著者
中村 亮一
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では安全で高度な内視鏡下胎児手術をサポートするシステムとして、低侵襲性の向上と術具機能の確保を両立させるために、腹腔内で先端部が変形することで内視鏡手術用デバイスとしての機能を持つエンドエフェクタ「変形駆動」機能を開発し,挿入時φ8mmから体内でφ14mmに大型化する把持鉗子を開発した.また3次元超音波画像診断装置と手術ナビゲーションを用いて、手術ナビゲーションとしての術野情報・術具位置姿勢提示機能のみならず、子宮内組織と術具との距離(接近度)を術者に提示する「近接覚」提示機能を備えたリアルタイム3D超音波ナビゲーションを開発した.
著者
大町 真一郎
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

テンプレートマッチング法による幾何学的変形を受けた画像の高速な探索を実現することを目的とし、画像を多項式で近似し、指定された位置とアスペクト比の部分画像のみを対象とすることで高速な探索を実現できる手法を開発した。また、本研究課題の応用として、実時間で画像を取得しながら物体を探索するシステムを構築した。具体的には高度道路交通システムへの応用を想定し、交通信号の自動検出および識別のためのシステムを構築した。
著者
沢田 健志 須賀 卓 斉藤 正典 池田 哲臣 高橋 泰雄 影山 定司 大野 秀樹 大塚 国明 堀江 力
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.22, no.41, pp.1-6, 1998-08-21
被引用文献数
4

電気通信技術審議会において昨年9月策定された地上デジタルテレビジョン放送暫定方式の原案(伝送部分)の仕様に準拠した伝送実験装置を試作した。地上デジタル放送の標準化に寄与することを目的に、本装置を用いて暫定方式原案の動作検証と性能評価を行っている。ここでは、装置の概要について報告する。
著者
影山 裕二
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

ショウジョウバエpolished rice(pri)遺伝子がコードしている、11 および 32 アミノ酸のごく短いペプチド(PRI ペプチド)は、細胞外に分泌されない新しいタイプの活性ペプチドと考えられている。PRI ペプチドの作用機構を明らかにするため、遺伝的相互作用を示す遺伝子を探索したところ、転写因子をコードするshavenbaby(svb)遺伝子が同定された。SVB タンパク質は上皮細胞の形態形成を制御するマスター因子であるが、PRI ペプチド存在下では SVB タンパク質の活性化が起こることが明らかになった。
著者
影山 康徳
出版者
浜松大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

関節リウマチ(RA)の病像の首座は関節滑膜にあることから、RAの治療において滑膜切除術が行われている。今回、人体への侵襲が比較的少ない治療法である光線力学療法(フォトダイナミックセラピー)(PDT)をRA患者の滑膜切除へ応用することを目指して基礎研究を行った。PDTを行う際の光感受性物質としてATX-S10(Na)、フォトフリン、5-aminolevurinic acid(5-ALA)を使用し、RA培養滑膜細胞にPDTを行ったところ、すべての光感受性物質においてPDT効果を認めた。RAの動物モデルであるマウスII型コラーゲン関節炎モデルにおいて、フォトフリン、5-ALAを投与した後、2~3時間で関節に405 nmのレーザー光を照射し、蛍光を測定した結果、関節組織に蛍光は見られたものの、関節炎を発症した部位と発症していない部位における蛍光強度に明らかな差が見られなかった。従って前述の光感受性物質の使用における動物実験では、PDTを滑膜切除に応用するにはまだ解決すべき問題点があると考えられた。
著者
岩間 和人 柏木 純一 VISSER Richard
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

バレイショは他の畑作物に比べて根量が少なく、また根の伸長深さも浅いため、土壌乾燥害に弱い。本研究では根量に関係する量的形質遺伝子座(QTL)をオランダから導入した遺伝子マップ集団(2倍体)で調査し、根量に密接に影響するQTLを染色体5番上部に検出した。根量は早晩性や塊茎の早期肥大性と高い負の表現型相関を示し、両形質のQTLもほぼ同位置に検出された。
著者
山田 豊和
出版者
千葉大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

今日の情報社会を支えているのは、ナノスケールの微小な磁石である。我々の身の回りのパソコンをはじめ、情報の記憶・書き込み・読み込みは、磁石のN極S極の向きを利用している。磁石の向きを読み取るために、磁気ヘッドを使う。磁気ヘッドは、2つの小さな磁石の間に金属などの無機物は挟んだものである。ひとつの磁石の向きは常に固定であり、他方は検出する磁石の向きにより、その方向を変える。この2つの磁石の間に電流を流しておくと、2つの磁石の向きが平行な場合電流は多く流れ、反平行では減少する。この効果は巨大磁気抵抗(GMR)効果と呼ばれる。これまで、磁気ヘッドは無機物で作られてきた。これに代わる新たな物質として有機物がある。我々は、インクなどの色素分子として広く普及・使用されてきているフタロシアニン分子を2つの小さな磁石の間にいれ、さらに単一分子を使用することで1ナノメートル(十億分の1メートル)の大きさのGMRヘッドを作成した。有機分子と磁石との電子スピン相関の解明を、スピン偏極走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて行った。平成22年度は、コバルトナノ磁石の上につけた単一フタロシアニン分子(H2Pc)に、STM磁性探針(Co薄膜をコートしたW探針)を接触させ、この2つのコバルト磁石の向きが平行な場合と、反平行な場合の電子伝導測定を行ったところ、60%のGMR比を得た。有機分子の無い場合に比べて、1ケタ大きい値であった。有機分子を利用することで、無機物には無い新たな特性の発現を確認した。研究と並行して、ドイツ・カールスルー工大学から千葉大学へのSTM装置の移動を完了した。鉄ウィスカ単結晶上のマンガン膜を新たな基板として使用する。これを用いることで、弱い外磁場で容易に磁化方向を反転できる。外磁場印加のためのコイル系の設置、また磁性探針の向きを制御するための回転機構の取り付け・改造を行った。
著者
高木 正平
出版者
日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会誌 (ISSN:00214663)
巻号頁・発行日
vol.58, no.672, pp.30-32, 2010-01
被引用文献数
2
著者
泉田 洋一 立川 雅司 加古 敏之 新山 陽子 青柳 斉 生源寺 眞一 茂野 隆一 坂下 明彦 川手 督也 荒幡 克己
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、日本の農業・農村経済学の成果を個別関連学会の活動成果総体として分析すると同時に、共通課題を抽出して、その方向性を見極めんとするものである。具体的には14の農業経済関連学会の成果を時系列的に分析し、共通課題の抽出にあたっては、各学会の学会誌掲載論文の形態分析、会員へのアンケート調査に加えて、国際農業経済学会、韓国、台湾、中国の農業経済学会の動向についても詳細な分析を行った。成果は拡大しているものの国際化や情報化への対応等における課題が浮き彫りになっており、関連学会間の相互補完(複合結合)が必要となる。
著者
高橋 英也
出版者
岡山大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本研究は、魚類では不明のミネラルコルチコ千ド系の役割を、遺伝子変異メダカを用いて明らかにすることを目的としている。昨年度は、Targeting Induced Local Lesions In Genomes(TILLING)法によりミネラルコルチコイド受容体(MR)遭伝子を人為的に破壊したメダカの作製を試みた。MR-遺伝子の変異スクリーニング結果では、リガンド結合領域をゴードする第4エクソン上に3種のアミノ酸置換を生じるミスセンス変異(754番目のロイシンがプロリン(P754)、767番目のスレオニンがアラニン(A767)、770番目のアスパラギン酸がグルタミン酸(E770))が同定された。本年度は、同定されたこれら受容体の転写活性をレポーター遺伝子アッセイ法により解析した。コルチゾルや11-デオキシコルチコステロンなどの副腎皮質ホルモンに対して、A767は野生型と同程度の転写活性を有していたが、P754は野生型より強い転写活性を示した。一方、E770はいずれの副腎皮質ホルモンに対しても転写活性を喪失していた。以上より、リガンド結合機能が喪失した変異体の作出に成功した。また、MRはメダカでは中脳視蓋や小脳顆粒層に多く存在していることから、胚期のメダカの行動をモニターする装置を開発した。胚期のメダカが1時間あたり数回動くことを確認している。この装置を用いて、E770の行動を解析する予定である。
著者
新開 明二 池田 五苗 長尾 健 長 俊寿
出版者
公益社団法人日本船舶海洋工学会
雑誌
西部造船会会報 (ISSN:0389911X)
巻号頁・発行日
no.105, pp.179-186, 2003-03-20
参考文献数
9

As one of the counterplans to the global warming problem, wind power energy has promising availability in natural energy, and the technical development of wind energy conversion systems is also tackled in Japan. Since the sea has less restriction about social conditions than land, paying attention to the geographical conditions of the Japanese country surrounded by the sea our own time demands, basic investigation about offshore wind energy conversion systems. This paper presents an example of examination for the Miyake island circumference ocean space with emphasis on "wind power investigation", using the prediction program WAsP as wind climate prediction in offshore windmill installations site. The amount of power generation is estimated with regard to some concrete windmills, and then, as one concept in a system design, an energy conversion system (called "offshore wind energy conversion fleet network system") with the windmill of a float type is proposed. It is confirmed that industrialization of offshore wind power is a theme of an energy policy of Japan which deserves examination as a proposal on the other hand.
著者
石井 直人 佐々木 裕里子
出版者
白百合女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、冨田博之氏(1922-1994)が収集した日本の児童演劇・演劇教育に関する膨大な文書資料(データ件数7,837件)および新聞記事(データ件数12,317件)を整理した。これらの資料は、児童文化史の変遷を調査する一次資料として広く研究に役立てられることが期待される。データベースの作成、資料の再分類により、コレクションの全体像を明らかにし、その歴史的価値を再確認することができた。
著者
中村 正人
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究課題は、儒教思想に由来する清律の刑罰減免制度を考察対象に取り上げ、主として清代の刑案(判例)史料を用いた実証的研究を通じて、当時の法実務家官僚達が、儒教的な「衿恤の意」を実現しようとする法の理念と、社会の治安維持という現実の要請との間で、如何にして折り合いをつけていたかを解明し、その対応の時代的変遷のパターンを他の王朝のそれと比較検討することによって、清朝法制度の特質の一端を明らかにすることを目的としている。本研究では、主として「誤殺」と「自首」を対象に選び、条例や判例によって制度の変遷過程について考察を行った。その結果、「誤殺」については、特に親族関係の存在を認識できずに犯行に及んだ「犯時不知」の場合において、親族関係の錯誤に関して広く刑の軽減を認めていた清朝初期の状況が、乾隆朝を境として次第に刑の軽減範囲が狭められ、嘉慶24年以降には極めて限定的な場面においてのみしか減刑が認められなくなって行ったことが明らかとなった。また「自首」に関しても、主として強盗犯の自首において、それ以前は強盗犯の自首についても広:く減免が行われていたものが、次第に自首が認められなくなる、あるいは認められたとしても刑の軽減の度合いが低下する等、やはり同様に乾隆朝辺りを境として犯人にとって不利益な方向での変更が行われていたことが明らかとなった。これはかつて「留養」制度に関して筆者が明らかにしたのと同様のパターンであり、この乾隆朝を境とした厳罰化というのが清朝の法制度上の特質として浮かび上がってきた。
著者
山火 正則
出版者
神奈川大学
雑誌
神奈川法学 (ISSN:0453185X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.151-169, 1995
著者
大平 祐一
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

従来の研究によれば、近世の糺問主義のもとでの刑事裁判では、奉行所で無罪を宣告するのは奉行の恥辱であるので、そうならぬよう奉行所の裁判にかける前に下吟味においてふるいにかけ、有罪と思料されるものだけを奉行所に送った。そして、一たん奉行所で裁判をすることになると、そこでは「吟味詰の口書」をとること、即ち、有罪宣告のための供述調書をとることが終局目標とされ、そのため自白が執拗に追求された。即ち、有罪確保をめざして徳川幕府の刑事裁判は進行していった、といっても過言ではない。しかし、この見解からは「無罪」の姿が浮かび上がってこない。糺問主義の刑事裁判では裁判役所での事実認定は有罪の事実認定だけが追求されたのであろうか。「無罪」の事実認定はなされなかったのであろうか。本研究では、こうした問題関心のもとに、江戸幕府刑事裁判における「無罪」に焦点をあて、近世(江戸時代)前半期の長崎奉行所の裁判では奉行所での審理(吟味)の結果、「無罪」を申し渡した事例が多かったことを明らかにした。特に注目すべきことは、奉行所での審理の結果、犯罪の事実は認定されなかったという事例が極めて多かったことである。「犯罪事実が存在しなかった」、「罪を犯す意思がなかった」などの理由で「無罪」を申し渡された事例が少なくなかった。その背景には、捜査と公判の手続が未分離であったこと、下吟味でのスクーリングがゆるやかであったことが想定される。近世の糺問主義手続のもとでの刑事裁判において「無罪」判決が多数みられ、しかも、そこには、一たん奉行所で審理を開始したからには何としても有罪にもちこむ、といった有罪確保へのこだわりが見られなかったということは、従来の有罪確保主義的な刑事裁判像に修正を迫ることになろう。また、有罪確保主義を江戸時代からの伝統と見る精密司法論に対しても問題を投げかけることになろう。