著者
小泉 祐貴子
出版者
Japanese Institute of Landscape Architecture
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.439-444, 2008

This is a basic research reflecting upon the structure of the fragrance experienced in the traditional Japanese gardens. The author calls the landscape experienced through fragrance "the Scent-scape". The structure of the Scent-scape was investigated through the studies of all the sceneries described in "the Tale of Genji". Although the incense from inside the house has often been the subject for the former studies, the Scent-scape is the unique aspect of this study. It deals not only with the subjective (sensory) aspects of the fragrance, but also with the objective (physical) aspects and the integration of the two. From this research, it was clarified firstly that the nobles in the Heian era already appreciated the fragrance of the currently popular garden plants such as Ume (Prunus mume), Tachibana (Citrus tachibana), Fuji (Wisteria floribuda), and five other species. Secondly, they appreciated the scent of garden plants together with their physical aspects such as colors, shapes. These plants are placed in close distances from the buildings. Lastly, wind played an important role to integrate the two aspects by often maximizing the experience through embracing the scent of plants that is often strongly associated with their special memories of the past.
著者
鈴木 香織
出版者
横浜国立大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

3次元複素Q-Fano多様体に対し、その射影モデルを記述するというアプローチにより考察をおこなった。特にFano指数が2よりも大きい場合に、重み付き射影空間への埋め込みの余次元が3よりも大きい場合について研究を進め、特異点の情報を利用することで今まで得られていた分類の「候補達」の数を更に減らすことに成功した。また、ある種の反射影を用いて具体的な例の構成が可能だと予想されることもわかった。この構成にはまだ取り除くべき仮定が存在する。今後引き続き考察を進める予定である。
著者
劉 建輝 鈴木 貞美 稲賀 繁美 竹村 民郎 上垣外 憲一 劉 岸偉 孫 江
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

中国の東北部、つまり旧「満州」は日本の近代史においてきわめて重要な場所である。なぜならば、日清戦争はさることながら、その後の日露戦争、日中戦争、さらに日米戦争に至るまで、いわば日本の運命を決めた戦争という戦争は、究極のところ、全部この地域の権益をめぐって起こされたものであり、ある意味において、日本の近代はまさに「満州」を中心に展開されたとさえ認識できるからである。しかし、近代日本の進路を大きく左右したこの旧「満州」について、これまではけっして十分に研究したとは言い難い。むろん、旧「満州」、とりわけ「満鉄」に関する歴史学的なアプローチに長い蓄積があり、多くの課題においてかなりの成果を挙げている。だが、よく調べてみれば、そのほとんどがいずれも政治、経済、あるいは軍事史に偏っており、いわゆる当時の人々の精神活動、あるいは行動原理に深く影響を与えた社会や文化などについての考察が意外にも少数しか存在していない。本研究は、いわば従来あまり重視されなかった旧「満州」の社会や文化などの諸問題を取り上げ、関連史実等の追跡を行う一方、とりわけその成立と展開に大きく関わっていた「在満日本人」の活動を中心に、できるかぎりその全体像を整理、解明しようとした。そして三年間の研究を通して、主に以下のような成果を得ることができた。1.これまで重視されなかった旧「満州」の社会や文化などの問題について比較的総合かつ多角的に追及し、多く史実(都市空間、公娼制度、秘密結社、文芸活動など)を解明した。2.海外共同研究者の協力を得て、多くの史料、とりわけいわゆる在満日本人の発行した各分野の現地雑誌を発掘し、その一部(「満州浪曼」、「芸文」)を復刻、またはその関連作業に取り組み始めた。3.従来、難しかった現地研究者との交流を実現させ、三回の国際研究集会を通じて、多くの中国や韓国研究者とさまざまな問題について意見を交換した。以上のように、この三年間は、現地調査などを通して、多くの貴重な史料を入手したばかりでなく、現地研究者との間に比較的親密な協力関係も築いたため、今後もこれらの成果を生かすことにより、一層の研究上の進展が得られるだろうと思われる。
著者
高玉 圭樹
出版者
電気通信大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,介護施設において深刻な問題となっている高齢者の徘徊ケア(夜間の定期的見回りと寝つかせ支援)を軽減させるために,(1)各々の高齢者に適合した睡眠段階推定,(2)体調の変化にロバストな睡眠段階推定,(3)起床直前判定のためのレム睡眠段階推定の3つの機能を有する介護支援システムを提案し,その有効性を被験者実験を通して検証した.
著者
藤田 保幸 砂川 有里子 田野村 忠温 松木 正恵 中畠 孝幸 山崎 誠 三井 正孝(三ツ井 正孝) 江口 正
出版者
滋賀大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究は、研究代表者らがこれまでに『現代語複合辞用例集』などの形で積み上げてきた複合辞についての記述研究をふまえ、そうしたそれまでの成果を理論的にもまた個別形式の記述においても深めていくことを意図して企画したものであり、補助金の交付期間中にも、(1)複合辞についての従来の研究を見直して、問題点を明らかにするとともに、(2)複合辞各形式についての各論的記述を深める、という点を中心に研究が進められた。まず、第一点の従来の研究の見直しと問題点の明確化という点については、研究代表者藤田により、本研究の初年度に「複合辞の記述研究の展望と現在」と題する研究発表が行われ、現段階の問題点が総括されたほか、研究分担者松木により複合辞研究史についての一連の論文が発表され、学説史の総括が試みられた。第二点の各論的記述の深化については、研究期間内にかなりの成果を上げることができた。具体的に取り上げられた形式は、格助詞的複合辞(もしくは副助詞的複合辞)としては、「について」「において」「をめぐって」「に限って」「によって」(「によっては」との比較を中心に)、接続助詞的複合辞では「として」「からには」「ばかりか」「くせに」「につれて」「にしたがって」「うえで」「こともあって」「ことだし」、助動詞的複合辞としては、「どころではない」などで、それぞれについて各論的研究論文が公にされ、個々の形式の意味・用法に関する詳細な知見が得られた。そのほか、複合辞に関連して、複合辞と助詞「は」の関わりやコピュラ・形式名詞、韓国語・中国語との複合辞的形式の対照などについても研究が進められ、それぞれその成果は論文として公にされた(上記には、研究協力者による研究成果をも含む)。これまでの複合辞研究を記述的に一段深化させるという点で、本研究は相応の成果を上げることができたものと考える。
著者
今井 晃樹 内田 和伸 今井 晃樹
出版者
独立行政法人国立文化財機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

平城宮第一次大極殿院の〓積擁壁の設計方法を検討した結果、同心3円と偏心円を用いて設計施工していることがわかった。これはキトラ古墳の石室天文図の内規・赤道・外規・黄道と同様の構造である。古代中国では宮殿は宇宙を象って造営していることが歴史史料にあり、日本でもその設計思想を学んだことが明らかとなった。また、同心円の中心に置かれるのが高御座であることなどから、高御座は地軸を意識した記紀神話の「天の御柱」を象るものと考えることができた。
著者
武田 光夫 宮本 洋子 宮本 洋子
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

3次元物体をランダムな光波動場の空間コヒーレンス関数として再生するコヒーレンスホログラフィーの新原理を提案し,実験によりその有効性を実証した.コヒーレンスホログラムを計算機合成することにより,3次元空間コヒーレンス関数を自由に制御・シンセシスする技術を実現した.この新機能を用いた新しい工学的応用として波長分散のない3次元形状計測の可能性を実証した.また,基礎科学面ではコヒーレンス関数に位相特異点をもつコヒーレンス渦場を生成し,コヒーレンス場の運動量や角運動量などコヒーレンス場の力学的性質を解明した.
著者
星 座 小沼 純貴 千葉 香織 菅原 一晴 赤塚 邦彦 宇都 正幸
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.48, no.12, pp.1129-1133, 1999-12-05
被引用文献数
1

弱酸性領域におけるアミノ多糖類キチンのアセチルアミノ基のプロトン化に基づく陰イオン交換体としての機能を利用し, 銅をそのバンクプロインジスルホン酸 (BCS)錯陰イオンとして濃縮した後, キチン相の反射吸光度を直接測定して銅を定量する方法を検討した. 銅はpH5の水溶液 20 cm^3からキチン相20mg上にBCSキレートとして短時間のかくはん時間で迅速に濃縮された. キチン相中の1 μgまでの銅と484 nmにおける固相吸光度との間に直線関係があった. 銅0.5μg, 9回測定の相対標準偏差は2.89%であった. VO_3^-やFe^<3+>の許容量はやや低かったが, 金属イオン, 還元剤及び一般の無機陰イオンなどは1000〜10000倍共存しても影響しなかった. 本法により国立環境研究所の生物標準試料中の銅の定量を行った結果, 鉄の共存量が比較的少ない試料中の銅の分析値は保証値と良く一致した.

1 0 0 0 3D映像雑感

著者
梁井 潤
出版者
日本映画テレビ技術協会
雑誌
映画テレビ技術
巻号頁・発行日
vol.536, pp.22-25, 1997-04-01