著者
土屋 十圀 中村 要介
出版者
前橋工科大学
雑誌
前橋工科大学研究紀要 (ISSN:13438867)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.9-15, 2006-03-31

This study estimated the safety degree of flood control at Yattajima, the Tone river, Japan to verify effects of additional dams. Rainfall events considered are Typhoon Catherine in 1947, Ise Bay Typhoon in 1959, the typhoon No. 15 in 1981, and the typhoon No. 5 in 1998. The storage function method was used for runoff analysis, which showed good agreement between observed and computed discharges. Using the spatiotemporal rainfall pattern of Typhoon Catherine, this study simulated rainfall-runoff at each time stage; 1959 with two dams, 1981 with five dams, and 1998 with six dams (the same as present situation), and evaluated the effect of these added dams on flood control in terms of the decrease of peak discharge at Yattajima. The decreases estimated were 513-1,253m^3/s for the 1959 situation; 2,025-2,765m^3/s for 1981; and 2,233-2,973m^3/s for 1998. It is also verified that the present situation with six dams can cope with 200-year floods, which is significant improvement because the past situation without dams could cope with 100-year floods.
著者
栗原 和夫 加藤 輝之
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.44, no.9, pp.631-636, 1997-09-30
被引用文献数
5
著者
大野 脇弥 田中 明
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.138-143, 1966-03-30
被引用文献数
3

放牧牛群の行動の季節型の有無をしらべるため,地形ならびに気象条件と行動の関係を調査した結果は次の通りであった。1)牛群の行動時間は日照時間と関連して,春,夏,秋の順に短かくなり,春と秋との間には2時間の差があった。2)季節ごとの行動形についてみると,春は移行形,夏は休息形,秋には採食形が多く出現する傾向がみられた。3)地形と行動との関係をみると,採食形は牧区全域にわたってみうけられたが,朝,夕の気温の低い時期は斜面で,日中暖い時は高台や谷間で多く行なわれる傾向があった。また休息は三つの季節を通じ,昼間は風とおしのよい高台で,夜間は風当りの少ない斜面でみられた。従って春夏季は高台で,秋季は平地および斜面で行動するのが多くみうけられた。4)気象と行動との関係のうち,晴天日と雨天日の行動について調査した結果,採食時間は,雨天日が少なく,休息時間はその逆であった。しかも雨天日においては佇立休息が晴天日の2倍以上もあり,横臥休息は逆に短かかった。5)行動形については,晴天日においては採食,移行,休息の行動形が交互にみられたが,雨天日には降雨以後,採食形が少なく移行形が多くなった。また雨天日は,牛の就寝時間がおくれ,降雨のため風下へ牛群が移動した。
著者
田川 哲也 花土 弘 岡本 謙一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.100, pp.23-28, 2003-05-23

TRMM衛星[1]を継承するGPM(全球降水観測)衛星計画が地球全体の降水を観測するために計画されている[2]。衛星搭載レーダによる降雨観測における問題の一つは、レーダが地球表面にふりそそぐ降雨を観測する為、地球表面からの強いエコーと雨からの弱いエコーを同時に受信してしまう事である。本研究では、35.5GHz帯能動型フェーズドアレイ降雨レーダによる降雨観測に及ぼす地表面クラッタの影響を評価する。まず、35.5GHz帯導波管スロットアレーアンテナの放射パターンを励磁電流に含まれるランダムな誤差を考慮して計算する。次に、降雨エコーに対する地表面からの受信電力の比(S/C比)を海面の散乱係数を用いて計算する。最後にアンテナビームの走査面をその走査面に直角な面内で傾ける事により、サイドローブクラッタの低減効果が得られる事を説明する。
著者
上村 真由子 小南 裕志 金澤 洋一
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.138-144, 2005-04-01
被引用文献数
4

枯死木分解呼吸の環境要因への反応特性を調べるために, 呼吸量を自動測定するシステムを開発し, コナラの枯死木呼吸量を2年間連続測定した。日単位の呼吸量は, 枯死木表面付近の温度変化に伴い明瞭な日変化を示した。また, 降雨による含水率の上昇に伴い呼吸量は急激に減少し, 降雨後に徐々に増加する傾向がみられた。呼吸量の季節変動は, 温度に対して指数関数的な関係があり, 冬期と夏期の呼吸量の差は約8倍であった。同じ温度下における呼吸量のばらつきは主に材の含水率の変化によるものであると考えられ, 一降雨から次の降雨までの含水率の変化に対して呼吸量は平均約1.5倍程度の変化をみせた。温度を変数とした指数関数と含水率を変数とした2次式を乗じた関数を用いて日平均呼吸量の推定を行ったところ, 呼吸量のばらつきの85%を説明することができ, 温度変化に対する呼吸量の季節変化や, 含水率の変化に対する呼吸量の短期的な増減の再現が可能であった。このように, 枯死木の呼吸量は温度と含水率の時系列変化に伴い, 変化幅が約8倍の季節変化と, 変化幅が約1.5倍の含水率の変化に伴う短期的な変化と, 日変化によって複合的に構成されていることが明らかになった。
著者
伊藤 文啓 林 貴宏 尾内 理紀夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.540, pp.5-10, 2007-02-15

本研究ではアダルト画像検出法を提案する。本手法では、対象とするアダルト画像に肌領域が多く含まれ、これら肌領域は色の均質性・集塊性を持つことを前提とする。まず、GMM(Gaussian Mixture Model)を用いて肌尤度画像を作成する。次に、肌尤度画像中で、色の均質性を有する領域のみを検出する。検出された領域ごとに閥値を動的に生成し、その閥値を用いて色の均質性・集塊性を考慮した肌領域の拡張処理を行い、最終的な肌領域とする。そして、求められた肌領域の肌尤度画像をリサイズして得られた値に主成分分析、独立成分分析を適用し、SVMで学習・分類を行い、アダルト画像を検出する。
著者
Hashimoto Hiroshi
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲 (ISSN:09155805)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.311-322, 1964-07-20

Thalassomyiaは雌雄ともに有翅の海棲ユスリカで, 1866年以来, ヨーロッパ, アフリカ, 南米のほか, ハワイ, ガラパゴス, マーケサス, サモア等の太平洋各地及び香港等から報告されたが, 本邦では1955年トカラ列島の中之島からThalassomyia japonicaが記載されるまで全く知られていなかつたものである.本属は歴史的に古いだけでなく, 近縁のTelmatogetonやParaclunioとともに海棲ユスリカとして重要な一群をなすが, 従来の研究は充分とは云いがたく, 日本産のものに関しても詳細な知見に欠けるところが多かつた.筆者は今回, 琉球列島の海棲昆虫調査にあたり, 八重山群島の石垣島でThalassomyia japonicaを多数採集し, 本種に関する多くの疑問点を明らかにすることができた.本論文では, 本種の形態的特質について多くの点を補足し, 細部にわたつて外国産の既知種との比較検討を行ない, 種の類縁関係を明らかにすることにつとめた.なお, 従来Thalassomyiaの習性に関しては末知な点が多かつたが, 筆者は本種について, 成虫の出現時間, 運動習性, 静止姿勢, 交尾, 産卵等を観察し, 多くの特性を明らかにした.特に本種での所見では, 少なくとも日本産のTelmatogeton2種と比較した場合, 習性の点でも大きな相異の認められたことは興味深い.
著者
西尾 裕志 山内 航一郎 佐藤 幸男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.26, pp.1-8, 2004-03-05

近年CGや服飾の分野など 実在する人物の3次元全身計測データが必要とされる場面が増加しており すでにいくつかの人体計測装置が開発・利用されている.しかし計測データそのままでは各種分野への応用は難しい.これは計測データが人体データとしてモデル化されていないことによる問題である.そこで本稿では人体の全身計測データに対し あらかじめ用意した人体パッチモデルをアクティブバルーンモデルの原理を用いてフィッティングすることを考える.本手法では一般的なCGソフトで作成された人体データを人体モデルとして使用することを前提としており 人体モデルの構造に依存しないモデル化を行うことが可能である.またフィッティングの際に問題となる姿勢合わせについては少数の特徴点を指定することで解決する.Recently, it has been increasing that a demand for a range data of human body in the fields of Computer Graphics or apparel, and some 3D human body measurement system have been used. However, it is difficult to apply these range data to various fields, because these data is not modeled as a human body model. In this paper, we propose a method for modeling a human body from a range data by the principle of Active Balloon Model. It is premised on using a human CG data created with a general CG software as the human body patch model. And we also solve the problem about normalization of human model posture by specifying a few feature points.
著者
坂井 堅太郎 小川 路恵 高嶋 治子 水沼 俊美 真鍋 祐之
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiyo shokuryo gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.147-152, 1997-04-10
被引用文献数
1 1

加熱殺菌方法の異なる3種類の市販牛乳 (低温殺菌, 高温短時間殺菌および超高温殺菌牛乳) に含まれるタンパク質成分のペプシンに対する消化性を, SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動法と, 牛カゼイン, 牛α-ラクトアルブミンおよび牛β-ラクトグロブリンに対する特異抗体を用いたウエスタンブロット法により検討した。カゼインは牛乳の加熱殺菌方法の違いに拘らず, ペプシンにより速やかに分解された。低温殺菌および高温短時間殺菌牛乳中のα-ラクトアルブミンはペプシン消化に対して抵抗性が認められた。超高温殺菌牛乳では, α-ラクトアルブミンのペプシン消化に対する抵抗性はやや減少したものの, 十分に維持されていた。低温殺菌と高温短時間殺菌牛乳中のβ-ラクトグロブリンは, α-ラクトアルブミンと同様に, ペプシン消化に対して抵抗性を示したが, 超高温殺菌牛乳では, ペプシン消化に対する抵抗性はほとんど消失し, カゼインでみられるペプシン消化のパターンに類似していた。ラットに低温殺菌または超高温殺菌牛乳を強制的に経口投与し, 胃内容物中のβ-ラクトグロブリンの消化を調べたところ, 超高温殺菌牛乳投与ラットの消化度は低温殺菌牛乳投与ラットに比べて明らかに高かった。これらの結果から, 市販牛乳中の各タンパク質成分のペプシンに対する消化パターンは異なることが示された。また, 超高温殺菌処理によって, β-ラクトグロブリンのペプシン消化に対する抵抗性が著しく消失することから, 超高温殺菌牛乳はβ-ラクトグロブリンのアレルゲン性が緩和された牛乳としての有用性が示唆された。