著者
山中 浩明 古屋 伸二 野澤 貴 佐々木 透 高井 剛
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.60, no.478, pp.99-105, 1995
被引用文献数
7 2

Array measurements of vertical microtremors were done at Koto-ku, Tokyo in the Kanto plain, Japan, to deduce an S-wave velocity profile down to the top of seismic bedrock. The array consists of 13 sites with spacings of 0.2 to 4 km. Rayleigh wave phase velocities at periods from 0.8 to 5 sec were determined from a frequency-wave numeber spectrum analysis of the records. The observed phase velocities were inverted to an S-wave velocity profile by an inversion based on genetic algorithms assuming a four-layer model. The inverted profile has a sediment thickness that is thinner than those deduced by seismic refraction survey and a deep borehole near the array. We included Love wave phase velocity data determined from an earthquake array observation into the inversion of the phase velocity data from microtremor measurements. The resultant new structure is in a better agreement with deep borehole data than that inverted only from microtremor data.
著者
近藤 浩
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

人物の顔写真の対称度を測定するため、まず顔の軸を水平方向(行方向)に対して直角になるように回転させる。これはアフイン変換によりごく簡単に行えるが、回転を行うことにより画像サイズからしばしばはみ出して消失される部分が出るため顔の重心を画面の中央に移動させ、この重心を中心に回転を行った。これにより軸の回転に対する問題はほぼ解決できた。次にこうして回転させた画像の一次元フーリエ変換を必要な全行に対して行いその実部のみを2乗し、虚部をゼロとしたもののフーリエ逆変換を行う。この段階で画像の各行毎の水平方向一次元関関数が得られたことになる。このときフーリエ実部のみの逆変換(real part-only synthesis)の相関であるから原画と左右折り返しの画像との相互相関を自動的に計算していることになる。各行の原点での値(第1列目の値)はreal part-only synthesisから得られる2重画像(原画と折り返し画像)のその行のみでのエネルギーを表し、第2ピークが求める相互相関値となっている。従って目の部分、鼻の部分、また口の部分のみの関係した行のみを縦方向(列方向)に和をとることだけで局部対称性が求められる。さらにすべての行を足し合わせると顔全体の相関となり全体像の対称度が求まる。従って、初期値として目、口、鼻など必要な部分の行番号を入力しておけば、上記一連の処理は瞬時にして完結する。70人の学生に協力してもらい顔写真をディジタルカメラでコンピュータに取り込みこれらの処理を行った。平均処理時間は2.79秒であった。本年度科研費によりほぼ本テーマを完全遂行できたことに感謝するとともに、来年度からは影の消去及び3次元立体回転へと展開していきたい。
著者
永松 有紀
出版者
九州歯科学会
雑誌
九州齒科學會雜誌 : Kyushu-Shika-Gakkai-zasshi (ISSN:03686833)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.515-531, 1996-06-25
被引用文献数
13 1

B型肝炎ならびにエイズの知識が広まるに伴って, 院内感染対策に大きな関心がもたれるようになった.印象は血液あるいは唾液の混入による感染の危険性が高いため確実に滅菌する必要があるが, 消毒・滅菌方法の中には, 印象および模型の寸法ならびに表面性状に影響をおよぼすものがある.本実験では, 顕著な殺菌効果であり, 歯科臨床においても広く用いられるようになった電解酸性水のアルジネートおよびシリコーンゴム印象に対する適切な滅菌方法を考察するために, 種々の処理を施した場合の殺菌効果を調べた.印象採得時に, プラスチック原板(1.0×10^6個の生菌を塗布)からアルジネート印象に4.0×10^5個(40.0%), シリコーンゴム印象表面には2.1×10^5個(21.0%)の生菌が付着した.蒸留水によりこれらを処理した場合に, シリコーンゴム印象では物理的作用により4.5×10^2個(0.2%)まで除菌可能であった.電解酸性水は, アルジネート印象に対して浸漬・超音波洗浄あるいは洗浄後浸漬の処理で, シリコーンゴム印象ではこれらに洗浄・スプレー噴霧およびガーゼによる拭き取りを加えたすべての処理により100個以下に生菌数は低下しており, 顕著な殺菌効果を示した.電解酸性水によるアルジネート印象材の練和を行った場合には殺菌効果はまったくみられなかった.印象の採得時に, ほとんどの菌はアルジネート印象の表面から1mm深さまで浸入しており, 1∿3mm深さではわずかな菌が点在しているだけであった.一方, シリコーンゴム印象では菌の浸入は認められなかった.電解酸性水への単純な浸漬はわずか1分間で被検菌を数個までに減少させており, 超音波洗浄の物理的効果を付加した場合と比較して有意差はみられなかった.浸漬処理を行う前に洗浄による前処理を行うことで, いずれの印象でも菌は検出されず, この組合わせ処理により印象表面を無菌状態にできた.以上の結果より, 電解酸性水はアルジネートおよびシリコーンゴム印象に高い殺菌効果を示すことが示唆された.
著者
永松 有紀
出版者
九州歯科学会
雑誌
九州歯科学会雑誌 (ISSN:03686833)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.515-531, 1996
参考文献数
34
被引用文献数
13 8

B型肝炎ならびにエイズの知識が広まるに伴って, 院内感染対策に大きな関心がもたれるようになった.印象は血液あるいは唾液の混入による感染の危険性が高いため確実に滅菌する必要があるが, 消毒・滅菌方法の中には, 印象および模型の寸法ならびに表面性状に影響をおよぼすものがある.本実験では, 顕著な殺菌効果であり, 歯科臨床においても広く用いられるようになった電解酸性水のアルジネートおよびシリコーンゴム印象に対する適切な滅菌方法を考察するために, 種々の処理を施した場合の殺菌効果を調べた.印象採得時に, プラスチック原板(1.0×10^6個の生菌を塗布)からアルジネート印象に4.0×10^5個(40.0%), シリコーンゴム印象表面には2.1×10^5個(21.0%)の生菌が付着した.蒸留水によりこれらを処理した場合に, シリコーンゴム印象では物理的作用により4.5×10^2個(0.2%)まで除菌可能であった.電解酸性水は, アルジネート印象に対して浸漬・超音波洗浄あるいは洗浄後浸漬の処理で, シリコーンゴム印象ではこれらに洗浄・スプレー噴霧およびガーゼによる拭き取りを加えたすべての処理により100個以下に生菌数は低下しており, 顕著な殺菌効果を示した.電解酸性水によるアルジネート印象材の練和を行った場合には殺菌効果はまったくみられなかった.印象の採得時に, ほとんどの菌はアルジネート印象の表面から1mm深さまで浸入しており, 1∿3mm深さではわずかな菌が点在しているだけであった.一方, シリコーンゴム印象では菌の浸入は認められなかった.電解酸性水への単純な浸漬はわずか1分間で被検菌を数個までに減少させており, 超音波洗浄の物理的効果を付加した場合と比較して有意差はみられなかった.浸漬処理を行う前に洗浄による前処理を行うことで, いずれの印象でも菌は検出されず, この組合わせ処理により印象表面を無菌状態にできた.以上の結果より, 電解酸性水はアルジネートおよびシリコーンゴム印象に高い殺菌効果を示すことが示唆された.
著者
山本 あゆみ 佐藤理史
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.3, pp.173-180, 2000-01-12
被引用文献数
7

本稿では,ワールドワイドウェブから人物に関する情報を収集する2つの方法を提案する.第1の方法は,表形式の職業別人名リストを情報源として利用する方法である.この方法では,まず,与えられた職名(例えば「政治家」)から,検索エンジンとハイパーリンクを用いて,その職業の人名リストを収集する.次に,収集されたリストに対して表解析を適用し,それぞれの人物に対して主要情報を抽出する.第2の方法は,人物を紹介した短いテキスト(プロフィール)を抽出する方法である.この方法は,職名と人名を入力とし,それらを用いて収集したウェブページに対してレイアウト解析を適用し,求める人物のプロフィールを抽出する.This paper proposes two methods for collecting people's information from the World Wide Web. From the given occupation category such as Seijika (politicians), the first method collects web pages that include tables whose content is people lists of the given occupation, and extract personal properties such as name and birthday for each person by using table analysis. The second method accepts a person name and her occupation as an input, and collects her profile in text form by using layout analysis of HTML texts.
著者
DUMBROFF EB
雑誌
Can. J. Bot.
巻号頁・発行日
vol.49, pp.35-38, 1971
被引用文献数
1 31
著者
小林 潔
出版者
日本スラヴ・東欧学会
雑誌
Japanese Slavic and East European studies (ISSN:03891186)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.87-102, 2004-03-22

O.O.ローゼンベルク(1888-1919年)は、大正時代に来日し漢字研究および仏教研究に従事したペテルブルク東洋学派の日本学者である。仏教学者シチェルバツコイの高弟で、日本語はペテルブルク大学で黒野義文に、ベルリンで元東京大学教授ランゲおよび辻高衡に学んだ。1912年〔明治45年〕に来日。これは師であるシチェルバツコイの意向であった。シチェルバツコイは当時、日本をも含めた各国の研究者と倶舎論(5世紀の仏教書)研究を推進しており、日本に残る伝統的な教学を学ばせるためにローゼンベルクを東京に派遣したのである。留学時の指導教授は姉崎正治、専門の仏教研究では、シチェルバツコイとともに倶舎論研究グループを形成していた荻原雲来が指導に当たった。日本の同僚とも親しくつきあい、また同時期に留学していた同窓の日本研究者ネフスキーやコンラットとも交流を続けている。また、ドイツ東洋文化研究協会(OAG-Tokyo)で仏教論を発表したほか、日本の学界に向けて倶舎論研究上の問題点について問う文書を公開している仏教研究を続ける一方、彼は、外国人にとっても使いやすい用語辞典と漢字典が無いことを嘆き、これらの制作を決意し、日本人と協力しつつ在日中に2つの辞書を実際に刊行した。1つは、仏教研究に必要な術語、日本史、神道の用語を集めた一種のコンコーダンス『佛教研究名辞集』(1916年〔大正5年〕)である。ここでは術語は漢字毎に排列されており、発音を知らない外国人でも検索しやすいものになっている。また、中国語音、対応する梵語術語を掲げ、語の解説に関しては別の然るべき便覧への参照指示がつけられている。もう1つは、外国人にとって日本語学習のネックとなっている漢字を解説した字典『五段排列漢字典』(1916年〔大正5年〕)である。ここで彼は従来の部首引きを批判し、ペテルブルク中国学の伝統に基づいた新たな漢字分類法を提唱、それに基づいて漢字を排列している。これは漢字の図形的要素に注目した分類であった。1916年〔大正5年〕に帰国。ペテルブルク(ペトロダラート)大学でエリセーエフらと日本研究に従事する中で、1918年、日本・中国の伝続的教学の知見と倶舎論研究に基づいて博士論文『仏教哲学の諸問題』を執筆する。ここで彼は、仏教の基本概念である「法(ダルマ)」について詳細な分析を行った。翌1919年に亡命、31歳でレヴァル(タリン)にて死去した。没後、彼の博士論文は、独訳されて世界の東洋学者に影響を与えることとなった。日本の和辻哲郎もローゼンベルクの独訳論文を活用しつつ仏教研究を行っている。独訳からの重訳で日本語訳も刊行され、ローゼンベルクのこの著作は現在の日本の仏教学界でも基本文献とみなされている。ローゼンベルクが提唱した漢字排列方法は、ソ連・ロシアで刊行される中国語辞書で採用され、今日まで用いられている。また、アメリカでもローゼンベルク方式を採用した漢字字典が刊行されている。ローゼンベルク方式は今なお生きているのである。ローゼンベルクは、仏教学及び漢字研究に於いてアクチュアルな意義を有する業績をあげた。この意味でロシア東洋学史上の重要人物である。また、その業績は、在日中の研鑽の結果であり、日露の学者の協同の成果でもあった。日露文化交流史上でも価値ある存在であり、その生涯と業績について更なる研究が侯たれる。
著者
田邊 誠一
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.866-871, 2006-06-01

有機ELディスプレイは,CRT並みの良質な画質が得られる次世代デバイスとして期待されている.エプソンでは,インクジェット(IJ)技術という当社のコア技術を適用することで,大型フルカラー有機ELディスプレイ(40インチ)を試作した.本稿では,IJ法に必要な要素技術を解説するとともに,大画面ディスプレイを作製する上での課題と今後の方向性について述べる.
著者
佐藤 拓哉 名越 誠 森 誠一 渡辺 勝敏 鹿野 雄一
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.13-20, 2006-06-25
被引用文献数
2

世界最南限のイワナ個体群キリクチSalvelinus leucomaenis japonicusの主要生息地において、過去13年間にわたって、キリクチおよびそれと同所的に生息するアマゴOncorhynchus masou ishikawaeの個体数変動を調べた。また、調査水城におけるキリクチ個体群の現在の分布構造を把握するために、流域に11カ所の調査区間を設定して、それぞれの場所での生息密度と体長組成を調べた。調査水城に設定した約500m区間におけるキリクチとアマゴの推定生息個体数はともに減少傾向にあり、特に2000年以降、キリクチの個体数は低い水準で推移していた。2004年時点では、アマゴの推定生息個体数は、キリクチの約2倍であった。2004年に生息範囲のほぼ全域で行なった捕獲調査において、キリクチは本流の下流域ではほとんど捕獲されず、上流域と支流を中心に分布していた。一方、アマゴの生息個体数はすべての調査区間で大差はなかった。また、キリクチ当歳魚はほとんどが支流で捕獲されたが、アマゴ当歳魚は支流と本流で大差なく捕獲された。標準体長の季節変化を調べた結果、キリクチ当歳魚はアマゴ当歳魚に比べて浮出時期が1-2ヶ月遅いと推察され、その平均値は、すべての月においてアマゴ当歳魚よりも低かった。また、1歳以上のキリクチの平均体長は、すべての調査区間でアマゴよりも小さい傾向が認められた。これらの結果から、本調査水域におけるキリクチの生息個体数と生息範囲はともに減少傾向にあることが確認された。また、キリクチはアマゴとの種間関係において劣勢にある可能性が示唆された。このような現状のもとでの、キリクチ個体群の保護・管理策について考察した。
著者
菅原 仁子 萩原 敏朗
出版者
東北大学
雑誌
教育情報学研究 (ISSN:13481983)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.47-65, 2006-03

本研究では、中学生の情報リテラシーの育成には、その情報利用の実態について基礎的な研究が必要であるという観点のもと、中学生の情報探索行動の実態を把握するために中学生500名以上に対して質問紙調査を行った。調査の結果、中学生にとってインターネットが情報探索時の情報源としても日常の利用情報システムとしても多用されていることが明らかになった。情報探索行動の傾向としては、情報探索時にインターネットや図書資料を利用せず、自ら調べようとしなかったり、情報システムに接しようとしない生徒の情報を活用する能力が低いことが見出された。インターネットは情報の収集力の向上には影響力を持っていることが示唆されたが、情報教育を行う際には、ひとつの情報システムに偏重することなく指導してゆくことが必要であると言えよう。指導方法に関しては、現在行われている調べ学習や図書館、インターネットの利用指導の有効性が明らかになった。
著者
下田 吉人
出版者
公益社団法人日本生物工学会
雑誌
醸造學雜誌
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.299-310, 1932-04-15
著者
久保 博嗣 村上 圭司 藤野 忠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム
巻号頁・発行日
vol.97, no.194, pp.7-12, 1997-07-25
被引用文献数
7

本報告では, 時間分散の大きな伝送路下で, 少ない状態数で良好なビット誤り率(BER)特性を実現することを目的として, sortingを回避した簡単化リスト出力ビタビ等化器を提案する. 時間分散の大きな伝送路に対して, 生き残りパスの総数を一定とした場合,リスト出力ビタビ等化器が有効であるが, sortingにより処理遅延や回路規模が増大する. 本報告では, (1)リストにおける下位のパスの選択に不確定性を許容すること, (2)選択したパスを尤度順に並べる必要をなくすことにより, 処理遅延および回路規模の抑圧が可能であることを示す. 次に, 周波数選択性フェージング下で, 従来のリスト出力ビタビ等化器と比較して, 提案手法の特性がほとんど劣化しないことを, 計算機シミュレーションにより明らかにする.