著者
武 小萌 瀧本 政雄 佐藤 真一 安達 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.8, pp.1153-1165, 2009-08-01
被引用文献数
4

本研究では,放送映像における同一場面映像のアーカイブからの発見・検索を目標とする.本研究において解決すべき最大の問題は,同一場面映像間の視点の違いによる視覚的な差異にかかわらず照合を行うことである.本研究は,撮影対象の動きに着目し,特徴点軌跡が時間的に変化するInconsistencyシーケンスに基づいた照合手法を提案する.このInconsistencyシーケンスから派生される,特徴的な事象の発生を示すDiscontinuityシーケンスに基づき,同一場面映像検出における計算量を激減させる高速化アルゴリズムも提案した.また,ローカル特徴量を用いた既存の映像照合手法との精度比較,並びにそれを用いた速度・精度の向上の評価を新たに加えた.更に,提案手法を実際の映像アーカイブに適用し,提案手法の有効性を実証した.
著者
下塩 義文 三好 正純 古賀 広昭 徳田 正満 高井 朋昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.81, no.9, pp.883-891, 1998-09-25
被引用文献数
30

平衡ケーブルの対地平衡度は, 平衡ケーブルに存在する, あるいは何らかの原因で生じた不平衡成分の大きさや分布状態によってどのように変化するか明確にされていない.本論文は完全に平衡と仮定したケーブルに任意に不平衡成分を付加することにより, 実際の平衡ケーブルを表すことを提案し, その対地平衡度の計算法を明らかにしたものである.大地を考慮した平衡ケーブルおよび不平衡成分を表す付加並列アドミタンス, 付加直列インピーダンスの入出力特性を3導体の継続行列で表現し, これらの継続行列を用いて, 任意の不平衡状態における平衡ケーブルの対地平衡度の解析を行った.実験例として, 端末機器接続や浸水等の障害により生じる静電容量不平衡が存在する場合, および試験接続時の対地平衡度の計算値を求め, 実測値とよく一致することを確認した.
著者
三本 健二
出版者
日本古生物学会
雑誌
化石 (ISSN:00229202)
巻号頁・発行日
no.51, pp.15-23, 1991-11-30
被引用文献数
1

以上示したように, これは四国からの化石蔓脚類の最初の報告である.それらは17種で, 1種のエボシガイ亜目のほかはフジツボ亜目である.また, 化石として日本で最初の報告となるもの, これまでに知られた更新統の地理的分布をさらに南に拡げるものを含んでいる.
著者
近藤 高貴
出版者
日本貝類学会
雑誌
貝類学雑誌Venus : the Japanese journal of malacology (ISSN:00423580)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.227-236, 1987-12-31
被引用文献数
5

岡山県旭川水系の祇園用水に生息するイシガイ類7種の繁殖期を調べた。その結果, グロキディウム幼生の放出時期に関して"冬繁殖"と"夏繁殖"の2つのグループが認められた。ここでは冬繁殖とは水温10℃以下でもグロキディウム幼生を放出できるグループ, 夏繁殖は水温10℃以上でしかグロキディウム幼生を放出しないグループと定義した。また, カタハガイでは寄生期間中に幼生の殻の生長が見られたが, 他の種では見られなかった。以上の結果と文献の資料に基づいて, 日本産イシガイ類の繁殖様式を, 1)冬繁殖で寄生期間中に幼生が生長する種(カタハガイ), 2)夏繁殖で寄生期間中に幼生が生長する種(カワシンジュガイ), 3)冬繁殖で寄生期間中に幼生が生長しない種(ニセマツカサガイ, オトコタテボシ, カラスガイ, ドブガイ, マルドブガイ), 4)夏繁殖で寄生期間中に幼生が生長しない種(マツカサガイ, オバエボシ, イシガイ, タテボシ, ササノハガイ, トンガリササノハガイ, イケチョウガイ)の4つのタイプに分類した。
著者
児玉 好雄 林 秀千人 村山 将 近藤 重樹 山口 英告 石田 清輝
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大学工学部研究報告 (ISSN:02860902)
巻号頁・発行日
vol.34, no.62, pp.9-17, 2004-01
被引用文献数
1

There are two mechanisms giving rise to the dipole-type radiation of the turbulent noise generated from Jet fan. One is the strong turbulence induced by a front rotor which flows into the rear rotor, which, in tum, random force fluctuation on a rear rotor blade. Another is shedding of vortices from the trailing edge of the both front and rear rotors. In this paper, we take these two mechanisms into consideration to theoretically estimate the turbulent noise level. The estimated values agree well with the measured levels of turbulent noise generated by the Jet fan. It is theoretically clarified that the noise generated by the rear rotor is higher than that from the front rotor. The noise due to the turbulent flow is higher than that due to the vortex shedding from the trailing edge of the rotor.
著者
木下 明美 堀江 登
出版者
武庫川女子大学
雑誌
武庫川女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:09163123)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.101-103, 1999

Catechins of green tea were investigated an effect on carrageenan-induced inflammatory edema. The major part of catechins in green tea are epicatechin(EC), epigallocatechin(EGC), epicatechin gallate(ECg) and epigallocatechin gallate(EGCg). It was found previously that ester type of those catechins had significant inhibitory action for thrombin on blood coagulation. In this study, EGCg in catechins of green tea inhibited markedly plasma kallikrein(p-KL), but EGC did slightly. Both EGCg and EGC scarcely inhibited glandular kallikrein(g-KL). EGCg indicated an inhibitory effect on carrageenan-induced inflammatory edema in foot in mice, but not recognized EGC.
著者
安岡 正人 橘 秀樹 田中 洪 田村 明弘
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
no.345, pp.218-225, 1984-11-30
被引用文献数
1

在来工法による木造試験家屋を用いた今回の実験的検討の結果の概略は, 以上に述べたとおりであるが, これらを要約すると, (1)外壁については, 外装材の下地に合板など板材料の挿入や内壁の多層化(板材料二重張り, あるいは遮音シートの挿入など), あるいは中空層内部に多孔質吸音材料を挿入することなどにより, 中高音域では大きな遮音性能の増大が期待できる。しかし, 低音域(125Hz帯域)については, 中空層厚が100mm程度となる一般の軸組構造壁では, 二重壁の低域共鳴透過現象により, 遮音性能の改善には限界(125Hz帯域で内外音圧レベル差20dB程度)がある。それに対して, W/5(二重軸組壁)のような構法をとれば, 125Hz帯域でも30dBに近い内外音圧レベル差を得ることができ, 特に低音域についても大きな遮音性能が必要とされる場合に有効である。また平面計画上, 外壁に押入などの収納部分を組合せることができれば, 全帯域にわたって高い遮音性能を得ることができる。(2)窓などの開口部を含む外周壁の遮音性能は, 開口部の性能によって決る。中空層が外壁の厚さ(約100mm)と同程度の二重窓では, 気密性を高めることにより, 高音域の遮音性能は十分大きくすることができるが, 低域共鳴透過現象により, 低音域での遮音性能の改善には限界がある。したがって道路に面した場所など, 低音成分が優勢でレベルも大きな騒音環境下では, 出窓形式の二重窓などを採用し, 中空層をできるだけ大きくすることが必要である(図-10, 11参照)。その際, 気密性の高いサッシを二重窓の少なくとも一方に使用することにより, 高音域においても高い遮音性能とすることができる。面積が大きく, 遮音上の弱点となりやすい掃出し窓についても, 大きな中空層をもつ二重構造とすることが望ましい。その場合, 中空層を前室として空間的にも利用できる程度とし, 気密性の良好なサッシを用いることにより, 外壁と同程度の遮音性能(D35〜40以上)を得ることができる。このような点からみると, 我が国の伝統的な縁側形式のプランは, 内部建具にもガラス障子などを用いた場合には遮音上きわめて有利と言える。(3)屋根-天井部分については, 天井ふところの空間を利用し, その間に断熱も兼ねて十分な吸音材を付加することにより, 外周壁にくらべてはるかに良好な遮音性能が得られる。その際, 天井面を遮音層と考えて, 石膏ボード等の遮音材料を下地材として使用することが望ましい。(4)遮音性能の向上のためには, 音響的には気密性を高めることが必要であるが, 当然のことながらそれと同時に室内の換気についても十分な考慮が払われなければならない。その場合, 図-13に示した結果からも明らかなように, 在来の簡易な換気設備を不用意に設置すると, 外周壁の遮音性能を特に中高音域で著しく損なう結果となるので, 防音型住宅を考える場合には, 少なくとも熱交換型あるいは減音効果の大きいダクト引き形式の換気設備が必要である。また今後, 遮音効果の大きい住宅用換気設備あるいは換気口などの開発・普及が望まれる。
著者
木全 英明
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.426-430, 2007-04-01 (Released:2009-10-16)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1
著者
木全 英明
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.143-149, 2006-02-01 (Released:2008-03-07)
参考文献数
29
被引用文献数
3 1

国際標準化団体MPEGでは, 3DAVという活動名で3D映像の標準化が検討されている. 検討されている3D映像は, 実写を基にした3Dシーンに対して視点位置や視線方向を変更できるインタラクティブな機能を有する. CGとは異なり自然画像を使用するため, よりリアルな映像を再生できる. 本稿ではMPEGで検討されている3DAV活動の概要と歴史, ならびに現在進行中の活動内容を紹介する.
著者
大村 実
出版者
日本微量元素学会
雑誌
Biomedical research on trace elements (ISSN:0916717X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.149-157, 2002-09-30
著者
木野 千晶 鈴木 喜雄 宮村(中村) 浩子 武宮 博 中島 憲宏
出版者
一般社団法人 日本計算工学会
雑誌
日本計算工学会論文集 (ISSN:13478826)
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.20090022-20090022, 2009-11-17 (Released:2009-11-17)
参考文献数
11

流体・構造・化学反応など様々な物理的・工学的現象を考慮した大規模数値シミュレーションの必要性・重要性は年々増している.大規模・複雑な数値シミュレーションからは膨大なデータが出力されるのに対し,そのデータ解析に投入できる計算機資源や研究者の認識能力には限界がある.そのためデータ全体を様々な観点から多角的に精査することは困難であり,研究者は着目すべき領域や現象を絞って可視化・解析するなど解析対象を取捨選択する必要がある.このような解析対象の取捨選択は,見落としや誤認など多くのヒューマンエラーを発生させる要因となり,大規模・複雑な数値シミュレーションを実施するに当たって大きな課題となっている.著者らはこのような大規模・複雑データ解析を支援するために,“認識能力を備えたデータ解析システムCognitive methodology based Data Analysis System (CDAS)”を開発している.CDASは「ある気泡周辺領域における全体平均速度より高い速度領域が発生している」や「応力が集中し,その最大応力が材料の降伏応力を超える領域が存在する」などの物理的・工学的意味を発見・抽出するデータ解析プロセスをデータベースに蓄えておき,それらを実行することでユーザーに物理的・工学的意味を伴ったデータ解析結果 (物理的・工学的情報) を提示するシステムを目標としている.CDASを開発することで,ユーザーは自身が指定した観点からの物理的・工学的情報に留まらず,異なる観点から解析された多種多様な物理的・工学的情報を知ることが可能となる.このような多角的な解析は,見落としや誤認などのヒューマンエラーを防ぐ上で重要であると考えられる.CDASを実現するには,様々な解析体系において実施された数値シミュレーションの結果データに含まれる物理的・工学的意味を,汎用的に処理する能力 (認識能力) を備える必要がある.ここで「認識能力」とは,意味情報を整理・検索・共有・生成し,生成された意味情報を再利用できる能力を指す.数値シミュレーションの結果データは解析体系・条件,物理量データに関する単なる数値の集合に過ぎない.このような数値集合から物理的・工学的意味を発見・抽出するには,数値情報に対しシステムに認識可能な形式で意味情報を付加する方法論を確立する必要がある.本論文ではシステムによる物理的・工学的意味情報の整理,検索,共有に留まらず,生成,再利用までを可能とするための科学概念語彙(Scientific Concept Vocabulary : SCV)情報モデルを提案している.本モデルでは,科学的知識を科学的知見・科学的情報・科学概念という階層構造によって捉えている.科学的知見とは自然現象に見られる様々な特徴を把握・理解するための情報である.この科学的知見を積み重ねることで科学的知識が構成されていく.科学的情報とは「ある観測対象が,ある観測空間における時空間分布情報」と定義され,科学的知見はこの科学的情報を分析することで得られる.この科学的情報は科学概念によって構成されたものであると捉え,この科学概念をシステムが数値的に扱えるようにするため,その意味を定義する具体的な実体データを付して記述することができるように科学概念語彙を提案した.科学概念語彙では概念の持つ物理的・工学的意味情報が数値データやアルゴリズムによって,その概念が持つ意味に即した実体データによって定義されている.よって,この実体データを用いてシステムによって新たな物理的・工学的意味果 (実体データ) を生成することが可能となる.この新たに生成された物理的・工学的意味果 (実体データ) もまた科学概念語彙情報モデルの枠組みの中で記述されることで,その生成された意味を再利用し,さらに新たな物理的・工学的意味果 (実体データ) を生成することも可能とする.本論文では科学概念語彙を用いて上昇気泡流解析および原子炉内熱流動解析に適用し,「接近した気泡」や「燃料棒周辺における液膜破断」などの物理的・工学的意味を持った情報の抽出に成功した.これにより本モデルを用いることによって,数値シミュレーション結果より物理的・工学的情報を発見・抽出するシステムの実現は十分に可能であると言える.
著者
森 信介
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.29, pp.27-32, 1997-03-21

本論文では,日本語にンける単語bi?gramモデルと品詞bi?gramモデルの補間を提案する.テストコーパスの解析に必要な未知語モデルも,文字bi?gramと文字種bi?gramの補間により得られるモデルで実現する.このモデルの有効性を確かめるため,形態素解析済みのコーパスを用いて単語bi?gramモデルと品詞bi?gramモデルとこれらを補間したモデルのテストセットバープレキシティを計算した.その結果,単語bi?gramモデルでは151.00であり,品詞bi?gramモデルでは383.61であり,これらを補間したモデルでは,143.49であった.単語bi?gramモデルと品詞bi?gramを補間したモデルは,単語bi?gramと同程度の記憶領域で実現できるので,このモデルは単語bi?gramモデルよりも良いモデルであると結論できる.In this paper, we present an interpolated model between a word bi-gram mode and a part-of-speech bi-gram model. We also present, as an unknown word model, an interpolated model between character bi-gram mode and character type bi-gram model. In order to attest an effectiveness experimentally, we calculated perplexities of the word bi-gram model and the part-of-speech bi-gram model and the interpolated model between them. The results of the word bi-gram was 151.00, the part-of-speech bi-gram model, 383.61 and the interpolated model, 143.49. Since the interpolated model needs as large memory space as the word bi-gram model, it follows that the interpolated model is better than the word bi-gram model.
著者
松本 充弘 中澤 伸之
出版者
社団法人 日本伝熱学会
雑誌
日本伝熱学会論文集 (ISSN:09189963)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.55-61, 2007 (Released:2008-01-01)
参考文献数
7

Impingement process of a small droplet on solid wall was investigated with molecular dynamics simulation technique. A liquid droplet consisting of about 14,000 Lennard-Jones particles was thrown with a given speed onto a smooth wall, and the change of its size and shape was analyzed. After the collision, the droplet spreads on a “hydrophilic,” or strongly interacting, wall, but bounces on a “hydrophobic” wall. The spreading behavior is suppressed by surrounding gas.
著者
樋口 雅文 屋代 智之 黒田 浩一 矢込 宏敬 横山 光男 松下 温
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.44, pp.361-362, 1992-02-24

近年、大都市における交通渋帯はますます激しくなるとともに、慢性化している。そのために生じる時間的、経済的損失も無視できないレベルに達し、深刻な社会問題となっており、早期解決が強く望まれている。そこでここ数年来、交通流を解析するために高速道路や一般道における交通流のシミュレーションに関する研究が盛んに行われている。交通渋帯を解消する一つの方法として、道路に流入する交通量を制限することが首都高速道路などで行われている。本研究は、首都高速道路における流入制限が交通流に与える影響を調査することを目的とする。この調査のために首都高速道路環状線内回りのシミュレーションモデルを作成し、計算機上においてシミュレーションを行った。