著者
高野 明 宇留田 麗
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.113-125, 2002-03-31

近年,学生相談の領域では,心理的不適応の治療を目指したクリニックモデルに基づく活動だけではなく,教育的アプローチや厚生補導的アプローチを含む形で,活動全体を再構成する必要性が唱えられるようになっている。学生相談サービスの幅を効果的に広げるためには,多様な問題を抱える学生にとって,サービス機関へ援助を求めやすいような環境を作る必要がある。本論文では,学生の援助要請行動に注目し,社会心理学における知見をもとに,援助要請行動を促進すると思われる要因を導きだした。そして,日本と米国における学生サービスの現状を概観し,実践において援助要請を促進するために何をなすべきなのか検討した。その結果,学生サービス担当者による心理教育活動の充実,学生の自主グループの組織化と支援や,他職種とのコラボレーションによるシステム構築の必要性が指摘された。
著者
犬塚 澄雄 山本 浩史 大石 武士 青木 晋平
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学農学部紀要 (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.13-17, 1988-03-20

キノコ残渣の養鶏飼料化を図るため,26週齢の産卵鶏(RIR系)を用い,市販の成鶏用配合飼料にシイタケ残渣を8%と12%代替した飼料を給与し,卵質に加えてとくに今までほとんど検討されていなかった血液成分への影響について,市販飼料の結果と比較して,調べた.供試したシイタケ飼料(8%と12%)の一般成分は,市販飼料と比較すると,粗蛋白質と粗脂肪の各含量が低く,粗繊維と粗灰分合量に富んでいることがわかった.体重は減少する傾向が認められ,飼料摂取量は8%代替では市販飼料とあまり差はなかったが,12%代替では有意(P<0.05)に減少した.飲水量は逆に増加した.産卵率は市販飼料に劣らない良い成績が得られ,飼料効率の点ではむしろ優れているようであった.卵重は12%代替で有意(P<0.05)に小さい結果を得た.卵殻厚も同様で薄くなった.ハウユニットには差はなく,卵黄の色調は消費者の嗜好性からみて,実用上で全く問題はないと思われる.血液成分については,T-cho, HDL-cho, TG,およびβ-Lpの各濃度は市販飼料の場合よりも低い価が得られ,とくに12%代替では有意差(P<0.01)が認められ,総体的に脂質の低減効果が認められた.Ca濃度も有意(P<0.05)に減少した.GやMgの濃度はほとんど変化はなかった.シイタケ残渣の代替率は8%と12%の間にその適正値が存在することが推測された.
著者
大石 武士
出版者
近畿大学農学部
雑誌
近畿大学農学部紀要 (ISSN:04538889)
巻号頁・発行日
no.26, pp.p21-25, 1993-03

[Author abstract]The need for additions of selenium to livestock feed is being evaluated in Japan. We measured the selenium content of commercial formula feeds for poultry, and studied the effects of additional selenium on the selenium content and quality of the eggs. The selenium content of the feeds varied widely, but in most, there was less than 0.3 mg/kg. The selenium content of the yolk's was affected by the added selenium, but the selenium content of the white was not affected by added selenium. Egg weight, especially egg yolk weight, increased when selenium was added to the formula feed. Egg shell thickness tended to increase with added selenium, but Haugh Units and the egg yolk color were not affected by added selenium.[著者抄録]わが国においても家畜用飼料へのセレンの添加の是非が論議されているので,鶏用市販配合飼料中のセレン濃度の実態を明らかにするとともに,市販配合飼料を基礎飼料として,セレン濃度を段階的に増加させた場合の生産物である卵のセレン濃度や品質におよぼす影響について検討した。結果は次のごとくであった。市販配合飼料中のセレン濃度は,かなり変動が認められたが,その大部分は平均的には0.3mg/kg 以下のセレン濃度であった。セレン添加を行っても卵中のセレン濃度は僅かしか増加せず,特に,卵白中のセレン濃度は卵黄に比較して飼料のセレン濃度の影響は少なかった。卵重は飼料中のセレン濃度の増加によって改善され,特に卵黄重量でその傾向が強かった。卵殻厚も飼料中のセレン濃度が高くなると厚くなったが,これは飼料中のセレン濃度が増えると飼料摂取量が増加したことによる二次的な効果と推測された。ハウユニット,卵黄色調等は飼料中のセレン濃度の影響を受けなかった。記事区分:原著
著者
前田 恵助 山本 里美 小林 千洋 石井 浩子 上田 雅彦 築野 卓夫 入江 正和
出版者
Japanese Society of Animal Science
雑誌
日本畜産學會報 = The Japanese journal of zootechnical science (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.179-187, 2007-05-25
被引用文献数
2

未利用資源の有効利用のため,米ヌカからの米油精製過程で産出される副産物から調製された植物性油脂製品であるライストリエノール<SUP>TM</SUP>(築野食品工業,和歌山)を飼料に添加し,白色レグホン種系採卵鶏の生産性と卵黄中のビタミンE,コレステロールなどの脂質成分に及ぼす影響を検討した.飼料にライストリエノールを0.5%添加した鶏群をライストリエノール区とし,無添加のものを対照区とした.各区50羽とし,151日齢から517日齢まで不断給餌した.適宜,採卵と採血を行い,試験終了時にニワトリの肝臓を採取した.鶏卵は卵黄中のコレステロール,チオバルビツール酸反応生成物(TBARS),トコフェロール,トコトリエノールを測定し,血清および肝臓中のコレステロール,トリグリセライドを測定した.ライストリエノール区では対照区に比べ,血清中のコレステロールおよびトリグリセライド濃度は変化しなかったが,卵黄中のコレステロール濃度が平均約14%低下した(<I>P</I><0.05).また,卵黄中のトコフェロール,トコトリエノール濃度はライストリエノール添加により420日齢では約2.8倍に増加し,卵黄中のTBARSは52%減少した(<I>P</I><0.05).とくに,それらの効果は日齢を経た鶏卵で顕著であった.産卵率,産卵日量,飼料要求率,卵白高,ハウユニット,卵殻厚にはライストリエノール飼料添加による有意な影響はみられず,ライストリエノール給与で卵重がやや増加し,卵黄色の明度ではL*がわずかに増加し,色度ではa*がやや減少した(<I>P</I><0.05).以上のことからライストリエノールの飼料添加により,卵黄中のコレステロール濃度がやや低く,ビタミンE濃度が高く過酸化脂質の少ない鶏卵を生産性に悪影響なく得られることが示された.
著者
山本 孝史 輿水 馨 尾形 学
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.1-5, 1986-02-15
被引用文献数
5

わが国において, 1970〜1981年の間に豚流行性肺炎病巣部から分離されたMycoplasma hyopneumoniae 54株および新基準株Jの各種抗生物質に対する感受性につき検討を加え, 以下の成績を得た。1)最も高い活性を示したのはチアムリンであり, 供試した55株の全てに対し, 0:02〜0.04μg/mlの最小発育阻止濃度(MIC)を示した。2)タイロシン, ジョサマイシン, スピラマイシン, キタサマイシンのマクロライド系薬剤もこの順に高い活性を示したが(0.02〜1.25μg/ml), エリンロマイシンのMICは2.5〜20μg/mlであった。3)リンコマイシンはタイロシンとジョサマイシンの中間的なMIC (0.04〜0.16μg/ml)を示したが, アミノグリコシッド系薬剤のネオマイシン, カナマイシンは比較的高いMICを示した(0.16〜10μg/ml)。4)テトラサイクリン系薬剤のうちクロールテトラサイクリン(CTC)のMICは, 2.5〜40μg/mlに分布していたが, テトラサイクリン, オキシテトラサイクリン, ドキシサイクリンのそれは, 0.04〜2.5μg/mlであった。5)1970年度分離株では大部分の株がCTCに対し5μg/ml以下で, また他のテトラサイクリン系薬剤に対しては0.16μg/ml以下で感受性を示したが, 1979〜1981年度の分離株では, これらの濃度で感受性を示したのは半数以下であった。6)CTCのMIC値と他のテトラサイクリン系薬剤のそれとの間には相関が認められた。
著者
ベケット キャスリーン サッソン セオドア
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
no.29, pp.27-50, 2004-10-18

この論文は,米国を大量拘禁の分野において世界のリーダーに押し上げた新たな法律や実務について,従来とは異なる視点からの説明を試みたものである.近時の厳罰化の原因を,悪化する犯罪情勢や世論の怒りや復讐心に求めるのは正しくない.そうではなく,著者らは,厳罰化は,犯罪,麻薬,貧困といった社会問題について,保守派の政治家が,それらの原因が差別ではなく生ぬるい寛容さによるものであると問題を摩り替える(再構成する)ことに成功したことを反映しているに過ぎないと主張しているのである.こうした保守派の試みは,1960年代の公民権運動に呼応して始まり,1980年代には,政策を福祉から治安に舵取りするキャンペーンの一環として続いている.そして,1990年代には,二大政党が共に麻薬・犯罪との戦争に参戦した.しかし,結局,大量拘禁は,貧困家庭だけでなく,地域社会にも過重な負担をかける結果となり,最近では,力で犯罪を押さえ込もうとする法律を見なおそうとする努力が支持されるようになり,よりバランスの取れた政策を模索する動きが見られるようになっている.
著者
前川 貞次郎
出版者
史学研究会
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.1-37, 1952-05
著者
堀尾 輝久
出版者
国土社
雑誌
教育 (ISSN:03869938)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.p102-112, 1989-07