著者
山口 静馬 佐伯 徹郎 老松 建成
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.82, no.9, pp.1421-1427, 1999-09-25
被引用文献数
7

音声聴取時の外来雑音に対する心理的応答を,音声信号と外来雑音の各音圧レベルやパワースペクトル特性の相対的関連性の下に把握することは快適な音場の設計に重要である.本論文は音声聴取時の外来雑音に対する心理的応答を推定・予測するための手法をファジィ集合を用いて提案したものである.具体的には,音声を聴取している人間が外来雑音にさらされた場合に着目し,音声信号と雑音の音圧レベルやパワースペクトル特性に関するファジィ関係を,SN比とオクターブ数を台とする近似的な2次元メンバシップ関数を用いて求めている.次いで,心理的応答の評価手法をファジィ確率の概念を導入して提案している.最後に,本手法の妥当性と適用可能性を心理実験による実測データに適用して実験的に確認している.理論と実験との間にほぼ良い一致が認められる.
著者
新山王 政和 今泉 美貴子 磯部 妙子
出版者
愛知教育大学教育実践総合センター
雑誌
愛知教育大学教育実践総合センタ-紀要 (ISSN:13442597)
巻号頁・発行日
no.8, pp.253-260, 2005-02

今日のユビキタス化された社会では,様々なことを気軽にバーチャル体験できる反面,自分自身の力で考え結果をイメージングしようとする機会が失われてしまっている。生きる力の問題としても,脳科学や発達教育科学の分野からこれに対して警鐘が鳴らされている。よって小・中学校音楽科の授業という視点から,次の2点を視野に入れてこのユビキタス社会における音楽の基礎・基本の力について改めて考察してみたい。1.過度に視聴覚機器に頼ることをやめ,イメージングを通じて活きた活動体験を模索する 2.活動の主体を子どもヘシフトし,教師が言語・非言語指示を駆使して一方的にリードした為に子どもが思考停止の状態や指示待ちの状態のようになってしまうことを,イメージングを活用した活動体験によって防ぐ 今回の一巡の授業研究では,この二つのポイントを視野に入れながら,実体験と体感を伴った子ども自身によるイメージングの活動を基盤に据えた授業のあり方について模索してみたい。そして本論文においては,次の二つの授業実践を取り上げて分析を行った。1.小学校4年生を対象にした授業:楽曲の構造からショートストーリーをイメージングし,それを伝える為の演奏表現とリコーダー演奏技法を工夫する 2.中学校3年生を対象にした授業:歌詞のイメージングに基づいて,自分達が歌いたいと感じる表現を考え,それを演奏表現できるような歌い方を工夫する
著者
荒木 重治
出版者
金沢大学
雑誌
高校教育研究 (ISSN:02875233)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.87-115, 1998-10

歴史教科書をめぐる論争は,子供からの視点が抜け落ちている。子供に何を教えるかよりも,どんな子供になってほしいかの方が重要なのに,そのことが話題にされていない。歴史というのは,過去に学んで将来に活かすものであるはずなのに,歴史教科書をめぐる論争は,将来を見据えていない。最初に結論ありきの,当時の日本を正しく知ってこそ,新しい日本を作っていくことができるはずだ。しかし,最初に結論ありきの姿勢は,今にいたるも変わっていないのではないか。現在の教育改革が抱える問題点も,最初に結論ありきではないのか。歴史教科書問題や教育改革を,あえて現在の流れに逆行し,子供の視点から再点検してみた。
著者
戒野 敏浩
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, 2001-11-01

本論文は, ファジィ関係の重心微分とファジィ測度空間上のショケ積分の微分を金融工学や意思決定などに応用し, 実際のあいまい情報下で注目変数の値の増減が他の変数に及ぼす影響を分析する指標として, これらの微分概念が実用的に有効なことを実験などを通して検証し, 各応用分野に新しい一つの解析手法を与えることを目的とする.本論文は全6章から構成されており, 各章の概要は以下のとおりである.第1章の「序論」, 第2章の「本論文で使用される用語・記法等の解説」に続き, 第3章の「ファジィ関係における微分と設備投資意思決定問題への応用」では, ファジィ関係における重心微分が, あいまいさを含んだ各要因の変化が資本利益率に与えるインパクトの概略値を簡単に意思決定者に提供することができる有効な指標であることを示す.次に第4章の「ショケ積分の各種の微分」では, ショケ積分の値域における微分, 定義域における微分, ファジィ測度シフト微分を提示したうえで, それらの性質について言及する.第5章の「ショケ積分の微分の意思決定問題および金融工学への応用」では, 設備投資意思決定問題, 長期債券格付分析, 日経平均株価指数オプション取引に各種微分を応用し, その有用性について確認する.最後に第6章の「まとめ」では今後の展望について言及する.
著者
村上 泰子 大城 善盛 生嶋 圭子
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
図書館学会年報 (ISSN:00409650)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.17-31, 1998-03
被引用文献数
1

本稿は, 小規模大学の図書館で実施されているグループ(学生)を対象とした, 利用者教育の実態調査報告である。過去2年にわたって規模別に実施してきた一連の調査のしめくくりにあたる。これまで同様アンケート調査法を採用し, オリエンテーションとそれ以外の利用指導に二分し, それらの指導内容, 方法, 規模, PRの方法等ついて調査した。結果は268館中105館が図書館独自のオリエンテーションを実施し, 132館がオリエンテーション以外の利用指導を実施していた。大規模大学, 中規模大学の調査結果との比較により, 小規模大学の特徴として次の2点が明らかになった。ひとつは図書館ツアーの実施率が高いことであり, もうひとつはオリエンテーション以外の利用指導で, 中規模大学に見られたオリエンテーションのレベルと専門的指導のレベルとの両極化傾向が見られなかったことである。この他, 国公立と私立, 関東と関西, 首都圏および京阪神地区とその他, 医歯薬系とその他の比較も試みた。
著者
松本 義之 和多田 淳三
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.44-52, 2004-02-15
被引用文献数
1

規則性を見出しにくいデータを予測する方法に,カオス理論に基づく時系列データの短期予測がある.これは,従来ランダムに推移すると考えられていた時系列データをTakensの埋め込み定理を用いてアトラクタを多次元空間に再構成することにより,短期予測を可能としている.しかし,ランダムプロセスと異なる幾何学的性質を持つ時系列データでも,低次元のカオス性を示さない時系列データをカオスで予測することは困難である.そこで,本研究では,予測するデータに関連する別の時系列データを同時に埋め込むことにより,予測を行いたい時系列データのカオス性を抽出し,予測精度を向上させる.また,ユークリッド距離を考慮したカオス予測手法に対して,そのあいまいな情報を扱うためにファジィ理論を適用する.そして,これらの手法に対して東証日経平均株価を予測するシミュレーションを行い,その有効性を明らかにする.さらに,用いたファジィ理論における前件部メンバーシップ関数の生成のために組み合わせ最適化の手法の一種である遺伝的アルゴリズムを用い,より簡単に予測モデル構築をする.
著者
齊藤 進 神田 晋太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.296, pp.79-84, 2003-09-02
被引用文献数
2

FIRディジタルフィルターとニューラルネットワークを用いて、短時間の変動を無視することなく経済時系列データを予測することを試みた。日経平均株価を101段FIRバンドパスフィルタで5つの周波数帯に分解した。それぞれのデータはニューラルネットワークで学習、予測した。その際、過去20日のデータを入力し、10日先のデータを予測する。それらの予測値を合成し最終的な予測値を得る。最終的に予測されたものは比較的よい結果を示した。
著者
難波 英嗣 国政 美伸 福島 志穂 相沢 輝昭 奥村 学
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.203, pp.67-74, 2005-07-15

「日経平均株価」や「内閣支持率」のように数値が時間とともに常に変動するような情報のことを動向情報と呼ぶ.本稿では, 動向情報の抽出を一種の複数文書要約であると考え, 複数文書要約技術を用いて, あるトピックに関する複数の文書から動向情報を自動的に抽出し, グラフ化する手法について述べる.複数文書からの要約の作成は, 様々な要素技術を組み合わせることで実現できる.こうした技術のひとつとして, 我々は文書横断文間関係理論(CST)に着目する.CSTとは, Radevらが提唱している理論で, 文書中の各文の機能を特定し, 文間の依存関係を特定する修辞構造理論(RST)を, 文書間関係に拡張したものである.本研究では, CSTの一部を計算機上で実現し, それを用いてグラフ化に必要な数値情報と時間情報の抽出を行う.
著者
杉山 道雄 伊藤 由香
出版者
岐阜大学
雑誌
岐阜大学農学部研究報告 (ISSN:00724513)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.221-240, 1988-12-25

ブロイラー経営の経営計画についての研究は極めて少ない。とくに円高による海外産ブロイラーの輸入増大傾向の下でブロイラー価格は低迷し,各ブロイラー経営はコストを国際水準である180円以下に抑えると共に,所得は家族経営の場合でも,専業型では500万円以上,兼業型でも300万円以上,企業型では,利子率以上の利潤を目標としなければならない。本研究では,東海地方の代表的なブロイラー経営を対策としながらも,ブロイラー経営計画策定とその方法の吟味を行ないながら,バセッティングメソッドで,家族経営(専業型,兼業型),企業経営の3タイプ別にコスト及び所得又は収益試算を行なった。本研究によれば専業型家族経営で年間251,230羽出荷4.2回転でコストは175.9円/1kg,所得は6,547, 041円,兼業型家族経営では年間出荷羽数,125,712羽で4.5回転でコストは176.3円/1kg,所得は363,664円を得られる計画である。企業型経営では3,122,280羽出荷4.5回転で,コストは166.9円,年間利益は3,599.1万円となった。これらを策定するには今迄いくつかの前提条件があり,その各々を予め,検討している。
著者
北原 直人 水本 哲弥
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.86, no.7, pp.700-706, 2003-07-01

高誘電率磁性体セラミックス材料の応用例として,その特長を生かした電磁波ノイズ対策用低域型EMIフィルタを設計・試作した結果,急しゅんな減衰係数と広帯域な減衰帯域の優れた特性を有するフィルタが可能であることが判明したので以下に報告する.
著者
Kamei Toshiaki Maeda Junpei Kondo Naotsugu Hongo Hiroshi Yanagihara Teruo Nakamura Isao Ishihara Tokuhiro Okuzono Yoshiko Gondo Toshikazu Fujihara Shigeyoshi
出版者
Yamaguchi University Graduate School of Medicine
雑誌
The bulletin of the Yamaguchi Medical School (ISSN:05131812)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.11-19, 1985-12

A case of a 69 year old female with primary gastric choriocarcinoma was presented with spesial reference to histogenesis by using the immunohistochemical tequnique (PAP method). The gastric tumor in this case was histologically diagnosed as choriocarcinoma coexistent with adenocarcinoma. From hormonal standpoint, the diagnosis was confirmed by recognition of high HCG titers in both the serum and tumor. The primary focus of the choriocarcinoma was detected neither in the genitourinary tract nor in the mediastinum in spite of a thorough autopsy. By PAP method tumor cells of choriocarcinoma showed high positive reaction only to anti-HCG antiserum and less positive to anti-HPL and SP1 antisera in contrast to those of uterine choriocarcinoma with high positive reaction to anti-HCG, HPL and SP1 antisera. Tumor cells of adenocarcinoma showed positivity to anti-CEA and anti-AFP antisera by the same method. These results indicate that gastric choriocarcinoma might be functionally defferent from gestational choriocarcinoma. Moreover, tumor cells of adenocarcinomatous lesion have some resemblance to embrynal carcinoma morphologically and immunohistochemically. Therefore, the origin of gastric choriocarcinoma seemed to be morphological retrodifferentiation of tumor cells to embryonal ectoderm such as trophoblastic cells.
著者
趙 青 浅野 正一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.627, pp.109-112, 2006-02-23
被引用文献数
2

近年,ネットワークの信頼性への要求が高まるにつれて,リンクの二重障害への対策が指摘されている.今後,オンデマンドオプティカルVPNが実現されれば,エンドエンド間でコネクションを一度確立すると,数日間または数ヶ月間それを張り続けることが予想される.このため,コネクションを二重リンク障害から守る手法が必要である.本稿では,逐次的二重リンク障害の発生を想定し,一次リンク障害で予備パスをなくしたコネクション(unprotectedコネクション)を,二次リンク障害から守るために,通常の予備パスだけでなく,トラヒックを100%救済できる保証のない不完全な予備パスもunprotectedコネクションに提供することにより,コネクションの信頼性を高める手法を提案し,その効果を確認している.