著者
正木 康夫 中島 美也子 才所 敏明 長谷部 浩一 武田 公人
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.37, pp.980-981, 1988-09-12

当社では、超大型コンピュータ群や最先端のソフトウェア群を企業内の共同利用設備としてセンターに集中配備すると共に、事業場(工場)には、事業場固有のニーズに応じた生産環境としての事業場ホストを設置し、技術者の作業環境であるエンジニアリングワークステーション(EWS)/パソコンからLANや公衆網を介してこれら計算機リソースの利用を可能とした企業内EAネットワークを構築し,全社サービスを行っている。このEAネットワーク上で、近い将来、大量の翻訳作業を行うユーザを対象とした翻訳サービスを目的として、現在センターのホスト計算機上に(英日)機械翻訳システムの構築を進めている。翻訳システムの構築に当たっては、当社のEWS:AS3000シリーズ上で既に実績のある機械翻訳システムAS-TRANSACをベースに、ホスト計算機の性能を活かし、かつ使いやすいシステムとするために、文書管理,翻訳処理はホストで、入力,文書の編集作業はパソコンで行う分散処理型のシステム構成を考えている。本稿では、翻訳システム構築の基本的な方針について報告する。
著者
中村 雅彦 NAKAMURA Masahiko
出版者
名古屋大学教育学部
雑誌
名古屋大學教育學部紀要 (ISSN:03874796)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.201-213, 1985-12-20 (Released:2006-01-06)

Self-disclosure is one of the determinants of interpersonal attraction. The purpose of this paper is to propose a "disclosure-attraction model" which explains the way self-disclosure has effects on the attractiveness of the discloser. The predictions suggested from the model are as follows. (1) If the evaluator attributes the cause of disclosure to the positive intents and/or dispositions of discloser, attraction for the discloser will increase. On the other hand, if he or she attributes it to the negative ones, attraction for the discloser will decrease. (2) The evaluator examines the appropriateness in self-disclosure in terms of social norms and role expectations. Thus, when he or she judges it inappropriate, negative dispositional attributions will produce, resulting in the decrease in attraction. (3) Evaluator's personality variables (e.g., interpersonal orientation, self-monitoring) will make biases on effects of disclosure mentioned above. These predictions were supported clearly by the findings of empirical studies.
著者
藤木 蔵田 武志 梅山 伸二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
信学会総合大会, 1997
巻号頁・発行日
1997
被引用文献数
1

正射影画像による物体の形状復元には, 同一平面上にない4点の本質的に異なる3枚の画像が必要であるが, 復元物体のAffine座標は本質的に異なる2枚の画像で一意に決定される。本稿ではこの座標系の基底のもつ自由度と正射影の方向の自由度を因子分解法を用いて明らかにする。
著者
箭内 浩典 中里 秀則 富永 英義
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.355, pp.19-24, 2006-11-09

分散型サービス拒否(DDoS)攻撃対策のひとつとして,IPトレースバックがある.現在多くのトレースバック手法が提案されているが,実用化には不十分で次のような欠点がある.確率的パケットマーキング方式は,パケットがルータを通過する際に部分的な経路情報をマークする手法であるが,攻撃被害者が攻撃経路を再現するためには非常に多くの計算時間がかかり,大規模な攻撃に対応できない.ICMP方式は,低い確率でルータを通過するパケットをサンプリングし,その中身とリンク情報をICMPトレースバックメッセージとして送信する手法であるが,ひとつの攻撃経路あたり数万パケットほどの多量のパケットを再現に要する.そこで,本稿ではICMP方式とマーキング方式を併用する複合型IPトレースバック手法を提案する.2つの情報を活用することで,マーキング手法の欠点である攻撃元までの経路構築・攻撃元探査に要する時間を減らす手法について示す.
著者
小林 正好 村瀬 勉 定村 正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSE, 交換システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.97, no.617, pp.37-42, 1998-03-19

本稿では, 数百万パケット/秒の処理能力をもつマルチレイヤスイッチの機能をIチップLSIで実現するためのアーキテクチャについて述べる.プロトコル処理の面では, レイヤ2とレイヤ3の冗長処理を省略するとともにフォワーディングテーブル検索処理を統合し, フォワーディングテーブル検索回数を減少させることで高速化を図った.また, ハードウェア面では高速なフォワーディングテーブル検索を実行できる専用アドレスサーチチップを開発し, パイプライン処理によってスループット向上を図った.パイプライン処理ではシーケンサを用い, 複雑な専用処理を行う論理回路マクロとともに, 汎用的な処理の論理回路マクロを組み込むことで処理の高速性と柔軟性を両立させた.
著者
柳田 宏一 小山田 巽 中西 喜彦 東條 英昭 小川 清彦
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.19-24, 1978-03-19

野草地周年放牧牛における乳量, 乳成分および乳質の分娩季節の違いによる変動について調べた.また, 哺乳牛における体重の増減量の変化を乳量の変化と関連させ検討した.供試牛は, 鹿大農学部入来牧場で昭和43年から昭和52年の間に繁殖に供した母牛実頭数35頭を用いた.すなわち, 泌乳量と乳質については延べ70頭を, 1日当たりの体重変化については延べ169頭(哺乳牛126頭, 非哺乳牛43頭)をそれぞれ対象に測定した.なお泌乳量については, 泌乳前期(0〜3カ月)と後期(4〜6カ月)に分け分析した.1.野草地周年放牧牛の泌乳量は舎飼牛の泌乳量に比較して, 前後期ともに各季節を通して少なかった.分娩季節による泌乳量の違いは, 哺乳前期は季節間で差がなく, 冬季でもかなりの量が維持されていた.しかし, 後期の泌乳量は秋季と冬季の間で有意な差が認められ(P<0.05), 冬季は他の季節に比較して低下していた.これらのことは, 前回で得られた生後3カ月(哺乳前期)の子牛の発育に季節差がなく, その後(哺乳後期)の発育は冬季で著しく低下する事実とよく一致している.2.乳成分についてみると, 比重は冬季に低下し(P<0.05), 脂肪率や無脂乳固形分も秋季から冬季に低下する傾向にあったが, その差は有意でなかった.アルコール陽性乳の出現率は夏季に高くなり季節間で有意な差を示した(P<0.01).3.哺乳牛における1日当たりの体重増減量をみると, 哺乳牛は冬季に同時期の非哺乳牛に比べ著しい体重減少を示し, その程度は, 哺乳後期に比べ前期で顕著であった.
著者
箭内 浩典 中里 秀則 富永 英義
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TM, テレコミュニケーションマネジメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.357, pp.19-24, 2006-11-09

分散型サービス拒否(DDoS)攻撃対策のひとつとして, IPトレースバックがある.現在多くのトレースバック手法が提案されているが,実用化には不十分で次のような欠点がある.確率的パケットマーキング方式は,パケットがルータを通過する際に部分的な経路情報をマークする手法であるが,攻撃被害者が攻撃経路を再現するためには非常に多くの計算時間がかかり,大規模な攻撃に対応できない.ICMP方式は,低い確率でルータを通過するパケットをサンプリングし,その中身とリンク情報をICMPトレースバックメッセージとして送信する手法であるが,ひとつの攻撃経路あたり数万パケットほどの多量のパケットを再現に要する.そこで,本稿ではICMP方式とマーキング方式を併用する複合型IPトレースバック手法を提案する.2つの情報を活用することで,マーキング手法の欠点である攻撃元までの経路構築・攻撃元探査に要する時間を減らす手法について示す.
著者
箭内 浩典 中里 秀則 富永 英義
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.356, pp.49-54, 2006-11-09
被引用文献数
1

分散型サービス拒否(DDoS)攻撃対策のひとつとして,IPトレースバックがある.現在多くのトレースバック手法が提案されているが,実用化には不十分で次のような欠点がある.確率的パケットマーキング方式は,パケットがルータを通過する際に部分的な経路情報をマークする手法であるが,攻撃被害者が攻撃経路を再現するためには非常に多くの計算時間がかかり,大規模な攻撃に対応できない.ICMP方式は,低い確率でルータを通過するパケットをサンプリングし,その中身とリンク情報をICMPトレースバックメッセージとして送信する手法であるが,ひとつの攻撃経路あたり数万パケットほどの多量のパケットを再現に要する.そこで,本稿ではICMP方式とマーキング方式を併用する複合型IPトレースバック手法を提案する.2つの情報を活用することで,マーキング手法の欠点である攻撃元までの経路構築・攻撃元探査に要する時間を減らす手法について示す.
著者
野澤 由利子 新井 好史 川嶋 朗 原田 健一
出版者
天然有機化合物討論会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
no.48, pp.517-522, 2006-09-15

The advanced Marfey's method has been developed to nonempirically determine the absolute configuration of primary amine including amino acids and secondary alcohols using liquid chromatography/mass spectrometry (LC/MS) under the reversed phase conditions. In this method, the resolution between the diastereomers derivatized with 1-fluoro-2,4-dinitrophenyl-5-L-leucinamide (L-FDLA) and 1-fluoro-2,4-dinitrophenyl-5-D-leucinamide (D-FDLA) is reflected by the difference of hydrophobicity of the two functional groups at the asymmetric carbon.. However, no effective method has been developed for the estimation of hydrophobicity so far. For this purpose, we introduced log D and applied it to relatively simple primary amines, amino acids and secondary alcohols in the present study. It was found that the difference of the retention times correlated with that of log D for both diastereomers based on experimental results obtained in this study. Furthermore, the method was successfully applied to penicillide. From these results the following procedure is proposed for the non-empirical determination of the absolute configuration of primary amine including amino acids and secondary alcohols: 1) estimate the hydrophobicity by the calculation of log D for two substituent groups at the asymmetric carbon. 2) locate the trans-type arrangement of the two more hydrophobic substituents in the L-DLA derivative and judge the asymmetric carbon to be R or S in the trans-type that is eluted first. 3) derivatize a desired compound with L- or D-FDLA and analyze by LC/MS. 4) compare the elution order with the prospective one and determine the absolute configuration of the asymmetric carbon. The developed method is being applied to more complicated compounds.
著者
Michel Wolfgang
出版者
日蘭学会
雑誌
日蘭学会会誌 (ISSN:02869381)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.47-63, 1998-10
被引用文献数
3

German Summary: Die ersten Begegnungen der Europaer mit chinesischer Medizin fanden - frueher als bisher vermutet statt - nicht in China, sondern in den umliegenden Regionen statt. So berichteten Jesuiten schon Ende des 16. Jahrhunderts aus Japan ueber die Moxibustion. Allerdings blieben diese Informationen sehr sporadisch und waren ueber verschiedene Textarten verstreut, so dass es in Europa zu keiner nennenswerten Reaktion kam. Mit dem 1675 publizierten Buch des batavischen Pfarrers Hermann Buschoff jedoch setzt eine nachhaltige Debatte ueber diese Brenntherapie ein. Buschoffs Namen finden wir im Zusammenhang mit der Einfuehrung des Begriffes "Moxa" in vielen Arbeiten zur Vermittlung der ostasiatischen Medizin nach Europa, doch war bis in die juengste Vergangenheit fast nichts ueber dessen Leben und Werk bekannt. Buschoff, der etwa 1620 in Utrecht geboren wurde, zog 1654 als Pfarrer im Dienste der VOC nach Ostasien, wo man ihn zunaechst auf Taiwan, spaeter in Batavia einsetzte. Er litt u. a. an Podagra. Dieses Leiden wurde gegen Ende der fuenziger Jahre so virulent, dass er, nachdem die europaeischen Aerzte nicht mehr helfen konnten, eine Aerztin aus dem vietnamesischen Raum um Beistand bat. Diese setzte einige Moxa-Kegelchen auf und bewirkte binnen kurzem eine erstaunliche Besserung. Nach dieser dramatischen Erfahrung widmete sich Buschoff der Erforschung der Fussgicht und der wundersamen Moxa. Schliesslich verfasste er eine den "Bewindhebbern" der VOC gewidmete Schrift, die sein Sohn in die Niederlande mitnahm. Zum Zeitpunkt der Publikation allerdings war der Autor schon verstorben. Buschoffs Schrift beruht auf intensiven Studien europaeischer Autoren. Sie zeigt zugleich starke Einfluesse der chinesischen Medizin. Die "aufgestauten, boesartigen Daempfe" als Ursache der Gicht haben ihre Wurzel im ostasiatischen Konzept des "Qi". Die Abfuehrung der "Daempfe und Feuchtigkeiten" durch die Moxa findet laut Buschoff am besten auf den Adern statt. Diese Deutung ist ein Reflex auf die Trakte und Kanaele (Meridiane) der chinesischen Anatomie. Auf festgesetzten Punkten wird dort in der Tat aufgestautes, ueberschuessiges "Qi" abgeuehrt. Buschoffs Schrift uebte einen grossen Einfluss auf die spaeteren europaeischen Beobachter und Autoren aus. Auch nachdem man seinen Namen schon vergessen hatte, galt die in Asien eigentlich universell eingesetzte Moxa im Westen vorwiegend als Heilmittel gegen Podagra. Das von ihm erstmals benutze, vom japanischen "mogusa" herruehrende Wort "Moxa" setzte sich in vielen europaeischen Sprachen fest und wird auch heute noch verwendet.
著者
楠田 聡 松波 聡子 川口 千晴
出版者
東京医学社
雑誌
周産期医学 (ISSN:03869881)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.767-778, 2006-06
被引用文献数
1
著者
筒井 敏彦 長谷 正義 TANAKA Akihiro 藤村 奈苗 堀 達也 河上 栄一
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.603-606, 2000-06-25
被引用文献数
8 34

アクロソームの保護, 融解後の精子活力の持続が明らかな希釈液にOrvus ES Paste(OEP)を添加した.犬凍結精液を用いて人工授精を行った.凍結精液は, 卵黄トリス・フルクトース・クエン酸液を用いて, グリセリンおよびOEPの最終濃度は, それぞれ7%, 0.75%で作製した.人工授精は, 末梢血中progesterone値から推定した交配適期に行った.子宮内授精は, 開腹手術によって片側子宮角内に精子数1億を注入して行った.また, OEP無添加の精液については, 精子数3億を授精した.腟内授精は, 精子数10〜40億について行った.その結果, 子宮内授精を行った10頭中9頭(90.0%)が受胎した.産子数は, 1〜7匹で, 平均3.6±0.9匹であった.精子注入側の排卵数に対する子犬数の割合は, 平均71.8%であった.注入側の排卵数を子犬数が上回った例はみられなかった.OEP無添加では, 4頭とも不妊であった.腟内授精の結果は, 10億と40億を授精した計6頭は不妊, 20億では3頭中2頭が受胎した.以上のように, OEPを添加した犬凍結精液の子宮内授精で高率に受胎することが明らかとなった.今後は, 手術によらない子宮内授精法の開発および腟内授精に使用可能な犬精子の凍結法の開発が必要と思われる.
著者
小林 弘 越智 尚子
出版者
社団法人日本動物学会
雑誌
動物学雑誌 (ISSN:00445118)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.67-71, 1972-01-15
被引用文献数
13

The ginbunas (Carassius auratus langsdorfii) captured in the Kanto district were exclusively females, and there was no report of capture of male fish. For understanding this curious phenomenon, comparative studies were made on the chromosomes of the ginbuna and F_1 hybrids derivatived from a cross between the ginbuna and the kinbuna (Carassius auratus subsp.) and between the ginbuna and the loach (Misgurnus anguillicaudatus). Three females of the ginbuna captured in the Kanto district were used for the present investigation. The eggs spawned by each of the females were divided into two groups; the eggs of one group were artificially inseminated with sperms of the kinbuna, and the eggs of the other group with sperms of the loach. All the larvae grown up from the two types of hybrid crosses were identical with the maternal ginbuna in their appearance. Chromosome preparations were made from kidney and gill cells with the usual air-drying technique, after pretreatment with colchicine and hypotonic solution. The results of chromosome analysis showed that the maternal ginbuna had 156 chromosomes, consisting of 17 pairs of metacentrics, 31 pairs of submetacentrics and 30 pairs of acrocentrics. The chromosomes of 14 offsprings by the hybrid crosses, so far examined, had the same chromosome number of 156. Comparing the karyotypes of the maternal ginbuna and their offsprings, we found a gross similarity in their chromosomes as far as the morphological analysis is concerned. In the present study we failed to examine the chromosomes of the paternal kinbuna and loach. However, it is generally accepted that the kinbuna has 100 chromosomes and the loach has 50 chromosomes in both sex. The most likely explanation for the present results would be that the production of the triploid offspring might be arisen by gynogenesis, as was already pointed out by Kobayasi et al. (1970) and Kobayasi (1971).
著者
山下 一也
出版者
公益社団法人日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.1907-1914, 1994-11-01
被引用文献数
1

1)私にとって「画像とは何か」を叩き台にし, できるだけ一般的定義に矛盾しない立場で画像を定義した.それを足掛かりに画像の評価法について考えていくことにした. 2)最初に, 画像評価法を一般的な分類にしたがって客観評価と主観評価にわけ, それぞれにこれまでの規定の方法と矛盾しない方向で性格を与えた. 3)とくに主観評価については, 検証を深めるために同じ主観評価法でも基本的に研究の方向と方法を異にする三つの研究例を取り上げ, それぞれに実験と評価法の概要を述べ, その問題点をあげ, 考察を加えた. 4)その結果, 主観評価でも心理量を客観的に定量しなければならないことと, 事前の学習の重要さを言葉を重ねて述べておいた. 5)以上の検証の結果から「視覚の特性」を主体にした新しい主観評価の方法論を提案したい.主観評価は画像における各画質属性を主観的に評価するだけでは, 「知覚-認識系の測度」の二つの面を評価したことにはならない.単純な画質属性と画像を構成している主柱(読影の主眼点)とを合わせて評価することで主観的総合評価が可能になる.このことは, いずれかの評価法だけでは知覚-認識系の全体を評価したことにはならないからである. 6) ROC解析は, すでに一定の市民権を獲得した主観評価のすぐれた手法であるが, 総合評価となるとさらに検討を重ねなければならないと思っている.その点でシカゴ大学のMetzらが開発した「連続確信度法 : method for continuously-distributed test results」に期待したい.この方法における評定基準区分をとくに設けない点に注目し, ここには画像の総合評価への適用が表出されているように私には思える.またこの評価法に限っていえば, 心理的主観的実験に限らず多様な分野への応用, たとえば物理的測度の計測や精度などの確定のための実験にも適用が可能である. 7)また, ファジィ測度とそのファジィ積分による総合評価は, 臨床感覚に即した結果が得られ, 今後の発展が期待できるものと信じている. 8)私がこれまでに行なった象徴的な画像研究を通して, 主観評価のあれこれを系統的に述べ, 主観評価とその総合評価について未熟成ではあるが, 一定の提案をした.すでにいわずもがなの面もないとはいえないが, 画像研究のこれからの発展にいくらかのお役にたてば望外の喜びである.折角の企画をたてられ, 私のために貴重な時間と空間を与えていただいた画像部会の小寺部会長ほか部会役員の方々, 部会会員のみなさんに心からの敬意と感謝を申しあげる.