著者
川上 智子 岸谷 和広 竹村 正明
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,技術受容モデルとネットワーク外部性に関する研究展開を融合し、対人クチコミやネットクチコミといった消費者行動との関連等を概念モデルとして定式化した。そして、携帯型家庭用ゲーム機、スマートフォン、ブルーレイDVDレコーダー、電子書籍リーダーといった製品カテゴリーについて、購買者・非購買者対象の質問票調査を毎年実施し、大規模サンプルのデータによる仮説の検証を行い、理論的・実践的示唆を得た。
著者
村田 靖次郎
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

フラーレンC70の内部に1個または2個の水素分子が内包された場合、フラーレンπ共役系がどのような影響を受けるかに興味がもたれる。そこで、最近当研究室で合成された水素内包C70の外側への付加反応を検討した。(H2)2@C70、H2@C70、C70の混合物(モル比,2:70:28)と0.44当量の9, 10-dimethylanthracene(DMA)をo-dichlorobenzene-d4(ODCB-d4)に溶解させ、30、40、50℃における平衡混合物の1H-NMRスペクトルを測定した。その結果、DMAの付加により生成した(H2)2@1およびH2@1の内包水素がδ21.80およびδ22.22に観測され、いずれも未反応の(H2)2@C70(δ23.80)およびH2@C70(δ23.97)のものより低磁場にシグナルを与えることがわかった(化合物1は、C70とDMAの付加体)。これらの内包水素のシグナル比ならびに1H-NMRより見積もった未反応DMAの濃度から、各温度の平衡定数K1およびK2を算出し、ファントホッフの式よりΔG1およびΔG2をそれぞれ計算した(Table1)。その結果、K2はK1より約15〜19%小さいことがわかった。すなわち、内包水素分子の個数により反応の原系と生成系のエネルギー差が影響を受けることが明らかとなった。
著者
Mun-Kyu LEE Jeong Eun SONG Dooho CHOI Dong-Guk HAN
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
vol.E93-A, no.1, pp.153-163, 2010-01-01
被引用文献数
25

The NTRU cryptosystem is a public key system based on lattice problems. While its theoretical security has been well studied, little effort has been made to analyze its security against implementation attacks including power analysis attacks. In this paper, we show that a typical software implementation of NTRU is vulnerable to the simple power analysis and the correlation power analysis including a second-order power attack. We also present novel countermeasures to prevent these attacks, and perform experiments to estimate the performance overheads of our countermeasures. According to our experimental results, the overheads in required memory and execution time are only 8.17% and 9.56%, respectively, over a Tmote Sky equipped with an MSP430 processor.
著者
Shingo HASEGAWA Hiroyuki HATANAKA Shuji ISOBE Eisuke KOIZUMI Hiroki SHIZUYA
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
vol.E91-A, no.1, pp.330-337, 2008-01-01

This paper studies a method for transforming ordinary cryptographic primitives to new harder primitives. Such a method is expected to lead to general schemes that make present cryptosystems secure against the attack of quantum computers. We propose a general technique to construct a new function from an ordinary primitive function f with a help of another hard function g so that the resulting function is to be new hard primitives. We call this technique a lifting of f by g. We show that the lifted function is harder than original functions under some simple conditions.
著者
鈴木 博 府川 和彦 須山 聡
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

将来のマルチメディア通信に向けて,高速・高信頼移動パケット無線の研究を理論と実験の両面から行った.MIMO-OFDM伝送システムを中心に検討した.送受信側で複数アンテナを用いるMIMO技術と,広い帯域幅を直交分割するOFDM技術により通信路容量の最大化を図る.統計的ディジタル信号処理の導入による高性能化,位相雑音等による劣化の低減化,広帯域ミリ波帯の開拓を行った.当初の研究目標はほぼ達成された.
著者
澤田 健二郎
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

卵巣癌腹膜播種には、上皮細胞間の接着因子であるE-cadherinの発現抑制によって誘導されるIntegrin α5が重要な役割を果たしており、Integrin α5の分子標的治療は卵巣癌腹膜播種の抑制に有用である可能性を証明した。また、妊娠初期において絨毛細胞が母体子宮筋層内に浸潤する際に、低酸素刺激によるE-Cadherinの発現消失から誘導されるIntegrin α5の発現が重要な役割を果たしていることを臨床胎盤検体のデータを併せて証明した。
著者
中谷 伸生
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

日本の近世絵画において、これまでほとんど研究がなされなかった大坂の戯画を採り上げ、江戸時代絵画史の重要な一領域を研究した。耳鳥齋(1751年以前-1803年頃、俗名松屋平三郎)は、江戸時代中期、商人の町として賑わう大坂で戯画作者として名をはせた画家である。京町堀で商いをする傍ら、絵画や浄瑠璃を嗜み、とりわけ戯画の世界で異才を放った。京都や江戸に比べ、大坂はアカデミズムとは一線を画す土地柄であるが、商人の町ならではの自由闊達な気風は、狩野派などの職業画家とは一味違う多彩な画家を輩出した。そして、耳鳥齋もまた、大坂的趣味を戯画で表現した、いわば「笑いの奇才」である。芝居絵から風俗画、あるいは版本に至るまで、作品は略筆ながらも当意即妙というべき適確さと「おかしみ」とを合わせもち、「世界ハ是レ即チ一ツノ大戯場」と堅苦しい世間を批判した。この研究では、美術館・個人所蔵家を徹底して調査し、真贋の問題を解明しながら資料整理を進め、耳鳥齋と大坂の戯画について新知見を得ることに成功した。また、東アジアにおける戯画の状況を把握するため、中国に調査に出かけ、版本など多くの比較資料を収集することができた。今回は、代表作「別世界巻」や「仮名手本忠臣蔵」などの肉筆画に、『絵本水や空』といった版本を加え、その画業の全貌を調査研究した。また、中村芳中や月岡雪鼎らによる人物戯画、さらには漫画の元租ともいえる鳥羽絵をも交えて大坂の戯画の系譜を浮き彫りにした。以上、きわめて独創的な研究成果が上がったと考えられる。
著者
大久保 恒夫
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

当該課題に関して最終年度であるが所期の成果を挙げることができた。すなわち,(1)種々の大きさの2種のポリスチレン粒子の組み合わせからなる二元合金構造を沈降平衡下で発現させた。電気2重層を含む粒子の実効径の比に応じて種々の合金構造や超格子が発現した。また反射スペクトルのピ-ク波長の高さ依存性からコロイド合金の結晶弾性率が求められた。18〜108Paであった。(2)二元コロイド合金構造などの構造化コロイド分散液の粘度特性を明らかにした。合金構造を発現している分散液の比粘度は混合比のわずかな変化により大きく変化した。鋭いピ-クが1個ないし2個出現した。(3)高度な単分散性粒子を完全に脱塩することにより2〜8mmにも及び巨大なコロイド単結晶を発現させることに世界で初めて成功した。コロイド結晶の成長過程の速度論的解析やコロイド単結晶のモルホロジ-研究に道を拓くものである。(4)コロイド単結晶がクリスマスツリ-上のランプのように明滅する現象を初めて見い出した。これは,単結晶の回転のブラウン運動にもとずくことが判明した。(5)多種類のコロイド結晶系の弾性率の測定を完成し,定式化に成功した。(6)コロイド結晶の融解温度を測定した。実測値は湯川ポテンシャル(斥力)を用いた理論に良く一致した。また,コロイド結晶が融解する臨界濃度も脱塩が完全になるほど低濃度側へシフトした。(7)コロイド分散液の屈折率特性を明らかにした。(8)コロイド粒子の回転拡散定数をストップトフロ-法で決定し,顕微鏡法で粒子の並進拡散定数を直接決定した。電気二重層や粒子間の静電的斥力が重要であることを裏づける結果を得た。(9)中性高分子および高分子イオン溶液の特異的粘度挙動を通じて電気二重層の重要性が示された。(10)包接的会合反応などの高速反応の速度論的解析を行った。(11)その他,単分子膜内のアルカリ加水分解反応の解析を表面張力法で行うユニ-クな手法を開発した。
著者
岩崎 博之
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

31年間AMeDASデータと高層気象データを利用して,近年,北関東山岳域の南側で日没後の豪雨(25mm/hr)が増加し,かつ,大気中の水蒸気量も増加していることを示した.また,数値モデルの結果から,大気中の水蒸気量が増加すると,この領域での日没後の積乱雲活動が活発することが示された.近年の水蒸気量の増加が,北関東山岳域の南側での積乱雲活動の活発化に寄与している可能性が示唆された.
著者
小林 正幸 石原 保志 三好 茂樹 白澤 麻弓
出版者
筑波技術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

発話内容をリアルタイムで速記用キーボードに入力することで、受講者の漢字の読み能力に応じた難読な漢字のみにルビを自動的に付加して字幕を提示する学年別ルビ付きリアルタイム字幕提示システムを開発した。学年別ルビ付き字幕は小学1年~6年、中学、高校の学年に対応し、携帯電話、スマートフォン、タブレット、ワンセグや地デジ生字幕放送にも提示可能で、聴覚障害者用の情報支援として利用できる。
著者
西川 長夫 米山 裕 高橋 秀寿 今西 一 麓 慎一 石原 俊 宮下 敬志 李 〓蓉
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

近代としての「帝国」を、その世界的な支配秩序の形成過程に巻き込まれてきた人びとの経験の場から実証的・理論的に捉え直すことを目的とした本研究では、それぞれの「植民地」における個々の歴史的実態を解明するためにフィールドワークを重視した。日本国内と韓国での複数回にわたる国際シンポジウムの開催と現地調査、およびそれらを踏まえた研究交流を通じて「帝国/植民地」の形成過程に関する比較分析を蓄積し、グローバル化時代における「国内植民地主義」の更なる理論化を準備した。
著者
島内 節 小森 茂 佐々木 明子 友安 直子 森田 久美子
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的はFOMAによるテレビ電話を用いて利用効果がでやすい在宅ケアニーズ・利用にあたってのコミュニケーション方法・指導やケア技術内容、を高齢者側とケア提供者の調査により明らかにした。テレケアの有用性評価は37ニーズ項目中27項目にケア効果がみられた。医療処置を多く要する利用者ほど、テレケアの利用によりケアニーズが「改善」あるいは「解決」に向かう傾向がみられた。また本人からは、テレケア機器があることで「訪問看護師とつながっている感じがする」「安心感がある」などの意見が多く聞かれた。また利用者よりもさらに看護師の方がテレケアに対する有用性の評価が高かった。機器を利用することによるケア項目別の有用性の評価で本人が高い上位項目は、「早期発見」「コミュニケーション」「観察」であった。看護師では、「相談」「観察」「早期発見」であった。医療依存度の高い利用者ほど両者ともに「早期発見」「観察」の項目が高かった。FOMAの利用は家族介護者よりも看護師において有効度と満足度がより高い変化を示した。FOMAを用いることを仮定した意識調査では本人の期待値が看護師より高かったが、実際利用するとその逆の傾向が見られた。家族介護者はFOMAの画面が小さすぎて見にくいとの声もあり、高齢者には画面拡大により効果・満足度が高められることが示唆された。
著者
中村 康久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.541, pp.1-6, 2004-01-06

ユビキタス社会の到来により、通信に対するニーズは、「人対人」から「人対機械」、「機械対機械」と急速に進化し、転換期を迎えている。象徴的な「機械」である自動車の情報化も実現フェーズヘと移行している。本項では、まず、ユビキタス化の方向性を明らかにした上で、「テレマティクス」の概要、ドコモの考える戦略といった基本的な考え方について解説する。そして、具体例について、車情報活用サービス、車情報配信サービス、ドコモの出資提携するサービスについて事例を交えて解説する。更に、標準化に向けた取り組みについて解説する。最後に、NTTドコモが取り組む「テレマティクスの取り組み」について総括を行う。
著者
菅原 幸治 田中 慶 大塚 彰 南石 晃明
出版者
Japanese Society of Agricultural Informatics
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.381-393, 2006
被引用文献数
1 1

農薬適正使用ナビゲーションシステム (農薬ナビ) の研究開発にもとづき, 農薬使用の事前判定・履歴記帳を携帯電話単独でインターネット接続せずに可能にするべく, NTTドコモの携帯電話FOMA端末上で作動するアプリケーション (iアプリ) として「農薬ナビ誤用防止君」 (以下, 誤用防止アプリ) を開発した. 全体的なアプリケーション構成はクライアント・サーバ型システムであり, クライアント側アプリケーションである誤用防止アプリと, 作物・品種, 農薬使用基準等のマスタデータと農薬使用履歴データを管理するサーバ側アプリケーション (以下, サーバアプリ) からなる. これにより, 個々の生産者が携帯電話上で使用する誤用防止アプリでは農薬使用の適正判定・履歴入力を行い, サーバアプリではマスタデータの送信および農薬使用履歴データの受信・表示を一括して行うことができる. 生産者が誤用防止アプリを利用するには, その栽培作物や使用農薬にあわせて, サーバアプリのデータベースにおけるマスタデータ, 特に農薬使用基準を事前に登録する必要がある.<br>長野県JA長野八ヶ岳野辺山営農センターとその管内の野菜生産者5名の協力により, 本アプリケーションによる農薬使用の適正判定・履歴入力および履歴データ収集の評価試験を2005年6~10月に実施した. 営農センター職員からは, サーバアプリの農薬使用履歴表示機能について, 生産者および圃場作付け区画ごとの収穫可能日が事前に確認できる点でプラスの評価が得られた. 一方, 誤用防止アプリを使用した生産者からは, 利点を感じない旨の意見もあったが, 農薬使用に慣れていない者には有用かもしれないとの評価が得られた. 誤用防止アプリについては, 操作がやや面倒であることのほか, 収穫予定日が変更になる際に随時その修正を行う必要がある点が指摘された. また, 改良要望として, 区画や農薬の選択入力の際にそれぞれの収穫予定日や収穫前日数を表示すること, 農薬使用履歴の表示をより見やすくすること, 生産者ごとに使用農薬をマスタデータに登録することなどが挙げられた.
著者
片山 富弘
出版者
中村学園大学
雑誌
中村学園大学・中村学園大学短期大学部研究紀要 (ISSN:13477331)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.161-168, 2006-03-15

本論文は,ケータイFOMAの利用促進について,メインユーザーである大学生を対象にマネジリアル・マーケティングの観点から論じたものである。流行の側面から,オシャレとデザインが商品差別化の要素であること,ドコモとauのキャリア選択においては通信エリアと割引サービスが重視されること,また,ドコモのMOVAからFOMAへの切り替え条件時には,重量,高速通信,パケット料金に効果があり,本体価格,通信エリアなどには懸念を示していることが明らかになった。さらに,FOMA利用者の満足度からは,近くのお店,デザインの良さ,パケット料金が効いているが,店員の説明がマイナス要因となっていることが明らかになった。
著者
丸山 珠美 長 敬三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.144, pp.101-106, 2007-07-12

近年、山岳部のエリアを確保し、また都市部の容量を増大するためドコモの3Gシステムでは800MHz,1.7GHz,2.0GHzの三つの周波数帯が用いられている。さらに、ダイバーシチ、MIMOに対応するためにはアンテナを端末に複数搭載するマルチアンテナが必須となる。携帯端末用のアンテナはデザイン性重視の観点から端末に内蔵されるのが望ましが、端末におけるアンテナ用の容積は限られており、マルチバンドアンテナを複数搭載するのは極めて困難となる。これに対し本稿では、小型マルチバンドアンテナとして提案してきたスクロール形状モノポールアンテナを、従来のアンテナ一つ分の容積に二つ搭載し、所望の三周波数帯で共振が得られ、かつ放射効率向上および相関係数低減を評価関数とする自動設計を遺伝的アルゴリズムを用いて行った。
著者
中村 康久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.543, pp.1-6, 2004-01-06
被引用文献数
2

ユビキタス社会の到来により、通信に対するニーズは、「人対人」から「人対機械」、「機械対機械」と急速に進化し、転換期を迎えている。象徴的な「機械」である自動車の情報化も実現フェーズヘと移行している。本項では、まず、ユビキタス化の方向性を明らかにした上で、「テレマティクス」の概要、ドコモの考える戦略といった基本的な考え方について解説する。そして、具体例について、車情報活用サービス、車情報配信サービス、ドコモの出資提携するサービスについて事例を交えて解説する。更に、標準化に向けた取り組みについて解説する。最後に、NTTドコモが取り組む「テレマティクスの取り組み」について総括を行う。