著者
友田 修司 下田 昌克
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1989

今年度はSe-Se結合をもつ3種類のホスト分子の新規合成およびX線構造解析を行った。さらにホスト分子に取り込まれた銅(II)イオンとSe-Se結合との間に容易に電子移動が起こることを示唆する実験結果が得られた。まず、セレンユニットの最も基本的なモデル系として、無置換のo-異性体o-C_6H_4(SeCN)COClにホスト部位を導入した後に-SeCN同士のカップリングを行い、クラウンエ-テル型ホスト分子(1)、クリプタンド型ホスト分子(2)、およびキレ-ト型ホスト分子(3)をそれぞれ合成した。合成したホスト分子(1,2)についてX線構造解析を自分で行い分子構造を明かにした。1は長方形の空洞をもち2個の金属イオンを同時に取り込む可能性がある。セレン原子の超原子価性に起因すると考えられる分子内相互作用が明かとなった。同様に2においても、SeとOの原子間距離が異常に短くなっており、これらの原子間に引力的相互作用が存在することが判明した。セレン原子の超原子価性は大環状分子の安定化に大きく寄与する一方で、ホスト部位の配座を固定化し、ポリエ-テル鎖の立体配座を歪ませている。3の構造を決定するため、塩化銅(II)とメタノ-ル中で攪はんして生じる緑色沈澱を集め、クロロホルムより結晶化したところ少量の濃青色結晶が得られた。これをX線構造解析したところ、銅は6配位でSe-Se結合が酸化的に返断されセレネニルクロリドとなっていることがわかった。これは銅とSe-Se結合との間に何等かの電子的相互作用があったことを強く示唆している。この錯体はメタノ-ル中でアルケンと反応させると、ほぼ定量的にメトキシセレン化反応を生起した。今後、この錯体の反応性解明も含めて、ホスト分子1-3の錯体合成とその構造・性質に関する検討を行って行きたい。
著者
守屋 慎次
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.p398-405, 1978-05-15
被引用文献数
1

Decision tables as control structures for programming languages have been used for many years. In regard to the conversion of decision tables to computer programs, formalization has been quite well investigated. However, most of the previous works left out the important issue of general formalization of decision tables. This paper formalizes mixed entry decision tables based on Boolean algebra, some of the notions informally used in the decision table literature are systematized, and several fundamental properties of mixed entry decision tables are also investigated.
著者
久保田 裕之
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

最終年度にあたる平成21年度の研究成果は、以下の通りである。本研究の第一の目的は、生活の物理的基盤としての居住を中心として、家族ではない他人との共同居住(非家族居住)の事例を検討していくという経験的なものであった。この点につき、日本でも若者を中心に実践されつつある「シェアハウジング」と呼ばれる非家族居住についてのフィールドワークを行い、単著『他人と暮らす若者たち』として刊行した。また、とりわけ家計経済学とコモンズ論の観点から非家族居住を考察した。このような非家族との居住実践のデータを元に、現在の家族社会学における「家族の多様化」論を批判的に検討したものが「『家族の多様化』論再考-家族概念の分節化を通じて」である。その結果、家族概念を単に押し広げるだけでは、近代家族以外の多様な生活形態を分析から除外してしまい、結局は従来の家族さえも十分に考察できないことを明らかにした。本研究の第二の目的は、「生-政治」の戦略拠点としての近代家族とは異なる、新たな「生の基盤」の可能性を検討するという理論的なものであった。この点につき、個人単位で無条件一律に現金給付を行うというベーシック・インカムの議論を手がかりに、政策単位は家族か/個人かという従来の議論を批判的に検討した。その結果、最低限の生活水準を確定するためには、従来はもっぱら家族が担ってきたケアのコストと、生活の共同による規模の経済を考慮する必要があり、これらの検討なしに個人単位の福祉を議論できないことを明らかにした。以上のような議論は、雇用によっても家族によっても生活を支えることが困難になったと考えられる現代において重要な意義を持っている。また、定額給付金や子ども手当てをはじめとする個人単位給付が導入されつつある現在、その効果と是非をめぐる議論に重要な示唆を与えることになる。
著者
徳安 彰
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

グローバリゼーションと機能的分化を背景とした社会システムと行為主体の関係を、一般理論のレベルで定式化した。一般理論の具体化のために、中間的な単位としての科学技術の研究組織におけるバイオセキュリティの問題を取り上げ、情報の境界管理という概念をもちいて、セキュリティにかかわる研究情報が研究組織の境界を越えるリスクと、境界を越えないようにする規制の可能性を具体的に特定した。
著者
佐藤 嘉夫 野口 典子
出版者
会津大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1994

豪雪・過疎・超高齢化山村における分散・孤立した高齢者のみ世帯の生活は、除雪、家屋の維持、火災等に対する安全・防犯、通院などの交通、日常生活の利便性など生活の全面にわたり大変厳しいものがある。人的資源の流出に加え、過疎化の進行に伴う財政悪化や投資効率の低下による公共サービスの脆弱化がその背景にある。それを補う形で残村高齢者と他出子と密度の高い親族ネットワークが形成されている。他出子の居住地の違いによってその緊密度や交流・援助の手段に違いは見られるがそれはさほど大きなものではない。その内実をなすものは、老親に対する精神的・経済的・身体的扶養と「家」(稼業・家作、墓、親族関係)の継承、郷土への愛着などである。しかし、他出子の帰郷への直接的な動機づけとしては、そうした所与の客観的条件よりも、他出子側の主体的条件に拠るところが大きい。他出子家族内の子供の成長・自立(就職、結婚)、帰郷後の仕事・役割・生きがいの有無、帰郷にたいする家族の同意などである。比較対象群として行った、冬季間(4〜5ケ月)に他出子世帯と同居する「出ぐらし」高齢者世帯の調査によると、残村高齢者の自立の低下による通院や要介護の高まりが、他出子の帰郷への要因とはならずむしろ高齢者の「引き取り」(村外流出)を促していることにもそれは示されている。また、帰郷後の不安として上げられているのは、先のものの他、自分の老後とりわけ介護問題や人間関係でありその点でも、他出子は帰郷を自らの問題として受け止めているということが分かる。したがって、具体的に帰郷を考えている1割弱、漠然とした願望のものも含めて4割弱にも上る帰郷意向をもつ他出子の帰郷がどれだけ現実性を帯びるかは、現存の高齢者と他出子の親族ネットワークへのさまざまな形の支援に加え、村と他出子の早期からの情報交換・交流と幅広い高齢者のためのまちづくりにある。高齢二世代家族の再生の条件もそこにある。
著者
中野 俊郎 吉田 昭治 粟生田 忠雄
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

長辺50m、短辺40mの20aの水田に排水の能力差のある暗渠条件を長辺方向に2本設けて、暗渠の能力差による排水効果を測定した。一本の暗渠は小排水路に排水され暗渠の水頭差は田面下60cmである。他方の暗渠は田面下100cmに埋設された集水渠に接続したため大排水路の水位が集水渠より常時高く暗渠には約40cmのサクションが掛かる構造になった。その結果、取水時、間断潅水時および落水の水管理時には集水渠に接続した方のA暗渠の水位は常時田面下60cmを維持するようになり、土壌水分張力値もA暗渠の方が大きくなることがわかった。気象装置や土壌水分張力測定器を設置観測開始年の2年間は少雨高温の特異年であった。TDR土壌水分率測定結果も平行して測定した結果は、作土層と耕盤層の土壌水分は心土層より約1日遅れで圧力が伝達されて減少し始めることが分かった。お盆過ぎから刈取り期近くの間断灌漑は慣習的に5〜4日間隔で水管理されているが、耕盤層の水分張力の減衰が1日間観測されていることから、3日間隔の方が稲の生育生長および収量や地耐力の発現に好結果を期待することができると思われる。地耐力の測定にはコーン指数で判定する構造改善局基準があるが、側面摩擦抵抗や泥炭地水田では必ずしも適さない事例があり、ベーン試験と三軸試験機を用いた非排水条件の側圧一定試験から有効応力解析を行いベーン試験による沈下量とスリップ率から判定した。その結果、シルト質粘土地盤の作土層表面が極度に乾燥履歴を受けてシルトの噛合い成分が強くなり、刈取り期近くになると粘着力成分より摩擦力成分が卓越することが判明した。一方、植物遺骸が堆積した泥炭地水田の作土層の表面が乾燥すると植物遺骸の繊維質がメッシュ構造を生成して地耐力が増強されると判断した。
著者
国分 充
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

知的な障害を有する子どもに運動を行わせるときにもっている能力を十分に発揮させるような課題設定のあり方を検討することを目的として、立ち幅跳びの計測を、何の目標もなく最大の力を発揮するよう言語教示して行う目標なし条件と、そうして得られた跳躍距離の20cm遠くに設定された目標まで跳ぶように求める目標あり条件の2つの条件下で行った。その結果、目標あり条件での成績は目標なし条件の場合よりも有意に高く、跳躍距離を伸ばすのに目標をしめすことは一般に有効であることがわかった。また、条件間の違いと有意に関係していた被験児の属性は、行動調節能力であった。すなわち、行動調整能力が低ければ低いほど、条件間の差は大きかった。しかし、ダウン症児は、彼らの行動調節能力の如何にかかわらず、条件間の違いは小さく、目標の効果はほとんど見られなかった。これは、ダウン症児では、運動の表出に係わる系ではなく、運動能力自体、すなわち運動の実行系に問題を有するためと考えられた。しかし、彼らにあっては、丁寧さを必要とするような運動課題では、他の知的障害児とかわらないことが、水を入れたコップが載ったお盆を3メートル運ぶというお盆運び課題から明らかになった。この課題において、ダウン症児では時間は長くかかり、また、歩数も多かったものの、こぼした水の量は他の知的障害児で差がなかった。このことは、ダウン症児の運動実行系の障害の性質を考える上できわめて示唆に富む事実であり、また、運動課題設定上も十分留意すべきことと考えられた。
著者
高橋 久美子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.59-67, 2003-01-15
被引用文献数
1

性意識の中でもとくにセックス観に注目し,父親と母親のセックス観が性教育に及ぼす影響について検討した。主要な分析結果は以下のとおりである。取り上げた5項目のセックス観のすべてにおいて,父親に比べて母親は否定的で禁欲的な考え方をもっていた。父親と母親の意識の差は,とくに快楽の肯定と男性による女性の道具視の項目で大きかった。母親では,禁欲の必要性の項目が快楽の肯定や女性の道具視の項目との間で関連が認められた。父親と母親のいずれも,性に関する会話への抵抗感をもつものが半数いた。子どもとテレビ視聴時のラブシーン場面において平静という者は予想外に多く,母親でも半数いた。父親と母親のいずれも,性教育の内容として取り上げた10項目のうち,家庭で必要と思う項目と学校で必要と思う項目はほぼ同数の5項目であった。しかし,家庭で必要と思う項目と学校で必要と思う項目の内容は対照的であった。家庭で実際になされた項目は少なく,2〜3項目でしかなかった。父親と母親のいずれも,家庭での性教育の必要性の意識と性教育の実践とは関連が認められた。性教育の実践に対し,父親では性に関する会話抵抗感は直接に関連し,母親では家庭での性教育の必要性の意識を通して関連していた。さらに,セックス観のなかでも禁欲の必要性の意識と性に関する会話抵抗感との間で関連が認められた。
著者
石川 清
出版者
愛知産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

当該研究は、中世後期のイタリアの各地方都市(フィレンツェ・シエナ・ヴィテルボ・ローマなど)にける街路の公的都市規制と、それに伴う都市住宅・都市景観の様態変化を把握するために、(a)中世後期の市民生活形態、(b)街路を構成する建築の建設過程、(c)中世後期の都市条例statuti、(d)中世後期の政治体制を調査し、これらの分析を並列的に進めていくことで、イタリアの都市の街路における公道と私道の成立の実態、それに面する邸宅に関する法的規制の歴史的経緯を把握することによって、イタリア中世の都市生活の様態に新しい知見を見出そうと試みたものである。平成16年度から平成18年度にかけて、(1)イタリア中世後期の都市条例、(2)街路に面する景観整備のための建築規制、(3)統一的美観の成立:建築ファサードにおけるラスティケーションの導入、(4)街路環境整備のための道路監督官制度、(5)街路に面する住居建築のパラダイムの変容、を順を追って分析・考察することで、イタリア中世後期における都市景観に対する法的整備の様態を解明した。イタリアでは14世紀初頭には、我が国で言うところのいわゆる「景観法」がすでに成立しており、統一的都市景観という意識が個人都市住宅の設計理念に組み込まれていたことを垣間見ることができた。中世都市国家の中で法的整備がなされ、かつその当時の都市条例が現存する都市に分析対象が絞られたが、中世イタリアの都市国家における都市景観に対する考え方の相貌は把握できたと考える。
著者
佐々木 節 ANACLETOARROJA Frederico ANACLETO ARROJA Frederico
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

今年度は本研究計画のまとめとともに,これまでとは異なる視点から宇宙論的揺らぎの理論を展開し,非線形性や非ガウス性に関する考察を進めた。その主な成果を以下に記す。(1)近年のインフレーション宇宙の揺らぎの振る舞いに関する研究から,一般的な非正準的な運動項を持つスカラー場と断熱的完全流体との類似性が指摘されていたが,この点をより明確にするべく,これらの2つの場合が非線形揺らぎも含めて完全に一致するための条件を議論した。その結果,両者が非線形まで含めて完全に一致するのはいわゆる純粋なK-エッセンス理論の場合だけであることを証明した。これは,これまでの揺らぎの理論に新たな見方を提供する重要な成果であるだけでなく,これまでにあるモデルで得られた結果を対応する別のモデルに適用して直ちに解を得ることができる,という意味でも有用な成果である。(2)インフレーション理論に対するアプローチとして,最近,いわゆる有効場の理論的アプローチが注目を浴びている。しかし,これまでは単一のスカラー場の仮定のものに有効理論が展開されていた。そこで,これを複数場の場合に拡張した。特に,2階微分までの一般的有効作用の下で,複数スカラー場理論の高エネルギー極限の補正項の一般形を導出に成功した。この結果は近いうちに論文として発表予定である。(3)単一スカラー場の理論でも,ポテンシャルに急激な変化があるモデルではスローロール近似が破れることが知られている。この場合に発生する非ガウス揺らぎを解析的に評価することに成功した。この結果も近いうち論文として発表予定である。
著者
熊谷 謙治 進藤 裕幸 丹羽 正美
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

特発性大腿骨頭壊死症は近年疫学や臨床的研究が著しく進歩したため、大腿骨頭壊死症はSteroid Hormone治療で一時期に大量投与(12.5mg以上)で増加し、高脂血症との因果関係、更には細動脈や細静脈の内皮細胞の関与も明らかになってきている。近年腎臓などの諸臓器の生体移植や膠原病などでSteroid Hormone増加に相まって、大腿骨頭壊死症の増加が危惧され、社会問題となりうるため注目されている。研究の課題は特発性大腿骨頭壊死症における阻血機序の病態解析で、Steroid Hormone投与によって生じる脂肪細胞の増生、膨化と末梢循環特に血管内皮の関与を解明することを目標とした。上記病態解析のため、約100匹のSHRSP/Izmを17週齢で犠牲死とし、大腿骨頭を採取、光学顕微鏡用に病理組織標本を作製、また採血、多臓器採取も行った。壊死の有無を検鏡し、免疫組織学的に抗ラットの抗体を用いて、レプチン、アジポネクチン、PAI-1、TNFαの骨髄脂肪細胞内、および周囲の定性的反応性が確認された、Steroid Hormone投与の有無、大腿骨頭壊死の有無で各種サイトカインの定量的反応性を評価した。サイトカインの分子生物学的検討には大腿骨頭の光学顕微鏡組織標本から、大腿骨幹部の脂肪細胞から抽出を試みたが、技術的に困難であった。そこで脂肪細胞の動態を検討するためスタチン系薬剤であるプラバスタチンとヘパリン様物質のペントサンを投与する2実験を行った。両者ともに、壊死頻度は減少し、脂肪細胞の縮小・減少がみられ、脂肪細胞の大腿骨頭壊死症に関与の証明や治療薬の探索の観点で収穫が得られた。
著者
秋元 孝文
出版者
甲南大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

アメリカ的立身出世物語の典型とみなされているHoratio Alger著Ragged Dick (1868)が、テクストの表層では「勤勉・努力・節制」といった内面の美徳を唱導しながらも、本当はむしろ外見を変えることの重要性を唱導してしまっているという点を、当時の偽札とのかかわりで論じた「Ragged Dick's Appearance---読むこと、読まれることと社会的上昇」を日本英文学会の学会誌『英文学研究』に投稿、審査を通過し第84巻に掲載された。本研究の19世紀部分の柱となる各論が一本完成した。8月に渡米。シカゴNewberry Libraryで、Autograph Counterfeit Detectorなどのアメリカの貴重な歴史的資料を収集。イリノイ大学シャンペーン校の図書館で、執筆中の論文「J.S.G. Boggsについて」のためのリサーチおよび論文の執筆、および引き続き、今後の各論の対象となるWonderful Wizard of OzやWilliam Gaddis作品に関する論文を収集。帰国後、収集した資料をもとに「J.S.G. Boggsについて…紙幣と文学の比較研究のために」を執筆、甲南大学文学部紀要に投稿。本論は当研究の序章となる予定である。引き続き、次の各論としてPaul Auster著Brooklyn Follies (2006)について、9.11以降のリアリティの変容を「Deception Dollar」というJoke Noteとのかかわりから論じる考察を開始、平成20年度に脱稿して、いずれかの学会誌に投稿の予定。以上のように2本の論文という形で成果を残し、また今後引き続く研究のための資料も集めることができ、着実な進展を実感している。
著者
呉谷 充利
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文報告集 (ISSN:09108017)
巻号頁・発行日
no.367, pp.72-79, 1986-09-30

L'oeuvre architecturale etait un "etre poetique". Nous cherchons cet "etre" dans la "Stimmung". C'est-a-dire, c'est de la Stimmung que l'oeuvre vraie constitue un "etre poetique". De sorte que la difference entre les deux pierres, celle des Grecs et celle des Gothiques, comme W. Worringer l'a indique dans son ecrit "Formprobleme der Gotik", explique meme leur representations physionomiques des Statues. A savoir, les Statues Grecques represented un "corps superbe", par centre, celles de Gothique y expriment plutot une "expression du sentiment". Dans cet article, d'une part, etant fonde sur la pensee philosophique par M. Heidegger, Interpretation de l'"etre" se cherche cette Stimmung a la base. D'autre part, l'Anschaulicher Charakter" de H. Sedlmayr n'est pas autre chose que la physionomie de l'oeuvre d'Art. Enfin, nous trouvons, dans la physionomie, les donnees de la "Stimmung". Ainsi, une physionomie se charge en soi-meme du "pan-etre" de l'espace architectural. C'est la qu'on puisse s'assurer de l'oeuvre architecturale destinee a l'etre humain comme l'etre originel. Nous voyons cette preuve dans les interpretations des oeuvres litteraires, "The Castle of Otranto" de H. Walpole et "Notre-Dame de Paris" de V. Hugo. A savoir, le roman de "The Castle of Otranto" se trouve un "etre" de l'esprit Gothique, dormant au fond de la psychologie profonde de H. Walpole. Le "Notre-Dame de Paris" etait un grand roman. Car, V. Hugo y interprete l'esprit de l'oeuvre Gothique meme en l'etre humain en soi. Voici done une question a la physionomie de "Le Modulor" chez Le Corbusier.
著者
秋元 孝文
出版者
甲南大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

アメリカ小説における想像力と、その同時代の紙幣制度の間にはなにかしらパラレルな関係が見いだせるのではないかという仮定のもとに、Paul Auster, Mark Twain, Frank Baum, Herman Melvilleという4人の作家の作品を取り上げて考察を行った。Auster作品では9.11以後の陰謀論的想像力との共鳴が、Twain作品ではサインと主体の分離の問題にバイメタリズムとの関連が見られ、そしてBaum作品ではエメラルド・シティの「緑」に紙幣の「グリーン」、そして同時代の紙幣のデザインに紙幣的なレトリックが見られることを証明した。MelvilleのBartlebyについてはその複製への抵抗をfantasy noteと呼ばれる偽札との関連で論じた。