更にStep-2のHM断面変数ベクトル群の中,最も目的関数値(重量)の高いハーモニーと比べ,その重量が小さいと,この新しいハーモニーはHMに選択される。既存の最も重量の高いハーモニーはHMから除かれ,またHMの中の断面変数群は目的関数値によりソートされる。Step-4では,終了条件を満足すると,解析は終了,満足しなければ,Step-2とStep-3は繰り返される。HSHAはGAと比べ,コーディング作業がないなど,比較的簡単な方法である。HSHAは新しいハーモニー(断面変数)ベクトルを既存のHMにある全ベクトル群から生成するのに対し,GAは基本的に適合度の高い2つの個体(Parents)から子個体を生成する。更に,HSHAは全断面変数ベクトルの中の各成分変数を独立的に考慮することが可能であるが,GAは遺伝子構造を維持しなければならないため,独立的に考慮できない特徴を持っている。4.適用例:25部材立体トラス 25部材立体トラス(図3)は,今まで多数の研究者によって提案された各離散断面最適設計法の有効性を検討するために使用されてきたベンチマーク用構造物である。HSHAに基づいた離散断面最適設計法の有効性を検討するために,これを25部材立体トラスに適用するとともに,既往のGAを中心としたヒューリスティックスアルゴリズムを用いた最適解とも比較・検討した。解析では,表1に示すように,異なるHSパラメータ(HMS,HMCR,PAR)を持つ5つのケースを設定した。構造物の25部材断面は対称性を考慮し,合計8つの離散断面変数グループ[(1)A_1,(2)A_2〜A_5,(3)A_6〜A_9(4)A_<10>〜A_<11>,(5)A_<12>〜A_<13>,(6)A_<14>〜A_<17>,(7)A_<18>〜A_<21>,(8)A_<22>〜A_<15>]に分けて解析をするとともに,使用可能な離散断面リストはD={0.1,0.2,0.3,0.4,05,0.6,0.7,0.8,0.9,1.0,1.1,1.2,1.3,1.4,1.5,1.6,1.7,1.8,1.9,2.0,2.1,2.2,2.3,2.4,2.5,2.6,2.8,3.0,3.2,3.4}(in.)を設定した(合計30部材)。表2に各ケースに対する25部材立体トラスの離散断面最適解(最小重量)を示し,また同構造物に対しGAを用いたRajeevとKrishnamoorthyとChowおよびEabaturらの最適解,Neural Dyhamicsモデルを用いたAdeliとParkの最適解およびSimulated Annealing手法を用いたParkとSungの最適解とも比較した。HSHAは13,523〜18,734回の構造解析後484.85〜485.77lbの最小重量を得た。これらの結果は表2に示した従来の最適解よりも良いことが分かる。図4にはRajeevとKrishnamoorthyおよびWuとChowのGA方法との収束能力を比較した。Simple GAを用いたRajeevとKrishnamoorthyは600回の構造解析後546.O1lbの最適解を求めたが,HSHAは同じ構造解析数において,504.28〜521.04lbの重量を得た。一方,Steady-state GAを用いたWuとChowは約40,000回の構造解析後486.29lbの最適解を求めたが,HSHAはCase-1を除いて,同重量を2,160〜6,850回の構造解析後に得た。5.結論 HSHAに基づいた離散断面最適設計法を提案し,その有効性をベンチマーク用25部材立体トラス構造物を用いて検討した。HSHAは,既往のヒューリスティックスアルゴリズムに基づき開発した離散断面最適設計法よりも良い最適解(最小重量)を得た。更に,HSHAの収束能力,すなわち計算コストはGAよりも低いことが分かった。本研究で提案したHSHAを用いた手法は比較的簡単なものであり,トラスのみならずプレート構造やフレーム構造などにも適用可能であると考えられる。
著者
五代秀尭, 橋口兼柄 共編
出版者
山本盛秀
巻号頁・発行日
vol.16(巻之46-48), 1905
著者
今口 忠政 上野 哲郎 申 美花
出版者
慶應義塾大学出版会
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.37-59, 2010-06

論文企業の事業再構築戦略とは,肥大化した事業分野を選択して競争力のある事業に経営資源を集中させる戦略であるが,そのためには人材,IT を高度に活用して知識集約化を推し進め,組織能力を高めたシステムへと転換することが求められる。また,環境変化に合わせて組織能力をダイナミックに組み替える能力も必要である。 本研究では,事業構造,組織構造を組み替える戦略行動を「組織能力の再構築プロセス」と捉え,組織能力の形成,変換のプロセスを日本企業,中国企業,韓国企業のケース研究によって解明しようとするものである。そのために,組織能力の概念を理論的に検討し,それらの組織能力がどのように構築されたかについて日本企業のコマツ,中国企業の中国博奇,韓国企業のサムスンを事例として研究した。コマツの本社や主力工場,中国博奇の日本法人,サムスンの日本法人を訪問してインタビュー調査を行った。その結果,持続的な競争優位を確立するためには,環境の変化を迅速に認識する能力,組織学習によって変換する能力,再構築したものを制度化し,構造化する能力の3段階のプロセスを経ることが必要であるといえる。

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著者
日本女子社会教育会
出版者
日本女子社会教育会
巻号頁・発行日
vol.6月, no.548, 1998-06
著者
伊藤 久美子
出版者
一般社団法人日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.100-101, 2001-05-01
被引用文献数
4
著者
川越 聡 神酒 勤
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.27, no.22, pp.5-8, 2003-03-19
参考文献数
8

人にやさしいマン・マシンインターフェースの実現には、人間の感性の定量化がひとつの重要な要素となる。中でも、色、配色パターンは人間にさまざまな印象(感性)を与える情報源である。ここでは、画像(カラーイメージ)から受ける印象を感性語として自動抽出することを考える。通常、色情報の抽出を行う場合、予め対象物のみを画像から切り出す処理が行われている。一方、人間がものを見るときには背景を排除したりせず、見たいものに視点を定めその視点を中心とした一定の視野内の画像から情報を得ている。本研究では、注目する画像に視点と視野を定義し画素に重み付けをすることで背景の処理なしに人間の感覚にあった的確な色情報抽出を試みる。ファッション雑誌、カタログのカラー画像に本手法を適用し、その妥当性を議論する。
著者
森 時彦
出版者
京都大學人文科學研究所
雑誌
東方學報 (ISSN:03042448)
巻号頁・発行日
vol.85, pp.595-616, 2010-03-25

Construction of cotton mills in Shanghai and Qingdao by Japanese spinning companies reached its peak in the first half of the 1920s. This monograph examines the historical background of such a strategic shift from product export to capital export which was promoted by Japanese spinning companies.
著者
村瀬 弘 中嶋 正敏 伊藤 幸郎 島本 達夫 小川 小夜 前沢 秀憲
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.62, no.7, pp.765-769, 1973
被引用文献数
2

膵十二指腸動脈瘤を術前に診断し,摘出に成功した1例を報告する.膵十二指腸動脈瘤の報告は,今日までに18例にすぎず,希な疾患とされている.手術成功例は9例,術前診断例は2例である.本邦ではまだ報告がなく,本症例が第1例である.患者は48才の主婦.生来健康であったが,昭和47年5月頃から腰痛が続く.近医で第3腰推右側の直径約3cmの半円形石灰化像より腹部大動脈瘤を疑われ,8月31日に当科受診した.胸部,腹部に異常所見はなく,血圧142/84.検査では,血清アミラーゼ値の一過性異常, PS試験で膵外分泌能低下,糖負荷試験で糖尿病型を示すほか,とくに異常はなかつた.動脈撮影で,前下および前上膵十二指腸動脈におのおの1個の動脈瘤を認めた.前下膵十二指腸動脈瘤壁は,前記石灰化像と一致した. 11月30日開腹し, 2個の動脈瘤を摘出した.ともに動脈硬化性であつた.術後は一過性に膵液のうつ帯をきたしたが,以後の経過は良好で,昭和48年2月13日に退院した.
著者
足立 浩平
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

入力×出力×個体の三相データ配列を分析して,入力と出力に介在するコンポーネントを摘出する複数の主成分分析法に関する研究を行った.この研究によって,複数の主成分分析法の中から最適な分析法を選択する手法を完成して,選択されたモデルの解を有意味な単純解に変換する方法を開発した.
著者
植松 光夫
出版者
北海道大学低温科学研究所 = Institute of Low Temperature Science, Hokkaido University
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.49-52, 2010

西部北太平洋亜寒帯域は霧の多発する海域である. 海霧のpHは2.8-5.5と酸性を示し, 粒径分布は陸上の霧の一山型とは異なり, 霧粒の直径は7.0μmと27.5μmにピークを持つ二山型であった. エアロゾルと海霧のイオン成分の比較から, 硝酸イオンを含む粗大粒子が, 霧によって選択的に除去される事を明らかにした. これは大気経由の人為起源窒素化合物が海霧により海洋へ供給され, 海洋生態系へ影響を与えていることを示唆する.Chemical and physical properties of sea fog over the sub-arctic North Pacific regions were determined. The mean size distribution of liquid water content (LWC) of sea fog indicated two peaks, which was different from the common single modal spectra of terrestrial fog. The mean pH values of fog water ranged from 2.8 to 5.5 over the investigated regions. Nitrate existed as coarse particles acts as condensation nuclei (CN) of sea fog droplets. These results suggest that sea fog over the subarctic North Pacific is one of important scavengers of natural and anthropogenic substances transported from the Asian continent and atmospheric nitrogen deposition to the marine environment may stimulate phytoplankton growth.大気圏と生物圏の相互利用. 北海道大学低温科学研究所編