著者
近藤 一晃 西谷 英之 中村 裕一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.8, pp.1206-1215, 2011-08-01

人間とシステムが協調することで画像認識の適用範囲や精度を高める「協調的認識」の考えが提案されている.本研究では協調的物体認識を効果的に形成して認識を改善するインタラクションの設計について提案する.具体的には,認識結果やシーンの状況といった項目をシステムが評価し,認識を行う上で悪状況であった場合には,その説明とともに協力してほしい内容を人間に提示する.これにより,どうすれば認識が良い方向に向かうのかを簡単に知ることができるため,小さな負担で認識が改善されるとともに,人間にとって分かりやすい道具となることが期待される.協調的認識を行うための状況評価,提示インタフェースの設計・構築,及び実験を行い,認識困難な状況の検出が行えること,また人間の協力により認識が改善されることを確かめた.
著者
石原 達也 中村 幸博 武藤 伸洋 阿部 匡伸 下倉 健一朗
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J94-D, no.8, pp.1434-1449, 2011-08-01

住居におけるユーザとユーザ周辺の家電・家具等のモノの位置を取得できるセンサシステムを屋内に導入するためには,センサの導入コストを抑える仕組みが必要となる.本論文では,そのような要求を満たすものとして,ユーザ周辺の家具・家電等にユニークなIDが付与されたタグを配置し,ユーザが所持する計測端末で得られたタグのIDとタグとの相対距離情報を用いてそれら空間配置を推定する手法を提案する.具体的には,SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)を応用し,距離のログデータから選択された距離情報の集合から計測端末位置を算出するモーションモデル用いて,計測端末とタグの位置並びにタグの推定位置に対するゆう度を同時に算出する.本提案手法の特徴は,計測端末とタグとの相対関係のみから各タグ位置を独立に推定すること.そして,タグのゆう度を監視することでタグが設置されたモノの移動を検知し,日常生活において起こり得るモノの移動に対して適応的な位置修正を行うことにある.超音波センサを用いた実験では,タグが設置されたモノを移動させた場合においても,計測端末とタグの位置推定誤差が200 mm程度で推定できることを確認した.
著者
宮田 仁
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.15, pp.42-45, 1999

本研究は, 総合的な学習の時間を支える情報活用の実践力を育成するための教材を設計し開発することが目的である。その第2報として, 米国Vanderbilt大学Learning Technology Centerが提唱したアンカー教授法を紹介するとともに, アンカー教授法に基づいたProblem-oriented教材の開発と試行の概要を報告する。日常の問題解決場面に近い文脈で, 多階層の問題解決課題を, 本教材の中に設定し, 教育実践で試行した結果, 算数のスキルの高低にかかわらず, 児童の興味・関心は持続し, 多階層問題中の下位問題の発見と, 使用できる条件(情報)の活用に効果があることが実証された。
著者
八田 武俊 大渕 憲一
出版者
経営行動科学学会
雑誌
経営行動科学 (ISSN:09145206)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.45-51, 2005-01-30

We examined the effects of exit options and preliminary interaction on negotiators' perceptions and behaviors in the electronic negotiation. The exit option is that either negotiator could exit from the current negotiation. When the negotiators were allowed to exit anytime from the current negotiation, we predicted that they would perceive the negotiation as unsteady. When the negotiators had personal interaction with each other, we predicted that they would perceive the partners as faithful. In a role-play experiment, 78 students were paired to negotiate with each other by using e-mail. They were randomly assigned houng the exit into the four conditions : or not and preliminary interaction or no preliminary interaction. The results supported our two predictions. Further, it was found the preliminary interaction increased collaborative behaviors.
著者
植木 俊哉
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究では、グローバル化とボーダーレス化が進む現代の国際社会において、国際組織のアカウンタビリティーの確保と向上のために国際法め理論と実務がいかなる貢献をなしうるかについて、国際法協会(ILA:International Law Association)が組織した「国際組織のアカウンタビリティーに関する国際委員会」による国際組織のアカウンタビリティーに関する「勧告的規則・慣行草案」(RRPs:Recommended Rules and Practices)の起草・作成過程への実践的関与や検討を通じて、さまざまな分析と提言を行った。同委員会による勧告的規則・慣行草案は、2004年8月にドイツのベルリンで開催された国際法協会第71回総会において正式にILAの国際文書として採択され、国際組織のアカウンタビリティー確保のための国際的な基準として、世界に向けた提言として具体的に結実した。本研究代表者は、同委員会の日本代表の委員として、RRPs作成過程での議論に積極的に関与を行うと同時に、その成果の分析を行い、論文等の形でこれを公表した。また、その研究成果等を踏まえ、国連本部事務局内での「国連フォーラム」研究会等の場で、国連諸機関に勤務する日本人職員等と意見交換を行い、国際組織の現場におけるアカウンタビリティー向上のための取組み等について実践的な提言を行った。さらに、国際テロリズムとの関係での国連安全保障理事会におけるさまざまな決議採択等の取組みや、21世紀の国際組織の新たな活動の基軸の1つとなる「人間の安全保障」といった概念の展開等の具体的事例との関連で、国際組織の活動のアカウンタビリティーの向上に関する具体的な検討を行い、その研究成果等を公表した。
著者
王 鳳
出版者
島根県立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

改革開放以降の中国の社会意識の変化に関わる各種の言説を考察することによって80年代と90年代以降という二つの大きな区切りがあり、人々の意識やその表象に決定的な影響を及ぼすものがそれぞれ「正しさ」の論理と「できる」論理であると結論した。また、社会現実を語る際に用いられる時代的ディスコースの変化は、90年代の「奮闘」(頑張っていること)から2008年前後の「棟梁」(成功そのもの)に移っていくという重心の転移があったのである。
著者
湖中 真哉 伊藤 一頼
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、総合的地域研究の立場から、東アフリカのマー系社会を中心とする牧畜社会をおもな対象として、フィールドワークを実施することにより、これまでほとんど報告例のなかった難民(国内避難民)が国家・国際的な外部からの支援に頼らずに自発的に形成する「地域セーフティ・ネット」の実態を記述・分析した。紛争の結果形成された「群集集落」が相互扶助と安全の拠点となり、地域セーフティ・ネットの役割を果たしていることを解明した。
著者
半田 久志
出版者
岡山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,部分問題に分割し,部分問題毎に並行して協調的にルール生成を行う新たな進化計算を提案し,提案手法を知識導出に適用する.部分問題に分割することにより多様性を維持しつつ効率的にルールを探索する.この知識導出に確率モデルを用いた進化計算である分布推定アルゴリズムを適用・拡張した.
著者
澤野 義一 魏 栢良 糟谷 英之
出版者
大阪経済法科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

「日本のジュネーブ条約追加議定書の批准と国内法的課題」というテーマで3名の共同研究者が2年にわたり研究調査を行ったが、次の点が課題であることが判明した。まず、ジュネーブ条約追加議定書等の国際人道法(理念)の自治体における実施の不十分さは早急に改善される必要がある。第二に、原子力発電所に関する武力攻撃等からの住民防護対策は、外国においても国防作戦の中で図られ、具体的な対策は明らかにされていないため、国際人道法の責務が厳格に果たされているか疑わしい。第三に、アジア諸国における国際刑事裁判所規程の批准状況の低迷の一因がアメリカの当該裁判所への敵対的対応にあることから、アメリカの今後の対応変化によってアジア諸国の批准状況の低迷に前向きの変化が生ずる可能性がある。
著者
石崎 太一 久野 真奈見 梅木 陽子 黒田 素央 早渕 仁美
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.39-43, 2005 (Released:2006-08-04)
参考文献数
9
被引用文献数
6 11

Using a placebo controlled single blind crossover study, we examined the effects of dried skipjack soup stock on mood and emotion among Japanese female college students by questionnaire.Twenty-seven subjects were divided into two groups, and 100 ml of skipjack soup stock and a placebo were alternately given for one week to both groups. The washout period was one week. The placebo was diluted water containing a natural skipjack flavor, pigment and salt. The profiles of mood were observed using the POMS test and the mood questionnaire before and after consumption.There were some subjects who had an unstable emotional baseline. The walking counts by pedometer and the diary descriptions suggested there were some events that varied their emotions. We therefore decided to use subjects who had a stable emotional baseline for evaluation of the test foods. As a result, the scores for tension, anger and TMD (Total Mood Disturbance) in the skipjack soup stock group significantly decreased from the initial values. On the mood questionnaire the score for concentration increased from the initial value.These results suggest that skipjack soup stock had a beneficial effect on mood status.
著者
山本 荘毅
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, 1980-09-15

地下水の人工かん養に関する諸問題を, 人工かん養の歴史, 人工かん養の目的, 人工かん養の方法, 人工かん養における検討事項, ヨーロッパの人工かん養の実情などの項目から論じたものである。土質力学的視点からすれば, 地表流下水を人為的に地下に貯留して再利用しようとする地下水人工かん養の問題は, 地下水の地盤浸透現象との関連から論じられる。人工かん養の方法には直接法と間接法があること, 人工かん養を実施する場合には, かん養技術, 地下水管理, 経済性, 環境に対する影響などを検討すべきであると指摘している。また, ヨーロッパの人工かん養に関しては, 水温0〜15℃, 濁度の大きい河水を揚水して氷河堆積物であるエスカーの上まで圧送, このエスカー斜面に池を掘って浸透を行っているスウェーデン・ウプサラの例, オランダ・ハーグの人工かん養池, ドイツ・ルール河畔アルテンドルフの施設, フランス東南部シャトルナールとサン・アンジオールでの人工かん養, ソビエト連邦での例などについて説明している。
著者
田中 喜代次 金 憲経 渡辺 完児
出版者
筑波大学体育科学系
雑誌
筑波大学体育科学系紀要 (ISSN:03867129)
巻号頁・発行日
no.23, pp.13-19, 2000-03

生体内の水分量や体脂肪率などの身体組成(体組成ともいう)を測定する技術開発は古くから進められてきており、その一つに生体電気インピーダンス(以下、BI)法がある。BI法は、自治体で市民を対象として実施される ...
著者
山田 礼子 木村 拓也 井ノ上 憲司 森 利枝 舘 昭 吉田 文 西郡 大 園月 勝博 相原 総一郎 沖 清豪 杉谷 祐美子 田中 正弘 安野 舞子 渡辺 達雄
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

本研究の成果は、(1)KCSS(韓国版大学生調査)を24年に実施し、日韓のデータ結合により分析、(2)日本では、平成25年まで、延べ866大学・短大から約14万人がJFS、JCSSとJJCSSに参加するなど標準的調査が根付いた。(3)24年には中国版CSSが試行され、25年には、上海市で中国版CSSの実施へと進展し日本発の標準的調査のアジアでの展開への基盤が形成されつつある。(4)2014年末までに、14万人のデータを格納し、参加大学が利用できるデータベースを開発、(5)日本のカレッジ・インパクト研究を下記で示す理論モデルにまとめたという5点が挙げられる。