著者
古川 忠延 松尾 豊 大向 一輝 内山 幸樹 石塚 満
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.557-566, 2009-08-15
被引用文献数
1

ブログ上では日々コンテンツが更新されては,他のブロガーを巻き込んでの議論が行われている.本稿ではブログにおけるこうした話題伝播を解析することによる話題語の判別手法を提案する.ブログにおける話題伝播が語とブロガーの影響力によって起こるという仮説の下で,ブログ間の話題伝播を表現する行列を特異値分解することによって,それぞれの影響力を算出し,強い影響力を持つ語を重要語と判別するものである.本手法により,多くのブログ上で突発的に盛り上がる話題だけでなく,嗜好の類似したブロガー間で継続的に言及されている話題の抽出をすることが可能である.
著者
工藤 力男
出版者
成城大学
雑誌
成城文藝 (ISSN:02865718)
巻号頁・発行日
vol.194, pp.25-33, 2006-03-25
著者
久保木 秀夫 クボキ ヒデオ Hideo KUBOKI

古筆切や残欠本、諸文献に引用された佚文、およびそれを用いた研究は、近年、国文学の領域で、重要な文化資源・研究領域として重要視されている。古筆切とは、古典籍の古写本が、掛け軸や手鑑作成のために切られてしまい、その結果一枚の紙の形で残るものであり、全体ではなく一部しか伝わらないものである。こうした古筆切は膨大にあるが、その中から重要なものを見つけ出し、適切に位置づければ、文学史を変えるほどの力を持つ。こうした研究の特徴は、資料の直自性にあり、重要な資料を見出し、検証して、その価値を正確に位置づければ、それは直接的に、否定しようのない価値を発する。本論文では、従来の研究成果を踏まえ、かつ従来の研究方法を発展的に継承し時に批判も加えつつ、中古中世散佚歌集のさらなる発掘とその存在意義の解明とが指向されている。<br /> 本論文では、散侠歌集というタイトルであるが、私撰集・私家集のほか、歌合なども含む。また時代的には、平安時代鎌倉時代・南北朝時代までの資料を扱っている。これらを、本論文では、一貫した研究方法で詳細かっ正確に分析し、その資料の重要性をあぶり出す。その方法とは、古筆切をはじめとする本文資料と、諸文献中に記載される関連情報とを広く博捜し収集した上で、各作品の成立・伝来・享受について、のみならず各本文資料に含まれる新出の諸情報がもたらす知見について、各時代の文学状況を踏まえながら実証的に論じるという方法である。<br /> 本論文において各論は、第一章では平安時代、第二章では鎌倉・南北朝時代の資料を扱い、第三章では、資料紹介を行っている。まず、第一章で取り上げられているのは六作品である。第一節では、現存するいずれの系統とも異なる散佚『道真集』を復元、その成立が十一世紀初頭以前とみられること、かつ『大鏡』『新古今集』ほかの出典とされた可能性の高いことなどが述べられている。第二節では、伝寂然筆大富切の新出一葉、及び田中親美旧蔵残簡などに基づき、散佚『具平親王集』が他撰であり寛弘六年(一〇〇九)七月以降の成立であること、また当該資料を含む寂然筆本がまとまって藤原定家の許へ移動した可能性があることなどが論じられている。第三節では、選子内親王の『大斎院御集』散侠部分の存在を示す『栄花物語』「殿上の花見」について、長元二年(一〇二九)三月二日の出来事だったと論証し、従って『大斎院御集』もかつては同年頃までの、ほぼ選子の生涯を覆うほどの長大な内容を有していたという重要な推定が述べられている。第四節では、藤原顕仲撰の散佚『良玉集』の秩文の再整理ののち、新たに発見された真名序と奥書とを紹介し、それを読解し、同集が『金葉集』批判の私撰集と世に認知されていった経緯などについて検証されている。第五節では、藤原資経筆未詳私撰集断簡五葉が俊恵撰の散佚『歌苑抄』であることや、その成立や内容の考察の上で、『歌苑抄』が歌林苑という「結社」「同人」の「事業」として編纂されたという定説が批判されており、あくまで俊恵個人の撰集であると認識すべきことなどが論じられている。第六節では、伝鴨長明筆『伊勢滝原社十七番歌合』断簡一葉について、記載歌が『玄玉集』所収の西行詠と一致することなどから、散佚した西行最晩年の自歌合『諸社十二巻歌合』の一部である可能性が極めて高いと結論された。<br /> 続く第二章では八作品を扱う。第一節では、今日完全に散侠したと思われていた源承撰『類聚歌苑』の残欠本を発見した上で、文永七~八年(一二七〇~七一)の間の成立であること、当時台頭していた真観ら反御子左派を牽制する目的で編纂されたこと、直後に成立した『続拾遺集』の母体とされた可能性があることなどが、明確に述べられている。第二節では、新出の伝後伏見院筆未詳歌集残簡について、錯簡を復元した上で、それが伏見院や京極為兼など京極派主要歌人の詠歌を収めた作品であること、しかも『後撰集』などの詞書に基づきながら自在に贈答歌を詠み合うという、中古中世和歌史上、極めて特殊な、しかも興味深い趣向の作品であることなどが記されており、京極派和歌の研究に、きわめて重要な論である。第三節では、戦前の美術品売立目録掲載の伝伏見院筆未詳歌合一巻の部分図版の発見により、それが従来ごくわずかな佚文しか知られていなかった、嘉元元年(一三〇三)十月四日開催の京極派歌合であることなどが示されている。第四節では、散佚『新撰風躰和歌抄』の伝藤原清範筆断簡四葉の紹介によって、正応四年(一二九二)~延慶三年(一三一〇)の間の成立であること、冷泉為相撰『拾遺風躰和歌集』と何らかの関連性を持つ可能性があることなどが論証されている。第五節では、これまで未詳家集とされてきた伝二条為道筆西宮切が、中臣祐臣の残欠家集『自葉集』の散佚部分であること、その上で『自葉集』の成立や性格、また祐臣の和歌活動などについて論じられている。第六節では、散侠『松吟和歌集』の伝二条為遠筆断簡十葉を集成した上で、その成立が康永三年正月(一三四四)~貞和元年(一三四五)八月の間だったこと、ちょうど京極派の『風雅集』が撰ばれようとしつつある当時の動向に相当批判的な立場から編まれた私撰集だったらしいことなどが述べられている。付論では、古筆切のツレの認定に際して必要となる条件を整理するとともに、特に散佚文献に関する場合の問題点を指摘した上で、伝光厳院筆六条切・伝後光厳院筆兵庫切・伝光明院筆天龍寺切という三種の未詳私撰集断簡をツレと論じた先行研究を方法論的に批判した。またツレ認定の効能の一例として、伝慈円筆未詳家集断簡が散佚『公経集』であることなどが明らかにされている。<br /> 最後の第三章では二点の書籍目録を翻刻紹介されており、第一節が彰考館文庫蔵「本朝書籍目録」、第二節が岡山大学附属図番館池田家文庫蔵「歌書目録」で、いずれも散侠文献に関する貴重な情報を多数記載している重要資料であると示されている。このように、本学位論文で行った分析・検証によって、それぞれの歌集の伝本や成立、性格、伝来や享受、和歌史や歌壇の具体相などについて、現存する作品中心に組み立てられている中古中世和歌文学史を大きく補足し、さまざまな面で、従来の説は大きく塗り替えられるに至っている。
著者
山下 直美 坂本 知子 野村 早恵子 石田 亨 林 良彦 小倉 健太郎 井佐原 均
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.1276-1286, 2006-04-15
被引用文献数
11

機械翻訳を介したコミュニケーションを通じて相互理解を実現するためには,翻訳精度の向上とともに相互作用性の向上が重要である.我々は機械翻訳に対するユーザの適応行動の1 つである原文の書き換えに注目した.本論文では,ユーザが母国語だけを用いて原文の書き換え作業を行う方法として折り返し翻訳を検討し,折り返し翻訳を用いてユーザが書き換え作業をする際の作業量を減らす支援方法を考案する.本研究でユーザの折り返し翻訳作業に関する実験を実施,分析した結果,以下の知見を得た.1) 母国語に関する知識が豊富なユーザほど機械翻訳に容易に適応でき書き換え作業量が少なかった.2) ユーザに事前に「良い翻訳結果を得るためのルール集合」の教示を行うと,母国語に関する知識が豊富でないユーザも機械翻訳に容易に適応できるようになり,書き換え作業量が大幅に減った.3) ただし,原文をどのように変更すべきかを明示しない「操作自由型ルール」に対する教示効果は薄く,これらのルール獲得にかかる書き換え作業量は大きく減少しなかった.原文をどのように変更すべきかを明示した「操作指示型ルール」に対する教示効果は高く,これらのルール獲得にかかる書き換え作業量は大きく減少した.4) ルールの教示は,母国語に関する知識が中位のユーザに最も効果的であった.Translation refinement is often observed when users communicate via machine translation systems. In this study, we analyzed user's translation refinement process through a controlled experiment. In the experiment, users translated sentences using a Japanese-English-Japanese turn-back translation. From the analysis, we discovered the following results: 1) The more knowledge users had about the source language, the better users could refine the original text, 2) Rule instruction was very effective in user's adaptation. Users who were reminded of the rules refined the original text ahead of other users, 3) Instructing operational rules were effective in helping user's adapation, while conditional rules were not as much effective. 4) Rule instruction was most effective to those who had midium knowledge in their source languages.
著者
村田 順平 岩沼 宏治 大塚 尚貴
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.464-474, 2010 (Released:2010-04-06)
参考文献数
19

In this paper, we propose new methods and gave a system, called IFMAP , for extracting interesting patterns from a long sequential data based on frequency and self-information, and experimentally evaluate the proposed methods in the application of handling a newspaper article corpus.Sequential data mining methods based on frequency have intensively beenstudied so far. These methods, however, are not effective nor valuable for some applications where almost all high-frequent patterns should beregarded just as meaningless noisy patterns. An information-gain concept is quite important in order to restrain these noisy patterns, and was already studied for integrating it with a frequency criteria. Yang et.~al. gave a sequential mining system InfoMiner which can find periodic synchronous patterns being interesting and well-balanced from the both view-points of frequency and self-information. In this paper, we refine and extend the InfoMiner technologies in the following points: firstly, our method can handle ordinary, i.e., asynchronous and non-periodic patterns by using a sliding window mechanism, whereas InfoMiner cannot; secondly we give several combination measures for choosing valuable patterns based on frequency and self-information, while InfoMiner has just one measure which, we show in this paper, is not appropriate nor effective for handling newspaper article corpora; thirdly, we proposed a new unified method for pruning the search space of sequential data mining, which can uniformally be applied to any combination measures proposed here. We conduct experiments for evaluating the effectiveness and efficiency of the proposed method with respect to the runtime and the amount of excluding noisy patterns.
著者
吉原 貴仁 杉山 敬三 中尾 康二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.17, pp.13-18, 2000-04-21
被引用文献数
1

(Simple Network Management Protocol)などの網管理方式(以下, 集中管理方式と呼ぶ)では網管理処理が管理ノードに集中し, また, 網管理情報収集の際のポーリングに必要な帯域が被管理ノード数の増加とともに増大するため, 大規模網への適用に限界があるなどの問題が指摘されている.このため, 網管理処理の一部を記述した管理スクリプトを被管理ノードに投入して実行する管理方式(以下, 分散管理方式と呼ぶ)の提案がある.しかしながら, 分散管理方式では被管理ノードの処理負荷を考慮せずに管理スクリプトが投入されるため, 特定の被管理ノードに処理負荷が偏り, 必ずしも網全体で処理負荷の均衡が保てない問題点がある.本稿ではこの問題点を解決するため, 管理ノードや被管理ノードの処理負荷および管理スクリプトの実行にともなうポーリングや通知に必要な帯域に基づき, 管理ノードや被管理ノードなどで網管理処理の動的な負荷分散を図る, 動的負荷分散アルゴリズムを提案する.また, アルゴリズムを実装し, 実環境評価を行う.
著者
久保田 秀和 黒橋 禎夫 西田 豊明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.86, no.8, pp.600-607, 2003-08-01
被引用文献数
4

本論文では,知識カードを用いた分身エージェントの実現手法を提案し,EgoChatシステムとして実装した.分身エージェントとは作成者本人の代理として任意のユーザと会話可能なエージェントである.提案手法では分身エージェントの会話コンテンツを知識カードと呼ばれる意味的なまとまりをもつ文章断片を用いて構築し,分身エージェントの発話とユーザの発話とを同様の扱いが可能な知識カードとして扱う.知識カードを用いた会話生成は文章断片の組合せによって行われるため,分身エージェント作成者にとってエージェントとユーザとの間で行われる会話内容を予測することはたやすく,会話生成のためのコンテンツ作成作業が容易である.また,会話型エージェントが実社会で利用されるためには利用者からの反応や状況の変化に応じた会話コンテンツの継続的な改訂作業が必要となるが,提案手法では分身エージェントがユーザとの間に行った会話を会話ログとして記録し作成者本人ヘフィードバックすることによって,会話コンテンツの改訂作業を支援する.
著者
山本 浩司 新田 克己
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.442-451, 2010 (Released:2010-04-02)
参考文献数
11

In this paper, we propose a communication framework which combined two types of communication among wheelchairs and mobile devices. Due to restriction of range of activity, there is a problem that wheelchair users tend to shut themselves up in their houses. We developed a navigational wheelchair which loads a system that displays information on a map through WWW. However, this wheelchair is expensive because it needs a solid PC, a precise GPS, a battery, and so on. We introduce mobile devices and use this framework to provide information to wheelchair users and to facilitate them to go out. When a user encounters other users, they exchange messages which they have by short-distance wireless communication. Once a message is delivered to a navigational wheelchair, the wheelchair uploads the message to the system. We use two types of pheromone information which represent trends of user's movement and existences of a crowd of users. First, when users gather, ``crowd of people pheromone'' is emitted virtually. Users do not send these pheromones to the environment but carry them. If the density exceeds the threshold, messages that express ``people gethered'' are generated automatically. The other pheromone is ``movement trend pheromone'', which is used to improve probability of successful transmissions. From results of experiments, we concluded that our method can deliver information that wheelchair users gathered to other wheelchairs.