著者
窪田 知子
出版者
京都大学大学院教育学研究科
雑誌
京都大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13452142)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.233-245, 2007-03-31

本稿では、今日のイギリスにおいて、ディスレクシアの子どもへの教育的対応をめぐって異なる2つの系譜があることについてまずその動向を整理し、その実態を明らかにすることを目的とする。その上で、一見矛盾するように見える2方向の動きについて、インクルージョンの視点からどのようにとらえることができるか、すなわち、それらが対立するものであるのか、あるいは通底する課題を見出すことができるのかどうかについて考察する。
著者
日下 博幸
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

つくば市のヒートアイランドの実態と要因を解明するために、2008年~2010年の夏季と冬季に道路沿いと公園内で気温の定点観測を実施した。その結果、2010年8月平均と2010年1月平均としてのヒートアイランド強度はそれぞれ1.6℃、0.8℃であることがわかった。また、規模の大きな公園ほど気温が低いこと、小規模な公園はその周囲の街区の気温とほとんど差がないこともわかった。つくば市の気温分布は都市規模のヒートアイランド効果と局所的な土地被覆効果の重ね合わせによって形成されていることがわかった。
著者
三上 直之
出版者
日本計画行政学会
雑誌
計画行政 (ISSN:03872513)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.15-20, 2010-08

The consensus conference was first developed by the Danish Board of Technology (DBT) in the 1980s as a tool for participatory technology assessment. In the 1990s, Japanese researchers in science and technology studies introduced the method and implemented it on a trial basis. Since then, about ten consensus conferences have been held in Japan under various themes such as gene therapy, the Internet, genetically modified crops, brain death and organ transplants, and nanotechnologies. Through the decade of its introduction and trials in Japan, it became obvious that the consensus conference functions effectively in Japanese society as a means for public engagement in science and technology. The method proved flexible to a variety of topics, resources and time constraints. The next agenda is to magnify the method's prevalence in society and increase its influence on the policymaking processes. In order to achieve this, there are several actions. One option is incorporating the consensus conference into administrative agencies; while another is building an independent agency or nongovernmental networks to organize public deliberation.
著者
早坂 昇 和田 直哉 宮永 喜一 畑岡 信夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.146, pp.31-36, 2003-06-19
被引用文献数
1

実環境で音声認識を使用する際,雑音が大きな問題となる.本報告では,ランニングスペクトルにフィルタリングを施し雑音の影響を低減する手法を提案する.ランニングスペクトルとは短時間スペクトルの時間軌跡のことで,音声認識において重要な特徴であることが知られている.提案手法は,パワースペクトルの時間軌跡にローパスフィルタを,対数パワースペクトルの時間軌跡にバンドパスフィルタをかけるというものである.4種類の雑音を人工的に付加した孤立単語認識実験の結果,特に低SNRにおいて現在広く用いられているRASTA法, CMS法に比べ高い認識率を得た.
著者
小葉竹 重機 清水 義彦
出版者
群馬大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

森林の気候緩和効果に関して、観測とその結果に基づくシミュレーションモデルの構築という2本の柱を中心に研究を進めた。観測は大学から北約1. 5kmの山林のふもとにおける気温と湿度、大学構内に設置した簡易型総合気象観測装置による気温、日射、風速、風向、雨量について行い、この他に桐生市のアメダスの記録も収集した。さらに、異なった地被のもとでの夏期における気温、放射収支の計測も行った。得られた結果を要約すると以下のようである。1.地被の異なる場での気温、放射収支の観測から、夏期にはアスファルトと土の面上の気温差は2℃程度となり、アスファルトでは夜9時を過ぎても地面からの放射が50W/m^2程度残っている。2.夏期の日中の表面温度を熱収支式から検討したところ、アスファルトでは約60℃程度になることがわかった。これは浅枝等によって得られている値と同じである。3.森林の近傍にある孤立樹木の木陰で観測した気温と、大学に設置している簡易型総合気象観測装置による気温、および桐生市アメダスの観測結果を比較したところ、夏期には約2℃〜3℃程度森林の方が気温が低いことがわかった。また、日射の強かった日の夕方の数時間は、アスファルト等で舗装された地被の場合と比較すると5℃程度森林の気温が低くなる。これらが夏期の気候緩和の効果である。4.また、冬期には風が強い日の日中に森林の方が気温が高くなる場合がある。これは森林以外の観測地が風の通り易い場合であることと、それらが川沿いであることに一因がある。5.森林と大学の観測塔の気温差あるいは森林とアメダスの気温差の変化の様子は季節によって異なり、日射の効き方も季節によって異なる。正確な再現には厳密なシミュレーションモデルが必要である。6. LESモデルを用いた3次元モデルの構築を目指したが、熱収支式を取り込むところまで進めなかった。
著者
江藤 剛治 竹原 幸生 中口 譲 梶井 宏修 高野 保英
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

1.河川や海岸におけるPTVの適用技術の開発(1)効果的なトレーサーの自動認識技術を開発した。カラー画像を用いた判別分析、および粒子候補の継続時間(2秒以上継続するものが粒子候補)による判別の組み合わせにより、水面のさざ波により反射する多数の光点と、トレーサー粒子を、誤認率1%程度で識別することができるようになった。[江藤・竹原・高野ら:土木学会論文集](2)淀川、鳥取海岸等で、実際にヘリコプターや繋留気球を用いてPTV計測を行った。淀川ではグランドツルースとして、同時にADCPによる流れの空間3次元計測を行った。PTVによる計測結果とADCPによる計測結果は比較的良く一致した。[江藤他:水工学論文集、河川技術論文集等](3)風波発生時の波と流れのPTVによる同時計測技術を開発中した。[竹原(海岸工学論文集等)]。(4)同時に水質のグランドツルースとして淀川における窒素やリンについても実測を継続し、季節変動特性を明らかにした。[中口]2.繋留飛行船等による大気サンプリング技術の開発(1)繋留飛行船(微風時)や大型カイト(やや強風時まで)の係留索に、高度別に吊り下げることが可能な大気サンプラーを開発した。[中口・高野](2)実際にサンプリング実験を行った。NOx濃度やSPM濃度の計測値において、高度50m程度で濃度が最大になり、100m程度では再び濃度が下がる、ダストドームが生じていることが確認された。ダストドームは繋留飛行船に搭載したカメラで撮影した画像からも確認できた[中口・高野]。3.関連して得られた研究成果今回の科学研究費で購入した赤外線ビデオカメラを用いて、水域のローカルリモートセンシング以外にも以下のような貴重な研究成果が得られた。(1)交差点の管理における赤外線ビデオカメラの利用技術の開発[江藤]人体レベルにおける熱環境計測[梶井]
著者
河井 宏允
出版者
東京電機大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

300m以上の高さを持つ超高層建築物では,風荷重がその構造設計にとって支配的な荷重となる。このような超高層建築物では,従来の建築物では問題とはならなかった渦励振やギャロッピング,フラッターなどの空力不安定振動が生じ,振動振幅が急増し建築物が崩壊する恐れがある。本研究では,超高層建築物に対するこれらの空力不安定振動の発現の条件,発現の防止方法を風洞実験を主体として検討した。検討の結果,以下のことが判明した。(1)奥行きの短い断面の建築物では,都市内のような乱れた剪断気流中でも,渦励振が生じ,場合によっては,建築物が破壊される恐れがある。(2)渦励振が生じる風向は,風が面に直角に当たる所謂風向0°から高々15°程度の範囲であり,風が斜めから当たる場合には,激しい渦励振は生じない。(3)曲げ振動はねじり振動の影響は殆ど受けないが,ねじり振動は曲げ振動の影響を大きく受ける。両者の固有振動数比が1に近い場合,振動エネルギーが相互に移動し,ねじりフラッターは却っておきにくくなる。固有振動数が離れている場合には,ねじりフラッターは曲げ振動の影響を受けず,低い風速から発振する。(4)建物の角面を取ったり,丸めたり,或いは欠くとった変更は,渦励振などの空力不安定振動に極めて有効である。また,角付近に非常に小さなルーバーなどの突起物を付けることも振動防止に有効である。角の変更は,角が欠く方法が最も有効であり,その場合欠く部分は幅の1/20以下の方が良い。これは従来の実験で確かめられているものよりずっと小さく,わずかな設計変更により,渦励振を防止できる可能性を示している。
著者
里村 雄彦 沖 大幹 渡辺 明 西 憲敬
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

ドップラーレーダー解析研究では,タイ気象局(TMD)チェンマイレーダーとタイ王立人工降雨農業航空局(BRRAA)オムコイレーダーを中心に,1998-2000年のモンスーン雨期のレーダーエコー強度を解析し,その特徴を調査した。その結果,どちらのレーダー観測範囲においても,下層のエコー全面積はモンスーン雨期を通じて,昼前に急速に面積を増大して15-16時に最大を迎え,夜から翌日の朝にかけて緩やかに減少するという顕著な日変化を示すことがわかった。次に,観測範囲に欠けがないオムコイレーダーデータを中心に,詳しいエコー解析を行った。まず、エコー移動方向の解析を行ったところ,5-7月はほぼすべての日の大多数のエコーが近辺の対流圏下層と同じ風向の南〜南西風と同じ向きに動いていること,10月前半はエコー移動方向も卓越風向も逆転していることが明らかとなった。さらに,レーダー観測範囲の南半分を山岳地形にほぼ平行な11本の帯に分割し,それぞれの帯領域内のエコー面積の日変化を調べた。その結果、5-7月の南西モンスーン期においては,タイ北部山脈風上側のベンガル湾およびミャンマー海岸地域では朝に,山岳地域では午後に最大となる日変化をしていた。しかし,風下側にあたるタイ北部では,山岳からの距離が離れるとともにエコー面積増大の開始時刻や最大時刻が遅れることを,明瞭に示すことができた。さらに,風向の逆転した10月にも,風下側で同様な位相の遅れを認めることができた。雲解像モデルによる数値実験においては,スコールラインの東への移動がインドシナ地域の降水日変化の主要な原因であるという結論を得た。この数値モデルから提案された仮説が,上記レーダー観測から証明された。気象衛星赤外データと雨量計網を用いた解析研究では,バングラディシュからインドシナ半島全体に及ぶ広い範囲での降水日変化の様子を,詳細に調べた。その結果,降水日変化には海陸の差だけでなく,たとえば同じインドシナ半島内でも夕方から夜の早いうちに最大となる平原部や,深夜から夜明け前に最大になる一部山岳域など変化に富んでいることが明らかになった。また,3次元領域気候モデルによるインドシナ半島の長期間シミュレーションによって,タイ東北部の森林伐採がインドシナ半島の降水に与える影響を評価した。その結果,森林伐採を行った地域での平均降水量の減少は9月に発生にすることがわかった。これらデータ解析と数値実験の結果から,南西モンスーンが強い8月には十分な水蒸気が供給されるために森林伐採の影響は少なく,季節風の弱まる9月に局地的な森林伐採の影響が降水量減少となって現れると結論できた。
著者
菅 洋 東海林 英夫
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.380-385, 1982-09-15

イネの風に対する反応に及ぼす品種の遺伝的背景の影響を草丈(あるいはジベレリン生成)に関する主動因子一個のみによって異なる銀坊主(正常)と短銀坊主(矮性)を用いて調べた. 生長解析の結果, 銀坊主では風速が強まるほどRGR, NAR, が減少したが, 短銀坊主ではNARは風処理によってもほとんど変化せず, RGRは風が弱い時はわずかながらむしろ増加した. 銀坊主では, 風にあてない標準区でGA活性が検出されたが, 風処理したものでは活性が検出されなかった. GA生成が遺伝的に制限されている短銀坊主では風にあてないものでもGA活性は検出されなかった. 葉からのエチレン生成は, 両品種ともに風処理により増加した. 品種間の比較では短銀坊主は銀坊主よりエチレン生成が多かった. しかし外から与えたエチレン前駆物質のACCが存在すると, この順序は逆転し銀坊主の方がエチレン生成が多かった. 窒素含量は, 相対的濃度(%)でみると両品種ともに風処理により増加したが, 植物個体当たりの絶対含量でみると銀坊主では風処理により減少し, 短銀坊主では増加した.
著者
飯田 誠 荒川 忠一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSS, 安全性 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.266, pp.17-20, 2003-08-19
被引用文献数
1

東京湾で本格的な風力発電事業がはじまった.東京は風が弱く,風力発電は今まで難しいとされてきた.しかし,詳細な風況解析を行うことで東京湾内に商業ベースの風力エネルギーが存在することが明らかになった.本稿では,東京湾の風特性と現在稼動中の東京湾臨海風力発電所の概要,建設経緯に関して述べるとともに,東京湾で風力発電を行うことの意義,影響について述べる.
著者
榊原 保志
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は,都市表面形状が夜間ヒートアイランドに与える影響について検討したものである.まず,都市モデルと郊外モデルを用いたスケールモデル実験とヒートアイランドの調査資料を基に,長波放射収支量の都市内外の違いに関与する天空率が夜間ヒートアイランドとの関係を検討した.スケールモデル実験の結果,都市の天空率が大きいとこの効果は小さく,都市内外の気温差にあまり影響を与えないことが分かった.つぎに,都市表面パラメータによって高層住宅地と低層住宅地を比べると,天空率,緑被率,建蔽率では両住宅地の違いは小さいが,高層住宅地の容積率やラフネスパラメータは低層住宅地よりはるかに大きくなった.そこで,当地域に共存する高層住宅地と低層住宅地の夜間のヒートアイランド強度ΔTu-rと風速の関係を検討したところ,どちらの住宅地でも風速が大きくなるにつれてΔTu-rは少しずつ小さくなるのに対し,その上限値は単純に小さくなるのではなく,ある風速を頂点とする山型になった.さらにこの最大値が生じる風速は高層住宅地では風速1.4m/sであるのに対し,低層住宅地では0.8m/sと小さかった.これらのことから,都市表面の大きなラフネスによる機械的混合が夜間ヒートアイランド形成原因に有力であることが示唆された.小都市における建蔽率,容積率,天空率,ラフネスパラメータ等の地表面パラメータの分布について調べた.その結果によると,いずれの地表面パラメータも都市が高く都市を中心とする同心円状の等値線が得られた.そして地表面パラメータはいずれも0.8程度の気温偏差との相関が見られた.
著者
岩下 誠
出版者
青山学院大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

1資料・史料蒐集と読解:平成21年3月より翌22年3月まで一年間にわたってバーミンガム大学において在外研究に従事し、Lambeth Palace Library等を始め複数の図書館や地方文書館を訪れて史料調査を行う傍ら、バーミンガム大学のデジタル・アーカイヴズを駆使して史料蒐集と整理を行った。現時点で、21年度に蒐集した史料の5割程度の読解を完了した。2研究論文の執筆その他:今井康雄編『教育思想史』(有斐閣、2009年)にジョン・ロックの教育思想に関する論文を寄稿した。また、サラ・トリマーの教育活動に関する論文を21年7月に脱稿した。これは、Malcolm Dick and Jane Martin(ed.), Recovered from Hisrory : Women, Children and Education in the Eighteenth Century(Brewin Books, 2010)に掲載予定である。さらに、国教会系の民衆教育団体である国民協会の設立に関する論文を脱稿した(平成22年4月に、History of Education Society(UK)に投稿予定)。3学会発表その他:ユトレヒトで行われた国際教育史学会、イギリス・シェフィールドで行われた教育史学会をはじめ、複数の学会や研究会に参加し、内外の研究者と交流した。また、平成21年12月には、バーミンガム大学において国民協会の設立に関する口頭発表を、DOMUS Seminarで行った。4研究成果の意義と重要性:ロックに関する論文は、ロック思想を重商主義国家の統治技術として読解したものであり、本研究の思想史的側面の一部をなす。トリマー論文は2007年に発表した論文の英訳であるが、在外研究中に蒐集した一次史料を加えてより実証性を高めた。国民協会に関する報告および論文は、国民協会成立における国教徒内部の葛藤と調整の存在を明らかにし、19世紀初頭における国制変化の一部として国民協会の設立を理解する視座を示したものであり、このテーマに関する内外初の研究としてオリジナリティを有するものであると同時に、本研究の中核をなす成果であると確信している。
著者
榎並 正樹 増田 俊明 平原 靖大
出版者
名古屋大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

顕微ラマン分光装置に組み込むための,超小型点接触変形装置を設計・製作した.この装置は,結晶にかかる局所応力のその場(in-situ)観察をすることを目的とし,精密可動ステージ,超小型ロードセル,アンプとダイヤモンド圧子からなり,試料への荷重の調製は手動で行う.変形観察する試料は石英の単結晶薄板であり,その下面をダイヤモンド圧子で点接触変形させ,それにともなうラマン・シフトの様子を,上面より薄板を通過させたレーザー光で観察する.1. この装置を利用して点接触変形をおこした際のデータと比較するために,まず応力解放後点接触面の2次元マッピングを行い,接触痕と残留圧力分布の関係を解析し,その結果を論文投稿した(投稿中).2. 点接触面の点分析により,石英とは異なる複数のピークが観察された.これは,点接触により,石英とは異なるSiO2相が掲載されたことを強く指示する.現在このピークの同定および,加重のキャリブレーションを行っている.3. ラマン分光分析の鉱物学的研究への適用例として,Enami et al.(2007)によって提唱されたラマン残留圧力計を,三波川変成帯高温部に適用し,エクロジャイト相変成作用の痕跡を検出する試みを前年度に引き続き行った.その結果,(1) 従来はエクロジャイト相変成作用の痕跡が報告されていなかった変泥質岩も,エクロジャイト相の圧力に対応する残留圧力を保持している場合があること,(2) そのような岩石中には,エクロジャイト相を代表すると思われるオンファス輝石やアラゴナイトが,ざくろ石中の包有物として産する場合があることが明らかとなった.これらの成果に関する論文2編を投稿中である.
著者
菊池 洋 梅影 創
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

ランダム配列のRNA集団の中から生体分子に特異的に結合できるRNA分子を選択増幅し、得ることができ、この分子を丁度抗体のように利用できる。この分子をRNAアプタマーという。RNAアプタマーを開発するためには、SELEX(Systematic Evolution of Ligands by EXponential enrichment)法を中心とする人工進化系が採用されるのが一般的である。本手法は、一度の操作で複数のRNAアプタマーを取得しようとするものである。これまでに、ヒト前立腺癌細胞の可溶性タンパク質を標的としたSELEX法を実施した結果、昨年度問題となった非特異的RNA結合タンパク質の存在によるSELEXの進行阻害の問題が本年度はある程度解決され、(1)SELEXのターゲットが複数存在しても人工進化させることが可能であること、(2)特異的な結合能を有するRNAアプタマーの選択が可能であることが示された。このような、網羅的なアプタマー創製に関する報告はこれまでなされておらず、当研究室オリジナルの手法であると自負している。特許出願を念頭に実験系の改良を行っているところである。また、本年度、網羅的に得られるRNAアプタマーのターゲットタンパク質を網羅的に同定するために、網羅的ノースウエスタン法を考案した。この手法は、網羅的なタンパク質ターゲットサンプルをメンブレン状に固定化し、蛍光ラベルした網羅的RNAアプタマーを結合させ、イメージアナライザーによって検出しようとするものである。この手法は予備的な段階であるので、まだ改良の余地が残されているが、特異的なアプタマーの結合が観察されており、メンブレンからRNAアプタマーを回収し、RT-PCRによって増幅可能であることも確認している。
著者
秦野 一宏
出版者
日本ロシア文学会
雑誌
ロシヤ語ロシヤ文学研究 (ISSN:03873277)
巻号頁・発行日
no.18, pp.29-41, 1986-10-15

В произведениях Гоголя многие персонажи носят странные и забавные имена: Яичница, Земляника, Кифа Мокиевич Мокий Кифович Бобчинский, Добчинский и т. д. Уже с давних пор исследователи упоминают (напр. И. Мандельштам) о том, что комизм этих имён коренится либо в артикуляции, либо в обнаружении каламбура этимологичекого характера. Тем не менее, мы полагаем, что наиболее существенная сторона проблемы имени в творчестве Гоголя всё ещё остаётся невыясненной. Гоголь не примитивно копирует действительность как она есть, а всегда непременно извлекает логический смысл, лежащий в её основании, и поэтому в данном случае нам прежде всего следует обратить внимание на собственно стуь имени как такового. Имя в бессознательном, будничном восприятии отождествляется непосредственно с его носителем. Но это не что иное, как лишь одна сутн имени, являющегося, с другой стороны, "неосязаемым чувствами звуком" (по выражению героя в "Мёртвых"), что должно быть вполне понятно каждому, кто в состоянии взгянуть на имя глазами аналитика. Гоголь создавал различные ситуации с намерением обнажить и подчеркнуть двойственный характер имени:например, в" Коляске" кобыла зовётся "Аграфеной Ивановной", между тем как второй, единственный персонаж-обладатель имени зовётся не иначе, как "Пифагор Пифагорович". В результате возникает острый контраст между собственно персонажем и непосредственно звуком, призванным его обозначать, что вызывает смех, а вместе стем и оттесняет характер персонажа. Наша статья ставит целью исследовать связь характера имени с характером пером персонажа в мире Гоголя.
著者
松室 昭仁 真田 祐紀 高橋 裕
出版者
公益社団法人精密工学会
雑誌
精密工学会誌論文集 (ISSN:13488724)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.70-75, 2004-01-05
被引用文献数
1

Mesoporous silica materials with self-organized structures that consist of periodic nano-scale pores have been expected to be of great significance in realizing micro-nano systems. The morphological control of the mesostructured materials are demonstrated by varying the concentration ratios of CH_3(CH_2)_<15>N(CH_3)_3Cl(C16TMACl)/(C_2H_5O)_4Si(TEOS) and HCl solution. The increase of the concentration ratios changes the shape and size of the mesostructured materials. Linear hexagonal rods, good example for this application, can be synthesized by the reaction of 7.04g/4.48ml for C16TMACl/TEOS and 70ml/20ml for 5N HCl/H_2O. The most suitable calcination conditions for higher strength are determined by varying the calcination temperature up to 1000℃. The hardness, elastic modulus and fracture load of the mesostructured hexagonal rods are clarified by nano-indentation method.
著者
大西 修作 秦 翠琴 滝沢 誠
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.944-945, 1989-03-15

分散型データベースシステムでは、複数のデータベースシステムに対するトランザクションの原子性を保障するためのコミットメント制御が重要である。現在までに、二相コミットメント(2PC)プロトコル[GRA]が主に利用され、OSI通信体系の応用層のCCRプロトコルとしても採用されてきている。二相コミットメントプロトコルの問題点としては、指揮者のプロセスが障害を起こしたときに他の関連プロセスが指揮プロセスのcomit又はabortの決定を待ち続けてしまうというブロック問題がある。これに対しては、三相のコミットメントプロトコル[SKE]が提案され、非ブロックであることが示されている。しかし、三相の手順であることから通信の負荷が問題となり、現実的な方法ではない。本論文では、高信頼な放送通信サービスを用いることにより、一相の手順からなる非ブロックなコミットメント制御プロトコルを示す。